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指輪
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「立花さん、本日の検診もお疲れさまでした。今回の結果ではフェロモン値が上昇している傾向にあります。なので一か月以内には、発情期が来ると考えてくださいね。」
「......そうですか、いつも本当にありがとうございます。」
「いえいえ、とんでもありません。」
「今回の発情期で、番契約が成立する可能性は高いんでしたっけ?」
「はい。その通りです。前回は不完全なものでしたが、今回のは本格的な発情期になるかと。であれば番契約に至る可能性はかなり高いでしょう。」
まじかよ、二か月後とかだったらタイミングよかったのにな。
「??浮かない顔をしていますね。なにか不安なことでもありましたか?」
「ーー実は、ちょうど蓮君の試験が終わるのが一か月後で、タイミングがいいのか悪いのか分からなくて...」
「あぁ、そうでしたか。確かに立花さん的にもそこは気がかりですね...。気を遣ってしまわれるのも分かりますが。そうですか...今の時期はちょうど試験でしたか。」
「そうなんですよね...でもとりあえず頑張ります。」
「えぇ、蓮君ともよく話してくださいね。パートナーなんですから、立花さんも気を遣いすぎないようにしてください。」
今回、発情期に入ればほぼ確実に番になれる...のか。どうせなら、なんかぱぁ~っとやりたいな。ここ最近の蓮君は試験勉強でやつれてきてる気がするし...今は家にも週二で来れたらいい方だしな。本当に無理はしないでほしいんだけどね。
そんなことを考えながら歩いていたら、ある広告が目に留まった。
”あなたの大事なパートナーに、あなただけの特別な指輪を”
「指輪......」
番になれば、ほぼ必然的に夫夫になる。そのとき指輪はかかせないものだろう。それにどうせ渡すなら形に残るものがいいし、蓮君を喜ばせるためにも指輪は...いいかもしれない。
”この先も一緒にいよう”って、ちゃんと伝えられるように。
確か、婚約指輪と結婚指輪は分ける!みたいな考えもあるんだったよな。よし決めた。蓮君の試験が終わる最終日にサプライズで婚約指輪を渡そう!そうと決まれば、まずはジュエリーショップに行かなければ!
ーーと意気込んで行ってみたはいいものの...
まず蓮君の指のサイズがさっぱり分からなかった。店員さんに「何号の指輪お探しですか?」と聞かれたときは「号??」と頭が真っ白になった。
金額はまぁ、頑張れば出せる範囲だったけど、どれがいいとか誕生日石とか、カラット数とか考えるべきものが多すぎて、一旦持ち帰ることにした。
うーん。衝動的に動くのは良くないな...心の中で反省会を開いた。ジュエリーショップの帰りにスーパーに寄って、夜の食材を買い終えて、家に向かっているとスマホがブーブーと鳴っていることに気が付いた。
「ーーもしもし??」
「あ!もしもし?母さん??あれ届いたよ。ありがとう。」
「本当?良かった。瑠夏も実習頑張ったね、お疲れ様。」
「ありがとう。母さんのおかげで元気出たよ」
「あ、ねぇ。今から瑠夏の家行ってもいい??」
「別にいいけど、なんかあった??...いや母さん来てから話聞くね。じゃあ待ってる」
「了解。じゃあ切るね、またあとで」
ぷつっと電話を切る。瑠夏あの言い方だと、俺と蓮君が喧嘩か何かしたと思ってそうだな。今日は蓮君が家にいつも来ない曜日だし、いつも「家にいない」「出かけてる」とか連絡もしてないからいっか。
俺は、夕飯を買い込んだ荷物を持ったまま瑠夏の家に向かった。
インターホンを押すと、瑠夏の気怠そうな声が聞こえてきた。
「は~い?」
「瑠夏、来たよ。」
扉の奥からバタバタと足音が聞こえる。玄関の扉がガチャリと開くと、瑠夏が笑顔で迎えてくれた。
「母さん、久しぶり。元気そうでよかったよ、入って。」
「瑠夏もやつれてなくてよかった。実習はもうないんだっけ?」
「なんとかね.......でも試験はあるし、今も患者さんを持ってるから緊張してるよ...」
「そっかぁ瑠夏も大変だね。あんまり無理しすぎないようにね??」
「母さんの方こそデザイナーの仕事、徹夜でやらないようにね?」
うぅ...と内心ダメージを受けた。今は受け入れ数を減らしているがつい先日まで、蓮君の両親の企業ホームページの新規デザインを作成していたところだった。
「んで、蓮と喧嘩でもした?荷物もそんなに持ってきてさ。もしかして家出??」
「ん?あぁ違うよ。これは夕飯の買い物してた帰り道で、そのまま瑠夏の家に来たからさ。特に喧嘩はしてないよ」
まぁたまーに本気で、それやめて?と思う時はあるが、今はなんとかやれている。特にエッチの時だけど。
「ふ~ん、そっか。それならいいんだけど。で、それ以外に相談があるってこと??」
「うん。それがさ、蓮君に婚約指輪買おうと思ってて......でも俺、そういうの分かんないから瑠夏に色々聞こうかなって」
「え!いいじゃん!!あいつ絶対喜ぶと思うよ。任せて!びっくりさせてやろうよ」
「でも、失敗とかしないかな......」
「平気だって。母さんのやることすること全部に、喜ぶよ蓮は。そういうやつって母さんも何となく分かるでしょ?」
「言われてみればそうだね。余計なことは考えないようにするよ。」
「その調子。じゃあ俺の勉強の息抜きも兼ねて、早速作戦会議といきますか!」
