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3.5章 それぞれの物語
閑話 対魔族戦2
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久々に投稿したにもかかわらず、たくさんの方に読んでいただけているようで嬉しいです。
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香奈たちは今、ハイラード王国の防壁の外側、東の門の前にいる。
※ハイラード王国に関わらず、この世界の国や町、村などの団体は、その周囲を囲う防壁がある。ハイラード王国には、東と西にそれぞれ一つずつ大きな門がある。また、その両脇に小さな検問用の門があり、国の出入りは普段こちらで行う。
「では、昨日言ったメンバーの、進藤リーダーのグループはこの東門を、宵波がリーダーのグループは反対側の西門を守ってほしい。それぞれ前衛は後衛を意識して立ち回ること、中衛は前衛の打ち漏らしを確実に仕留められるように魔法の詠唱を常時発動直前の状態まで行っておくこと。ただし───」
「「戦いに予想外はつきもの、どんな不測の事態にも対応できるように常に油断はせず、戦況の全体を把握するようにすること。」」
進藤と涼乃が同時に言った。アイザーは満足そうに頷き、
「そうだ、わかっているようだな。そして、門を守るもの以外の数名は遊撃部隊、または情報収集に努めること。危なくなったらすぐ撤退するように。」
「スマホが使えれば遠くにいてもやり取りできるのにね、涼乃ちゃん。」
「異世界に電波があるわけもないし、しょうがないわね。蓮くんが作ったアレは魔力で動いているようだけど、一体どうやって作ったのかしら?」
涼乃が疑問に思うが、それに答えられる者は今ここには誰もいない。まず通信技術というものが発達していなく、遠くの場所とやり取りするのは念話か、早馬しかない。ただ、念話は固有能力なのでまず持っている者はいなく、認知もほとんどされていない上に、念話は一方的に思念を伝えるだけなので、両者念話を持っていないと会話はできない上に、使用する距離が離れていれば離れている程に必要な魔力が爆発的に増えていくので、余程の者でないと使用はできない。
ではなぜ蓮が通信できるクリスタルを持っているかというと、念話をダンジョンの深層ででとれる高純度の魔石に念話を込めたからだ。さらに魔石の特徴である魔力を内包できるということを利用し、蓮の魔力を魔石に9割程込め、別の魔力が込められた時に発動し、蓮の魔力で念話を可能にした。
「………集中しましょう、これから魔物と戦うのよ。」
「?そうだね。気を引き締めて行こう。」
「じゃあみんな!頼んだ!」
「「「おう(うん)!!!」」」
進藤の掛け声でクラスメイトが一斉に返事をする。
~数十分後~
「団長、来ました。魔物の大群です。」
「わかった、勇者たちは配置についてもらっている、お前らは勇者たちに負担がかかりすぎないようにサポートしてやってくれ」
「「はっ!」」
~東門side~
「真之、俺たちが率先して魔物をぶっ殺せばいいんだよな?」
山内が進藤に尋ねる。
「あぁ、一応前には突っ込みすぎないようにしてくれ。後衛に魔物を入れるわけにはいかない。まぁ、俺ができるだけカバーするようにはするよ。」
「わかった、感謝する。」
「なんというか、丸くなったね。山内君。」
「……そうか?」
「うん、なんというか、真面目に訓練もしてるし。蓮くんが死んじゃったこと、気にしてる?」
「……誰があんなやつ──と言いたいところだが、クラスメイトが死んで喜ぶほど落ちぶれちゃいない。確かにいつのことを目の敵にしていたが、死んでほしいとは思わない。」
山内は下を向いて言う。彼の言葉は実際その通りで、山内は蓮が死ぬことなど望んでいなかった(実際には死んでいないが)。確かに香奈につきまとう者がいなくなったのは喜ばしいことだが、それは蓮が香奈と関わらなくなればそれでよかったのだ。
ある意味蓮がいなくなって心に負荷がかかっているのは山内だった。
「……まぁ、そんなことより今は目の前のことに集中する。打ち漏らしは頼んだ。」
「任せて。」
その言葉を聞くと、山内は武器を構えた。それにつられて、東門を守る面々も各々の武器を構え、今まさに起ころうとしている戦いに備えた。
~西門side~
「宵波さん、俺、頑張るから期待しててよ!」
「えぇ、期待してるわ。」
細井が若干上ずった声で言うのに対し、涼乃の対応はドライだった。先ほどからこのようなやり取りが繰り返され、涼乃は辟易とし、香奈や他のクラスメイトは呆れたような視線を細井に送っていた。もちろん当の本人は気が付かない。
これが山内と細井の違いだった。あの日から蓮の死をこれ幸いと利用し、涼乃にアプローチをかけていた。もちろん涼乃はそのことをわかっているので、細井に対する好感度はマイナスに振り切れている。
「昨日も言ったけれど、細井君は攻撃が魔法が得意で、近接での立ち回りもある程度できるから中衛をお願いね。フレンドリーファイアに気を付けてね。」
「わかってる!俺に任せてよ!」
それを聞いた涼乃は
「みんな!私たちの目的は門を守ること!相手へのデバフ系の魔法、味方の体力の回復、騎士さんたちも含めた怪我の治療に専念して!」
「「「わかった!」」」
涼乃はクラスメイトの反応を見て満足そうに頷くと、
「じゃあ、行くわよ!」
武器を構えて、集中した。
戦いの幕が上がった。
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2話投稿できました。
次話で魔物との戦いは一区切り、または片を付けて、次々話からまた蓮の話に戻したいと思います。
感想待ってます。
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香奈たちは今、ハイラード王国の防壁の外側、東の門の前にいる。
※ハイラード王国に関わらず、この世界の国や町、村などの団体は、その周囲を囲う防壁がある。ハイラード王国には、東と西にそれぞれ一つずつ大きな門がある。また、その両脇に小さな検問用の門があり、国の出入りは普段こちらで行う。
「では、昨日言ったメンバーの、進藤リーダーのグループはこの東門を、宵波がリーダーのグループは反対側の西門を守ってほしい。それぞれ前衛は後衛を意識して立ち回ること、中衛は前衛の打ち漏らしを確実に仕留められるように魔法の詠唱を常時発動直前の状態まで行っておくこと。ただし───」
「「戦いに予想外はつきもの、どんな不測の事態にも対応できるように常に油断はせず、戦況の全体を把握するようにすること。」」
進藤と涼乃が同時に言った。アイザーは満足そうに頷き、
「そうだ、わかっているようだな。そして、門を守るもの以外の数名は遊撃部隊、または情報収集に努めること。危なくなったらすぐ撤退するように。」
「スマホが使えれば遠くにいてもやり取りできるのにね、涼乃ちゃん。」
「異世界に電波があるわけもないし、しょうがないわね。蓮くんが作ったアレは魔力で動いているようだけど、一体どうやって作ったのかしら?」
涼乃が疑問に思うが、それに答えられる者は今ここには誰もいない。まず通信技術というものが発達していなく、遠くの場所とやり取りするのは念話か、早馬しかない。ただ、念話は固有能力なのでまず持っている者はいなく、認知もほとんどされていない上に、念話は一方的に思念を伝えるだけなので、両者念話を持っていないと会話はできない上に、使用する距離が離れていれば離れている程に必要な魔力が爆発的に増えていくので、余程の者でないと使用はできない。
ではなぜ蓮が通信できるクリスタルを持っているかというと、念話をダンジョンの深層ででとれる高純度の魔石に念話を込めたからだ。さらに魔石の特徴である魔力を内包できるということを利用し、蓮の魔力を魔石に9割程込め、別の魔力が込められた時に発動し、蓮の魔力で念話を可能にした。
「………集中しましょう、これから魔物と戦うのよ。」
「?そうだね。気を引き締めて行こう。」
「じゃあみんな!頼んだ!」
「「「おう(うん)!!!」」」
進藤の掛け声でクラスメイトが一斉に返事をする。
~数十分後~
「団長、来ました。魔物の大群です。」
「わかった、勇者たちは配置についてもらっている、お前らは勇者たちに負担がかかりすぎないようにサポートしてやってくれ」
「「はっ!」」
~東門side~
「真之、俺たちが率先して魔物をぶっ殺せばいいんだよな?」
山内が進藤に尋ねる。
「あぁ、一応前には突っ込みすぎないようにしてくれ。後衛に魔物を入れるわけにはいかない。まぁ、俺ができるだけカバーするようにはするよ。」
「わかった、感謝する。」
「なんというか、丸くなったね。山内君。」
「……そうか?」
「うん、なんというか、真面目に訓練もしてるし。蓮くんが死んじゃったこと、気にしてる?」
「……誰があんなやつ──と言いたいところだが、クラスメイトが死んで喜ぶほど落ちぶれちゃいない。確かにいつのことを目の敵にしていたが、死んでほしいとは思わない。」
山内は下を向いて言う。彼の言葉は実際その通りで、山内は蓮が死ぬことなど望んでいなかった(実際には死んでいないが)。確かに香奈につきまとう者がいなくなったのは喜ばしいことだが、それは蓮が香奈と関わらなくなればそれでよかったのだ。
ある意味蓮がいなくなって心に負荷がかかっているのは山内だった。
「……まぁ、そんなことより今は目の前のことに集中する。打ち漏らしは頼んだ。」
「任せて。」
その言葉を聞くと、山内は武器を構えた。それにつられて、東門を守る面々も各々の武器を構え、今まさに起ころうとしている戦いに備えた。
~西門side~
「宵波さん、俺、頑張るから期待しててよ!」
「えぇ、期待してるわ。」
細井が若干上ずった声で言うのに対し、涼乃の対応はドライだった。先ほどからこのようなやり取りが繰り返され、涼乃は辟易とし、香奈や他のクラスメイトは呆れたような視線を細井に送っていた。もちろん当の本人は気が付かない。
これが山内と細井の違いだった。あの日から蓮の死をこれ幸いと利用し、涼乃にアプローチをかけていた。もちろん涼乃はそのことをわかっているので、細井に対する好感度はマイナスに振り切れている。
「昨日も言ったけれど、細井君は攻撃が魔法が得意で、近接での立ち回りもある程度できるから中衛をお願いね。フレンドリーファイアに気を付けてね。」
「わかってる!俺に任せてよ!」
それを聞いた涼乃は
「みんな!私たちの目的は門を守ること!相手へのデバフ系の魔法、味方の体力の回復、騎士さんたちも含めた怪我の治療に専念して!」
「「「わかった!」」」
涼乃はクラスメイトの反応を見て満足そうに頷くと、
「じゃあ、行くわよ!」
武器を構えて、集中した。
戦いの幕が上がった。
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2話投稿できました。
次話で魔物との戦いは一区切り、または片を付けて、次々話からまた蓮の話に戻したいと思います。
感想待ってます。
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