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第四章
とんでも聖女と仲間達
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「レオ、あんた気安くあたしに触るんじゃないわよ!」
目の前に突然現れた女性と、その彼女の知り合いらしき男性。肩を抱かれた女性は煩わしそうにその男性の手を邪険に払いのけた。
「マツリ、私は君の許嫁なのだよ。そんなに邪険にする事ないじゃないか」
「何言ってんのよ、あたしは結婚なんてしないって言ってんでしょ! あんたなんか精々あたしの財布よ、さ・い・ふ!」
財布って……それは男性を金蔓扱いしてる事を明言してるようなものではないか。すごいな。
けれど、かなり辛辣な事を言われているはずの男性の方はそんな女性の言葉にもにこにこ笑っていて全くダメージを受けている気配がない。
「相変らずマツリの言葉は心に刺さるね、だけどそんな君だから私は君を愛しているんだ」
って……ちょっと、この人、頭大丈夫かな? まだ若いのに、悪い女に貢がされてる可哀想な人にしか見えないんだけど!?
けれど、そんな男性の態度に呆れたような表情の女性を見るに、これはもしかすると女性の方も男性に対してわざときつい言葉を投げているだけの可能性もあるのかな?
あれ? もしかしてこれって、恋人同士の高度なプレイだったりする? 僕、そういう男女間の恋愛的駆け引きみたいなのさっぱり分からないよ!?
「ねぇコタ、この人は放っておけばいいから、あたしもこっちに混ざってい~い? あ、あんたは向こうの席に戻ってなさいよね、邪魔だから」
そう言って彼女はしっしっと犬でも追い払うような仕草で男性を追い払うのだが、男性はその行動にも嫌な顔ひとつしない。
一方で小太郎は彼女の誘いに「え、あ、や……えっと……」と、困惑したような視線をこちらへと向ける。普段から飲み屋で意気投合した相手と席を同じくして呑むなんて事は当たり前にあることなので、彼女がこちらの席に来るのは全く構わないのだが、どうしたものかと僕達は視線で会話を交わす。
だって僕達はもう気付いてしまっている、彼女は確実に小太郎と共にこの世界へとやって来た異世界人、『とんでも聖女様』の囃子田茉莉さんだ。
いや、でも彼女の纏う衣装はどうみても聖女って感じじゃないけどな?
「僕は構わないけど、いいかな?」
「俺は別に構わないぜ」
「俺も」
「タケルが良いのであれば私は問題ありません」
皆の意見が一致した所で、満面の笑みを浮かべた囃子田さんはガタゴトと椅子を引きずってきて、何故かルーファウスとアランの間にちょこんと座った。
ちなみに座っていたのは円卓でルーファウスの横が僕、その隣に小太郎、ロイドで、その隣がアランというような並びだ。
「お連れの方はよろしいので?」
「あぁ、大丈夫、大丈夫。このくらいぞんざいな扱いの方があいつ喜ぶんだから、真正のマゾって怖いよねぇ……」
真正のマゾ……そんな風に言われた男性は大人しく元のテーブルに戻り、こちらをにこにこと眺めている。そしてそのテーブルには他にも連れが居たようで、我関せずという感じで食事を続けていた。
でもさ、ここまでの僕の知りうる情報を総動員するとあの人この国の王子様な気がするんだよね……ちょっと信じられないけど。というか、むしろ違っててくれたら良いんだけど、どうなんだろう。
「では改めまして、あたしの名前は茉莉、職業は聖女、そこの小太郎とは幼馴染なんだけど、皆さんのご関係は?」
ああ、そんな格好でもやっぱり聖女は聖女なんだね、見えないけど。
「俺達はパーティーで冒険者をやってる、俺の名前はアラン、格闘家だ」
「おじさんがこのパーティーのリーダー?」
「おじ……いや、否定はできないか。俺はリーダーじゃない、うちのパーティーのリーダーはこいつ、ロイドだ」
アランが「おじさん」と呼ばれた事にショックを受けつつも、隣に座るロイドの背を叩く。そんなアランの言葉に茉莉と小太郎が少し驚いたような表情で彼を見つめ、更にはロイドも「俺ってまだリーダーだったんですか!?」と驚きの声を上げた。実は僕もちょっと驚いた。
何故なら僕が教会に追われている間は暫定的にパーティーの代表者はロイドになっていたけれど、僕がメイズの冒険者ギルドで依頼を受けられるようになってからは普通に代表者はルーファウスかアランの時が多かったからだ。
「ん? なんで驚く? 前にそう決めただろう?」
「確かにそうですけど、そんなのもうとっくに時効だと思ってましたよ!」
「何でだ? だったらお前はこのパーティーのリーダーは誰だと思ってるんだ?」
「え? 普通にルーファウスさんかアランさんですよね!?」
ロイドの言葉に僕も頷く。だって確かに僕もそれが妥当だと思うから。
けれどそんな気持ちとは裏腹にルーファウスは「私はこのパーティーのリーダーはタケルだと思ってますけど?」と、しれっと言ってのけた。
「え? 僕?」
「私はタケルが行くというのでここまで付いて来ましたし、タケルがしたい事しか基本的にする気はないです。自分がリーダーだとも思っていませんし、かと言って他の誰かがタケルの意見を無視して何かをしようと言っても付き合う気はさらさらありませんので」
「…………」
「ふむ、確かにそう言われてみると、このパーティーはタケルを中心に回ってる気がしなくもないな。そもそもタケルがいなけりゃパーティー自体結成されていなかっただろうしな。うん、分かった。今日からお前がリーダーだタケル!」
「へ!?」
何故か成り行きで僕がパーティーのリーダーにされてしまった、なんでだよ!?
