57 / 317
冷酷無残な国10 友
しおりを挟む
薫どのは、息がうまくできないと言っていた。
想像以上の父の影響力だ。
もう二日ここに滞在しているのだが、日に日に状態は悪くなる。
この部屋は城内ではなく、離れでも最奥で、私の防御壁も張っているのであまり影響はないはずなのだが……
直接触れられたことが悪かったのかもしれない……
私はあの人の子供だし、長年のうちに慣れてしまっているが。
それでも最近は、父の放つ気がちりちりと体を焼くように痛く感じる時がある。
あの人はまた、力を強めてしまったのだろうか。
……悔しいと思う。
自分があの人に勝てる見込みが少しでもあるのならば、とっくに反旗を翻し父を倒すため奔走しただろうが、近寄ることさえ苦痛で会えばすべての力を封じ込められる現状では、どうにもならない。
「……ぅ」
「か、薫どの」
「なわひこさん……」
か細く耳を引っ付けねば聞こえない声で私の名を呼ぶ愛しい人。
「ち、ちかくに、らんじゃさま……います……かんじるんです」
うんうんと頷いた私の顔は、上手く笑えているだろうか?
胸を焼かれる思いで蘭紗の顔を思い浮かべる。
力が半分しか発揮できていない少年の頃から、誰よりも強い気を放ち、まっすぐ見ることさえ眩しく感じる特別な人間だった。
ここにいる人は……このどうしようもない無力な私が憧れ愛する人は、あの光輝く男を愛しているのだ。
「……ええ、あなたにはわかるのですね……ではもう少しの辛抱ですね……少し水分を取られますか?」
力なく目を開き頷いた薫どのの半身を起こし、わが胸に抱くようにして座らせ、傍にある清水をグラスで飲ませる。
父の影響を恐れ、わざわざ遠くの湧き水を今朝汲んできたものだ。
たったこれだけ触れるだけで私の心はざわめく。
全身が痺れるように愛しさがあふれる。
ゲホリと薫どのは喉をつまらせその水を飲み込めずに吐き出した。
私は慌てて手拭いで濡れた顔やのどを拭きとり、もう一度布団に寝かせ、濡れた胸元も拭きとる。
着物から見える胸元は細く白く滑らかだ。
湯を使ったときに見て触れた肌は男性のものとは思えない柔らさで雪で作ったうさぎのように脆く思え、強く触ることさえためらわれた。
……この人と共にいるこの瞬間を私は楽しんでしまっている。
暗い先の見えない人生の中で、唯一の希望だった初恋の人。
あなたに会うという事だけが、私の人生の中で唯一人間らしい希望だったような気がする。
「飲み込めませんか?」
「……ごめ、んなさい」
泣きそうな顔で私を見る薫どの、どんな顔をしてもあなたはこんなにきれいなのですね。
「では、しめらせた手拭いを唇に置きますので、少しでも口に」
私は新しい小さめの手拭いをグラスにくぐらせ湿らせると、膝の上に薫どのの顔を置き、恐る恐る唇に置いた。
薫どのは力なくされるがままだったが、やがてその手拭いから滴る水をちゅうちゅうと吸い、唇を動かした。
体の奥からドクっと欲情を催した。
私は……本当に卑しい人間だ。
こんなに弱り苦しむ人に……
その時、コツっと音がしたかと思うと、もわっと人間の影が現れた。
私は一瞬身構えたが、膝の上の薫どのに遠慮して咄嗟に動けなかった。
その影は実体を表すと床に片膝を付け、頭を垂れた。
「紗国王より派遣されました、跳光部隊の隊長、波呂でございます。薫様の……お加減は……」
「……」
「あの」
「あ、いや……この部屋は私が防御を張っていたのだが……」
「ええ、我ら跳光の者に魔力による防御壁は意味をなしません」
「なんと……」
