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番外編:お嫁においでよ
⑤
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シャラシャラと涼やかな鈴の音が歩くグノーを彩る。新郎に手を引かれ歩く花嫁は、それはそれは美しく、誰もがほぅと息を呑んだ。
こんな男の女装なんて見られたものではないだろうにとグノーにとっては冷や汗ものだったが、それは全くの杞憂に終わっていた。
女というには背の高いグノーだったが、それより更に頭ひとつ分程も身長の高いナダールと並ぶとそこまで違和を感じることも無く、誰もそんな事を気にする人間はいなかったのだ。
綺麗な花嫁さんねぇ、と囁く声が聞こえるにつれ、グノーは申し訳ないやら恥ずかしいやらで逃げ出したくなるのだが、その手はがっしり掴まれたまま逃げることは叶わない。
「これは見違えたね」
待ち構えていた村長にそんな事を言われ、何と言って返したものか返答に困り俯いた。
それはグノーにとっては穴があったら埋まりたい心境だったのだが、傍目には初々しい花嫁の所作にしか見えず、やはり村人はその美しい花嫁に見惚れるのだ。
式は粛々と行われ、ルイやユリウスもその様子をカズイ夫婦と共に嬉しそうに見守っていた。
定番の誓いの言葉では迂闊にも泣いてしまいそうになったが、そこはぐっと堪え、長老の長い祝辞が終われば後は祭りと宴会だ。
新郎新婦である自分達は一段高い特別席に席を設けられ、これいつまで続くのかな……とグノーは疲れを隠せない。
その時、ルイとユリウスが傍らに寄ってきた。
「ママ、本当に綺麗だね。パパも格好いいよ」
二人は無邪気に笑ってそう言った。なんだかそんな事を言われるとどうにもむずがゆい。
「ルイちゃん、ユリ君あっちで手品やってるよ見に行こ」
「行っておいで、楽しんでくるんだよ」
誘われて行っていいかとこちらを見上げる子供達に許可を出す。
今日は人の目も多いので危険な事もないだろう。
友達に手を引かれ嬉しそうに二人はまた祭りの輪の中に駆けて行った。
俯いて、まだ繋がれたままのナダールの手を強く握った。彼もその手を握り返してくれて、その力強さと温かさに泣きたくなった。
「約束は絶対守りますからね」
その言葉にグノーは頷く。一生一緒に幸せになる、その約束は結婚の誓いと共にまた新たに更新されたのだ。
祭りは夜遅くまで続き、その日は一日幸福に包まれ過ぎていった。
グノーがその宴から開放されたのは日付も変わろうかという真夜中だ。村の広場にはまだ煌々と明かりが灯っており「これは朝まで続くわね」とサリサは苦笑い、子供達は遊びつかれたのか、皆団子になって眠っていた。これは今日はお泊りかな、とグノーもそんな子供達の姿に苦笑する。
「凄く楽しかったみたいね」
笑顔で眠る子供達を見やってサリサは目を細める。
「なんだかナダールが無理言ったみたいで、ごめんな」
「別に無理なんて言われてないわよ。それにこの衣装も久しぶりに日の目を見て良かったわ」
サリサはそう言うとグノーの帯をくるくると解いてくれる。
「これってさ……」
「もちろん花嫁衣裳よ。私もこれを着てここに嫁いで来たのよ」
それは母から娘へと受け継がれている大事な衣装だとサリサは言った。
「そんな大事な物、なんで俺なんかに……」
「だって絶対似合うと思ったもの。それにウチは女の子がいないから、この衣装を着てくれる人もいないし」
たまには衣装も出してあげないと可哀相よ、とサリサは笑う。
もし、ルイちゃんがお嫁に行く時には貸し出すから言ってねとサリサは言った。
「ありがとう」
昼間は堪えた涙が零れた。
「何泣いてるの、せっかくの花嫁さんが台無しよ」
「今までこんな風に人に祝ってもらった事、一度もないんだ。憎まれて、呪われて、疎まれて、それが俺の人生だってそう思ってた」
馬鹿ね、とサリサはグノーの頭を優しく撫でる。
「俺は幸せになんてなっちゃ駄目なんだって、ずっと、ずっと思ってた。今だって怖くて仕方ない」
「世の中に幸せになっちゃいけない人なんていないのよ。今まで辛かった分、あなたはもっともっと幸せにならなきゃいけないわ。おめでとう、幸せにおなりなさい。きっとナダールさんは、あなたを不幸になんかさせないから」
こんな自分の幸せを祝ってくれる、祈ってくれるそれが嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかった。それは自分が絶対に他人から向けられることなどない感情だとそう思っていたから。
