運命に花束を

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君と僕の物語

がリアス・ゲイル

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 クロードの挨拶作戦も3日目、街行く人々はクロードに声をかけてもらえる事に味を占めたのか、道は人が鈴なりに溢れている。

「さすがにこれは……」

 挨拶しつつ前に進む事も出来ない有様では、外出もままならない。
 クロード人気を侮っていたと言わざるを得ない状況に俺は息を吐いた。

「お前昔はこんなだったのか?」
「いえ、幼い頃は家人が送り迎えをしてくれていたのでこんな事になるのは初めてです」
「とりあえず挨拶はいい、手だけ振っとけ」

 俺のその指示に従ってぺこりと頭を下げ、手を振るだけで辺りからは黄色の歓声が上がる。

「お前こんな感じでよく自分は嫌われてるなんて勘違いできたな」
「こんな風になるのは何かしらの大会の時くらいですよ、そういう時は私にだけではないので、気にもしていませんでした。そもそも私のような地味な人間に人気がある訳がない」

 地味? どの口がそれを言うのかと問い質したいのだが、そんな気力もない。
 どうにか人並みを抜けて、相変わらず何処に境界線があるのか分からない高級住宅街への道を辿りいつもなら真っ直ぐ門へと向かうクロードの屋敷を通り越して歩く事数分、見えてきたのはクロードのマイラー邸よりは多少こじんまりとしているが、それでも大きな屋敷の門扉の前に俺は立っていた。
 隣家と言えどもやはり遠い、屋敷は奥まっていて門扉から屋敷に辿り着くまでにまた同じくらい歩かなければいけなさそうな雰囲気につい溜息が零れる。

「これ、お隣さんとか関係ないよな。絶対近所付き合いとかないだろう?」
「そんな事はありませんよ、子供の頃はあちらとこちらの庭をフルに使って私達は遊んでいました、決して狭くはありませんが、広すぎるという事もなかったです」

 あぁ、なんだろうな……これはあれか、ルーンの町の裏山を皆で駆け回って遊んでた俺達の裏山部分が全部自宅って事だな。

「我が家には釣りのできる池が、こちらにはコートがありますし、遊び場としては本当に困りませんでしたね」
「そりゃそうだろうな……」

 しかもしっかり遊び場完備か、まぁ言ってもこれだけの豪邸に住む子息どもだ、親としても目の届く範囲で遊んでいて貰った方が都合は良かっただろう。

「それにしても私、ここへ徒歩で来るのは初めてです。やはり馬か馬車の方が良かったのでは?」
「隣の家に遊びに行くのに馬車って……と思った俺が馬鹿だったよ、でもここまで来たのに引き返すのもアホらしい、行くぞ」

 門番にクロードが挨拶をすると、門兵は心底驚いた様子で門を開けてくれた。

「マイラー様歩きですか? お車は?」
「童心に返って散歩しながら行くので大丈夫ですよ」

 それならいいのですが、と門兵も戸惑い気味だ。

「普段は馬車か?」
「屋敷前まで乗り付けできるようになっていますからね、何せ我が家と違ってこちらは門扉から屋敷までが遠いですから」

 マイラー邸は門扉から屋敷まではさほど離れていない、その代わり奥に広い庭があるのだが、どうやらこちらは逆に手前に庭が広がっているようだ。

「やはり歩きだと見える景色が違いますね、懐かしい、あの樹なんてよく登って怒られましたよ」
「お前でも木登りなんかするんだな」
「あまり同年代の子供と遊ぶ機会がありませんでしたから、遊ぶ時は全力ですよ。ただ何をしていいのか駄目なのかよく分からず、ハウスワードによく叱られました」
「はは、なんだお前にも普通の子供時代があるんじゃないか」
「それはそうですよ、ですがそれもガリアスが15で騎士団に入るまででしたね。私の周りから人が消えていったのもその辺りからです」
「お前、その人と幾つ歳離れてるんだ?」
「ガリアスは6歳上ですね」

 あぁ、なんだか親衛隊の設立予想時期とも合致する、その頃が恐らく転機だったのだろう。
 程なくして広大な庭を抜け、眼前に大きな屋敷が現れた。
 遠目に見ても大きいと思ったが、近くで見ると更に大きい屋敷にそのガリアスという男もクロード同様大金持ちの坊々なのだろうな、とその屋敷を見上げた。
 呼び鈴を鳴らせば、すぐに使用人が駆けて来るような足音が聞こえ、通された先に待ち構えていたのは落ち着いた雰囲気の男性だった。
 ガリアス・ゲイル。ファルス第2騎士団長で歳は30そこそこ、威圧感はそこまでないがアイン団長ほどの愛嬌はないがっしりした男だ。
 物静かな佇まいはクロードにも似て、だが彼はクロードの顔を見やると笑みを見せた。