「と言う訳で、こっちがリーダーで魔術師のタケル、そっちが同じく魔術師のルーファウスだ」
アランに陽気な声で断言されて僕は苦笑する。まぁ、リーダーなんて名前だけで、結局みんな対等な関係だって分かってるからいいんだけどね。
「一番のちびっ子がリーダーって、このパーティー大丈夫なの?」
「あ、タケルさんはボク達と同じ日本人だよ。ボク達と違ってこっちの世界に来た時に姿が変わって子供の姿だけど、中身は大人だから」
「そうなの? 異世界転生ってやつ? こっちに来る方法って召喚だけじゃないんだ? 見た目は子供、中身は大人って某名探偵みたいだね。しかもめっちゃ美少年だし、あたしもどうせならもっとセクシー美女になりたかった~そんでもってチート無双してハーレム作って世界を救うの!」
…………今、なんて?
「あ、そういえばあんた! あんたが持ってった剣、あれ、勇者の剣なんだから返してよ!」
「え、な・なに? 何のこと!?」
「だ・か・ら~聖剣グランバルト! あんた持ってったでしょ!」
その瞬間周りの空気がざわっと揺れた。恐らくこの定食屋にも冒険者がいたのだろう、全国の冒険者ギルドに出されたSS依頼、聖剣グランバルトの捜索は白金貨10枚の報奨金が提示されている、そんな高報酬の依頼に関わる単語がひょんな所から飛び出してきたのだ、冒険者たちの興味を引かない訳がない。
「お嬢ちゃん、何を突然言い出したんだ? 聖剣グランバルトって、まさかあの聖剣グランバルトの事を言ってるんじゃないよな?」
「『あの』がどこにかかってるのか知らないけど、聖剣グランバルトは聖剣グランバル……むぐっ!」
急に彼女の背後からすらりとはしているが逞しい腕が伸びてきて彼女の口を覆うように回された。
「マツリ様、私はいつも口は慎めと何度も何度も口を酸っぱくして忠告申し上げていると思うのですが、一体何を騒いでおられるのでしょうか?」
それは先程まで彼女達の席で我関せずと食事を続けていた彼女の連れと思われる人物。聖女様の着用しているアーマーは露出が多くて少々偽騎士っぽい雰囲気が漂っているのだが、この人は恐らく間違いようもなく本物の女騎士だ。着ている甲冑も一部の隙もないフルアーマーでセクシー要素は一切ない。
それでも彼女が女騎士であると分かるのは綺麗な顔立ちと、声が女性であるからだ。
「むぅ~! うぅ! っは、何すんのよ、マリー!!」
「それを言いたいのはこちらの方です、何を声高に宝剣の名を叫んでおられるのですか、その名は軽々しく口にするものではありません!」
「はぁ!? その宝剣がなけりゃ世界が滅びるってあたしに脅しかけてきたのはあんた達じゃない! あたしは真面目にあんた達の言う通りにしてやってるだけですけどぉ!?」
喧々諤々と言い争いを始めてしまう二人、そんな所に運ばれてくる料理、ウエイトレスさんはこのくらいの争いごとは店では日常茶飯事なのか全く動じた様子もない。
「も、もう止めなよ、茉莉ちゃん、みんな見てるよ!」
「あ!? コタの癖にあたしのする事に口出しすんな! ってか、元々はあんたが剣持ってどっか行っちゃうから――」
瞬間女騎士の動きがピタリと止まって「コタ?」と、こちらを見据える。
「コタというのは、もしやハスミ・コタロー様の事ですか?」
「そうだよ、さっきからあたしはずっとそう言ってる!」
「私は初耳ですけれど?」
「あんたはご飯に夢中で、人の話を聞いてなかっただけじゃない!」
「食事は生活において一番の重要事項です!」
「そんなあんたの持論なんて知らねーっの!」
なんかもう収拾がつかないぞ、これは食事を開始してもいいものなのか……
「まぁ、まぁ、あんたもそうカッカしないで俺達と一緒に飯食おうぜ。どうせなら、向こうの王子様も一緒にさ」
アランの言葉にマリーと呼ばれた女騎士がきっ! とアランを睨み「何故お前がそれを知っている!」と声を荒げた。
「え? あ? それってなんだ?」
「彼が……である事をだ!」
『王子』という単語だけ声をひそめたマリーだったが、これでいて隠してるつもりなのか? 王子様のキラキラ具合がまるで隠れていないのだけど??
