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夜景
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祭りの初日ということもあってか、夜になっても鳥居からすごい長さの行列が続いている。
素晴らしい夜景だった。
皆が手に提灯を持ち明かりを灯しているので、それが森の中に繋がってずっと先まで伸びているのだ。
いつもは閉じられている城の敷地もお祭りの間は開かれている。
この光景は観光名物でもあるので、他国からの大勢押し寄せる、特に今年は多いのだという。
「きれい……」
「そうだな……小さい頃より我もこの眺めは気に入っていたぞ」
横から聞こえるステキな声で余計にうっとりしながら振り向くと、腰まで水に浸かった裸の蘭紗様が、ふさふさの三本の尾を背に、木に灯したランタンの明かりでほんのりと照らされて、それはもう……映画のワンシーンのような美しさで……胸がきゅんって痛んだ。
愛してる人を美しいと思うだけで、胸が痛むものなんだね。
「どうした?泳がぬのか?」
「ふふ、あとで!今はこの皆が並んでいる列の明かりを見ているのが……とっても幸せなんです」
「そうか……」
今、僕達はプールに入って街を眺めているのだ。
60階の屋上から少しせり出すように岩場を造ってくれていて、そこから良渡せるんだ。
もちろん危なくないように魔術の防護壁があるんだよ!
思い描いた通り、楕円形の湖のようなプールは直径が25メートルほどあり、そして白樺に似た木がぐるりと取り囲んでいて、その下生えには白い花を付ける低木と、スズランに似た薄い紫と水色と白い花が美しく植えてある。
ふわっと花の良い香りも漂ってくる。
「それにしても、これだけの工事をこんなに早く終えてしまうなんて……半年くらいは掛かるかと思っていました」
「ああ……薫が攫われた時に、この工事を担当した建設者が、帰国したときにこのプールでぜひとも心を休めてほしいと願ってな、作業するもの含め皆ほぼ不眠不休でやり遂げたようだ」
「え! そんな無茶を?」
「うむ……だが、何かしていなければ不安だったのだろう。その気持ちはわかるぞ」
「……僕は本当に幸せ者です、皆に愛されて大事にされて」
「当たり前だろう、私の嫁なのだ、そしてなりよりそなたはかわいいからな」
「……ん、かわいいかどうかはあれですけど……もう心配は掛けたくないですね」
ふふと笑って蘭紗様にパシャっと水をかけてみた。
水しぶきは蘭紗様の鍛えた胸辺りにかかり、濡れた体が明かりに照らされハッとするほどセクシーになっちゃって僕はおろおろしてしまった。
かっこよすぎて! 目に毒なんですからね!
「なんだ薫……自分からかけておいて、その行動はどういうことだ」
蘭紗様は恥ずかしがる僕を、わざと襲い掛かるようにしてガオーっと捕まえてくる。
僕は咄嗟に泳いで逃げてあっという間に差を付けた。
蘭紗様もスイっとひとかきで僕に追いつく、負けるもんか!ってくるっと水中でターンして反対側に逃げたら、ハハ!って大きく笑ってまたあっという間に追いついてくる。
「もう蘭紗様! なんでそんなに上手いんですか!」
「我は泳ぎに関してはそれほど得意ではないぞ?」
「嘘ですー、すいすい泳ぐし結構早いし」
「だが、あえて言うなら身長差もかなりあるしな、そういうのもあるだろう」
蘭紗様がちょっと悪そうに片方の眉をふふんと上げて自慢するので、僕は「もー!」って言いながら蘭紗様の胸をポンポン叩いた。
すると手をぎゅっと持たれて、すいっと星空の空中に連れていかれた。
「んあああ!」
「怖くはないだろう?我の腕の中だぞ」
「ん!! はい……怖くないし、幸せだし、楽しいですし」
ハハハ!と大きく笑った蘭紗様は僕を背中から抱きしめて宙に浮いたまま、髪の毛にたくさんのキスを落としてきた。
「薫……本当に、毎日毎日確認せずにはいられない。戻ってきたのだな、薫。本当によかった」
切なそうな声に胸が締め付けられる。
咄嗟に言葉が出なくて背中から回されたたくましい腕を包み込むように抱きしめる。
ああ、愛しています蘭紗様
「ほら、見てごらん。あの明かりの列は城下町の大通りまで繋がっているのだよ、祭りの間は夜も昼もなく、この行列は繋がり続けるのだ。皆……祭りの中断に文句ひとつ言わずただそなたを心配していた」
蘭紗様の静かな穏やかな話し方は、僕をふんわり包んで心が温かくなる。
「我は涼鱗がいなければ、そなたがいなくなった悲しみで狼狽し、街を吹き飛ばすところだった……街中で威嚇してしまってもいた。そんな我を皆は怒るどころか心配し、そして薫の帰りを待っていたのだ」
どこか寂し気にも見える蘭紗様の頬にそっと触れてそこにキスをした。
……もう安心して、もうそばにいるからって。
「……今年のこの明かりの列は、良い風を呼ぶためや雨乞いなどではなく、そなたの無事を祝しているのだよ。だからこんなにも美しいのだ」