これは全部全部ナダールが自分に与えてくれた幸せだ。ナダールは本当に自分にたくさんの幸せを運んでくれる。
その時コンコンと部屋の扉が叩かれた。
「どなた?」
「すみません、グノーは……」
そこには宴会から抜け出してきたのであろう花婿が、所在なさげに立っていた。
「ごめんなさい、奥さん泣かせちゃったわ」
ナダールは驚いたようにグノーを見やり、だがその様子に少しほっとした表情を見せた。
「こちらこそすみません夜遅くまでお世話になってしまって。連れて行ってもいいですか?」
どうぞとサリサが促すと、ナダールはまた朝同様ひょいとグノーを抱き上げた。昼間とは違って、グノーは大人しく抱きかかえられており、彼の首筋に顔を埋めるように抱きつく姿はまるで子供のようだった。
「夜分遅くにすみませんでした。あと今日は本当にありがとうございました」
ぺこりと頭を下げるナダールに「いいのよ」と笑ってサリサは二人を送り出した。祭りの喧騒はまだ続いていてカズイは帰ってくる気配もない。
「ウチのにも見習わせたいわね、全く」
そう言ってサリサは二人の背中を笑顔で見送るのだ。
家に帰り着くとキスの雨を降らされる。泣けて泣けて涙も止まらないのに、そんな事をされたら息も出来ない。
「待って、っく、息できない」
一生懸命涙を止めようとするのだが、どうにも涙腺が壊れてしまったようで涙は止まる気配をみせなかった。
「私以外の前で初めて泣きましたね」
ナダールは少し複雑そうに、でも笑顔でその涙にキスを落とした。
「だって、幸せになれって……っく、そんなの、初めて言われ……」
思い出してまた涙が零れる。
今まで散々生まれてきた事を呪われてきたのだ。死んでくれ、殺してやる、いなくなれ、生まなければ良かった、そんな呪いの言葉の数々を浴び続け、自分には生きる価値すらないとそう思って、それでも死に切れずここまで生きてきたのだ。
ナダールに必要とされて、愛されて、彼の傍でなら生きていてもいいのかもしれないと、ようやく思えるようになったばかりだった。
「サリサさんだけじゃないですよ。今日祝ってくれた皆さんが、もちろん私だって、あなたの幸せを祈っていますよ」
「本当に、幸せになっても……いいのかな?」
自分の存在がたくさんの不幸を生み出し、家庭を壊し、人生を狂わせてきた。そんな自分が本当に幸せになどなってもいいのだろうか。
「今まであなたの周りが不幸だったのは、あなたのせいではありません。誰もかれも不幸の原因を他人に求めて、あなたに当たっていただけです。それを全部背負い込むのはもうやめましょう。あなたはあなたの幸せを掴めばいいのです。私はそのお手伝いが出来れば良いと思っていますよ」
グノーはナダールに抱きついた。
「それに今夜は新婚初夜ですよ、いつまでも泣いていないで、もっと旦那さんに可愛く甘えてください」
「お前は、そんなのばっかり」
グノーは泣き顔のままで、本当にもう! と呆れたように笑った。
するするとナダールの指が肌を撫でる。恐らく涙で酷い顔になっているだろうに、何度も何度も彼はグノーのその涙にキスを落す。
「もう見るな、酷い顔してるだろ?」
「どこがですか? 貴方はいつでも、どんな時でも綺麗ですよ」
「馬鹿、ホント、お前の目は節穴だ」
恥ずかしそうに腕で顔を隠すグノーの言葉にナダールは笑う。節穴で結構、自分は本気でそう思っているのだから、己の言葉に嘘はない。
「隠さないでください、グノー」
「だって……」
「恥ずかしいですか?」
顔を隠したままこくりと頷くグノーの手を取り口づけて、その手を自分の頬へと運ぶ。
「貴方より、私の方がよほど弛みきった恥ずかしい顔をしていると思いますけれどね」
「お前はどんな顔をしてても、他人がどう思おうと、俺には格好よく見えるからいいんだよ」
「あはは、光栄ですね。ですがそれは私も同じだと、何度もそう言っているのですけれどね。貴方はとても美しい、泣いていても怒っていても、人を惹きつけてやまないのです」
「そんな事……んっ」
言いかけた言葉を唇で塞がれた。絡められた舌に言葉は飲み込まれ、何を言おうとしていたのかも忘れてその舌を貪った。
こんなに我を忘れてお互いだけを見つめてキスをするのは、もしかしたらとても久しぶりの事かもしれない。子供部屋は設けられた我が家だが、いつ何時子供が起きてくるか分からないと思うと気が気でないグノーは、こんな風に全てを預けて抱かれるのは最近ではヒートの時だけだったな、とそう思うのだ。