「久しいなクロード、お前の方から私に会いに来るのも珍しい」
「後無沙汰しております兄さま」
「はは、お前に兄さまと呼ばれるのも久しぶりだ」
「さすがに公式の場では呼べませんので……」

 こんなに近くに住んでいてなお二人の交流はそう頻繁ではないのが窺える。
 同じ騎士団長同士、顔を合わせる機会はあるのだろうが、やはりこの男もクロードとは疎遠なのだろう。

「それで、私に何か用事かい?」
「はい、いえ……私がというよりは彼が……」

 クロードが視線を俺に向けると、そこで初めて俺に気が付いたという表情で男はこちらを見やり目を細めた。

「あぁ、君が噂のエドワード・ラング君か。お初にお目にかかる、私はガリアス・ゲイル以後お見知りおきを……」

 クロード同様表情で感情は読み難いのだが、その細めた瞳に少しばかりの嫌気を感じる。
 頭を下げて差し出された手を握れば、握手というにはややきつく握られて、それは気のせいではないのだろうと確信させた。

「それで君は私に何の用があるのかな? 君と私には一面識もないと思うのだが?」
「そうですね、会うのは今日が初めてです。クロード少し席を外してもらえるか?」

 俺の言葉にガリアスの眉が僅かにぴくりと釣り上がる。

「え……それは……」
「大丈夫、喧嘩なんかしないし、失礼な事も言わない」
「そうだな、私も君には少し席を外していて貰えると助かる」

 ガリアスにまでそう言われて、クロードは心配そうな気配を醸し出しながら重い腰を上げた。
 どうやらガリアスさんもとぼけてはいても俺がここに何をしに来たかは把握済みのようだ。

「エディ、絶対失礼な態度は取らないでくださいよ! 兄さまも、彼は少し口が悪いですがあまり本気にはしないで……」
「もういいから、向こう行ってろ」

 クロードの背を押すようにして部屋から追い出し、振り返ればガリアスは先程までの落ち着いた表情とは一転、不機嫌全開の顔でこちらを見ていた。

「どうやら君はずいぶんクロードと仲が良いようだな」
「そうですね、こちらに来てからは仲良くさせて貰っています」
「ぽっと出の田舎者がどうやってクロードに取り入った?」

 蔑むような瞳が逆に落ち着く、愛想笑いなど気持ちが悪くて仕方がない。

「取り入るも何もクロードは友達を欲しがっていた、だから友達になったそれだけですよ。何かおかしいですか?」
「彼は他人に興味などなかったはずだ」
「なんでそう思うのですか?」
「私はずっと長い事彼を見てきた、私ほどクロードを知っている人間はこの国にはほぼいない」
「見ているだけの人間に一体クロードの何が分かるというのですか?」

 ガリアスの空気がぴりぴりし始める、冷静を装っているのだろうがα特有の怒りのフェロモンは感情に左右される、それは抑える事もできずに溢れ出すのだから恐らく自分も似たような物だ。

「君は彼を知った風に語るが、君は彼の一体何を知っているというのだ?」
「孤独で寂しい、被虐的で自信の欠片も持てないクロードの事ですか? それとも一般常識を持ち合わせない子供のような彼の事ですか?」
「は! 何を言っているのやら、クロードはそんな男ではない。いつでも冷静沈着、騎士団長をあの若年で勤め上げる立派な男だ」
「クロードはあそこに自分の居場所はないと言っていましたよ。自分がいなくても下が優秀だから回っている、自分はただのお飾りだとそう思っている」
「そんな事ある訳がない、我が国の騎士団は完全実力主義、実力が伴わない人間がその場に立てることなど有りはしない、クロードにはその才が備わっている」
「本人にその自覚がないのだから仕方ない。確かにクロードは剣技の才はぴか一ですが、それ以外に自分という物に自信がない、それは周りが、あなたを含めて彼をまるで空気のように扱うからではないのですか?」
「何を言い出すのやら、私はクロードにそんな事をした事はない。彼が望めばいつだって私は駆けつけるし、こうやって時間を割いて君の相手だとてしているではないか」

 俺は呆れたように首を振った。

「それでもクロードが動かない限り、あなた方も動かないのでしょう? 親衛隊のルールでしたっけ? 自分から話しかけるのは禁止? クロードが人付き合い苦手なのはあなただって分かっているのではないですか? 自分から動く、というのはクロードにとってはとても敷居が高かった」
「話すの自体を禁じている訳ではない、クロードが望む相手はよほどの事がない限り放っておいた。下心や悪意のある者は別だったがな」
「そんなのクロードが分かっていなかったら突然親しくしていた人達が自分から離れていく、というだけに過ぎないじゃないですか。それが何人も続けば自分は嫌われている、自分に何かがあるから人は自分から離れていくと思って萎縮していく事くらい分かりませんか?」
「クロードは別に気になどしていなかった……」
「それ、直接本人に確認しましたか?」
「彼は何も言わなかったし……」
「そうさせたのはあなた方ですよ! あなたはクロードにとっては特別らしい、兄のような人で大事な人だから絶対あなたに手を出すなと何度も何度も言われました。大事だから、そんな自分を知られたくなかったし、嫌われたくなかったから何も言えなかったクロードの気持ち分かりますか?」

