124 / 222
第四章
鑑定結果は意外なもので……
しおりを挟む
「さて、身分証はこれで良いとして、次は剣の鑑定だったか。どれ、見せて貰おうか」
今度はロイドがベルトホルダーごと剣を外して店主の前へと差し出すと、店主の瞳がまた紅色に変わる。店主は何かを見極めるようにじっと剣を見つめ数分、眉間に皺を寄せた。
僕にはもうその剣の正体が分かっているので、いつその名が店主の口から出てくるかとソワソワと待っていたのだが、一向に店主は口を開かない。
「店主、どうですか?」
「あんた等、これを一体何処で手に入れた?」
店主は質問を質問で返し、紅に変わったままの瞳を瞬かせる。
「それは鑑定に必要ですか?」
「いや、そういう訳ではないんだが、隠蔽が頑強すぎて儂では歯が立たん」
「隠蔽……」
「この剣の情報のほとんどが封じられているという事だ、ここまで強固な隠蔽魔術をかけた者が何処のどいつなのかも分かりやしない」
「では、どんな呪いがかかっているのかも……」
「呪い? この剣に呪いなどかかっておらんよ、剣自体は普通、いや、この頑強な封じ方からすると聖遺物と呼ばれるくらいの値打ちものである可能性はあるな、それこそ聖剣や魔剣と呼ばれる類の、な。もしや、こいつは盗品か? 悪い事は言わん、元の場所へ戻した方が良い。現時点で呪われたりはしていないが、剣自体の魔力が強い。封じられていた物には封じられていたなりの理由と言うのが存在する、それこそこの剣の意志にそぐわない者が所有すれば命すら削りかねん」
それは既に呪いなのでは? と思わなくもないのだけど、どうやら現時点でこの剣自体に呪いはかかっていないらしい。そして小太郎が捨てようとしても付いて来たというからには、剣自身が自らの意志で小太郎に付いて来たという事にもなる。
僕達は店主の言葉に顔を見合わせる。剣の意志にそぐわない者、か……現在この剣はロイドを主人と認めているようで反発する様子もないのだが、これは剣の意志に沿っていると思って良いのだろうか?
「あの……この剣、今は俺から離れようとしないんですけど、その場合どうしたら? それがこいつの呪いなのかと思って来たんですけど、これって呪いじゃないんですか?」
「違うな。なんだ坊主はその剣に気に入られているのか、だったら普通に使えばいい。ただ、気に入られているうちは良いが、剣の意志に背いたが最後、その剣に殺される覚悟もしておいた方が良いかもしれんがな」
「マジか……」
ロイドががくりと肩を落とす。この剣が呪われていてその呪いを解けば剣から解放されるかと思いきや、これは呪いですらなく、ただ単純に剣に気に入られているというそのオチにロイドは絶望顔だ。
この剣に気に入られているうちはこの剣から逃れる術はなく、この剣の意志に沿わなければ殺されるかもしれないなんて、それはもう呪いと大差ない。
「ん~……でもロイドも剣自体は良さそうだって昨日言ってたよな? 使ってるだけで呪われるような物でもないみたいだし、使えるんなら普通に使ったらいいんじゃないか?」
アランが名案とばかりに手を打ってそう言うと「でも、剣の意志に背いたら問答無用で殺されるんですよ」と、ロイドは浮かない表情を見せる。
「だから、意志に背かなければいいわけで、問題ない」
「そんな簡単に言わんでくださいよ、他人事だと思って!」
「そう言うなって、ある意味これは天命だったと俺は思うぞ。なにせこのメンバーの中ではお前が唯一の剣士で、そいつを一番上手に扱えると俺は確信しているからな」
それは確かに! 僕なんかがこんな立派な剣を手に入れたとしても絶対使いこなせる気がしないし、魔術師のルーファウスや素手で戦う格闘家のアランにしても剣なんて無用の長物だものな。
「でもさ、この剣が呪われてないなら元の持ち主に返すって手も……」
「絶対に、要りません!!」
ちらりと横にいた小太郎を見やるロイド、そんな彼の言葉に小太郎は完全拒否の姿勢を崩さない。まぁね、この剣(小太郎が持っていた間はナイフだったけど)にはいい思い出はないだろうしね。
それにしても困ったな、まさか剣の情報を何者かに隠蔽されてるなんて思わなかった。僕には丸っと情報が見えてるのに、そんな事ってあるんだな……これはスキルレベルの差なのだろうか? それとも店主が持っている鑑定スキルと僕の持っている鑑定スキル自体が何か違っているのだろうか?
そして聖剣グランバルト、このままロイドが使い続けていて大丈夫なものなのだろうか?
「そういえば唯一見えた情報だけ伝えるが、その剣には各種能力値上昇の魔術付与が施されている、普通に買えば白金貨10枚でも足りないくらいの価値ある品だから大事に使うといいぞ」
聖剣グランバルト、普通に購入しても高かった! しかも白金貨10枚でも足りないってとんでもなく高価過ぎる……
「ちょ……待って。俺、そんな高価な剣なんて怖くて使えねぇ……」
「はっはっは、使っちまえば全部同じ剣だって!」
そう言ってアランはロイドを笑い飛ばし、そんなアランにロイドは「他人事だと思って!!!」と再び抗議の雄叫びをあげた。
今度はロイドがベルトホルダーごと剣を外して店主の前へと差し出すと、店主の瞳がまた紅色に変わる。店主は何かを見極めるようにじっと剣を見つめ数分、眉間に皺を寄せた。
僕にはもうその剣の正体が分かっているので、いつその名が店主の口から出てくるかとソワソワと待っていたのだが、一向に店主は口を開かない。
「店主、どうですか?」
「あんた等、これを一体何処で手に入れた?」
店主は質問を質問で返し、紅に変わったままの瞳を瞬かせる。
「それは鑑定に必要ですか?」
「いや、そういう訳ではないんだが、隠蔽が頑強すぎて儂では歯が立たん」
「隠蔽……」
「この剣の情報のほとんどが封じられているという事だ、ここまで強固な隠蔽魔術をかけた者が何処のどいつなのかも分かりやしない」
「では、どんな呪いがかかっているのかも……」
「呪い? この剣に呪いなどかかっておらんよ、剣自体は普通、いや、この頑強な封じ方からすると聖遺物と呼ばれるくらいの値打ちものである可能性はあるな、それこそ聖剣や魔剣と呼ばれる類の、な。もしや、こいつは盗品か? 悪い事は言わん、元の場所へ戻した方が良い。現時点で呪われたりはしていないが、剣自体の魔力が強い。封じられていた物には封じられていたなりの理由と言うのが存在する、それこそこの剣の意志にそぐわない者が所有すれば命すら削りかねん」
それは既に呪いなのでは? と思わなくもないのだけど、どうやら現時点でこの剣自体に呪いはかかっていないらしい。そして小太郎が捨てようとしても付いて来たというからには、剣自身が自らの意志で小太郎に付いて来たという事にもなる。
僕達は店主の言葉に顔を見合わせる。剣の意志にそぐわない者、か……現在この剣はロイドを主人と認めているようで反発する様子もないのだが、これは剣の意志に沿っていると思って良いのだろうか?
「あの……この剣、今は俺から離れようとしないんですけど、その場合どうしたら? それがこいつの呪いなのかと思って来たんですけど、これって呪いじゃないんですか?」
「違うな。なんだ坊主はその剣に気に入られているのか、だったら普通に使えばいい。ただ、気に入られているうちは良いが、剣の意志に背いたが最後、その剣に殺される覚悟もしておいた方が良いかもしれんがな」
「マジか……」
ロイドががくりと肩を落とす。この剣が呪われていてその呪いを解けば剣から解放されるかと思いきや、これは呪いですらなく、ただ単純に剣に気に入られているというそのオチにロイドは絶望顔だ。
この剣に気に入られているうちはこの剣から逃れる術はなく、この剣の意志に沿わなければ殺されるかもしれないなんて、それはもう呪いと大差ない。
「ん~……でもロイドも剣自体は良さそうだって昨日言ってたよな? 使ってるだけで呪われるような物でもないみたいだし、使えるんなら普通に使ったらいいんじゃないか?」
アランが名案とばかりに手を打ってそう言うと「でも、剣の意志に背いたら問答無用で殺されるんですよ」と、ロイドは浮かない表情を見せる。
「だから、意志に背かなければいいわけで、問題ない」
「そんな簡単に言わんでくださいよ、他人事だと思って!」
「そう言うなって、ある意味これは天命だったと俺は思うぞ。なにせこのメンバーの中ではお前が唯一の剣士で、そいつを一番上手に扱えると俺は確信しているからな」
それは確かに! 僕なんかがこんな立派な剣を手に入れたとしても絶対使いこなせる気がしないし、魔術師のルーファウスや素手で戦う格闘家のアランにしても剣なんて無用の長物だものな。
「でもさ、この剣が呪われてないなら元の持ち主に返すって手も……」
「絶対に、要りません!!」
ちらりと横にいた小太郎を見やるロイド、そんな彼の言葉に小太郎は完全拒否の姿勢を崩さない。まぁね、この剣(小太郎が持っていた間はナイフだったけど)にはいい思い出はないだろうしね。
それにしても困ったな、まさか剣の情報を何者かに隠蔽されてるなんて思わなかった。僕には丸っと情報が見えてるのに、そんな事ってあるんだな……これはスキルレベルの差なのだろうか? それとも店主が持っている鑑定スキルと僕の持っている鑑定スキル自体が何か違っているのだろうか?
そして聖剣グランバルト、このままロイドが使い続けていて大丈夫なものなのだろうか?
「そういえば唯一見えた情報だけ伝えるが、その剣には各種能力値上昇の魔術付与が施されている、普通に買えば白金貨10枚でも足りないくらいの価値ある品だから大事に使うといいぞ」
聖剣グランバルト、普通に購入しても高かった! しかも白金貨10枚でも足りないってとんでもなく高価過ぎる……
「ちょ……待って。俺、そんな高価な剣なんて怖くて使えねぇ……」
「はっはっは、使っちまえば全部同じ剣だって!」
そう言ってアランはロイドを笑い飛ばし、そんなアランにロイドは「他人事だと思って!!!」と再び抗議の雄叫びをあげた。
24
あなたにおすすめの小説
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる