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指輪02
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瑠夏からの助言をもらって、なんとか計画を立てることはできた。あとは蓮君の薬指のサイズを測るだけ......なんだけど、こういう肝心な時に限って蓮君とは予定が合わなかった。
俺から「今日来れそう?」なんていった日には重い足を引きずってでも来そうだしな......。かといって、蓮君からの連絡を待ってたらあっという間に実習が終わってしまう。
ーーう~んどうしたものか。と俺は頭を悩ませていた。
「はぁ.......あと二週間か。」
まだ発情期の兆候がないことが不幸中の幸いだが、脳裏にずっと指輪のことがちらついてしまい、仕事もまともに手が付けられなかった。
うだうだしててもしょうがない...週末蓮君の家に行ってみるか......。俺は既読になるかも分からなかったが、一応蓮君に「週末、蓮君の家行くね。」と連絡しておいた。
「蓮君、ちゃんとご飯食べてるかなぁ。心配だな。」
ーーそんなこんなで週末はすぐにやってきてしまった。俺は予定通り蓮君の家に向かった。そしてご飯をちゃんと食べているのか心配だったので、お節介を承知でタッパーに日持ちの効く料理を詰めて持っていくことにしたのだった。
ちなみに合い鍵は持っているので、蓮君の家には簡単にお邪魔することができた。
指のサイズは寝てる間にモールかなんかで、くるって測ればいいんだよな。ーー器用にうまくやれるだろうか。
結局、蓮君から返信が来ることはなく今日を迎えてしまったので、勝手に来て迷惑じゃなかったかな、と少し不安に思った。
扉に手を掛けると、鍵はかかっていなかった。不用心だなと思いつつ部屋の中に入った。玄関には蓮君がいつも履いている靴があったので、どうやら部屋にはいるらしい。
だけど、部屋の中はカーテンが閉められていて、どこも薄暗く明かりは点いていなかった。抜き足差し足でそーっとリビングに行くと、ソファーでぐっすり眠っている蓮君の姿があった。
ソファー前のテーブルには、蓮君が分かりやすくまとめたであろうノートが広げられていた。教科書も乱雑に置かれ、人体の構造と機能やら薬の効能、種類など見るからに難しそうな内容ばかりだった。
なにがなんだかさっぱり分からなかったが、見ているだけでも頭が痛くなりそうだった。
俺はそのままキッチンに向かい冷蔵庫をそーっと開けてタッパーを入れて置いた。
「やっぱり疲れちゃってるよな。お疲れ、蓮君。」
俺はそっと蓮君に話しかけた。まぁ当然、返事がくることはなかったけど。
よし、早速指のサイズを測らせてもらおう。起こさないように静かに蓮君の薬指に緩くモールを巻き付ける。
ただ、指のサイズを測っているだけなのに蓮君が寝ているせいで、なんだかいけないことをしているような気分になった。
妙な緊張感が走り、手にはじんわりと汗が滲み背中には冷や汗が伝った。
「うん、これなら大丈夫そう。」
ほんとは蓮君と話したかったけど今は貴重な睡眠時間だろうし、起こさずにこのまま部屋を出るのが最善だろうな...。
あぁでも、普段着てなさそうな蓮君の服は何着か持って帰らせてもらおうかな。ちょっと寂しいしこれくらい、いいよね。俺は机の上に軽くメモを残して、蓮君の家を出た。
やっと指のサイズも測れたし早速買いに行くか。ふふ、蓮君喜んでくれると嬉しいな。どのデザインが似合うかな、どんな形を選ぼうかな。考えただけで心が跳ねた。
そんな期待を、胸に抱きながらジュエリーショップの中に入った。
***
「うぅ~んっ...!?葵...さん?」
やば、寝落ちしてたのか俺......。でもなんで葵さんの匂いがするんだろう。俺の幻覚か??最近会ってなさ過ぎだったし、限界だから俺の身体が幻でも見せているのだろうか。
「喉乾いた...水でも飲むか。」
ソファーで寝てしまったせいで体はバキバキだった。伸びをしただけで、背骨がポキポキと音を鳴らした。水を飲みながらテーブルに座ると、見覚えのないメモが一枚、ぽつんと置かれていた。
「ん??あっ、この字......葵さんのだ」
メモに書いてあった内容はこうだった。
「蓮君お疲れ様。勝手に家入っちゃってごめんね。ぐっすり寝てたから起こすの申し訳なくてやめちゃった。無理はしないでね。試験終わったら会いたいです。あと冷蔵庫の中に日持ちの効く料理をタッパーに詰めて入れてあります。服も何着か借りるね。」
メモ書きの最後には”蓮君ファイト!”と言っているクマか犬か分からないイラストが添えられていた。
「はぁ?葵さん可愛すぎんだろ。」
はい、このメモは保存決定。捨てるなんてもったいない。俺はクリアファイルを取り出して、その中に丁寧に挟み込んだ。
冷蔵庫を開けると確かにタッパーが三つ入っていて、どれも俺の好きな料理だった。
「はぁぁぁぁ~。てか葵さん来たなら起きろよな......なにしてんだよ俺ぇ。」
いくら疲れていたとはいえ、葵さんが来たことに気付けなかった自分に少しげんなりした。
