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【ハーフ½ドラゴン少女とその主人。】第一話
【ハーフ½ドラゴン少女は雨の王都で出会う。】
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雨のが降る夕暮れ。
フード付きの黒の羽織りに橙色の袴姿の少女。
冒険者ギルド、クリムフリード王国王都北支部前の通りにて。
少女
「……えっとぉ~、護衛、護衛、討伐、護衛、護衛。」
少女はため息を付く。
少女
「今日も楽しそうな依頼ないや。」
……少女は空腹にお腹を鳴らし、中世ヨーロッパ風の路地を。
尻尾を引き摺って歩き出す。
少女
「今日はコッチから帰ろ。」
ーーーー。
雨の中、路地裏をトボトボ歩いて居ると、剣と剣がぶつかり合う鈍い鉄の音が聞こえて来た。
少女
「んあ?この先は確かクリムフリード王国歌劇場前の広場だっけ?
誰だぁ~、こんな場所でチャンバラごっこやってるのは~?」
路地裏から出ようとした瞬間。
前方から男が片腕を押さえて飛び込んできた。
怪我した男
「逃げろーっ!?」
少女
「ありゃ、おっちゃん怪我してる?
血の匂いするんだけど。」
少女は転けた男に、目線を合わせる様にしゃがみ込み。
落ち着いた様子で、男に話しかける。
怪我した男
「違う!奴らがっ!!」
男の背後から剣を振り上げて追い掛けて来るフードを被った覆面の男。
覆面の男
「何だ貴様は!まぁ良い、お前も一緒に殺してやるよ!」
怪我した男
「ひぃ…。」
覆面の男が剣を振り下ろす。
次の瞬間、少女の右肩で止まる覆面男の剣。
少女
「……ざぁ~んねん♪」
覆面の男
「なっ!?何だと。」
振り下ろされた剣は、少女の右肩に確かに当たっているが。
少女の羽織に傷一つどころかシワ一つ着いていなかった。
怪我した男
「……えっ?」
少女
「お兄さん。
こんな、王国歌劇場のすぐ目の前の広場で、チャンバラごっこは危ないよ?」
…っと、少女はニヤけ顔で覆面の男に声掛けながら剣の刃を手で掴む。
覆面の男が剣を引こうとすると、ビクともしない剣。
覆面の男
「なっ!」
覆面の男は察する。
覆面の男
「ちっ!魔導士かッ…。」
それを見ていた覆面の男の仲間の1人が言う。
覆面の男の仲間
「そいつは良い!先に皇女をやれ!?この中に居るはずだ!!」
見ると、そこには覆面の男達と騎士の様な格好の一団が円になり闘っている。
覆面の男
「ちっ!」
剣を捨てて仲間の加勢に向かう男。
少女
「あっ…お兄さん忘れ物ぉ~?」
覆面の男は少女を無視して行ってしまう。
少女
「あーやや、まっいっか。
で、おっちゃん大丈夫?」
不義そうな顔で怪我をした男を覗き込む少女。
怪我した男
「ああ、少し剣が掠めただけだ。」
少女は少し安堵した様子。
少女
「そっかそっか、一応ポーションあるよ?
何と!ブドウ味だよぉ~♪」
怪我をした男はきょとんとした顔で少女を見ている。
怪我した男
「……あっ…ああ~、お嬢ちゃん良いのかい?
貴重なポーションを…。」
少女
「良いの良いのぉ~、そこの軒下座って一緒に乾杯しよ!」
怪我した男
「ありがとよ!嬢ちゃん。
俺はジョイってんだ。」
ジョイを軽々と引き起こす少女。
少女
「うん、私はライリだよ。
よろしくね、ジョイおっちゃん♪」
ジョイ
「…ははは。」
おっちゃんは変わらないのか。
ライリ
「ホイッ!」
ブドウ味のポーションをジョイに渡すライリ。
ライリ
「かんぱ~い♪」
ジョイ
「あ…ああ、かんぱい
所であの人達はほっといて良いのかい?」
王国歌劇場前の広場の店の軒先に座り。
乾杯する2人。
ライリ
「ん?」
見ると7人いた騎士が、皆息を切らしながらライリ達の方を見ている。
女騎士
「あの2人はこんな状況で何をしてるんでしょうか。
何なら逃げて欲しいのですが。」
男性騎士
「…ッ、!コイツら短剣の方の刃に毒を!?」
ライリ
「だって、手伝ってとか助けてとか言われてないのに、
助けたら面倒そうなことになるかもじゃん?」
女騎士
「…ッ!ハァーッ!ヤー!!」
あのフードの子は、なんて言ってるのでしょう雨音でよく聞こえませんね。
覆面の男
「よそ見とは余裕だな~っ!」
女騎士
「……!しまった!?」
ライリ「まぁ、でも頃合いかな~。んーっ!」
背伸びをするライリ。
身体を軽く揺らし、トントンっと軽く跳ねた瞬間。
ライリの姿が消える。
一瞬で3人制圧。
次にライリが姿を見せた時には、最後覆面の男の肩の上に乗り。
ドラゴンの尻尾を覆面の男の首に巻き付けていた。
覆面の男
「なっ!竜だと?」
女騎士
「………竜………?」
竜が何故こんなところに。
覆面の男
仕方ない!こうなれば我だけでもっ…!?
