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嫉妬
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「そろそろ帰りますよ、葵さん。」
まだここにいたかったけど、蓮君と暗くなる前に帰るって約束したからと仕方なく車に乗り込んだ。
お酒のせいか、車内はいつも以上に蓮君の香りが濃く満たされているような気がしてくらくらと眩暈がした。
俺、いっつもこんなにいい匂い漂わせて、イケメンで、なんでもできちゃう...。まさに完全無欠な人と付き合ってるんだなぁ~、贅沢ものだなぁ~。
「...あのさ。」
「ん??どうしました??やっぱり身体冷えちゃいました??」
「俺、蓮君の匂い大好きなんだよね......。」
「は?」
俺は蓮君のジャケットを鼻の前まで持っていき、すーっと大きく息を吸った。花のような優しい香りはいつも俺を守ってくれているようで、呼吸をするたびに胸の中が満たされていった。
「.......ふぅ。...よし、早く帰ろう。そうしよう。帰ったら絶対に抱く。」
そう言うと、蓮君のハンドルを握る手には血管が浮かび上がり、スピード違反で捕まるんじゃないかと思うぐらいの勢いで俺の家に向かっていった。
駐車場に着くなり、「運転ありがとう」と言う間もなくいきなり蓮君は俺を担ぎ始めて、そのまま玄関に向かって歩き始めた。「自分で歩ける!!!」と抵抗してみたがびくともしなかった。
ガチャリと鍵が開き、やっと下ろしてもらえる...と思っていたが実際そんなことはなく、蓮君は寝室に直行し俺をベッドの上に連れて行った。
「はぁ!?えっ、今からすんの??」
「する。当たり前でしょ?あんなに誘っといて今さらしませんなんて、生殺しでしょ。」
「さそ.......った??」
「うん、誘ってきた」
俺がいつ蓮君のことを誘ったんだ?料亭でご飯を食べてた時??それとも海に行ったときか??でも記憶は全然あるしな??
いやでも今からするのは...スーツも着てるし、潮風で髪もべた付いてるからお風呂にも入りたかった。
「...別に、葵さんが覚えなくてもいいよ。お酒もだいぶ抜けてきたでしょ?」
「う、うん。てか始めからそんなに酔ってないし...」
「ふーん、日本酒あんなに飲んどいて?あと母さんは笊だから今度一緒に飲むときは気を付けてよね。」
「分かったよ。蓮君、なんか怒ってる??」
「葵さんとまだお酒飲んだことないのに、母さんに先越されたのが悔しいだけ......」
蓮君がぷいっと横を向き、不機嫌そうな声色で言う姿がとても可愛くてしょうがなかった。
子どもみたいで、思わず笑ってしまいそうになった。
ーー待てよ?今から蓮君と飲めばいいんじゃないか?それで蓮君が酔って、もし眠くなったりしたら今日はしなくて済むのでは!!
我ながら名案を思い付いた、と心の中でうんうんと頷いた。
「あのさ蓮君、今から一緒に飲まない??確かまだ開けてないワインがあるはずなんだけど......」
「はぁ......この状況で??まぁいいですけど、絶対後悔しますよ?」
「後悔??するわけないじゃん!!蓮君と飲めるって言うのに!!」
「いや俺が言いたいのはそういうことじゃなくって......はい、分かりました。そこまで言うなら飲みましょう」
「......ここでお酒に頼ろうとしたこと、後悔させてやりますよ」
一瞬背筋に寒気が走ったが、気にせず俺はキッチンの戸棚の中に置いてあった赤ワインを二本手に取った。
ついでに白ワインもあったりしないかな~と冷蔵庫に白ワインはないか確認してみたけど、白ワインは無かった。
今度、白ワインも買ってきて蓮君と一緒に飲むか。あぁ、あとグラスグラスっと。俺はワインとグラスを抱えてテーブルにそれらを持って行った。
「一応飲みやすい種類のやつだとは思うんだけど...」
たまたま家にあったワインはクラシック・ロゼ、こっちはう~んと、たぶんベリー系のやつかな?銘柄はよく分かんないないけど、きっと飲みやすいはず。
「葵さん、少しキッチン借りますね。空きっ腹にお酒は良くないですから」
そう言うと蓮君は、ぱぱっと家に置いてあった残りの食材でおつまみを作ってくれた。なんてできる彼氏なんだ......と改めて感心した。
モッツアレラチーズのカプレーゼに、ネギ塩タン、ガーリックトースト、お酒のおつまみにするにはもったいないぐらいどれも美味しそうだ。あとは家にあった適当なお菓子で大丈夫かな。
「ありがとう。それにしてもすごいね、蓮君。一気にこんなの作れちゃうなんて。」
「いつかこうやって作ってみたくて、家で練習したりしてたんですよね...。喜んでもらえて嬉しいです。」
俺は自分と蓮君のグラスにワインを注ぎ、乾杯をした。まずは蓮君の作ってくれたおつまみを一口食べる。あんな短時間だったのに味が染みてるし、なによりも食べやすく、ついつい食べる手とワインを飲むのが止められなかった。