服の中に潜り込んだ指が胸の突起を撫でる。それだけで、身体は反応を返してしまって少し恥ずかしい。
「ナダー……ル、待って、足……外さないと」
そのまま情事に突入してしまいそうな、ナダールにグノーは少し待てと胸を押す。
「別に構いやしませんよ」
「駄目だって、隠れている分には平気だけど、裸で触ったら怪我するかも」
普段は服の下に隠れてしまう足、けれどそんなグノーの片足は義足だ。その義足は生活をする上ではとても機能的だが、捲り上げてしまえば部品を隠す事もしていない無骨な義足で、そんな部品で怪我をするかもと、グノーは心配してくれたのだろう。
ベッドに腰掛、義足を外す。そして、目の前に晒されるのは腿までしかない片足だ。その切断面を見て毎度思うのは生きていて本当に良かったというその感情だけだ。
押さえても、止血しても零れ落ち続ける血の赤を私は忘れる事が出来ない。意識を失った彼の顔は蒼白で、思い出しただけで胃が痛む。
「あんまり見んなよ、見て、気持ちいいもんでもないだろう?」
苦笑するグノーに圧し掛かり、その半分無くした片足を持ち上げて、腿の内側にキスを落す。
「もう痛くはないですか?」
「んっ……あれから何年経ってると思ってんだ、もう傷口が傷むこともねぇよ」
「けれど、こういう傷は頭が痛みを覚えていて、痛むはずのない痛みを訴える場合もあると聞いています」
「ん? そうなのか?」
「貴方が痛くないと言うのならばそれでいいのですが……」
グノーは少しだけ小首を傾げ「大丈夫、かな?」とそう言った。
「なんか、色々あったけど、片足捨ててからこっち、幸せな事しかないから、そんな痛み、感じた事もねぇなぁ」
「ふふ、貴方らしいですね」
腿から内股へと舌を這わせ、下着からのぞく彼の陰茎を撫でる。それは既に鎌首を持ち上げて元気にそそり勃っていて、ナダールはその亀頭に口付けた。
「んっ……」
押し殺した声が漏れる。何度言っても彼は自身の指を食み、その声を殺そうとするので、ナダールはその手を一纏めに彼の頭上、シーツの上に押し付けた。
「指は噛んでは駄目だと言っているでしょう?」
「だって……」
「声を聞かせてください。今日は子供達もいません、どれだけ声を上げても誰も気にしやしませんよ。なにせ今日は私と貴方の新婚初夜です」
「子供二人も作っておいて、今更新婚も何もないもんだろ……」
「私の気持ちはいつでも新婚ですよ。貴方の傍らに生きていられる幸せを噛み締めて、私は日々を生きています」
「もう、ホントお前、自分のその台詞に恥ずかしくなる事はないのか?」
「真実を語る事を私は恥ずかしいとは思いません」
グノーがまた困ったように、でも嬉しそうに苦笑した。せわしなく服を脱ぎ、肌を合わせる、なんだか人肌が心地いい。
「貴方の花嫁姿、とても美しかったです。何度その場で人目も憚らず押し倒したいと思った事か……」
「馬鹿か、アレは大事な衣装なんだぞ。汚したりなんかしたら罰が当たる」
「分かっていますよ、だからやらなかったじゃないですか。私の理性を褒めてくださいよ」
「そういう問題じゃねぇだろ」
呆れ顔のグノーの涙はすっかり引っ込んだようで、ナダールの頬をつねる。そんな伸ばされた腕を取ってナダールはその掌に口付けた。
「私だけの愛しい人、愛していますよ」
真正面から見据えられての愛の告白が恥ずかしかったのだろう、グノーは「ん」と、一言発しただけで瞳を泳がせた。
ふわりと甘い薫りが鼻腔をくすぐる。その薫りはグノーから零れ出した匂いで、ナダールの本能を刺激する。これはグノーもすっかりその気だと、そういう事だ。
お返しとばかりにαのフェロモンで包み込んでやれば、彼の瞳は艶っぽく揺らめいた。
「早く、ナダール……」
滅多に聞けない誘いの言葉、その言葉に頷いて秘所に指を伸ばし、指でそこを撫でると、グノーの唇からはまた艶っぽい吐息が零れた。まだ、準備万端とまではいかないそこは、撫でる毎に潤いを増してナダールの指を絡め取る。ついでとばかりに前にも指を這わせるとグノーの身体がびくりと跳ねた。
「んっ、あぁ……両方は、駄目っ……」
「どちらも、気持ちがいいのでしょう?」
「頭、おかしくなるからぁ……!」
亀頭からは先走りが零れ落ち、グノーの吐息が荒くなる。感じやすい彼の身体はもう既に達きたくて仕方がないのだろう。何度でも達けばいい、思う存分グノーが満足するまで何度でも抱ける自信が自分にはある。
一度やり始めると、グノーの性欲には際限がなくなる。それはヒートの時は特に顕著に止まらなくなるのだが、今日は生憎ヒートではないがどんなものだろうか?