「なっ…ぐわぁ…!」
そのまま、覆面の男の頭を地面に叩き付けてた。
ライリ(つまらなそうな顔)
「ハーイ、そのくっさい口の中のモノ潰さなぁ~い。」
その瞬間、フードがめくれて、ライリのオレンジ色の瞳と角が顕になり、ドラゴンの尻尾が少女の背後でくねる。
ライリ(ニヤリ)
「はぁ~、楽しいけどお金にならないのホントに面倒くさい。
でも、誰かが死んじゃうのは嫌だし。
ニシシッ!ココはちょっとくらい遊んでも良い…よねッ!」
男性騎士
「……竜だと。」
覆面の男の仲間
「なっ!貴様っ!?」
ライリは、一瞬で距離を詰め目の毒の塗られた短剣を眼の直前で避ける。
ライリ
「よっと…!」
掛け声と同時に、相手の肘に両手を添え、尻尾で手首を叩き獲物を落とし肘を折った。
覆面の男の仲間
「ぐあぁーっ!」
膝から崩れ落ちる覆面の男。
ライリ
「掴んだら必ず壊せってねぇ~♪
じゃ、おやすみ!」
膝で覆面の男の顎を蹴り飛ばし気絶させる。
ライリ
「残り2人かぁ~。」
走り出す覆面の男達。
覆面の男の仲間
「同時に行くぞ!」
1人がライリに向かい、1人はそのまま女騎士の方へ。
覆面の男がライリに剣を振り抜こうとした瞬間。
目の前には、女騎士の方向へ走って行った同僚の顔が現れた!
ライリ
「にっしし!ザーンネン♪」
ライリは、1人がすれ違った瞬間、尻尾を男の足首に巻き付け引っ張るのと同時に
その場にしゃがみ、尻尾引き地面に音の頭部を叩きつけ目の前の男の前に同僚をぶら下げていた。
ライリ
「よっと!」
ライリは、剣を振りかぶって居る男の左手を右手で掴み、引くのと同時に男の左膝の裏を左脚で蹴り。
伏せさせた状態で男の腕を肩に掛け男を投げ飛ばした。
ライリ
「まっ、こんなもんかな。」
男性騎士
「一連の操作が、早過ぎて殆ど見えなかった。
対人戦に特化し過ぎて居る。」
女騎士
「……助けていただきありがとうございました。
ですが、あなた何者なのでしょうか?」
警戒を特にはまだ早そうですね。
ライリ
「ライリ!……ライリ・スフェーンだよ♪
一応、人間とドラゴンのハーフで……。」
みるみる声が小さくなるライリ。
ぐぅ~…。
ライリは、目をつぶってお腹を押さえ、その場にへたり込んだ。
ジーナ
「……ライリ?」
ライリ
「あっ…お腹が。」
力尽きる様にライリの口から声が漏れる。
女騎士が近付く。
別の女騎士が叫ぶ。
別の女騎士
「ジーナ様危険です!」
男性騎士
「バカ者がっ!」
その瞬間。
雨の帳の向こう。
――ギッ……ギチチチチッ。
張り詰めた弦が、無理に引き絞られる音。
湿った夜気の中で、その軋みはやけに生々しく響いた。
さらにもう一つ。
ジーナの鎧に当たった雨粒が、甲高く弾ける。
キン、と。
鉄の反響音が、わずかに空気を震わせる。
それが――
一直線に伸びる“何か”と、ぶつかる未来の位置をライリに教えた。
ぐぅ……と腹を押さえていた少女の耳が、ぴくりと震える。
ライリ
「……。」
目は、閉じたまま。
ひゅ、と風が裂けるよりも早く。
彼女の右手が、何気なく伸びる。
ぱし。
乾いた音が、雨の中に溶けた。
ジーナの喉元、指一本手前。
矢尻が、ライリの手の中で止まっている。
雨粒が矢羽に当たり、細かく砕ける。
ライリ
「んー……弦、ちょっと古いね~。
音うるさかったよ?」
ようやく目を開く。
橙の瞳が、闇を射抜く。
ライリ
「あと、雨粒で鉄ってよく鳴るよね!」
矢をくいっと持ち上げる。
ライリ
「…コレ、返してあげるよ。」
そう言うと、ライリは力を振り絞る様に立ち上がり。
矢を握る手のグローブが溶ける様に形を変え始めた。
黒く短いアトラトル《投槍器》へと変形した。
ライリ
「こんなものかな。」
大きく振り被りやを放つライリ。
その矢はまるで、来た方向へと戻っていく様に、路地裏へと吸い込まれていく。
「ーーギャァァァ…。」
然程待たずに、男の悲鳴が聞こえた。
ジーナ
「バートン!ナッツレイ!」
バートン ナッツレイ
「ハッ!」
ジーナ
「コイツを全員縛り上げて下さい!