ってか、むしろアランは冗談のような口調で放った台詞だ、普通にスルーすればいいものを、食いついてきたら逆に怪しまれると何故気付かない?
「あ~……それは言葉の綾って言うのか、なぁ? え? まさか本当に王子なのか? そんな訳ねぇよな?」
ほぼ棒読みで誤魔化そうとするアラン、ここはマリーさんが空気を読んで「そんな訳があるか!」とでも言ってくれたら良いのだけどマリーさんは「それを知られたからには……」と、すらりと剣を抜き放った。
「ちょっと、あんた! こんなとこで何する気!?」
「私はお二人をお護りするのが使命、お二人の正体を知られたからには……」
「待って、待って待って!! みんな一旦落ち着こう!? ここで暴れたらお店の人に迷惑だ、色々こんな場所でする話でもなさそうだし、場所を変えよう、ね、それがいいよ!」
僕は運ばれてきた料理をマジックバッグに収めていく、そして迷惑をかけたからと少し多めに料金を支払って定食屋を後にした。
目の前に突然現れた女性と、その彼女の知り合いらしき男性。肩を抱かれた女性は煩わしそうにその男性の手を邪険に払いのけた。
「マツリ、私は君の許嫁なのだよ。そんなに邪険にする事ないじゃないか」
「何言ってんのよ、あたしは結婚なんてしないって言ってんでしょ! あんたなんか精々あたしの財布よ、さ・い・ふ!」
財布って……それは男性を金蔓扱いしてる事を明言してるようなものではないか。すごいな。
けれど、かなり辛辣な事を言われているはずの男性の方はそんな女性の言葉にもにこにこ笑っていて全くダメージを受けている気配がない。
「相変らずマツリの言葉は心に刺さるね、だけどそんな君だから私は君を愛しているんだ」
って……ちょっと、この人、頭大丈夫かな? まだ若いのに、悪い女に貢がされてる可哀想な人にしか見えないんだけど!?
けれど、そんな男性の態度に呆れたような表情の女性を見るに、これはもしかすると女性の方も男性に対してわざときつい言葉を投げているだけの可能性もあるのかな?
あれ? もしかしてこれって、恋人同士の高度なプレイだったりする? 僕、そういう男女間の恋愛的駆け引きみたいなのさっぱり分からないよ!?
「ねぇコタ、この人は放っておけばいいから、あたしもこっちに混ざってい~い? あ、あんたは向こうの席に戻ってなさいよね、邪魔だから」
そう言って彼女はしっしっと犬でも追い払うような仕草で男性を追い払うのだが、男性はその行動にも嫌な顔ひとつしない。
一方で小太郎は彼女の誘いに「え、あ、や……えっと……」と、困惑したような視線をこちらへと向ける。普段から飲み屋で意気投合した相手と席を同じくして呑むなんて事は当たり前にあることなので、彼女がこちらの席に来るのは全く構わないのだが、どうしたものかと僕達は視線で会話を交わす。
だって僕達はもう気付いてしまっている、彼女は確実に小太郎と共にこの世界へとやって来た異世界人、『とんでも聖女様』の囃子田茉莉さんだ。
いや、でも彼女の纏う衣装はどうみても聖女って感じじゃないけどな?
