神を越えたその先へ

blaster

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3章 学園生活

襲撃→撃退 2

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お久しぶりです。いや、そうでもない?
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~ティアside~

「……弱いですね。迷宮の魔物に比べると質が格段に落ちます。」

 そう言いながらティアは着実に敵を屠っていく。


――1分後――

「ふう、こんなものですか。これなら私たちがいなくても大丈夫だったのでは?」

 そううそぶいた瞬間、

「っ、誰ですか!?」

 ティアですら感知するのがギリギリの反応を感じ取り、振り返って叫んだ。
すると、森の中から1人の男が出てきた。

「やあ!こんにちは!」

 男は軽いノリで挨拶してきた。

「……」
「あれ?結構冷たいなあ……」
「何の目的でここにいるのですか?そしてあなたは何ですか?」

 ティアは先ほど、具体的には気配を察知したときから気になっていたことを聞いてみた。

「なんでそんなことを聞くのかな?」
「あなたから異質な雰囲気を感じるからです。」
「へえ、そんなのもわかるんだ、すごいね。まあ、お察しの通り僕は人間でもなければ亜人族でもない、魔人族さ!」
「やはりそうですか……話に聞いたことはありましたが、実際に見たことはありませんでしたので。」
「そうなんだね!新しいことを知れてよかったじゃないか、でももう君は死ぬんだけど。」

 魔人の体から魔力が溢れ出した。

「……やりますか?」
「冗談!さっきの君の戦いを見てたけど、さすがに僕がやったら死んじゃうよ!だから……」

 男の体から出る魔力が更に大きくなり、魔人とティアの間に大きな魔方陣が出現した。
警戒するティアを尻目に、魔人は詠唱した。

「我が名、ゲイルにおいて命ずる!異界の闇に住みし邪悪なる住人よ!我の力となりて現出せよ!求めるは汝の力!払うはハイエルフの魂!求めるは敵の虐殺!さあ、出でよ!」

 瞬間、魔法陣が眩い光を放ち、ティアの視界を塗りつぶした。
視界が戻ると……

『我を呼んだのは……お前か……?』

 5メートル規模の角が生えた巨大な悪魔がそこにいた。

「そうだよ、できれば力になってくれないかな!?」
『……いいだろう。それで、ハイエルフはあの小娘でいいのか?』
「うん!僕の任務はあの子の殺害だから別に生かしておく必要はないから、君の好きにして良いよ。」
「そうか、了解した。お前ら魔人族には借りがあるからな、この程度なら構わない。」

 ティアは、自分が舐められていることに若干イラっとしたが、難しい状況に少し焦っていた。

「少し、厳しいですね。どうしましょうか……」
「何を言ってるんだい?君は死ぬんだ。この悪魔の手によって。」
「それはあり得ません。私は主様に仕えなければならないので。」
「ああ、レンだっけ?もう死ぬと思うよ、その人。」
「どういうことです?」
「もちろんそのレン君にも殺害任務が出てるんだけど、彼は異常だ。だから、魔族の中で最強の4人が向かっていったよ。」
「そうですか、それは良かったです。」

 ゲイルというらしい魔人は、ティアの答えに首をかしげる。

「良かった?なんで?」
「それは……」

 ティアはニコッと笑った。

「魔人のトップ4は主様が倒してくれるので私たちは気が楽だということですよ。」
「ッ!」

 ティアが縮地でゲイルの背後に回り込み、蹴りを放った。

「くっ!」

 瞬時に移動した悪魔がガシィ!とティアの足を片手で掴んだ。その腕を斬りおとそうティアは剣を振るうが、

(っ!硬い!)

 ガキッ!という低い音とともにティアの剣は止まった。

(なら……!)

 即座に判断を下したティアは、『風刃・纏』を使用し、悪魔の腕に斬りかかった。

『小癪な!』

 さすがに魔力を纏った斬撃は防げないと判断したのか、掴んでいた手を放し、後退する悪魔。

 ここまでで一秒と経っていない。

「あ、危ないなぁ。死ぬかと思ったよ。」
『お前は下がっていろ。この小娘、弱くない。』

(…もしかして………)

 ティアは今のやり取りから1つの仮説をたてた。もちろん罠の可能性もあるが、そうでない可能性もある。ティアは後者に賭けることにした。

「ふっ!」

『さあ、戦おうか。』
「ええ、そうですね。」

 動いたのは同時だった。

「ふっ!」
『ウォァ!』

 ティアは『風刃・纏』を、悪魔は腕に強化を施してお互いか衝突した。

 ガガァンッ!とすさまじい音が鳴り響き、両者が止まった。だが、すぐにティアが押され始めた。

(体格差が厳しいですね……加えてあちらはスピードもある。勝つのは難しいですが……)