それとナッツレイは、路地裏の確認を…。」
ナッツレイが暗闇の路地へと入っていく。
ジーナ
「アンナ!あなたは騎士団を呼んで来て下さい。
その後、そのまま城へ向かい状況の説明を頼みます。」
アンナ
「ハ…ハイッ!」
バートン
「全員生きておりましたので、騎士団に引き渡した後に尋問へ掛けます。」
ナッツレイ
「コチラも生きておりました。
脹脛の外側に矢が命中して降りました。」
ジーナ
「まさか意図的に殺さなかったのですか。」
倒れ込むライリ。
ジーナ
「行けない!」
咄嗟にライリを支えるジーナ。
ジーナ
「軽い…。」
顔を見る限り骨ばってはいないが、軽いライリの身体。
ジーナ
「このまま、馬車に乗ります。」
バートン
「ハッ。」
ナッツレイ
「近衛は、オレとバートンを残して馬車の護衛だっ!
この者等を騎士隊に引き渡してから馬車に合流する!」
近衛達
「ハッ。」
馬車の扉が閉まる音。
雨音が遠ざかる。
ライリがうっすら目を開けて一言。
ライリ
「……ご飯、ある?」
ジーナ
「ええ。ありますよ。」
ライリ
「じゃあ、ついてくよ。」
ジーナの手を取るライリ。
フード付きの黒の羽織りに橙色の袴姿の少女。
冒険者ギルド、クリムフリード王国王都北支部前の通りにて。
少女
「……えっとぉ~、護衛、護衛、討伐、護衛、護衛。」
少女はため息を付く。
少女
「今日も楽しそうな依頼ないや。」
……少女は空腹にお腹を鳴らし、中世ヨーロッパ風の路地を。
尻尾を引き摺って歩き出す。
少女
「今日はコッチから帰ろ。」
ーーーー。
雨の中、路地裏をトボトボ歩いて居ると、剣と剣がぶつかり合う鈍い鉄の音が聞こえて来た。
少女
「んあ?この先は確かクリムフリード王国歌劇場前の広場だっけ?
誰だぁ~、こんな場所でチャンバラごっこやってるのは~?」
路地裏から出ようとした瞬間。
前方から男が片腕を押さえて飛び込んできた。
怪我した男
「逃げろーっ!?」
少女
「ありゃ、おっちゃん怪我してる?
血の匂いするんだけど。」
少女は転けた男に、目線を合わせる様にしゃがみ込み。
落ち着いた様子で、男に話しかける。
怪我した男
「違う!奴らがっ!!」
男の背後から剣を振り上げて追い掛けて来るフードを被った覆面の男。
覆面の男
「何だ貴様は!まぁ良い、お前も一緒に殺してやるよ!」
怪我した男
「ひぃ…。」
覆面の男が剣を振り下ろす。
次の瞬間、少女の右肩で止まる覆面男の剣。
少女
「……ざぁ~んねん♪」
覆面の男
「なっ!?何だと。」
振り下ろされた剣は、少女の右肩に確かに当たっているが。
少女の羽織に傷一つどころかシワ一つ着いていなかった。
怪我した男
「……えっ?」
少女
「お兄さん。
こんな、王国歌劇場のすぐ目の前の広場で、チャンバラごっこは危ないよ?」
…っと、少女はニヤけ顔で覆面の男に声掛けながら剣の刃を手で掴む。
覆面の男が剣を引こうとすると、ビクともしない剣。
覆面の男
「なっ!」
覆面の男は察する。
覆面の男
「ちっ!魔導士かッ…。」
それを見ていた覆面の男の仲間の1人が言う。
覆面の男の仲間
「そいつは良い!先に皇女をやれ!?この中に居るはずだ!!」
見ると、そこには覆面の男達と騎士の様な格好の一団が円になり闘っている。
覆面の男
「ちっ!」
剣を捨てて仲間の加勢に向かう男。
少女
「あっ…お兄さん忘れ物ぉ~?」
覆面の男は少女を無視して行ってしまう。
少女
「あーやや、まっいっか。
で、おっちゃん大丈夫?」
不義そうな顔で怪我をした男を覗き込む少女。
怪我した男
「ああ、少し剣が掠めただけだ。」
少女は少し安堵した様子。
少女
「そっかそっか、一応ポーションあるよ?