「僕は構わないけど、いいかな?」
「俺は別に構わないぜ」
「俺も」
「タケルが良いのであれば私は問題ありません」
皆の意見が一致した所で、満面の笑みを浮かべた囃子田さんはガタゴトと椅子を引きずってきて、何故かルーファウスとアランの間にちょこんと座った。
ちなみに座っていたのは円卓でルーファウスの横が僕、その隣に小太郎、ロイドで、その隣がアランというような並びだ。
「お連れの方はよろしいので?」
「あぁ、大丈夫、大丈夫。このくらいぞんざいな扱いの方があいつ喜ぶんだから、真正のマゾって怖いよねぇ……」
真正のマゾ……そんな風に言われた男性は大人しく元のテーブルに戻り、こちらをにこにこと眺めている。そしてそのテーブルには他にも連れが居たようで、我関せずという感じで食事を続けていた。
でもさ、ここまでの僕の知りうる情報を総動員するとあの人この国の王子様な気がするんだよね……ちょっと信じられないけど。というか、むしろ違っててくれたら良いんだけど、どうなんだろう。
「では改めまして、あたしの名前は茉莉、職業は聖女、そこの小太郎とは幼馴染なんだけど、皆さんのご関係は?」
ああ、そんな格好でもやっぱり聖女は聖女なんだね、見えないけど。
「俺達はパーティーで冒険者をやってる、俺の名前はアラン、格闘家だ」
「おじさんがこのパーティーのリーダー?」
「おじ……いや、否定はできないか。俺はリーダーじゃない、うちのパーティーのリーダーはこいつ、ロイドだ」
アランが「おじさん」と呼ばれた事にショックを受けつつも、隣に座るロイドの背を叩く。そんなアランの言葉に茉莉と小太郎が少し驚いたような表情で彼を見つめ、更にはロイドも「俺ってまだリーダーだったんですか!?」と驚きの声を上げた。実は僕もちょっと驚いた。
何故なら僕が教会に追われている間は暫定的にパーティーの代表者はロイドになっていたけれど、僕がメイズの冒険者ギルドで依頼を受けられるようになってからは普通に代表者はルーファウスかアランの時が多かったからだ。
「ん? なんで驚く? 前にそう決めただろう?」
「確かにそうですけど、そんなのもうとっくに時効だと思ってましたよ!」
「何でだ? だったらお前はこのパーティーのリーダーは誰だと思ってるんだ?」
「え? 普通にルーファウスさんかアランさんですよね!?」
ロイドの言葉に僕も頷く。だって確かに僕もそれが妥当だと思うから。
けれどそんな気持ちとは裏腹にルーファウスは「私はこのパーティーのリーダーはタケルだと思ってますけど?」と、しれっと言ってのけた。
「え? 僕?」
「私はタケルが行くというのでここまで付いて来ましたし、タケルがしたい事しか基本的にする気はないです。自分がリーダーだとも思っていませんし、かと言って他の誰かがタケルの意見を無視して何かをしようと言っても付き合う気はさらさらありませんので」
「…………」
「ふむ、確かにそう言われてみると、このパーティーはタケルを中心に回ってる気がしなくもないな。そもそもタケルがいなけりゃパーティー自体結成されていなかっただろうしな。うん、分かった。今日からお前がリーダーだタケル!」
「へ!?」
何故か成り行きで僕がパーティーのリーダーにされてしまった、なんでだよ!?
「と言う訳で、こっちがリーダーで魔術師のタケル、そっちが同じく魔術師のルーファウスだ」
アランに陽気な声で断言されて僕は苦笑する。まぁ、リーダーなんて名前だけで、結局みんな対等な関係だって分かってるからいいんだけどね。
「一番のちびっ子がリーダーって、このパーティー大丈夫なの?」
「あ、タケルさんはボク達と同じ日本人だよ。ボク達と違ってこっちの世界に来た時に姿が変わって子供の姿だけど、中身は大人だから」
「そうなの? 異世界転生ってやつ? こっちに来る方法って召喚だけじゃないんだ? 見た目は子供、中身は大人って某名探偵みたいだね。しかもめっちゃ美少年だし、あたしもどうせならもっとセクシー美女になりたかった~そんでもってチート無双してハーレム作って世界を救うの!」
…………今、なんて?