 ガリアスは言葉に詰まる。

「親衛隊……あなたが作ったと聞きましたが、間違いないですか?」
「別に好きで作った訳じゃない……そうでもしないとクロードを守れなかった」
「今の親衛隊はクロードにとって害悪でしかないと思うのですが、あなたの意見は?」
「害悪か……この組織を最初に作り上げたのは私だし、総元締めのような扱いを受けはするが、親衛隊は既に私の思い描いていた所とはまったく違う場所にまで拡大してしまった。最初は本当にただクロードの身の危険を減らす為だけの物だったのだがなぁ……クロードの兄姉と一緒に面白半分やっていた事がいつの間にかこの有様だ」

 ガリアスは言ってソファーに身を沈めて天を仰いだ。

「兄姉も一枚噛んでるんですか?」
「弟の身を案じるのは当然だろう? ただでさえ歳の離れた弟だ、クロードの兄姉は皆クロードの事を愛しているし、案じている」
「その割には放置気味な気はしますが……」
「姉はそれぞれ遠くの貴族に嫁に出されているし、兄も弟1人にかかずらっていられる立場ではない、唯一私だけがここに残って……まぁこんな感じだ」
「親衛隊はあなたの手にも余っている?」
「正直に言ってしまえばな」
「では、潰してしまっても構いませんね?」

 俺の言葉にガリアスさんは驚いたように目を見開き、その後喉を鳴らして笑い出した。

「あはは、そんな事を言い出す奴が現れるとは思わなかった。だが、この組織を作りルールを強いて今ようやくクロードの周りは落ち着きを見せているが、クロードも今となってはあの頃と違い結婚適齢期、混乱は避けられんぞ。女共はこぞって色目を使ってくるだろうし、男共にもクロードの信奉者は多い」
「まぁ、それはこの2・3日で骨身に染みました」
「クロードはαだ、ヒートに当てられたらひとたまりもない。Ωは今まで細心の注意を払って退けてきたが、親衛隊を潰してしまったらそれもままならない」
「そこら辺は自分でやらせればいいんじゃないですか? クロードだってもういい大人だ、危険を退ける術くらい自分で身に付けないと」
「いい大人か……君にそれを言われるのもなんだか可笑しな話だな。それでも私の中ではまだ彼は庇護すべき可愛い弟分なのだよ」
「ハウスワードさんといい、あなたといい、ちょっとクロードを甘やかし過ぎじゃないですか? いつまでもそんなではいつまで経ってもクロードは独り立ちできませんよ」
「はは、私はそれをさせたくなかったのかもしれないな……」

 ガリアスは瞳を逸らして窓の外を見やる。
 彼もまたクロードが大事で守ってやりたいと思っていただけだったのだ、それは間違ったやり方だったのかもしれないが、その想いは決して馬鹿にできるものではない。
 話が付いてクロードを室内へと招き入れるとクロードは失礼はなかったか、何か悪さをしなかったかと問い詰めるように俺に迫ってきた。

「何もしてないし、言ってない。そうですよね?」

 ガリアスさんにそう話を促すと、彼は元のポーカーフェイスに戻って「あぁ、心配するような事は何もない」と頷きクロードに笑みを見せた。

「そういえばクロード、ガリアスさんもお前のお友達になってくれるらしいぞ」
「む? エドワード君、それはなんの話だ?」
「嫌ですか? 今なら先着でクロードの友達№一桁に入れますよ?」
「エディ、兄さまは私にとって兄のようなものなので、そんな軽々しく友人などとは呼べません」

 クロードとガリアスが共に困惑したような表情を見せる。

「兄もいいけど、友達の方がなんだか仲良く出来そうな気がするんだけど、まぁ嫌なら……」
「む……別に嫌ではないぞ。私はお前を弟のように思っているが、歳の離れた友人だとも思っている」
「本当ですか? 嬉しいです兄さま」

 クロードはにっこり笑う。
 ここでもクロードの笑顔は破壊力抜群で、それでも動揺を堪えたガリアスは顔を紅く染めつつ瞳を逸らした。
結局この人もクロードの事大好きだもんなぁ……

「これでお前友達何人目だ?」
「6人目です。この3日で4人も増えました、本当に嬉しいです」

 クロードの笑みは絶えない。
 そんなクロードの笑顔を見て、ガリアスは自分はずいぶんと長い事間違った事をしていたものだと自嘲の笑みを見せた。

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