何と!ブドウ味だよぉ~♪」
怪我をした男はきょとんとした顔で少女を見ている。
怪我した男
「……あっ…ああ~、お嬢ちゃん良いのかい?
貴重なポーションを…。」
少女
「良いの良いのぉ~、そこの軒下座って一緒に乾杯しよ!」
怪我した男
「ありがとよ!嬢ちゃん。
俺はジョイってんだ。」
ジョイを軽々と引き起こす少女。
少女
「うん、私はライリだよ。
よろしくね、ジョイおっちゃん♪」
ジョイ
「…ははは。」
おっちゃんは変わらないのか。
ライリ
「ホイッ!」
ブドウ味のポーションをジョイに渡すライリ。
ライリ
「かんぱ~い♪」
ジョイ
「あ…ああ、かんぱい
所であの人達はほっといて良いのかい?」
王国歌劇場前の広場の店の軒先に座り。
乾杯する2人。
ライリ
「ん?」
見ると7人いた騎士が、皆息を切らしながらライリ達の方を見ている。
女騎士
「あの2人はこんな状況で何をしてるんでしょうか。
何なら逃げて欲しいのですが。」
男性騎士
「…ッ、!コイツら短剣の方の刃に毒を!?」
ライリ
「だって、手伝ってとか助けてとか言われてないのに、
助けたら面倒そうなことになるかもじゃん?」
女騎士
「…ッ!ハァーッ!ヤー!!」
あのフードの子は、なんて言ってるのでしょう雨音でよく聞こえませんね。
覆面の男
「よそ見とは余裕だな~っ!」
女騎士
「……!しまった!?」
ライリ「まぁ、でも頃合いかな~。んーっ!」
背伸びをするライリ。
身体を軽く揺らし、トントンっと軽く跳ねた瞬間。
ライリの姿が消える。
一瞬で3人制圧。
次にライリが姿を見せた時には、最後覆面の男の肩の上に乗り。
ドラゴンの尻尾を覆面の男の首に巻き付けていた。
覆面の男
「なっ!竜だと?」
女騎士
「………竜………?」
竜が何故こんなところに。
覆面の男
仕方ない!こうなれば我だけでもっ…!?
「なっ…ぐわぁ…!」
そのまま、覆面の男の頭を地面に叩き付けてた。
ライリ(つまらなそうな顔)
「ハーイ、そのくっさい口の中のモノ潰さなぁ~い。」
その瞬間、フードがめくれて、ライリのオレンジ色の瞳と角が顕になり、ドラゴンの尻尾が少女の背後でくねる。
ライリ(ニヤリ)
「はぁ~、楽しいけどお金にならないのホントに面倒くさい。
でも、誰かが死んじゃうのは嫌だし。
ニシシッ!ココはちょっとくらい遊んでも良い…よねッ!」
男性騎士
「……竜だと。」
覆面の男の仲間
「なっ!貴様っ!?」
ライリは、一瞬で距離を詰め目の毒の塗られた短剣を眼の直前で避ける。
ライリ
「よっと…!」
掛け声と同時に、相手の肘に両手を添え、尻尾で手首を叩き獲物を落とし肘を折った。
覆面の男の仲間
「ぐあぁーっ!」
膝から崩れ落ちる覆面の男。
ライリ
「掴んだら必ず壊せってねぇ~♪
じゃ、おやすみ!」
膝で覆面の男の顎を蹴り飛ばし気絶させる。
ライリ
「残り2人かぁ~。」
走り出す覆面の男達。
覆面の男の仲間
「同時に行くぞ!」
1人がライリに向かい、1人はそのまま女騎士の方へ。
覆面の男がライリに剣を振り抜こうとした瞬間。
目の前には、女騎士の方向へ走って行った同僚の顔が現れた!
