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第三章 新たなる地
愛とは
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「え?」
急に表情が固まったジルは怪しい光を瞳に宿して俺を凝視した。
ジルの目は見開かれている。
「な、なんなんだ?」
「……ねえ、あまりにも僕の魔力と匂いが似ていて気付かなかったけど……これ、シモンヌの……」
今まで見たことのないジルの様子にたじろいだ。
ここまで魔物めいた目をするジルを見るのは初めてだった。
彼が確かに人ではないと、本当の意味でわかったのは今なのかもしれない。
「シモンヌの印が、どうしてアラトの魂につけられているの?」
「あ……」
そうだった……
シモンヌにあった時、俺がジルを忘れたくないと伝えて、そして、彼女はその願いに応えるようになにかをしてくれたのだった。
「俺、実は一度だけ、君の妹に会ったんだ」
ジルは強く俺を抱きしめて大声で叫んだ。
「どうして!!!! シモンヌを抱いたのか!!!!」
「ちがうよ!」
「だけど、会ったって今」
「だから……だから……ちが」
「違うってなにが!」
「落ち着いて聞け、ジル!」
俺は抱きついて離れないジルをもっときつく抱きしめて耳元で囁いた。
「俺はお前を忘れたくなんてないんだよ……俺のためにジルを忘れさせるなんて、余計なお世話だよ。それに、お前が死んだ後も俺は一人で生きていかなきゃならないっていうのなら、お前のことを胸に抱いて生きていくって……そう、彼女に伝えたんだ」
「え……」
「そうしたら、よくわからないが……彼女は俺に、ジルとの思い出を忘れずにいられるよう、何か細工をしてくれたんだ」
腕の中のジルから発する怒気が収まるのを感じた。
そっと力を抜いて、そっと背中をポンポンと叩く。
「会ったのは、偶然だった。俺が、森の外から感じる絶望で倒れた時に、森のしずくという何か甘いものをくれたんだ、助けてくれたんだよ」
「偶然だったっていうの?そんなのありえない、淫魔が人の気配を察知できないはずはないよ」
「……じゃあ……俺が倒れたのを知って助けに来てくれたのかな……」
「シモンヌが?」
「ああ、彼女は俺に近寄ったり、触れたりはしなかった。むしろ、近寄るなと警告してくれた。俺がジルの大事な人だと知っていると」
ジルは俺の胸からそっと顔を上げ、俺を見上げた。
「シモンヌは、アラトを助けたんだね」
「ああ、そうだ、俺は助けられたんだ」
「そう……」
ジルは細く美しい白い指で俺の胸を撫でた。
「シモンヌはどんな思いで、アラトの願いを聞いたんだろうね」
ジルの瞳から涙が一筋流れた。
俺はジルの絹糸のようなきれいな髪をなでた。
「君の妹はね、兄を愛してくれてありがとうと、俺に言ったんだよ」
ハッとして僕を見つめるジル。
息ができないかのような苦し気な呼吸をして、そして俺の胸に飛び込んで来た。
「アラトは僕を愛してくれているんだね」
「知らなかった?」
「だって……僕、催淫の力を使ってない……それなのに……」
「催淫の力なんて、必要ないんだよ、愛ってそういうものなんじゃないのかな」
「そう、なんだね」
「うん、たぶんね」
「たぶん?」
「いや……なんていうか、俺もよくわかんないけどな、愛ってなんなのかなんて」
俺は思わず苦笑した。
少し恥ずかしくなってきたんだ。
「アラトっておかしい」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
泣き笑いみたいになってるジルが愛おしくて、かわいかった。
こんな瞬間を俺はずっと覚えていたい。
そう、思ったんだ。
急に表情が固まったジルは怪しい光を瞳に宿して俺を凝視した。
ジルの目は見開かれている。
「な、なんなんだ?」
「……ねえ、あまりにも僕の魔力と匂いが似ていて気付かなかったけど……これ、シモンヌの……」
今まで見たことのないジルの様子にたじろいだ。
ここまで魔物めいた目をするジルを見るのは初めてだった。
彼が確かに人ではないと、本当の意味でわかったのは今なのかもしれない。
「シモンヌの印が、どうしてアラトの魂につけられているの?」
「あ……」
そうだった……
シモンヌにあった時、俺がジルを忘れたくないと伝えて、そして、彼女はその願いに応えるようになにかをしてくれたのだった。
「俺、実は一度だけ、君の妹に会ったんだ」
ジルは強く俺を抱きしめて大声で叫んだ。
「どうして!!!! シモンヌを抱いたのか!!!!」
「ちがうよ!」
「だけど、会ったって今」
「だから……だから……ちが」
「違うってなにが!」
「落ち着いて聞け、ジル!」
俺は抱きついて離れないジルをもっときつく抱きしめて耳元で囁いた。
「俺はお前を忘れたくなんてないんだよ……俺のためにジルを忘れさせるなんて、余計なお世話だよ。それに、お前が死んだ後も俺は一人で生きていかなきゃならないっていうのなら、お前のことを胸に抱いて生きていくって……そう、彼女に伝えたんだ」
「え……」
「そうしたら、よくわからないが……彼女は俺に、ジルとの思い出を忘れずにいられるよう、何か細工をしてくれたんだ」
腕の中のジルから発する怒気が収まるのを感じた。
そっと力を抜いて、そっと背中をポンポンと叩く。
「会ったのは、偶然だった。俺が、森の外から感じる絶望で倒れた時に、森のしずくという何か甘いものをくれたんだ、助けてくれたんだよ」
「偶然だったっていうの?そんなのありえない、淫魔が人の気配を察知できないはずはないよ」
「……じゃあ……俺が倒れたのを知って助けに来てくれたのかな……」
「シモンヌが?」
「ああ、彼女は俺に近寄ったり、触れたりはしなかった。むしろ、近寄るなと警告してくれた。俺がジルの大事な人だと知っていると」
ジルは俺の胸からそっと顔を上げ、俺を見上げた。
「シモンヌは、アラトを助けたんだね」
「ああ、そうだ、俺は助けられたんだ」
「そう……」
ジルは細く美しい白い指で俺の胸を撫でた。
「シモンヌはどんな思いで、アラトの願いを聞いたんだろうね」
ジルの瞳から涙が一筋流れた。
俺はジルの絹糸のようなきれいな髪をなでた。
「君の妹はね、兄を愛してくれてありがとうと、俺に言ったんだよ」
ハッとして僕を見つめるジル。
息ができないかのような苦し気な呼吸をして、そして俺の胸に飛び込んで来た。
「アラトは僕を愛してくれているんだね」
「知らなかった?」
「だって……僕、催淫の力を使ってない……それなのに……」
「催淫の力なんて、必要ないんだよ、愛ってそういうものなんじゃないのかな」
「そう、なんだね」
「うん、たぶんね」
「たぶん?」
「いや……なんていうか、俺もよくわかんないけどな、愛ってなんなのかなんて」
俺は思わず苦笑した。
少し恥ずかしくなってきたんだ。
「アラトっておかしい」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
泣き笑いみたいになってるジルが愛おしくて、かわいかった。
こんな瞬間を俺はずっと覚えていたい。
そう、思ったんだ。
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