「なかっ、擦って、もっと……もっとぉ!」
自ら腰を擦り付けるようにして、そんな言葉を漏らすグノーに思わず笑みが零れた。それはにやけるような嫌らしい笑みになってしまったかもしれないが、止められない。
こういう行為に積極的ではない彼の痴態を見られるのは自分だけの特権だと思っているナダールはその愉悦に溺れる。
「いくらでも、何度でも。もう指では満足出来ないのなら、どうすればいいか分かっていますよね?」
潤んだ瞳が私を見上げ、グノーが私の胸を押す。起き上がり、彼に促されるままに壁にもたれかかるようにしてにこりと笑い腕を広げると、彼はゆるりと私の腹の上に跨った。
グノーはどうやら騎乗位がとてもお好みで、彼がやる気のうちはこれが一番しっくりくる。グノーは私のイチモツに指を這わせて、その硬さと大きさを確認するようにしてその上に己の秘部をあてがう。この光景は何度見ても興奮を抑えきれない。
少しずつ、少しずつ吐息を零しながら、グノーはナダールを身体の中に収めていくのだ。温かく絡みつく肉壁に私の硬度は増し、グノーはまた喘ぎを零した。片足がない事でバランスを崩しがちな右側の腰だけを支えて、後は彼の好きなように動いてもらう。
まるでリズミカルに躍ってでもいるかのようなその動きは、視覚的にも感覚的にもナダールに興奮をもたらすのだ。
「んっ……あぁあぁぁ」
荒い息を吐いて、グノーは達ったのだろう、彼の身体から力が抜ける。肉壁はぴくりぴくりと私の男根を締めつけて、非常に気持ちがいい。目の前にそそり勃っていた、彼の亀頭からも白濁が零れ出して私の腹を汚す。それを確認して、私はゆるりと腰を突き上げグノーの身体に更に深くと楔を打ち込んだ。
「やっ! まだ、動いちゃ駄目ぇっ……」
彼の身体中が一番敏感になっているこのタイミングが、私は好きだ。
「何故ですか? 気持ちいいでしょう?」
「……っあ、だめ、だめ、だめぇ!」
絶頂を迎えている彼に更なる快感を与えるように突き上げる。後から怒られる事が分かっていても止められない。
「ふはっ、駄目と言うわりには、あなた自身、私に纏わりついて…………堪らない」
「あんっ、んんっ」
いやいやと首を振るグノーに構わず、腰を抱く。上に乗っていた彼を押し倒し、足を持ち上げ最奥までと己を打ち込めば、グノーははくはくと言葉も出せない様子で吐息だけが耳をくすぐった。
彼の亀頭からはとめどなく白濁は零れ続ける。感じているのは分かっている。ただその立て続く絶頂が彼にとって少し苦しいのだという事も分かっているのだが、止められない。
零れ落ちる彼の精液が今度は彼自身の腹を濡らす。それを塗り伸ばすように彼の腹に撫で付けて、ゆるりとペースを落すと、グノーはまた切なげな吐息を零した。
「はぁ、はぁ、んうっ……あん」
グノーの感じる場所などもう既に、何処もかしこも把握済みだ。気持ちのいい場所だけを狙いすまし、肉壁を擦ればまた艶っぽい喘ぎがもれ始め、耳をくすぐる。
腕がするりと伸びてきて、キスをねだるその仕草ひとつで、私の心は鷲掴みだ。私は彼の中に精を吐き出す。それにグノーも笑みを零して、更に舌を絡められた。
「今度陛下のお供でメルクードに行くことになったんです」
二人ベッドの中、燻る熱を逃がすようにグノーの頭を撫でる。
「メルクードに? 今のブラックが国を離れるなんて珍しいな、何かあるのか?」
「詳しい要件まではまだちょっと分からないんですが、今回は特に危険な任務ではないようなので、二人を連れてあなたも一緒に行きませんか?」
「なんで?」
「子供達を両親に会わせたいんですよ、できればあなたも」
「俺は……無理だよ」
「無理な事ありません。大丈夫ですよ。ね、一緒に行きましょう」
そう言ってナダールが笑うので、グノーは考えておくよと目を瞑った。
こんな男の女装なんて見られたものではないだろうにとグノーにとっては冷や汗ものだったが、それは全くの杞憂に終わっていた。
女というには背の高いグノーだったが、それより更に頭ひとつ分程も身長の高いナダールと並ぶとそこまで違和を感じることも無く、誰もそんな事を気にする人間はいなかったのだ。
綺麗な花嫁さんねぇ、と囁く声が聞こえるにつれ、グノーは申し訳ないやら恥ずかしいやらで逃げ出したくなるのだが、その手はがっしり掴まれたまま逃げることは叶わない。