ライリ
「にっしし!ザーンネン♪」
ライリは、1人がすれ違った瞬間、尻尾を男の足首に巻き付け引っ張るのと同時に
その場にしゃがみ、尻尾引き地面に音の頭部を叩きつけ目の前の男の前に同僚をぶら下げていた。
ライリ
「よっと!」
ライリは、剣を振りかぶって居る男の左手を右手で掴み、引くのと同時に男の左膝の裏を左脚で蹴り。
伏せさせた状態で男の腕を肩に掛け男を投げ飛ばした。
ライリ
「まっ、こんなもんかな。」
男性騎士
「一連の操作が、早過ぎて殆ど見えなかった。
対人戦に特化し過ぎて居る。」
女騎士
「……助けていただきありがとうございました。
ですが、あなた何者なのでしょうか?」
警戒を特にはまだ早そうですね。
ライリ
「ライリ!……ライリ・スフェーンだよ♪
一応、人間とドラゴンのハーフで……。」
みるみる声が小さくなるライリ。
ぐぅ~…。
ライリは、目をつぶってお腹を押さえ、その場にへたり込んだ。
ジーナ
「……ライリ?」
ライリ
「あっ…お腹が。」
力尽きる様にライリの口から声が漏れる。
女騎士が近付く。
別の女騎士が叫ぶ。
別の女騎士
「ジーナ様危険です!」
男性騎士
「バカ者がっ!」
その瞬間。
雨の帳の向こう。
――ギッ……ギチチチチッ。
張り詰めた弦が、無理に引き絞られる音。
湿った夜気の中で、その軋みはやけに生々しく響いた。
さらにもう一つ。
ジーナの鎧に当たった雨粒が、甲高く弾ける。
キン、と。
鉄の反響音が、わずかに空気を震わせる。
それが――
一直線に伸びる“何か”と、ぶつかる未来の位置をライリに教えた。
ぐぅ……と腹を押さえていた少女の耳が、ぴくりと震える。
ライリ
「……。」
目は、閉じたまま。
ひゅ、と風が裂けるよりも早く。
彼女の右手が、何気なく伸びる。
ぱし。
乾いた音が、雨の中に溶けた。
ジーナの喉元、指一本手前。
矢尻が、ライリの手の中で止まっている。
雨粒が矢羽に当たり、細かく砕ける。
ライリ
「んー……弦、ちょっと古いね~。
音うるさかったよ?」
ようやく目を開く。
橙の瞳が、闇を射抜く。
ライリ
「あと、雨粒で鉄ってよく鳴るよね!」
矢をくいっと持ち上げる。
ライリ
「…コレ、返してあげるよ。」
そう言うと、ライリは力を振り絞る様に立ち上がり。
矢を握る手のグローブが溶ける様に形を変え始めた。
黒く短いアトラトル《投槍器》へと変形した。
ライリ
「こんなものかな。」
大きく振り被りやを放つライリ。
その矢はまるで、来た方向へと戻っていく様に、路地裏へと吸い込まれていく。
「ーーギャァァァ…。」
然程待たずに、男の悲鳴が聞こえた。
ジーナ
「バートン!ナッツレイ!」
バートン ナッツレイ
「ハッ!」
ジーナ
「コイツを全員縛り上げて下さい!
それとナッツレイは、路地裏の確認を…。」
ナッツレイが暗闇の路地へと入っていく。
ジーナ
「アンナ!あなたは騎士団を呼んで来て下さい。
その後、そのまま城へ向かい状況の説明を頼みます。」
アンナ
「ハ…ハイッ!」
バートン
「全員生きておりましたので、騎士団に引き渡した後に尋問へ掛けます。」
ナッツレイ
「コチラも生きておりました。
脹脛の外側に矢が命中して降りました。」
ジーナ
「まさか意図的に殺さなかったのですか。」
倒れ込むライリ。
ジーナ
「行けない!」
咄嗟にライリを支えるジーナ。
ジーナ
「軽い…。」
顔を見る限り骨ばってはいないが、軽いライリの身体。
ジーナ
「このまま、馬車に乗ります。」
バートン
「ハッ。」
ナッツレイ
「近衛は、オレとバートンを残して馬車の護衛だっ!
この者等を騎士隊に引き渡してから馬車に合流する!」
近衛達
「ハッ。」
馬車の扉が閉まる音。
雨音が遠ざかる。
ライリがうっすら目を開けて一言。
ライリ
「……ご飯、ある?」
ジーナ
「ええ。ありますよ。」
ライリ
「じゃあ、ついてくよ。」
ジーナの手を取るライリ。
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