「勝たなければいけない道理はない!」
「どうした!もう生を諦めたのか!?」
「冗談を!」

 ティアは全身に魔力を纏わせ、悪魔の攻撃を左右に逸らしながら一ヵ所に留まらず、周囲の木々ををも利用して戦った。
 それに段々と苛立ちを募らせていく悪魔。

『チッ!正々堂々と戦いやがれ!』

(この悪魔は何を言っているのでしょうか?自分に有利に戦うのは戦闘の基本でしょう。)

「……」

 ティアは黙々と攻撃をいなし続ける。そう、のために……

『ハア…ハア……クソが……』

 そう、勝たなくてもいいということはつまり、負けなければいいということ。
だが、ティアが狙っているのは

「もう疲れたのですか。まあ、こちらとしても準備は整いましたので……」
『…何をするつもりだ。』
「それを言うと思いますか?」
『チッ』

 警戒する悪魔を尻目に、ティアはずっと全身に纏わせていた魔力を右手に集めた。

「2つヒントを差し上げます。私はハイエルフです。そして今から行うのは……」

 ティアは表情を消し、悪魔を見据えて言い放った。

「殲滅です。」

 ティアが右手を地面に置いた。
そこで悪魔は思い出した、ティアが戦っているとき常に魔力を全身に纏わせていたことを。つまり、魔力は地面にも注がれていたということ。

『チッ!まずい!』

 悪魔は慌ててティアに攻撃を仕掛けようとするが、

「もう遅いです。【みんな、出てきて!】」

 ティアが悪魔にはわからない言葉で何かに話しかけた瞬間、

 音もなく、地面から数百、数千にもなる緑色の光が勢い良く飛び出した。

『これは!?』

 ティアは、あくまでも淡々と悪魔に告げた〈←ダジャレじゃないよ、偶々だよ。By爆風〉

「精霊です。私たちエルフは太古から風の精霊と苦楽を共にしてきました。そして私はハイエルフ、精霊との交信がしやすいのです。というわけで、さようならですね。」

 そう、ティアは戦いながらこの地の深くに眠っていた精霊を少しずつ呼び覚ましていたのだ。もちろんこの技は、風の精霊がいるエルフの里付近でしか使用することはできない。
 悪魔はそれを聞いて、

「このぐらいなら耐えきって見せる!」

 と言った。
 この答えに、ティアは少し口角を上げた。まるで、子供が勘違いをしているのを傍から眺める大人のように。

「私が準備を終えるまでに私を仕留められなかったあなたの負けです、名前も知らない悪魔さん。【みんな、あの大きいのじゃなくて、後ろにいる魔人を倒してくれる?】」
【もちろん!任せてよ!】

 頼もしい答えとともに、精霊たちが突然の出来事に呆けている魔人に狙いを定める。
そして……強い光が悪魔を素通りし、魔人に直撃する。

「なっ!」
「ぐああああああああ!!」

 悪魔が驚いている間に、精霊の攻撃は次々と魔人に当たり、その命を奪った。
 そして……

「ク、クソが……」

 魔人というこの世に繋ぎ止める媒体を失った悪魔はこの世にいることができず、その体を霧散させていく。
それが完全に消えたのを確認してティアは……

「終わった……のですね……すみません……あるじ……さ…ま……」

 精霊を呼び出したことによる体にかかる負担に耐え切れず、その意識を手放した。

【ティアちゃん!】

 精霊が何か言っていたような気がするが、朦朧とする意識に遮られ、よくわからなかった。

  ___________________
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 終わんなかった………のか……………?
まあ、次回は蓮sideなのでさくっと終わります多分(多分)
希望があれば伸ばしますが………

 それにしても!びっくり!!ティアさんは精霊使いだった!!!

テ「騒がしいです、静かにしてください。」

 あ、す、すみません。

テ「それより、早く主様に会いたいです。」

 別に良いけど………次に蓮が君を見るとき君は………

テ「な、なんですか?私はどうなっているんですか?」

 いや、ネタバレになるから言わないけど………あ、でも読者の皆さまは大体予想がつくか………

 あ、長々とすみませんでした。次回もできるだけ早く更新するつもりなのでお楽しみに!

 あと、小説ページの一番上にキャラ説明を追加しておきました。そちらも是非見てみてください。
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