私は驚いたが、ぐずぐずはしていられない。
「……その、我らがなんら策を講じていないことを、不審に思っておるだろうが、この国にはそもそも軍がいないのだ。父……阿羅彦の手となり足となり目となる魔術師のみを養成しており、各国に派遣されているそれらの目を通し、誘拐や謀をしてるというのが真実だ」
「……」
「であるから、父はそなたらがここで諜報活動をしていることは、感づいているに違いない。急ぎ皆の元へ戻られるがよい。私からは蘭紗に一言……この城の最深部に到達できるのは蘭紗を置いて他はない。よろしく頼むと、伝えてくれ」
「ハッ」
「……あの」
薫どのの微かな声に弾かれたようにこちらを向く壮年の黒衣装の男は真剣な面持ちで薫どのを見つめた。
「ら、んじゃさまに……ぼくはここで、なわひこさんと……しずかにまっていますと……」
それだけの言葉を絞り出すとフウとため息とともに目を瞑った。
「……薫様……了解いたしました、必ずお伝えいたします。お気を確かに……ここでお待ちください」
黒衣装の男は一瞬ためらったように見えたが、私にもう一度目をやると、ゆっくりと力強く頷き、さっと姿を消した。
呆れるほどに隠密を上手く使う。
紗国の歴史は長く、跳光家というのも噂で知っていた、が、ここまでとは……と舌を巻く。
さすが蘭紗の部下だけある。
私はもう一度グラスに手拭いを入れ湿らせると、薫どのの可愛らしい唇にそっと当てる。
薫どのはハッと目を開けるとまた必死にちゅうちゅうと吸い取っていく。
「何も食べておられません。汁だけでも、いかがでしょうか」
「た、たべられるでしょうか……」
「ゆっくりとでいいのですよ、私がお世話しますから……匙で口に運びましょうね」
「は、はじめは、他のかたに、させると……そういってたのに、結局、なわひこさんに……なにもかもしてもらうことに……」
「そんな……気になさらずに」
「……ありがとう」
薫どのは弱々しく……眩しく美しい笑顔を見せてくれた。
私の心はその笑顔で優しく満たされていく。
私は薫様の頭をゆっくりと枕に戻し、急ぎ厨房へ要望を出した。
まもなくたった数人しかいない味方の一人が盆に器を二つ乗せてきた。
「波羽彦様、二日間絶食状態の薫様ですから……具無しの味噌汁と、それからこれは……私の兄が紗国にいるのですが、その兄から聞きました薬湯です。作る際にはどちらも裏の湧き水から作りましたので、影響は少ないかと思うのですが……」
「ああ、ありがとう」
彼女は私の頬の腫れが引き、傷も癒えているのを確認して、胸の包帯を取った。
こちらの傷は深く、状態はあまり良くない……そもそも昔に負った傷なのだ。
悲しそうな顔で軟膏を塗り包帯を取り換え、次の間で控えていますと退出していった。
ふと見ると苦し気な寝息をたてている薫どのがいた。
自らの手を伸ばせばそこにいるということに幸せが沸き上がってくる。
しかし、同時にもうすぐこの至福の時は終わり、この方とも永遠の別れが来ることを私は知っている。
「らんじゃさま……」
びくっとして体が固まる。
私が恋する人は、うわ言で蘭紗の名を呼び閉じられた目から涙をこぼす。
その涙はどんな輝石よりも美しくきらめき、そして私の心を締め付ける。
震える手できれいな手拭いを取り、その涙をぬぐう。
こんな風に愛されてみたかった。
一度だけでも。
「……ぁ」
目が開き、私と同じ黒い瞳が見えた。
「……ねて、しまっていた、ようです、すみませ、ん」
「あやまることはありません、よろしかったら……味噌汁を一口でも、いかがでしょう?」
「ここにも、みそが」