「これは見違えたね」
待ち構えていた村長にそんな事を言われ、何と言って返したものか返答に困り俯いた。
それはグノーにとっては穴があったら埋まりたい心境だったのだが、傍目には初々しい花嫁の所作にしか見えず、やはり村人はその美しい花嫁に見惚れるのだ。
式は粛々と行われ、ルイやユリウスもその様子をカズイ夫婦と共に嬉しそうに見守っていた。
定番の誓いの言葉では迂闊にも泣いてしまいそうになったが、そこはぐっと堪え、長老の長い祝辞が終われば後は祭りと宴会だ。
新郎新婦である自分達は一段高い特別席に席を設けられ、これいつまで続くのかな……とグノーは疲れを隠せない。
その時、ルイとユリウスが傍らに寄ってきた。
「ママ、本当に綺麗だね。パパも格好いいよ」
二人は無邪気に笑ってそう言った。なんだかそんな事を言われるとどうにもむずがゆい。
「ルイちゃん、ユリ君あっちで手品やってるよ見に行こ」
「行っておいで、楽しんでくるんだよ」
誘われて行っていいかとこちらを見上げる子供達に許可を出す。
今日は人の目も多いので危険な事もないだろう。
友達に手を引かれ嬉しそうに二人はまた祭りの輪の中に駆けて行った。
俯いて、まだ繋がれたままのナダールの手を強く握った。彼もその手を握り返してくれて、その力強さと温かさに泣きたくなった。
「約束は絶対守りますからね」
その言葉にグノーは頷く。一生一緒に幸せになる、その約束は結婚の誓いと共にまた新たに更新されたのだ。
祭りは夜遅くまで続き、その日は一日幸福に包まれ過ぎていった。
グノーがその宴から開放されたのは日付も変わろうかという真夜中だ。村の広場にはまだ煌々と明かりが灯っており「これは朝まで続くわね」とサリサは苦笑い、子供達は遊びつかれたのか、皆団子になって眠っていた。これは今日はお泊りかな、とグノーもそんな子供達の姿に苦笑する。
「凄く楽しかったみたいね」
笑顔で眠る子供達を見やってサリサは目を細める。
「なんだかナダールが無理言ったみたいで、ごめんな」
「別に無理なんて言われてないわよ。それにこの衣装も久しぶりに日の目を見て良かったわ」
サリサはそう言うとグノーの帯をくるくると解いてくれる。
「これってさ……」
「もちろん花嫁衣裳よ。私もこれを着てここに嫁いで来たのよ」
それは母から娘へと受け継がれている大事な衣装だとサリサは言った。
「そんな大事な物、なんで俺なんかに……」
「だって絶対似合うと思ったもの。それにウチは女の子がいないから、この衣装を着てくれる人もいないし」
たまには衣装も出してあげないと可哀相よ、とサリサは笑う。
もし、ルイちゃんがお嫁に行く時には貸し出すから言ってねとサリサは言った。
「ありがとう」
昼間は堪えた涙が零れた。
「何泣いてるの、せっかくの花嫁さんが台無しよ」
「今までこんな風に人に祝ってもらった事、一度もないんだ。憎まれて、呪われて、疎まれて、それが俺の人生だってそう思ってた」
馬鹿ね、とサリサはグノーの頭を優しく撫でる。
「俺は幸せになんてなっちゃ駄目なんだって、ずっと、ずっと思ってた。今だって怖くて仕方ない」
「世の中に幸せになっちゃいけない人なんていないのよ。今まで辛かった分、あなたはもっともっと幸せにならなきゃいけないわ。おめでとう、幸せにおなりなさい。きっとナダールさんは、あなたを不幸になんかさせないから」
こんな自分の幸せを祝ってくれる、祈ってくれるそれが嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかった。それは自分が絶対に他人から向けられることなどない感情だとそう思っていたから。
これは全部全部ナダールが自分に与えてくれた幸せだ。ナダールは本当に自分にたくさんの幸せを運んでくれる。
その時コンコンと部屋の扉が叩かれた。
「どなた?」
「すみません、グノーは……」
そこには宴会から抜け出してきたのであろう花婿が、所在なさげに立っていた。
「ごめんなさい、奥さん泣かせちゃったわ」
ナダールは驚いたようにグノーを見やり、だがその様子に少しほっとした表情を見せた。
「こちらこそすみません夜遅くまでお世話になってしまって。連れて行ってもいいですか?」
どうぞとサリサが促すと、ナダールはまた朝同様ひょいとグノーを抱き上げた。昼間とは違って、グノーは大人しく抱きかかえられており、彼の首筋に顔を埋めるように抱きつく姿はまるで子供のようだった。
「夜分遅くにすみませんでした。あと今日は本当にありがとうございました」
ぺこりと頭を下げるナダールに「いいのよ」と笑ってサリサは二人を送り出した。祭りの喧騒はまだ続いていてカズイは帰ってくる気配もない。
「ウチのにも見習わせたいわね、全く」
そう言ってサリサは二人の背中を笑顔で見送るのだ。
家に帰り着くとキスの雨を降らされる。泣けて泣けて涙も止まらないのに、そんな事をされたら息も出来ない。
「待って、っく、息できない」
一生懸命涙を止めようとするのだが、どうにも涙腺が壊れてしまったようで涙は止まる気配をみせなかった。
「私以外の前で初めて泣きましたね」
ナダールは少し複雑そうに、でも笑顔でその涙にキスを落とした。
「だって、幸せになれって……っく、そんなの、初めて言われ……」
思い出してまた涙が零れる。
今まで散々生まれてきた事を呪われてきたのだ。死んでくれ、殺してやる、いなくなれ、生まなければ良かった、そんな呪いの言葉の数々を浴び続け、自分には生きる価値すらないとそう思って、それでも死に切れずここまで生きてきたのだ。
ナダールに必要とされて、愛されて、彼の傍でなら生きていてもいいのかもしれないと、ようやく思えるようになったばかりだった。
「サリサさんだけじゃないですよ。今日祝ってくれた皆さんが、もちろん私だって、あなたの幸せを祈っていますよ」
「本当に、幸せになっても……いいのかな?」
自分の存在がたくさんの不幸を生み出し、家庭を壊し、人生を狂わせてきた。そんな自分が本当に幸せになどなってもいいのだろうか。
「今まであなたの周りが不幸だったのは、あなたのせいではありません。誰もかれも不幸の原因を他人に求めて、あなたに当たっていただけです。それを全部背負い込むのはもうやめましょう。あなたはあなたの幸せを掴めばいいのです。私はそのお手伝いが出来れば良いと思っていますよ」
グノーはナダールに抱きついた。
「それに今夜は新婚初夜ですよ、いつまでも泣いていないで、もっと旦那さんに可愛く甘えてください」
「お前は、そんなのばっかり」
グノーは泣き顔のままで、本当にもう! と呆れたように笑った。
するするとナダールの指が肌を撫でる。恐らく涙で酷い顔になっているだろうに、何度も何度も彼はグノーのその涙にキスを落す。
「もう見るな、酷い顔してるだろ?」
「どこがですか? 貴方はいつでも、どんな時でも綺麗ですよ」
「馬鹿、ホント、お前の目は節穴だ」
恥ずかしそうに腕で顔を隠すグノーの言葉にナダールは笑う。節穴で結構、自分は本気でそう思っているのだから、己の言葉に嘘はない。
「隠さないでください、グノー」
「だって……」
「恥ずかしいですか?」
顔を隠したままこくりと頷くグノーの手を取り口づけて、その手を自分の頬へと運ぶ。
「貴方より、私の方がよほど弛みきった恥ずかしい顔をしていると思いますけれどね」
「お前はどんな顔をしてても、他人がどう思おうと、俺には格好よく見えるからいいんだよ」
「あはは、光栄ですね。ですがそれは私も同じだと、何度もそう言っているのですけれどね。貴方はとても美しい、泣いていても怒っていても、人を惹きつけてやまないのです」
「そんな事……んっ」
言いかけた言葉を唇で塞がれた。絡められた舌に言葉は飲み込まれ、何を言おうとしていたのかも忘れてその舌を貪った。
こんなに我を忘れてお互いだけを見つめてキスをするのは、もしかしたらとても久しぶりの事かもしれない。子供部屋は設けられた我が家だが、いつ何時子供が起きてくるか分からないと思うと気が気でないグノーは、こんな風に全てを預けて抱かれるのは最近ではヒートの時だけだったな、とそう思うのだ。
服の中に潜り込んだ指が胸の突起を撫でる。それだけで、身体は反応を返してしまって少し恥ずかしい。
「ナダー……ル、待って、足……外さないと」
そのまま情事に突入してしまいそうな、ナダールにグノーは少し待てと胸を押す。
「別に構いやしませんよ」
