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仲直り02
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「そういえばなんだが、なぜ蓮は”葵さん”呼びなんだ??」
「ん?葵さんは葵さんだからだよ??」
「いやそうではなく、年上なのはなんとなく分かるのだが...葵君は蓮の高校か大学の先輩なのか??」
あー......そこ、やっぱり気になりますよね。そうですよね。この際この場だけでもよかったから蓮君に「タメ語で話して」ってお願いしとけばよかったかも。
「あー、実はですね.......」
俺はコールドスリープの内容は絶対ややこしくなるからと思い、そこは伏せたがそれ以外のことはだいたい話した。
「あらやだ!葵君三十四歳なの!?まぁ~てっきり二十五歳とかだと思っていたわ!!それに蓮の運命だったなんて...素敵な出会いねぇ。」
「そうか、あのとき蓮が恋人がいると言い張ってたのは、嘘ではなかったのか...。」
「当たり前じゃん。親父も杏から聞いたでしょ?」
「杏...さん??」
「そっか、葵さんにはまだ言ってなかったね。杏はほら、俺が高校生の時に見たことあったと思うんだけど...黒髪ロングの子。覚えてない??」
高......校?そんな子いたっけな?黒髪で...ロング...。あぁ!?あのとき蓮君の隣にいた子か!
でも、なんであの子の名前が今ここで出てくるんだ??まさか、あの子が蓮君の許嫁だった......とか?俺の覚えてる限りだと華奢で可愛らしい感じだったし、その可能性も十分にありえるな。
待てよ......もし俺のせいで破談とかになってたら申し訳ないどころじゃないな?でも蓮君とは絶対別れたくないし、いっそのこと菓子折りでも持って謝罪にでも行くべきか?
そんなことを頭の中でぐるぐると考えていた。
「杏のお父さんが親父の秘書をしててさ。それでたまに口裏合わせてもらってたりしてただけだよ。だから葵さんが心配するようなことは起きてないから、安心して。」
なるほど。そういうことだったんだ。ってことは、あの時の俺は完全に早とちりだったのか。
「だから、付き合ってたとかもないし。それに、そもそも杏は俺の従姉だからね。」
俺の不安を見透かしたように蓮君が補足を入れて説明してくれた。良かった、謝罪に行かなくても済みそうだ。
「蓮に年上の恋人......か。」
「あはは、びっくりしますよね......」
「そんなことないわ!!むしろますます葵君のこと気に入っちゃったわ。今後も葵君と付き合いがあるって考えたら嬉しいわ。」
そのあとは軽く会話を交わし、お会計はすでに蓮君のご両親が支払いを済ませてくれていたようで、ありがたくご馳走になった。
二人はこのまま日本で少し観光をした後、夜の最終便でアメリカに帰るとのことで、別れ際麗華さんが優しく声をかけてくれた。
「葵君も困ったことがあれば私たちに言うのよ?いつでも協力するわ。葵君のご両親にもよろしくお伝えして頂戴ね。」
そう言って、お土産まで持たせてくれたのだった。駐車場に着いて、あぁこのまま家に帰るのかと思ったら、なんだか少し勿体ないような気がして、家に帰りたくないという気持ちが強くなった。
「葵さん俺たちも帰ろう。」
「...うーん、まだ帰りたくない。」
お酒がいい感じに回ってきてつい甘えたことを口に出してしまった。でもぜんぶ酔ってるってことにしとけばいいよね.......。
「家帰るの嫌なの??」
「.......やだ。」
「じゃあどっかこのままドライブしに行こっか。葵さん行きたい場所とかある??」
今の時間帯だったらちょうど夕焼けがキレイに見えそうだな...