この日は、瑠夏の家に泊まって二人で一緒にどうやってサプライズをするか計画を練った。
瑠夏も久しぶりに「母さんの料理食べれて嬉しい」って喜んでくれたから俺も嬉しかった。
「......そうですか、いつも本当にありがとうございます。」
「いえいえ、とんでもありません。」
「今回の発情期で、番契約が成立する可能性は高いんでしたっけ?」
「はい。その通りです。前回は不完全なものでしたが、今回のは本格的な発情期になるかと。であれば番契約に至る可能性はかなり高いでしょう。」
まじかよ、二か月後とかだったらタイミングよかったのにな。
「??浮かない顔をしていますね。なにか不安なことでもありましたか?」
「ーー実は、ちょうど蓮君の試験が終わるのが一か月後で、タイミングがいいのか悪いのか分からなくて...」
「あぁ、そうでしたか。確かに立花さん的にもそこは気がかりですね...。気を遣ってしまわれるのも分かりますが。そうですか...今の時期はちょうど試験でしたか。」
「そうなんですよね...でもとりあえず頑張ります。」
「えぇ、蓮君ともよく話してくださいね。パートナーなんですから、立花さんも気を遣いすぎないようにしてください。」
今回、発情期に入ればほぼ確実に番になれる...のか。どうせなら、なんかぱぁ~っとやりたいな。ここ最近の蓮君は試験勉強でやつれてきてる気がするし...今は家にも週二で来れたらいい方だしな。本当に無理はしないでほしいんだけどね。
そんなことを考えながら歩いていたら、ある広告が目に留まった。
”あなたの大事なパートナーに、あなただけの特別な指輪を”
「指輪......」
番になれば、ほぼ必然的に夫夫になる。そのとき指輪はかかせないものだろう。それにどうせ渡すなら形に残るものがいいし、蓮君を喜ばせるためにも指輪は...いいかもしれない。
”この先も一緒にいよう”って、ちゃんと伝えられるように。
確か、婚約指輪と結婚指輪は分ける!みたいな考えもあるんだったよな。よし決めた。蓮君の試験が終わる最終日にサプライズで婚約指輪を渡そう!そうと決まれば、まずはジュエリーショップに行かなければ!
ーーと意気込んで行ってみたはいいものの...
まず蓮君の指のサイズがさっぱり分からなかった。店員さんに「何号の指輪お探しですか?」と聞かれたときは「号??」と頭が真っ白になった。
金額はまぁ、頑張れば出せる範囲だったけど、どれがいいとか誕生日石とか、カラット数とか考えるべきものが多すぎて、一旦持ち帰ることにした。
うーん。衝動的に動くのは良くないな...心の中で反省会を開いた。ジュエリーショップの帰りにスーパーに寄って、夜の食材を買い終えて、家に向かっているとスマホがブーブーと鳴っていることに気が付いた。
「ーーもしもし??」
「あ!もしもし?母さん??あれ届いたよ。ありがとう。」
「本当?良かった。瑠夏も実習頑張ったね、お疲れ様。」
「ありがとう。母さんのおかげで元気出たよ」
「あ、ねぇ。今から瑠夏の家行ってもいい??」
「別にいいけど、なんかあった??...いや母さん来てから話聞くね。じゃあ待ってる」
「了解。じゃあ切るね、またあとで」
ぷつっと電話を切る。瑠夏あの言い方だと、俺と蓮君が喧嘩か何かしたと思ってそうだな。今日は蓮君が家にいつも来ない曜日だし、いつも「家にいない」「出かけてる」とか連絡もしてないからいっか。
俺は、夕飯を買い込んだ荷物を持ったまま瑠夏の家に向かった。
インターホンを押すと、瑠夏の気怠そうな声が聞こえてきた。
「は~い?」
「瑠夏、来たよ。」
扉の奥からバタバタと足音が聞こえる。玄関の扉がガチャリと開くと、瑠夏が笑顔で迎えてくれた。
「母さん、久しぶり。元気そうでよかったよ、入って。」
「瑠夏もやつれてなくてよかった。実習はもうないんだっけ?」
「なんとかね.......でも試験はあるし、今も患者さんを持ってるから緊張してるよ...」
「そっかぁ瑠夏も大変だね。あんまり無理しすぎないようにね??」
「母さんの方こそデザイナーの仕事、徹夜でやらないようにね?」
うぅ...と内心ダメージを受けた。今は受け入れ数を減らしているがつい先日まで、蓮君の両親の企業ホームページの新規デザインを作成していたところだった。
「んで、蓮と喧嘩でもした?荷物もそんなに持ってきてさ。もしかして家出??」
「ん?あぁ違うよ。これは夕飯の買い物してた帰り道で、そのまま瑠夏の家に来たからさ。特に喧嘩はしてないよ」
まぁたまーに本気で、それやめて?と思う時はあるが、今はなんとかやれている。特にエッチの時だけど。
「ふ~ん、そっか。それならいいんだけど。で、それ以外に相談があるってこと??」
「うん。それがさ、蓮君に婚約指輪買おうと思ってて......でも俺、そういうの分かんないから瑠夏に色々聞こうかなって」
「え!いいじゃん!!あいつ絶対喜ぶと思うよ。任せて!びっくりさせてやろうよ」
「でも、失敗とかしないかな......」
「平気だって。母さんのやることすること全部に、喜ぶよ蓮は。そういうやつって母さんも何となく分かるでしょ?」
「言われてみればそうだね。余計なことは考えないようにするよ。」
「その調子。じゃあ俺の勉強の息抜きも兼ねて、早速作戦会議といきますか!」
この日は、瑠夏の家に泊まって二人で一緒にどうやってサプライズをするか計画を練った。
瑠夏も久しぶりに「母さんの料理食べれて嬉しい」って喜んでくれたから俺も嬉しかった。
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