「駄目だって、隠れている分には平気だけど、裸で触ったら怪我するかも」
普段は服の下に隠れてしまう足、けれどそんなグノーの片足は義足だ。その義足は生活をする上ではとても機能的だが、捲り上げてしまえば部品を隠す事もしていない無骨な義足で、そんな部品で怪我をするかもと、グノーは心配してくれたのだろう。
ベッドに腰掛、義足を外す。そして、目の前に晒されるのは腿までしかない片足だ。その切断面を見て毎度思うのは生きていて本当に良かったというその感情だけだ。
押さえても、止血しても零れ落ち続ける血の赤を私は忘れる事が出来ない。意識を失った彼の顔は蒼白で、思い出しただけで胃が痛む。
「あんまり見んなよ、見て、気持ちいいもんでもないだろう?」
苦笑するグノーに圧し掛かり、その半分無くした片足を持ち上げて、腿の内側にキスを落す。
「もう痛くはないですか?」
「んっ……あれから何年経ってると思ってんだ、もう傷口が傷むこともねぇよ」
「けれど、こういう傷は頭が痛みを覚えていて、痛むはずのない痛みを訴える場合もあると聞いています」
「ん? そうなのか?」
「貴方が痛くないと言うのならばそれでいいのですが……」
グノーは少しだけ小首を傾げ「大丈夫、かな?」とそう言った。
「なんか、色々あったけど、片足捨ててからこっち、幸せな事しかないから、そんな痛み、感じた事もねぇなぁ」
「ふふ、貴方らしいですね」
腿から内股へと舌を這わせ、下着からのぞく彼の陰茎を撫でる。それは既に鎌首を持ち上げて元気にそそり勃っていて、ナダールはその亀頭に口付けた。
「んっ……」
押し殺した声が漏れる。何度言っても彼は自身の指を食み、その声を殺そうとするので、ナダールはその手を一纏めに彼の頭上、シーツの上に押し付けた。
「指は噛んでは駄目だと言っているでしょう?」
「だって……」
「声を聞かせてください。今日は子供達もいません、どれだけ声を上げても誰も気にしやしませんよ。なにせ今日は私と貴方の新婚初夜です」
「子供二人も作っておいて、今更新婚も何もないもんだろ……」
「私の気持ちはいつでも新婚ですよ。貴方の傍らに生きていられる幸せを噛み締めて、私は日々を生きています」
「もう、ホントお前、自分のその台詞に恥ずかしくなる事はないのか?」
「真実を語る事を私は恥ずかしいとは思いません」
グノーがまた困ったように、でも嬉しそうに苦笑した。せわしなく服を脱ぎ、肌を合わせる、なんだか人肌が心地いい。
「貴方の花嫁姿、とても美しかったです。何度その場で人目も憚らず押し倒したいと思った事か……」
「馬鹿か、アレは大事な衣装なんだぞ。汚したりなんかしたら罰が当たる」
「分かっていますよ、だからやらなかったじゃないですか。私の理性を褒めてくださいよ」
「そういう問題じゃねぇだろ」
呆れ顔のグノーの涙はすっかり引っ込んだようで、ナダールの頬をつねる。そんな伸ばされた腕を取ってナダールはその掌に口付けた。
「私だけの愛しい人、愛していますよ」
真正面から見据えられての愛の告白が恥ずかしかったのだろう、グノーは「ん」と、一言発しただけで瞳を泳がせた。
ふわりと甘い薫りが鼻腔をくすぐる。その薫りはグノーから零れ出した匂いで、ナダールの本能を刺激する。これはグノーもすっかりその気だと、そういう事だ。
お返しとばかりにαのフェロモンで包み込んでやれば、彼の瞳は艶っぽく揺らめいた。
「早く、ナダール……」
滅多に聞けない誘いの言葉、その言葉に頷いて秘所に指を伸ばし、指でそこを撫でると、グノーの唇からはまた艶っぽい吐息が零れた。まだ、準備万端とまではいかないそこは、撫でる毎に潤いを増してナダールの指を絡め取る。ついでとばかりに前にも指を這わせるとグノーの身体がびくりと跳ねた。
「んっ、あぁ……両方は、駄目っ……」
「どちらも、気持ちがいいのでしょう?」
「頭、おかしくなるからぁ……!」
亀頭からは先走りが零れ落ち、グノーの吐息が荒くなる。感じやすい彼の身体はもう既に達きたくて仕方がないのだろう。何度でも達けばいい、思う存分グノーが満足するまで何度でも抱ける自信が自分にはある。
一度やり始めると、グノーの性欲には際限がなくなる。それはヒートの時は特に顕著に止まらなくなるのだが、今日は生憎ヒートではないがどんなものだろうか?