「海に行きたいかも...」
「海ね、了解。ちょうど近くにあるみたいだし、そこに行こう。だけど危ないから夜までには帰るからね」
「うん、ありがと蓮君。」
海は料亭があった場所から車で一時間もかからない場所にあった。見晴らしも良く、吹き付ける潮風は冷たくて、酔って火照った体を冷ましてくれる。
俺の予想通り、ちょうど夕焼けの時間帯で海と夕日のコントラストがとても美しく思わず引き込まれそうになった。
「葵さん、冷えるよ。」
俺は車の中にジャケットを置きっぱなしだったので、蓮君が着ていたジャケットを代わりにぱさっと被せてくれた。
「ありがと。」
俺は日が沈むまで、ずっと海を見つめていた。蓮君も特に何か言うわけでもなくただ傍にいてくれた。
波の音は心を落ち着かせてくれる。夕焼けには一日の終わりと新たな始まりの余韻が儚く映し出されているように感じて、俺はこの時間とこの風景が昔から大好きだった。
そんな風景を見て今日も幸せだった、明日も幸せでありますように。
ーーそう心から願わずにはいられなかった。
隣で同じ夕焼けを見つめている恋人の横顔は、どこか目を奪われる美しさだった。
「ん?葵さんは葵さんだからだよ??」
「いやそうではなく、年上なのはなんとなく分かるのだが...葵君は蓮の高校か大学の先輩なのか??」
あー......そこ、やっぱり気になりますよね。そうですよね。この際この場だけでもよかったから蓮君に「タメ語で話して」ってお願いしとけばよかったかも。
「あー、実はですね.......」
俺はコールドスリープの内容は絶対ややこしくなるからと思い、そこは伏せたがそれ以外のことはだいたい話した。
「あらやだ!葵君三十四歳なの!?まぁ~てっきり二十五歳とかだと思っていたわ!!それに蓮の運命だったなんて...素敵な出会いねぇ。」
「そうか、あのとき蓮が恋人がいると言い張ってたのは、嘘ではなかったのか...。」
「当たり前じゃん。親父も杏から聞いたでしょ?」
「杏...さん??」
「そっか、葵さんにはまだ言ってなかったね。杏はほら、俺が高校生の時に見たことあったと思うんだけど...黒髪ロングの子。覚えてない??」
高......校?そんな子いたっけな?黒髪で...ロング...。あぁ!?あのとき蓮君の隣にいた子か!
でも、なんであの子の名前が今ここで出てくるんだ??まさか、あの子が蓮君の許嫁だった......とか?俺の覚えてる限りだと華奢で可愛らしい感じだったし、その可能性も十分にありえるな。
待てよ......もし俺のせいで破談とかになってたら申し訳ないどころじゃないな?でも蓮君とは絶対別れたくないし、いっそのこと菓子折りでも持って謝罪にでも行くべきか?
そんなことを頭の中でぐるぐると考えていた。
「杏のお父さんが親父の秘書をしててさ。それでたまに口裏合わせてもらってたりしてただけだよ。だから葵さんが心配するようなことは起きてないから、安心して。」
なるほど。そういうことだったんだ。ってことは、あの時の俺は完全に早とちりだったのか。
「だから、付き合ってたとかもないし。それに、そもそも杏は俺の従姉だからね。」
俺の不安を見透かしたように蓮君が補足を入れて説明してくれた。良かった、謝罪に行かなくても済みそうだ。
「蓮に年上の恋人......か。」
「あはは、びっくりしますよね......」
「そんなことないわ!!むしろますます葵君のこと気に入っちゃったわ。今後も葵君と付き合いがあるって考えたら嬉しいわ。」
そのあとは軽く会話を交わし、お会計はすでに蓮君のご両親が支払いを済ませてくれていたようで、ありがたくご馳走になった。
二人はこのまま日本で少し観光をした後、夜の最終便でアメリカに帰るとのことで、別れ際麗華さんが優しく声をかけてくれた。
「葵君も困ったことがあれば私たちに言うのよ?いつでも協力するわ。葵君のご両親にもよろしくお伝えして頂戴ね。」
そう言って、お土産まで持たせてくれたのだった。駐車場に着いて、あぁこのまま家に帰るのかと思ったら、なんだか少し勿体ないような気がして、家に帰りたくないという気持ちが強くなった。
「葵さん俺たちも帰ろう。」
「...うーん、まだ帰りたくない。」
お酒がいい感じに回ってきてつい甘えたことを口に出してしまった。でもぜんぶ酔ってるってことにしとけばいいよね.......。
「家帰るの嫌なの??」
「.......やだ。」
「じゃあどっかこのままドライブしに行こっか。葵さん行きたい場所とかある??」
今の時間帯だったらちょうど夕焼けがキレイに見えそうだな...
「海に行きたいかも...」
「海ね、了解。ちょうど近くにあるみたいだし、そこに行こう。だけど危ないから夜までには帰るからね」
「うん、ありがと蓮君。」
海は料亭があった場所から車で一時間もかからない場所にあった。見晴らしも良く、吹き付ける潮風は冷たくて、酔って火照った体を冷ましてくれる。
俺の予想通り、ちょうど夕焼けの時間帯で海と夕日のコントラストがとても美しく思わず引き込まれそうになった。
「葵さん、冷えるよ。」
俺は車の中にジャケットを置きっぱなしだったので、蓮君が着ていたジャケットを代わりにぱさっと被せてくれた。
「ありがと。」
俺は日が沈むまで、ずっと海を見つめていた。蓮君も特に何か言うわけでもなくただ傍にいてくれた。
波の音は心を落ち着かせてくれる。夕焼けには一日の終わりと新たな始まりの余韻が儚く映し出されているように感じて、俺はこの時間とこの風景が昔から大好きだった。
そんな風景を見て今日も幸せだった、明日も幸せでありますように。
ーーそう心から願わずにはいられなかった。
隣で同じ夕焼けを見つめている恋人の横顔は、どこか目を奪われる美しさだった。
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