神を越えたその先へ

blaster

文字の大きさ
6 / 38
1章

別れ

しおりを挟む
「グォォォォォォォォォォォォォ────ッ!!」

クソッ!鑑定スキルが無いからコイツのステータスが見えない!

「ヒッ!れ、蓮くん。早く逃げよう!」
「だ、ダメだ!出口がない!」
細井が叫んだ。
「仕方ない、戦うわよ!前衛はコイツを囲んで交互に攻撃を当てて!後衛は魔法で前衛を回復しながら余裕があったら攻撃して!前衛も後衛も間違っても味方に当てないように!」

宵波さんが早口で指示した。

「わかった!」
「行くぞ!」
「グァァァァァァァァァァァァァァ!」

  そのとき、今まで律儀に待っていた(おそらく様子をうかがっていた)怪物が叫び、突進してきた。

「「「うわぁぁぁぁっ!」」」
「「「きゃぁぁぁぁっ!」」」

  怪物の爪がクラスメイト達を吹き飛ばす!
今ので前衛の殆んどがやられた。勝機はないな。

「な、なぁ早見。」
俺は嫌な予感を感じながらも答えた。
「何だ?」
結果、その予感は的中した。
「ちょっと死んでくれよ!」

  ドンッ!と俺を怪物に向かって突き飛ばした。
それを見た怪物は俺に向かって爪を振るう。

「蓮くん!」「蓮君!」
  相原さんと宵波さんが同時に叫んだ。
、、、しょうがない隠したかったけどそうは言ってられないな。

「ベクトル操作」
  ガギィ───ン!
  凄まじい音と共に怪物の巨体が反対に吹き飛び、壁にぶつかって動かなくなった。

  今したことは簡単だ。怪物の突進と爪を振るう向きを全て反対にし、その速さを増大させただけだ。
某アニメでは凄まじい量の計算が必要らしいが、その必要もないらしい。俺はただ思うだけ。
ただのチートスキルだな。

宵波さんが呆然と呟く
「なに?、、、今の?」

まぁ普通はそんな反応だな。宵波さんの後ろで目をキラキラさせてる相原さんが変なのだろう。
と、いきなり細井が怒鳴ってきた。

「おい早見!何だよ今の!?」
「言ったろ?ベクトル操作だよ。」
「能力を隠していたのか!?狡いぞ!」
「聞かれなかったから答えなかっただけだ。まあ、聞かれても答えたかはわからないが。」
「ふざけるな!」

余程俺が細井より強いのが許せないらしい。
一々問答するのも面倒だな。よし、

「概念操作『この場にいる俺以外の人間は全員眠る』。」
「!?クソ、体が!?、、、早見ぃ、、、。」
「早見くん!?何を、、、。」
「うっ、眠くなって、、、。」

  ごめんな、相原さん、宵波さん。

「さて、先ずはコイツの処理だな。」

俺は未だ倒れている怪物を見る。
先ずは、、、

「『ステータス略奪』」

『ステータス略奪』とは、死んでいる相手にのみ使える能力だ。使うと、相手のステータスの数値をそのまま自分のステータスに加算する。中々にチートだな。


──ゴゴゴゴゴ──


と、壁の一部が開いた。どういう仕組みなんだ?
そろそろ相原さんと宵波さんだけでも起こさないとな。こうしてみてみると、クラスの約半分が転移してきたんだな。残りはどうしたんだろう?まぁ、アイザーさんがいるから大丈夫だろう。

「概念操作『相原 香奈と宵波 涼乃のみ身が覚める』。」

毎回これ言うの恥ずかしいな、何とかしないと。
あ、目を覚ました。

「おはよう。二人とm「「蓮くん!」、、、元気だな。」」
「なんで一人で戦ったの!?死ぬかも知れないんだよ!?」
「わたし、命を最優先にと言ったはずなのだけれど?」
「ご、ごめん。あれしか最善が思い付かなかったから、、、。」
「「言い訳は要りません!」」
「ハ、ハイ。」
「「はぁ~~~」」

そのあと、俺は2人の少女にしばらく説教された。

ここ、迷宮内なんだけど?


「取り敢えず、コイツらの記憶を変えるな。」
「え?何で?」
「俺は王国を出ていくつもりだからだ。」
「えっ!?何で!?」
「ここにいても地球に帰れる気がしないからだ。俺は俺なりの方法で帰れる手段を捜す。」
「そう。行ってしまうのね。」
「そう悲観的になるな。悲しんでくれるのは嬉しいが、女の子にそんな風に思わせてまで行こうとは思わない。だから俺がいない間、これを持っておけ。」
「これは?」
「通信用の魔導具だ。俺が作った。」
「こんなものをいつの間に、、、。」
「それについては気にするな。」
「ピンチになったら俺を思い浮かべて魔力を込めろ。」
「ていうか、早見君キャラ変わってない?」
「これが素だ。」
「そ、そう(こっちの方が格好いいわね、、、)。」
「何か言ったか?」
「な、何でもないわよ!」
「そ、そうか(まあ、聞こえているんだが)。」
「何か言った!?」
「い、いや?」
「もう!涼乃ちゃん!」

あ、相原さんを放置していた。

「ま、まあ、そんなこんなで行ってくる。」
「はぁ。止めたって行くんだよね?」
「ああ。もう決めたことだ。」
「「わかった(わ)。行ってらっしゃい。たまには戻ってきて(ね)」」
「おう。じゃあな。あ、そうだ。俺はあの怪物に殺された事にしておいてくれ。」
「了解したわ。」

そう言って俺は転移して迷宮から脱出した。



  ___________________
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


  感想お待ちしております。じゃんじゃんください。それが私の原動力です。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

二度目の勇者は救わない

銀猫
ファンタジー
 異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。  しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。  それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。  復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?  昔なろうで投稿していたものになります。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...