「なかっ、擦って、もっと……もっとぉ!」
自ら腰を擦り付けるようにして、そんな言葉を漏らすグノーに思わず笑みが零れた。それはにやけるような嫌らしい笑みになってしまったかもしれないが、止められない。
こういう行為に積極的ではない彼の痴態を見られるのは自分だけの特権だと思っているナダールはその愉悦に溺れる。
「いくらでも、何度でも。もう指では満足出来ないのなら、どうすればいいか分かっていますよね?」
潤んだ瞳が私を見上げ、グノーが私の胸を押す。起き上がり、彼に促されるままに壁にもたれかかるようにしてにこりと笑い腕を広げると、彼はゆるりと私の腹の上に跨った。
グノーはどうやら騎乗位がとてもお好みで、彼がやる気のうちはこれが一番しっくりくる。グノーは私のイチモツに指を這わせて、その硬さと大きさを確認するようにしてその上に己の秘部をあてがう。この光景は何度見ても興奮を抑えきれない。
少しずつ、少しずつ吐息を零しながら、グノーはナダールを身体の中に収めていくのだ。温かく絡みつく肉壁に私の硬度は増し、グノーはまた喘ぎを零した。片足がない事でバランスを崩しがちな右側の腰だけを支えて、後は彼の好きなように動いてもらう。
まるでリズミカルに躍ってでもいるかのようなその動きは、視覚的にも感覚的にもナダールに興奮をもたらすのだ。
「んっ……あぁあぁぁ」
荒い息を吐いて、グノーは達ったのだろう、彼の身体から力が抜ける。肉壁はぴくりぴくりと私の男根を締めつけて、非常に気持ちがいい。目の前にそそり勃っていた、彼の亀頭からも白濁が零れ出して私の腹を汚す。それを確認して、私はゆるりと腰を突き上げグノーの身体に更に深くと楔を打ち込んだ。
「やっ! まだ、動いちゃ駄目ぇっ……」
彼の身体中が一番敏感になっているこのタイミングが、私は好きだ。
「何故ですか? 気持ちいいでしょう?」
「……っあ、だめ、だめ、だめぇ!」
絶頂を迎えている彼に更なる快感を与えるように突き上げる。後から怒られる事が分かっていても止められない。
「ふはっ、駄目と言うわりには、あなた自身、私に纏わりついて…………堪らない」
「あんっ、んんっ」
いやいやと首を振るグノーに構わず、腰を抱く。上に乗っていた彼を押し倒し、足を持ち上げ最奥までと己を打ち込めば、グノーははくはくと言葉も出せない様子で吐息だけが耳をくすぐった。
彼の亀頭からはとめどなく白濁は零れ続ける。感じているのは分かっている。ただその立て続く絶頂が彼にとって少し苦しいのだという事も分かっているのだが、止められない。
零れ落ちる彼の精液が今度は彼自身の腹を濡らす。それを塗り伸ばすように彼の腹に撫で付けて、ゆるりとペースを落すと、グノーはまた切なげな吐息を零した。
「はぁ、はぁ、んうっ……あん」
グノーの感じる場所などもう既に、何処もかしこも把握済みだ。気持ちのいい場所だけを狙いすまし、肉壁を擦ればまた艶っぽい喘ぎがもれ始め、耳をくすぐる。
腕がするりと伸びてきて、キスをねだるその仕草ひとつで、私の心は鷲掴みだ。私は彼の中に精を吐き出す。それにグノーも笑みを零して、更に舌を絡められた。
「今度陛下のお供でメルクードに行くことになったんです」
二人ベッドの中、燻る熱を逃がすようにグノーの頭を撫でる。
「メルクードに? 今のブラックが国を離れるなんて珍しいな、何かあるのか?」
「詳しい要件まではまだちょっと分からないんですが、今回は特に危険な任務ではないようなので、二人を連れてあなたも一緒に行きませんか?」
「なんで?」
「子供達を両親に会わせたいんですよ、できればあなたも」
「俺は……無理だよ」
「無理な事ありません。大丈夫ですよ。ね、一緒に行きましょう」
そう言ってナダールが笑うので、グノーは考えておくよと目を瞑った。
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