「あ、そういえばあんた! あんたが持ってった剣、あれ、勇者の剣なんだから返してよ!」
「え、な・なに? 何のこと!?」
「だ・か・ら~聖剣グランバルト! あんた持ってったでしょ!」
その瞬間周りの空気がざわっと揺れた。恐らくこの定食屋にも冒険者がいたのだろう、全国の冒険者ギルドに出されたSS依頼、聖剣グランバルトの捜索は白金貨10枚の報奨金が提示されている、そんな高報酬の依頼に関わる単語がひょんな所から飛び出してきたのだ、冒険者たちの興味を引かない訳がない。
「お嬢ちゃん、何を突然言い出したんだ? 聖剣グランバルトって、まさかあの聖剣グランバルトの事を言ってるんじゃないよな?」
「『あの』がどこにかかってるのか知らないけど、聖剣グランバルトは聖剣グランバル……むぐっ!」
急に彼女の背後からすらりとはしているが逞しい腕が伸びてきて彼女の口を覆うように回された。
「マツリ様、私はいつも口は慎めと何度も何度も口を酸っぱくして忠告申し上げていると思うのですが、一体何を騒いでおられるのでしょうか?」
それは先程まで彼女達の席で我関せずと食事を続けていた彼女の連れと思われる人物。聖女様の着用しているアーマーは露出が多くて少々偽騎士っぽい雰囲気が漂っているのだが、この人は恐らく間違いようもなく本物の女騎士だ。着ている甲冑も一部の隙もないフルアーマーでセクシー要素は一切ない。
それでも彼女が女騎士であると分かるのは綺麗な顔立ちと、声が女性であるからだ。
「むぅ~! うぅ! っは、何すんのよ、マリー!!」
「それを言いたいのはこちらの方です、何を声高に宝剣の名を叫んでおられるのですか、その名は軽々しく口にするものではありません!」
「はぁ!? その宝剣がなけりゃ世界が滅びるってあたしに脅しかけてきたのはあんた達じゃない! あたしは真面目にあんた達の言う通りにしてやってるだけですけどぉ!?」
喧々諤々と言い争いを始めてしまう二人、そんな所に運ばれてくる料理、ウエイトレスさんはこのくらいの争いごとは店では日常茶飯事なのか全く動じた様子もない。
「も、もう止めなよ、茉莉ちゃん、みんな見てるよ!」
「あ!? コタの癖にあたしのする事に口出しすんな! ってか、元々はあんたが剣持ってどっか行っちゃうから――」
瞬間女騎士の動きがピタリと止まって「コタ?」と、こちらを見据える。
「コタというのは、もしやハスミ・コタロー様の事ですか?」
「そうだよ、さっきからあたしはずっとそう言ってる!」
「私は初耳ですけれど?」
「あんたはご飯に夢中で、人の話を聞いてなかっただけじゃない!」
「食事は生活において一番の重要事項です!」
「そんなあんたの持論なんて知らねーっの!」
なんかもう収拾がつかないぞ、これは食事を開始してもいいものなのか……
「まぁ、まぁ、あんたもそうカッカしないで俺達と一緒に飯食おうぜ。どうせなら、向こうの王子様も一緒にさ」
アランの言葉にマリーと呼ばれた女騎士がきっ! とアランを睨み「何故お前がそれを知っている!」と声を荒げた。
「え? あ? それってなんだ?」
「彼が……である事をだ!」
『王子』という単語だけ声をひそめたマリーだったが、これでいて隠してるつもりなのか? 王子様のキラキラ具合がまるで隠れていないのだけど??
ってか、むしろアランは冗談のような口調で放った台詞だ、普通にスルーすればいいものを、食いついてきたら逆に怪しまれると何故気付かない?
「あ~……それは言葉の綾って言うのか、なぁ? え? まさか本当に王子なのか? そんな訳ねぇよな?」
ほぼ棒読みで誤魔化そうとするアラン、ここはマリーさんが空気を読んで「そんな訳があるか!」とでも言ってくれたら良いのだけどマリーさんは「それを知られたからには……」と、すらりと剣を抜き放った。
「ちょっと、あんた! こんなとこで何する気!?」
「私はお二人をお護りするのが使命、お二人の正体を知られたからには……」
「待って、待って待って!! みんな一旦落ち着こう!? ここで暴れたらお店の人に迷惑だ、色々こんな場所でする話でもなさそうだし、場所を変えよう、ね、それがいいよ!」
僕は運ばれてきた料理をマジックバッグに収めていく、そして迷惑をかけたからと少し多めに料金を支払って定食屋を後にした。
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