でも葵さんが来てくれたという事実だけで頑張れそうだった。服を「寂しくて持ってく」なんて...あぁ可愛すぎる。早く抱きた......じゃなかった、会いたいな。
どうせなら服じゃなくて本体を持っていって欲しかったですよ、と心の中で吐露した。
俺から「今日来れそう?」なんていった日には重い足を引きずってでも来そうだしな......。かといって、蓮君からの連絡を待ってたらあっという間に実習が終わってしまう。
ーーう~んどうしたものか。と俺は頭を悩ませていた。
「はぁ.......あと二週間か。」
まだ発情期の兆候がないことが不幸中の幸いだが、脳裏にずっと指輪のことがちらついてしまい、仕事もまともに手が付けられなかった。
うだうだしててもしょうがない...週末蓮君の家に行ってみるか......。俺は既読になるかも分からなかったが、一応蓮君に「週末、蓮君の家行くね。」と連絡しておいた。
「蓮君、ちゃんとご飯食べてるかなぁ。心配だな。」
ーーそんなこんなで週末はすぐにやってきてしまった。俺は予定通り蓮君の家に向かった。そしてご飯をちゃんと食べているのか心配だったので、お節介を承知でタッパーに日持ちの効く料理を詰めて持っていくことにしたのだった。
ちなみに合い鍵は持っているので、蓮君の家には簡単にお邪魔することができた。
指のサイズは寝てる間にモールかなんかで、くるって測ればいいんだよな。ーー器用にうまくやれるだろうか。
結局、蓮君から返信が来ることはなく今日を迎えてしまったので、勝手に来て迷惑じゃなかったかな、と少し不安に思った。
扉に手を掛けると、鍵はかかっていなかった。不用心だなと思いつつ部屋の中に入った。玄関には蓮君がいつも履いている靴があったので、どうやら部屋にはいるらしい。
だけど、部屋の中はカーテンが閉められていて、どこも薄暗く明かりは点いていなかった。抜き足差し足でそーっとリビングに行くと、ソファーでぐっすり眠っている蓮君の姿があった。
ソファー前のテーブルには、蓮君が分かりやすくまとめたであろうノートが広げられていた。教科書も乱雑に置かれ、人体の構造と機能やら薬の効能、種類など見るからに難しそうな内容ばかりだった。
なにがなんだかさっぱり分からなかったが、見ているだけでも頭が痛くなりそうだった。
俺はそのままキッチンに向かい冷蔵庫をそーっと開けてタッパーを入れて置いた。
「やっぱり疲れちゃってるよな。お疲れ、蓮君。」
俺はそっと蓮君に話しかけた。まぁ当然、返事がくることはなかったけど。
よし、早速指のサイズを測らせてもらおう。起こさないように静かに蓮君の薬指に緩くモールを巻き付ける。
ただ、指のサイズを測っているだけなのに蓮君が寝ているせいで、なんだかいけないことをしているような気分になった。
妙な緊張感が走り、手にはじんわりと汗が滲み背中には冷や汗が伝った。
「うん、これなら大丈夫そう。」
ほんとは蓮君と話したかったけど今は貴重な睡眠時間だろうし、起こさずにこのまま部屋を出るのが最善だろうな...。
あぁでも、普段着てなさそうな蓮君の服は何着か持って帰らせてもらおうかな。ちょっと寂しいしこれくらい、いいよね。俺は机の上に軽くメモを残して、蓮君の家を出た。
やっと指のサイズも測れたし早速買いに行くか。ふふ、蓮君喜んでくれると嬉しいな。どのデザインが似合うかな、どんな形を選ぼうかな。考えただけで心が跳ねた。
そんな期待を、胸に抱きながらジュエリーショップの中に入った。
***
「うぅ~んっ...!?葵...さん?」
やば、寝落ちしてたのか俺......。でもなんで葵さんの匂いがするんだろう。俺の幻覚か??最近会ってなさ過ぎだったし、限界だから俺の身体が幻でも見せているのだろうか。
「喉乾いた...水でも飲むか。」
ソファーで寝てしまったせいで体はバキバキだった。伸びをしただけで、背骨がポキポキと音を鳴らした。水を飲みながらテーブルに座ると、見覚えのないメモが一枚、ぽつんと置かれていた。
「ん??あっ、この字......葵さんのだ」
メモに書いてあった内容はこうだった。
「蓮君お疲れ様。勝手に家入っちゃってごめんね。ぐっすり寝てたから起こすの申し訳なくてやめちゃった。無理はしないでね。試験終わったら会いたいです。あと冷蔵庫の中に日持ちの効く料理をタッパーに詰めて入れてあります。服も何着か借りるね。」
メモ書きの最後には”蓮君ファイト!”と言っているクマか犬か分からないイラストが添えられていた。
「はぁ?葵さん可愛すぎんだろ。」
はい、このメモは保存決定。捨てるなんてもったいない。俺はクリアファイルを取り出して、その中に丁寧に挟み込んだ。
冷蔵庫を開けると確かにタッパーが三つ入っていて、どれも俺の好きな料理だった。
「はぁぁぁぁ~。てか葵さん来たなら起きろよな......なにしてんだよ俺ぇ。」
いくら疲れていたとはいえ、葵さんが来たことに気付けなかった自分に少しげんなりした。
でも葵さんが来てくれたという事実だけで頑張れそうだった。服を「寂しくて持ってく」なんて...あぁ可愛すぎる。早く抱きた......じゃなかった、会いたいな。
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