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食事会02
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「確認なのだけれど、葵君はお酒飲める人かしら??」
「はい!飲めますよ!」
「あら!良かったわ。ここの日本酒が美味しくてね?おすすめしたかったのよ~」
「そうだったんですか。是非いただきます!」
さてと、俺と麗華さんはいい感じの雰囲気を作れたけど、蓮君と慎一郎さんの空気はちょっと重いなぁ...。
「......久しぶりだな、蓮」
「......親父こそ元気そうだね。」
あっ...これだけで会話が一段落してしまった。そういえば瑠夏になんか教えてもらったんだよな。なんだっけ。
ーーあぁ思い出した。確かランチョンテクニック?とか言ったやつ。ご飯を食べながら話をすると、自然と会話が進みやすくなるよって言われた気がする。
「蓮君のお父様は普段どのようなお仕事されているのですか?」
「あぁ、私は外資系の企業で代表取締役をしていてねーー」
そんなこんなで話をしているうちに、前菜と飲み物が到着した。蓮君と慎一郎さんは車の運転があるので、ウーロン茶を頼んでいた。
俺は早速日本酒を口に入れる。「甘い......」とつい声が出てしまうほど飲みやすかった。
「そうでしょう??うふふ。お昼から取引先の会食以外で、誰かと一緒にお酒を飲めるなんてこんなに嬉しいことはないわ。」
麗華さんがあまりに幸せそうな笑顔で言ってきたものだから、俺は気分が良くなってしまい、一気にお酒をぐびっと煽ってしまった。
「!?葵さん!!そんなに一気に飲んだら......」
「大丈夫だよ、心配しないで。こんくらいじゃ酔わないからさ。」
「母さんも葵さんに飲ませすぎないようにね?」
「分かってるわよ~。葵君、まだまだあるからたくさん飲んで頂戴ね。」
「もう...言った傍から飲ませようとしてるし...。」
コース料理の前菜として運ばれてきたのは、季節の野菜をふんだんに使った一皿だった。
目にも鮮やかな彩りに、思わず息をのむ。盛りつけの美しさに見とれているうちに、食欲が自然と湧いてきた。
続いて供されたのは、澄んだ出汁の香りが立ちのぼるお吸い物。さらに、新鮮な魚のお造り、揚げたての天ぷら、そして旬の焼き魚を使った一品料理が、丁寧な間合いで運ばれてくる。
「わぁ...美味しそう」
料理はどれも鮮度が良く、俺がもう二度と食べることはないんじゃないかと思うぐらい絶品だった。天ぷらは驚くほど衣が軽く油のくどさはさほど感じられない、焼き魚に至っては、口の中に入れると舌の上で解けるように溶けていく。
「ふふっ、葵さん、美味しい??」
「うふふ。こんなに幸せそうな顔をして食べてくれるなんて、一緒に来れてよかったわ。ね?あなた」
「そうだな。遠慮せず食べてくれ」
「はい、ありがとうございます......」
そんな風に見られていたなんて......と少し恥ずかしくなってしまい、お酒をまたちびちびと飲み始める。ちなみにこれで三杯目だ。
はっ!!しまった!つい料理に夢中で肝心なことを忘れていた。今日は蓮君と蓮君のお父さんの蟠りを無くすために来たんじゃないか。
「蓮君、お父さんに言うことあるんじゃないの??」
「えっ......!?」
やばい!お酒のせいで頭が回っていないせいか、とんでもないキラーパスになってしまった。あぁ~ほら、蓮君困った顔になっちゃった。
「...そうなのか、蓮。」
「あー、まぁ...うん、あるよ。」
「......そうか。聞かせてくれ。」
蓮君は驚いたように、目を一瞬丸くした。それもそうだ。蓮君から聞いた話だと、お父さんは話を聞かない頑固親父ってイメージだったから、こうもいきなり素直になられるとびっくりもするよね。
蓮君は改めて視線を慎一郎さんに向けていた。その目には揺るぎない意志を宿しながら真っ直ぐに自分の父親を見据えていた。
「俺、親父のことは心から尊敬してる。海外の事業ってそう簡単にできるもんじゃないし、今だって忙しいのに俺たちのためにこうやって時間作って会いに来てくれて、嬉しい...と思う。」
「親父は覚えてるか分かんないけど、俺が中学上がる前、親父の後を継ぐんじゃなくて別のことをしたいって言ったことがあったんだ。」
「このときは、ただ親父に反抗したいって気持ちがあっただけかもしれない。だけど今は、やりたいことがちゃんと見つかったんだ。」
「高校卒業したときも言ったけど、医者を目指してるんだ。もうそろそろ国家試験もあるから、今はそれに向けて頑張ってる。だから俺は海外にも行かないし後も継がない。ごめん。」
蓮君...頑張ったね......。俺はテーブルの下で、するっと蓮君の手を握った。すると蓮君も優しくきゅっと握り返してくれた。やっぱり緊張していたのか蓮君の手が微かに震えているのが伝わってきた。
慎一郎さんの反応は......。恐る恐る顔を見ると