「はい、父は日本から来たお嫁様ですから」
薫どのはゆっくりと目を閉じ、そして少し食べますといって、起きようとした。
私は枕を敷き詰め上半身を支え、そばで抱きかかえるようにして、ぬるい味噌汁を匙で少量口にいれた。
「おいしい……」
弱々しく微笑む薫どのの顔を私はいつまでも眺めていたかった。
「ぎもん、が、あります」
「え?……あ、なんでしょう?」
「にほんは……4000年まえ、にほんではありませんでした、まだ、ほら穴などにすんだり、ぼくの……」
ゴホンと咳き込んだ薫どのを思わず抱きしめた。
抵抗する気力もないのか、薫どのは一瞬ためらったあと、私の肩に顔を置いて、苦しそうな息を整えている。
「ぼ、ぼくの記憶が……ただしいなら、その時代は、縄文時代?だったような……とにかく、文明がすすんでいる時代ではないのです」
「……それは……しかし、建国紀は最初の1000年のことを父自ら著したもので、そこにはっきりと日本の東京に住んでいた男子高校生だったと」
「……っ!」
薫どのは私の腕の中で体を緊張させた。
「……そ、それは……もしかして、ぼくが、いた時代と……そう変わらない時代に、おなじ土地にいたかも……しれません、僕も東京にいたのですよ……でも……1000年前って……」
「え!」
私は全身から汗が噴き出るのを感じた。
「まさか……父は、日本の東京に住んでいたと……そう書いてあるのですよ。これを知るものは王族のほかありません、建国紀は持ち出しできませんから、あなたは本当に、東京から?」
「はい、……僕はそこにすんでいました……あの、にほんの年号などは?」
「年号……そういえば、平成というのがそれでしょうか?」
「……!」
「……そうなのですね、そうでしたら、平成の13年生まれと記述がありました、面白い表記なので良く覚えていますよ。わかりますか?その意味が……」
私は肩にある薫どのの顔を覗き込んだ。
「……それは、僕と同じ生まれ年です……」
震えながら呟く薫どの。
「……異世界を渡るというのは、時間も移動しているということなのでしょうか?あちらとこちらは同じ時間を共有しているわけではないのでしょうか……」
「その……なまえは、なんだったのでしょう?」
「日本にいたときの名前ですか?……澄川新人と記してありました。いつのころに阿羅彦となったかは、わかりません」
薫どのが、震えた唇を動かした。
「す、すみかわあらと……まさか、そんな」
「え?」
「新人君は……僕の、おさななじみ……」
私たちの視線が絡み合った。
想像以上の父の影響力だ。
もう二日ここに滞在しているのだが、日に日に状態は悪くなる。
この部屋は城内ではなく、離れでも最奥で、私の防御壁も張っているのであまり影響はないはずなのだが……
直接触れられたことが悪かったのかもしれない……
私はあの人の子供だし、長年のうちに慣れてしまっているが。
それでも最近は、父の放つ気がちりちりと体を焼くように痛く感じる時がある。
あの人はまた、力を強めてしまったのだろうか。
……悔しいと思う。
自分があの人に勝てる見込みが少しでもあるのならば、とっくに反旗を翻し父を倒すため奔走しただろうが、近寄ることさえ苦痛で会えばすべての力を封じ込められる現状では、どうにもならない。
「……ぅ」
「か、薫どの」
「なわひこさん……」
か細く耳を引っ付けねば聞こえない声で私の名を呼ぶ愛しい人。
「ち、ちかくに、らんじゃさま……います……かんじるんです」
うんうんと頷いた私の顔は、上手く笑えているだろうか?
胸を焼かれる思いで蘭紗の顔を思い浮かべる。
力が半分しか発揮できていない少年の頃から、誰よりも強い気を放ち、まっすぐ見ることさえ眩しく感じる特別な人間だった。
ここにいる人は……このどうしようもない無力な私が憧れ愛する人は、あの光輝く男を愛しているのだ。
「……ええ、あなたにはわかるのですね……ではもう少しの辛抱ですね……少し水分を取られますか?」
力なく目を開き頷いた薫どのの半身を起こし、わが胸に抱くようにして座らせ、傍にある清水をグラスで飲ませる。
父の影響を恐れ、わざわざ遠くの湧き水を今朝汲んできたものだ。
たったこれだけ触れるだけで私の心はざわめく。
全身が痺れるように愛しさがあふれる。
ゲホリと薫どのは喉をつまらせその水を飲み込めずに吐き出した。
私は慌てて手拭いで濡れた顔やのどを拭きとり、もう一度布団に寝かせ、濡れた胸元も拭きとる。
着物から見える胸元は細く白く滑らかだ。
湯を使ったときに見て触れた肌は男性のものとは思えない柔らさで雪で作ったうさぎのように脆く思え、強く触ることさえためらわれた。
……この人と共にいるこの瞬間を私は楽しんでしまっている。
暗い先の見えない人生の中で、唯一の希望だった初恋の人。
あなたに会うという事だけが、私の人生の中で唯一人間らしい希望だったような気がする。
「飲み込めませんか?」
「……ごめ、んなさい」
泣きそうな顔で私を見る薫どの、どんな顔をしてもあなたはこんなにきれいなのですね。
「では、しめらせた手拭いを唇に置きますので、少しでも口に」
私は新しい小さめの手拭いをグラスにくぐらせ湿らせると、膝の上に薫どのの顔を置き、恐る恐る唇に置いた。
薫どのは力なくされるがままだったが、やがてその手拭いから滴る水をちゅうちゅうと吸い、唇を動かした。
体の奥からドクっと欲情を催した。
私は……本当に卑しい人間だ。
こんなに弱り苦しむ人に……
その時、コツっと音がしたかと思うと、もわっと人間の影が現れた。
私は一瞬身構えたが、膝の上の薫どのに遠慮して咄嗟に動けなかった。
その影は実体を表すと床に片膝を付け、頭を垂れた。
「紗国王より派遣されました、跳光部隊の隊長、波呂でございます。薫様の……お加減は……」
「……」
「あの」
「あ、いや……この部屋は私が防御を張っていたのだが……」
「ええ、我ら跳光の者に魔力による防御壁は意味をなしません」
「なんと……」
私は驚いたが、ぐずぐずはしていられない。
「……その、我らがなんら策を講じていないことを、不審に思っておるだろうが、この国にはそもそも軍がいないのだ。父……阿羅彦の手となり足となり目となる魔術師のみを養成しており、各国に派遣されているそれらの目を通し、誘拐や謀をしてるというのが真実だ」
「……」
「であるから、父はそなたらがここで諜報活動をしていることは、感づいているに違いない。急ぎ皆の元へ戻られるがよい。私からは蘭紗に一言……この城の最深部に到達できるのは蘭紗を置いて他はない。よろしく頼むと、伝えてくれ」
「ハッ」
「……あの」
薫どのの微かな声に弾かれたようにこちらを向く壮年の黒衣装の男は真剣な面持ちで薫どのを見つめた。
「ら、んじゃさまに……ぼくはここで、なわひこさんと……しずかにまっていますと……」
それだけの言葉を絞り出すとフウとため息とともに目を瞑った。
「……薫様……了解いたしました、必ずお伝えいたします。お気を確かに……ここでお待ちください」
黒衣装の男は一瞬ためらったように見えたが、私にもう一度目をやると、ゆっくりと力強く頷き、さっと姿を消した。
呆れるほどに隠密を上手く使う。
紗国の歴史は長く、跳光家というのも噂で知っていた、が、ここまでとは……と舌を巻く。
さすが蘭紗の部下だけある。
私はもう一度グラスに手拭いを入れ湿らせると、薫どのの可愛らしい唇にそっと当てる。
薫どのはハッと目を開けるとまた必死にちゅうちゅうと吸い取っていく。
「何も食べておられません。汁だけでも、いかがでしょうか」
「た、たべられるでしょうか……」
「ゆっくりとでいいのですよ、私がお世話しますから……匙で口に運びましょうね」
「は、はじめは、他のかたに、させると……そういってたのに、結局、なわひこさんに……なにもかもしてもらうことに……」
「そんな……気になさらずに」
「……ありがとう」
薫どのは弱々しく……眩しく美しい笑顔を見せてくれた。
私の心はその笑顔で優しく満たされていく。
私は薫様の頭をゆっくりと枕に戻し、急ぎ厨房へ要望を出した。
まもなくたった数人しかいない味方の一人が盆に器を二つ乗せてきた。
「波羽彦様、二日間絶食状態の薫様ですから……具無しの味噌汁と、それからこれは……私の兄が紗国にいるのですが、その兄から聞きました薬湯です。作る際にはどちらも裏の湧き水から作りましたので、影響は少ないかと思うのですが……」
「ああ、ありがとう」
彼女は私の頬の腫れが引き、傷も癒えているのを確認して、胸の包帯を取った。
こちらの傷は深く、状態はあまり良くない……そもそも昔に負った傷なのだ。
悲しそうな顔で軟膏を塗り包帯を取り換え、次の間で控えていますと退出していった。
ふと見ると苦し気な寝息をたてている薫どのがいた。
自らの手を伸ばせばそこにいるということに幸せが沸き上がってくる。
しかし、同時にもうすぐこの至福の時は終わり、この方とも永遠の別れが来ることを私は知っている。
「らんじゃさま……」
びくっとして体が固まる。
私が恋する人は、うわ言で蘭紗の名を呼び閉じられた目から涙をこぼす。
その涙はどんな輝石よりも美しくきらめき、そして私の心を締め付ける。
震える手できれいな手拭いを取り、その涙をぬぐう。
こんな風に愛されてみたかった。
一度だけでも。
「……ぁ」
目が開き、私と同じ黒い瞳が見えた。
「……ねて、しまっていた、ようです、すみませ、ん」
「あやまることはありません、よろしかったら……味噌汁を一口でも、いかがでしょう?」
「ここにも、みそが」
「はい、父は日本から来たお嫁様ですから」
薫どのはゆっくりと目を閉じ、そして少し食べますといって、起きようとした。
私は枕を敷き詰め上半身を支え、そばで抱きかかえるようにして、ぬるい味噌汁を匙で少量口にいれた。
「おいしい……」
弱々しく微笑む薫どのの顔を私はいつまでも眺めていたかった。
「ぎもん、が、あります」
「え?……あ、なんでしょう?」
「にほんは……4000年まえ、にほんではありませんでした、まだ、ほら穴などにすんだり、ぼくの……」
ゴホンと咳き込んだ薫どのを思わず抱きしめた。
抵抗する気力もないのか、薫どのは一瞬ためらったあと、私の肩に顔を置いて、苦しそうな息を整えている。
「ぼ、ぼくの記憶が……ただしいなら、その時代は、縄文時代?だったような……とにかく、文明がすすんでいる時代ではないのです」
「……それは……しかし、建国紀は最初の1000年のことを父自ら著したもので、そこにはっきりと日本の東京に住んでいた男子高校生だったと」
「……っ!」
薫どのは私の腕の中で体を緊張させた。
「……そ、それは……もしかして、ぼくが、いた時代と……そう変わらない時代に、おなじ土地にいたかも……しれません、僕も東京にいたのですよ……でも……1000年前って……」
「え!」
私は全身から汗が噴き出るのを感じた。
「まさか……父は、日本の東京に住んでいたと……そう書いてあるのですよ。これを知るものは王族のほかありません、建国紀は持ち出しできませんから、あなたは本当に、東京から?」
「はい、……僕はそこにすんでいました……あの、にほんの年号などは?」
「年号……そういえば、平成というのがそれでしょうか?」
「……!」
「……そうなのですね、そうでしたら、平成の13年生まれと記述がありました、面白い表記なので良く覚えていますよ。わかりますか?その意味が……」
私は肩にある薫どのの顔を覗き込んだ。
「……それは、僕と同じ生まれ年です……」
震えながら呟く薫どの。
「……異世界を渡るというのは、時間も移動しているということなのでしょうか?あちらとこちらは同じ時間を共有しているわけではないのでしょうか……」
「その……なまえは、なんだったのでしょう?」
「日本にいたときの名前ですか?……澄川新人と記してありました。いつのころに阿羅彦となったかは、わかりません」
薫どのが、震えた唇を動かした。
「す、すみかわあらと……まさか、そんな」
「え?」
「新人君は……僕の、おさななじみ……」
私たちの視線が絡み合った。
16
あなたにおすすめの小説
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!
夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。 ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる