神を越えたその先へ

blaster

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1章

奴隷

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「えっと、最初はどこに行くの?」
「ああ、奴隷商に行こうと思っているんだが、、、。待て、そんな軽蔑した目で俺を見るな。」
「だって、奴隷ですよ?私が貴族だからって、奴隷とあんなことやこんなことを──」
「ストォーップ!少し待とうか。なに?奴隷ってそんな目的でしか買われないの?」
「はい、基本的には。だからレンはサイテーです!」
「違う!違うから!俺は奴隷にそういうことをさせる気はない!戦闘が出来る仲間が欲しかっただけだ!」
「ホントに?」
「ホントに!」
「わかったわ。じゃあ行きましょうか。」

  切り替え早すぎだろ、、、。

「アクアはここで待っててくれ。」
「何で?」
「お前、あまり奴隷に慣れてないだろ。」
「ギクッ。」

  いや、現実でギクッて言うやつ始めてみたわ。

「無理すんな。俺が奴隷を買うと言ったときもあからさまに嫌そうな顔してたからな。」
「はぁ。そうね、そうするわ。」
「ああ。」

──ガチャ──

「ぃらっしゃぃませぇ~。本日はどの奴隷をお買い求めで?」
「戦闘が出来る奴隷が欲しいが、他のも見たい。案内してくれ。」
「かしこまりました~。こちらぇどうぞぉ~。」

  不愉快なしゃべり方な店員についていくと、アニメでよく見るような檻が沢山ある部屋に出た。

「こちらが戦闘可能な奴隷となっております。」

  鑑定スキルが無いから不便だな、、、。

【スキル『万物鑑定』を獲得しました。】

  マジか、、、。イージーモードだな、異世界。
その後、色々見たが、結局良いものは見つからなかった。

「なあ、あそこにある天幕の中にも奴隷はいるのか?」
「はい、います。ただ、欠損が激しい者や、感染症にかかった者たちしかいません。正直お勧めはしませんよ。」
「わかった。見せてくれ。」
「わかりました。」

そこに入ったとたん、凄まじい臭いが鼻をついた。

「っ、これは、、、。」

ひどいな、、、。どいつもこいつも死んだ目をしている。物理的な傷だけなら治せるが、心の傷は俺では治せない。せいぜい忘れさせるくらいだ。
  目に入る全員を鑑定していたら、興味深いヤツがいた。
  金髪碧眼の美少女。そして、注目ポイントは耳。長く、とがっているのだ。
  ___________________

  名前:なし

  Lv.24

  性別:女

  種族:ハイエルフ

  職業:犯罪奴隷

  ステータス
 STR  200
 VIT  100
 AGI  300
 INT  1,000
 DEX  500
 LUK  300

  魔法
 全属性適正  転移魔法  風上級魔法

  スキル
 剣術Lv.Ⅹ  不屈Lv.Ⅹ

  固有能力
 思考加速  下剋上

   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  へぇ、  悪くないステータスだ。勇者たちより強いんじゃないか?賢さが初期の俺と同等だ。それと、名前が無い?どう言うことだ?

「なあ。お前、俺に買われる気はないか?」
「、、、断る。お前の玩具になるつもりはない。」

  ふむ、生きることを諦めてはいない、と。そして簡単に他人を信用しないというところも高得点だ。加えて戦闘も出来る。体の傷は再生魔法で治せば良いから、買わない理由は無いな。

「店員、これを買わせてもらう。」
「かしこまりました。」

~10分後~

「お待たせ。」
「もう、遅いよ~。」

  随分待たせてしまったようだ。

「悪い悪い。で、コイツが俺が買った奴隷だ。」「ふーん、女の子を買ってきたんだ。」
「何だよ、その目、、、。」
「何でもないです!早く行きましょう!」

  なぜ敬語なんだ、、、。


 ~森の中で~

「なあ。」
「なに。」
「お前は何で奴隷になった?」
「、、、裏切られた。」
「裏切られた?誰に?」
「里のみんな。」
「固有能力のせいか?」

  ハイエルフの少女は頷く。

「『下剋上』ってのはどんな効果なんだ?」
「わからない。わからないからみんなは私の裏切りを恐れて、私を裏切った。私は裏切るつもりなんて無かったのに、、、。」

  先に裏切っちまえばこっちは安全だってか。虫酸が走るな、この世界のエルフには。いや、全てのエルフがそうだとは限らないが。

「わかった。ところで、お前の名前は無いのか?」
「無い。お母さんは私を生んですぐ死んだ。お父さんはもう死んでた。」

  それも疎まれ続けた原因の1つか。

「じゃあ、お前の名前はティアだ。」

 お前が悲しいとき、心から泣けるように。

「わかった。私はティア。これからそう名乗る」
「ああ。それで、お前はどうしたいんだ?」
「どうしようもない。奴隷として買われた以上逆らえない。それに、もえ里なんてどうでも良い。」
「お前の考えはわかった。これからのことについて幾つか言っておく。
まず、俺はお前を欲求の処理のために使うことは無い。」

  ティアが目を少し見開いた。そんなに俺に遊ばれると思ってたんかい。

「次に、裏切りたければ裏切れ。俺が気に入らなかったら殺しに来ても良い。ただし、もし裏切ったら奴隷だ奴隷じゃない関係無く殺す。それが嫌だったら言葉を使え。明確な理由と共に出す要求なら真面目に検討する。わかったか?」
「わ、わかった。」
「へー、レンって結構優しいんだね。」
「まあ、これくらいはな。俺のもとにいる限り人権は保証したい。」
「ふーん。で、これからどこ行くの?」
「4代迷宮というものに挑戦したい。攻略すると色々なものがもらえるらしいしな。」

「何が欲しいの?」
「とある知識が欲しい。」

  世界を越える、俺の故郷に帰るための知識、そして技術を、な。

「だったらまずはホルン公国だね。ここから東の方向だよ。」
「わかった。じゃあ行こうか。迷宮につくまでの間に強くなってもらうからな。」
「わかった。強くなる。」
「わ、私も!?」
「当然だ。じゃないと迷宮攻略にお前だけ置いてくぞ。」
「うっ。それは、困る、、、。」
「じゃあ、行くぞ。」
「「うん!」」


  ___________________
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  これで一章が終わりです。短くてすみません。
これからは迷宮1つごとに一章とします。場合によっては直ぐに章が終わるかも、、、。頑張ります。
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