だけど俺は楽しさの余り失念していた。麗華さんが酒豪なら蓮君もその可能性があったことを、そしてすでに俺は日本酒を四杯も飲んでいたことを。
まだここにいたかったけど、蓮君と暗くなる前に帰るって約束したからと仕方なく車に乗り込んだ。
お酒のせいか、車内はいつも以上に蓮君の香りが濃く満たされているような気がしてくらくらと眩暈がした。
俺、いっつもこんなにいい匂い漂わせて、イケメンで、なんでもできちゃう...。まさに完全無欠な人と付き合ってるんだなぁ~、贅沢ものだなぁ~。
「...あのさ。」
「ん??どうしました??やっぱり身体冷えちゃいました??」
「俺、蓮君の匂い大好きなんだよね......。」
「は?」
俺は蓮君のジャケットを鼻の前まで持っていき、すーっと大きく息を吸った。花のような優しい香りはいつも俺を守ってくれているようで、呼吸をするたびに胸の中が満たされていった。
「.......ふぅ。...よし、早く帰ろう。そうしよう。帰ったら絶対に抱く。」
そう言うと、蓮君のハンドルを握る手には血管が浮かび上がり、スピード違反で捕まるんじゃないかと思うぐらいの勢いで俺の家に向かっていった。
駐車場に着くなり、「運転ありがとう」と言う間もなくいきなり蓮君は俺を担ぎ始めて、そのまま玄関に向かって歩き始めた。「自分で歩ける!!!」と抵抗してみたがびくともしなかった。
ガチャリと鍵が開き、やっと下ろしてもらえる...と思っていたが実際そんなことはなく、蓮君は寝室に直行し俺をベッドの上に連れて行った。
「はぁ!?えっ、今からすんの??」
「する。当たり前でしょ?あんなに誘っといて今さらしませんなんて、生殺しでしょ。」
「さそ.......った??」
「うん、誘ってきた」
俺がいつ蓮君のことを誘ったんだ?料亭でご飯を食べてた時??それとも海に行ったときか??でも記憶は全然あるしな??
いやでも今からするのは...スーツも着てるし、潮風で髪もべた付いてるからお風呂にも入りたかった。
「...別に、葵さんが覚えなくてもいいよ。お酒もだいぶ抜けてきたでしょ?」
「う、うん。てか始めからそんなに酔ってないし...」
「ふーん、日本酒あんなに飲んどいて?あと母さんは笊だから今度一緒に飲むときは気を付けてよね。」
「分かったよ。蓮君、なんか怒ってる??」
「葵さんとまだお酒飲んだことないのに、母さんに先越されたのが悔しいだけ......」
蓮君がぷいっと横を向き、不機嫌そうな声色で言う姿がとても可愛くてしょうがなかった。
子どもみたいで、思わず笑ってしまいそうになった。
ーー待てよ?今から蓮君と飲めばいいんじゃないか?それで蓮君が酔って、もし眠くなったりしたら今日はしなくて済むのでは!!
我ながら名案を思い付いた、と心の中でうんうんと頷いた。
「あのさ蓮君、今から一緒に飲まない??確かまだ開けてないワインがあるはずなんだけど......」
「はぁ......この状況で??まぁいいですけど、絶対後悔しますよ?」
「後悔??するわけないじゃん!!蓮君と飲めるって言うのに!!」
「いや俺が言いたいのはそういうことじゃなくって......はい、分かりました。そこまで言うなら飲みましょう」
「......ここでお酒に頼ろうとしたこと、後悔させてやりますよ」
一瞬背筋に寒気が走ったが、気にせず俺はキッチンの戸棚の中に置いてあった赤ワインを二本手に取った。
ついでに白ワインもあったりしないかな~と冷蔵庫に白ワインはないか確認してみたけど、白ワインは無かった。
今度、白ワインも買ってきて蓮君と一緒に飲むか。あぁ、あとグラスグラスっと。俺はワインとグラスを抱えてテーブルにそれらを持って行った。
「一応飲みやすい種類のやつだとは思うんだけど...」
たまたま家にあったワインはクラシック・ロゼ、こっちはう~んと、たぶんベリー系のやつかな?銘柄はよく分かんないないけど、きっと飲みやすいはず。
「葵さん、少しキッチン借りますね。空きっ腹にお酒は良くないですから」
そう言うと蓮君は、ぱぱっと家に置いてあった残りの食材でおつまみを作ってくれた。なんてできる彼氏なんだ......と改めて感心した。
モッツアレラチーズのカプレーゼに、ネギ塩タン、ガーリックトースト、お酒のおつまみにするにはもったいないぐらいどれも美味しそうだ。あとは家にあった適当なお菓子で大丈夫かな。
「ありがとう。それにしてもすごいね、蓮君。一気にこんなの作れちゃうなんて。」
「いつかこうやって作ってみたくて、家で練習したりしてたんですよね...。喜んでもらえて嬉しいです。」
俺は自分と蓮君のグラスにワインを注ぎ、乾杯をした。まずは蓮君の作ってくれたおつまみを一口食べる。あんな短時間だったのに味が染みてるし、なによりも食べやすく、ついつい食べる手とワインを飲むのが止められなかった。
だけど俺は楽しさの余り失念していた。麗華さんが酒豪なら蓮君もその可能性があったことを、そしてすでに俺は日本酒を四杯も飲んでいたことを。
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