「ふっ、そうだったのか。」
と小さく呟いた後、ふっと笑みを浮かべていた。
「はい!飲めますよ!」
「あら!良かったわ。ここの日本酒が美味しくてね?おすすめしたかったのよ~」
「そうだったんですか。是非いただきます!」
さてと、俺と麗華さんはいい感じの雰囲気を作れたけど、蓮君と慎一郎さんの空気はちょっと重いなぁ...。
「......久しぶりだな、蓮」
「......親父こそ元気そうだね。」
あっ...これだけで会話が一段落してしまった。そういえば瑠夏になんか教えてもらったんだよな。なんだっけ。
ーーあぁ思い出した。確かランチョンテクニック?とか言ったやつ。ご飯を食べながら話をすると、自然と会話が進みやすくなるよって言われた気がする。
「蓮君のお父様は普段どのようなお仕事されているのですか?」
「あぁ、私は外資系の企業で代表取締役をしていてねーー」
そんなこんなで話をしているうちに、前菜と飲み物が到着した。蓮君と慎一郎さんは車の運転があるので、ウーロン茶を頼んでいた。
俺は早速日本酒を口に入れる。「甘い......」とつい声が出てしまうほど飲みやすかった。
「そうでしょう??うふふ。お昼から取引先の会食以外で、誰かと一緒にお酒を飲めるなんてこんなに嬉しいことはないわ。」
麗華さんがあまりに幸せそうな笑顔で言ってきたものだから、俺は気分が良くなってしまい、一気にお酒をぐびっと煽ってしまった。
「!?葵さん!!そんなに一気に飲んだら......」
「大丈夫だよ、心配しないで。こんくらいじゃ酔わないからさ。」
「母さんも葵さんに飲ませすぎないようにね?」
「分かってるわよ~。葵君、まだまだあるからたくさん飲んで頂戴ね。」
「もう...言った傍から飲ませようとしてるし...。」
コース料理の前菜として運ばれてきたのは、季節の野菜をふんだんに使った一皿だった。
目にも鮮やかな彩りに、思わず息をのむ。盛りつけの美しさに見とれているうちに、食欲が自然と湧いてきた。
続いて供されたのは、澄んだ出汁の香りが立ちのぼるお吸い物。さらに、新鮮な魚のお造り、揚げたての天ぷら、そして旬の焼き魚を使った一品料理が、丁寧な間合いで運ばれてくる。
「わぁ...美味しそう」
料理はどれも鮮度が良く、俺がもう二度と食べることはないんじゃないかと思うぐらい絶品だった。天ぷらは驚くほど衣が軽く油のくどさはさほど感じられない、焼き魚に至っては、口の中に入れると舌の上で解けるように溶けていく。
「ふふっ、葵さん、美味しい??」
「うふふ。こんなに幸せそうな顔をして食べてくれるなんて、一緒に来れてよかったわ。ね?あなた」
「そうだな。遠慮せず食べてくれ」
「はい、ありがとうございます......」
そんな風に見られていたなんて......と少し恥ずかしくなってしまい、お酒をまたちびちびと飲み始める。ちなみにこれで三杯目だ。
はっ!!しまった!つい料理に夢中で肝心なことを忘れていた。今日は蓮君と蓮君のお父さんの蟠りを無くすために来たんじゃないか。
「蓮君、お父さんに言うことあるんじゃないの??」
「えっ......!?」
やばい!お酒のせいで頭が回っていないせいか、とんでもないキラーパスになってしまった。あぁ~ほら、蓮君困った顔になっちゃった。
「...そうなのか、蓮。」
「あー、まぁ...うん、あるよ。」
「......そうか。聞かせてくれ。」
蓮君は驚いたように、目を一瞬丸くした。それもそうだ。蓮君から聞いた話だと、お父さんは話を聞かない頑固親父ってイメージだったから、こうもいきなり素直になられるとびっくりもするよね。
蓮君は改めて視線を慎一郎さんに向けていた。その目には揺るぎない意志を宿しながら真っ直ぐに自分の父親を見据えていた。
「俺、親父のことは心から尊敬してる。海外の事業ってそう簡単にできるもんじゃないし、今だって忙しいのに俺たちのためにこうやって時間作って会いに来てくれて、嬉しい...と思う。」
「親父は覚えてるか分かんないけど、俺が中学上がる前、親父の後を継ぐんじゃなくて別のことをしたいって言ったことがあったんだ。」
「このときは、ただ親父に反抗したいって気持ちがあっただけかもしれない。だけど今は、やりたいことがちゃんと見つかったんだ。」
「高校卒業したときも言ったけど、医者を目指してるんだ。もうそろそろ国家試験もあるから、今はそれに向けて頑張ってる。だから俺は海外にも行かないし後も継がない。ごめん。」
蓮君...頑張ったね......。俺はテーブルの下で、するっと蓮君の手を握った。すると蓮君も優しくきゅっと握り返してくれた。やっぱり緊張していたのか蓮君の手が微かに震えているのが伝わってきた。
慎一郎さんの反応は......。恐る恐る顔を見ると
「ふっ、そうだったのか。」
と小さく呟いた後、ふっと笑みを浮かべていた。
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