僕は蘭紗様の体温を感じながら明かりの行列を見て胸がいっぱいになった。
ありがとう皆。
「……薫」
呼ばれて少し振り向くと、蘭紗様が銀色に輝く瞳でじっと見つめてきた。
「体はもう、大丈夫か?」
その蘭紗様の声色にドキッとした。
欲を孕んだゾクッとするようなまなざしで見つめられて、僕の体の中心に熱が集まってくるのを感じた。
「あの」
「その……僑から無理をさせるなと釘をさされていたので、あれなのだが」
蘭紗様はきまり悪そうに少し視線を泳がせた。
「えええ?……まさかそんな、僕はもう大丈夫ですよ」
だからだったのか……帰国してから同じお布団で寝ているのにどうしてかお休みのチュウで終わっていたからホントは少し寂しかったのだ。
「僕、蘭紗様に抱かれたいです」
「……そなたは」
蘭紗様は僕の手を握り、もう片方の手で頬に手をやり、優しいキスをしてくれた。
闇夜に浮かんで、僕たちはきっと寄り添う一つのシルエットになっているよね。
僕たちはお互いの愛を再確認して、そしてもう決して離れないと心に誓ったんだよ。
こんなに美しい夜を一緒に迎えられて本当にうれしい。
これから先もずっと、何回も、こんな夜を過ごしましょうね、蘭紗様。
素晴らしい夜景だった。
皆が手に提灯を持ち明かりを灯しているので、それが森の中に繋がってずっと先まで伸びているのだ。
いつもは閉じられている城の敷地もお祭りの間は開かれている。
この光景は観光名物でもあるので、他国からの大勢押し寄せる、特に今年は多いのだという。
「きれい……」
「そうだな……小さい頃より我もこの眺めは気に入っていたぞ」
横から聞こえるステキな声で余計にうっとりしながら振り向くと、腰まで水に浸かった裸の蘭紗様が、ふさふさの三本の尾を背に、木に灯したランタンの明かりでほんのりと照らされて、それはもう……映画のワンシーンのような美しさで……胸がきゅんって痛んだ。
愛してる人を美しいと思うだけで、胸が痛むものなんだね。
「どうした?泳がぬのか?」
「ふふ、あとで!今はこの皆が並んでいる列の明かりを見ているのが……とっても幸せなんです」
「そうか……」
今、僕達はプールに入って街を眺めているのだ。
60階の屋上から少しせり出すように岩場を造ってくれていて、そこから良渡せるんだ。
もちろん危なくないように魔術の防護壁があるんだよ!
思い描いた通り、楕円形の湖のようなプールは直径が25メートルほどあり、そして白樺に似た木がぐるりと取り囲んでいて、その下生えには白い花を付ける低木と、スズランに似た薄い紫と水色と白い花が美しく植えてある。
ふわっと花の良い香りも漂ってくる。
「それにしても、これだけの工事をこんなに早く終えてしまうなんて……半年くらいは掛かるかと思っていました」
「ああ……薫が攫われた時に、この工事を担当した建設者が、帰国したときにこのプールでぜひとも心を休めてほしいと願ってな、作業するもの含め皆ほぼ不眠不休でやり遂げたようだ」
「え! そんな無茶を?」
「うむ……だが、何かしていなければ不安だったのだろう。その気持ちはわかるぞ」
「……僕は本当に幸せ者です、皆に愛されて大事にされて」
「当たり前だろう、私の嫁なのだ、そしてなりよりそなたはかわいいからな」
「……ん、かわいいかどうかはあれですけど……もう心配は掛けたくないですね」
ふふと笑って蘭紗様にパシャっと水をかけてみた。
水しぶきは蘭紗様の鍛えた胸辺りにかかり、濡れた体が明かりに照らされハッとするほどセクシーになっちゃって僕はおろおろしてしまった。
かっこよすぎて! 目に毒なんですからね!
「なんだ薫……自分からかけておいて、その行動はどういうことだ」
蘭紗様は恥ずかしがる僕を、わざと襲い掛かるようにしてガオーっと捕まえてくる。
僕は咄嗟に泳いで逃げてあっという間に差を付けた。
蘭紗様もスイっとひとかきで僕に追いつく、負けるもんか!ってくるっと水中でターンして反対側に逃げたら、ハハ!って大きく笑ってまたあっという間に追いついてくる。
「もう蘭紗様! なんでそんなに上手いんですか!」
「我は泳ぎに関してはそれほど得意ではないぞ?」
「嘘ですー、すいすい泳ぐし結構早いし」
「だが、あえて言うなら身長差もかなりあるしな、そういうのもあるだろう」
蘭紗様がちょっと悪そうに片方の眉をふふんと上げて自慢するので、僕は「もー!」って言いながら蘭紗様の胸をポンポン叩いた。
すると手をぎゅっと持たれて、すいっと星空の空中に連れていかれた。
「んあああ!」
「怖くはないだろう?我の腕の中だぞ」
「ん!! はい……怖くないし、幸せだし、楽しいですし」
ハハハ!と大きく笑った蘭紗様は僕を背中から抱きしめて宙に浮いたまま、髪の毛にたくさんのキスを落としてきた。
「薫……本当に、毎日毎日確認せずにはいられない。戻ってきたのだな、薫。本当によかった」
切なそうな声に胸が締め付けられる。
咄嗟に言葉が出なくて背中から回されたたくましい腕を包み込むように抱きしめる。
ああ、愛しています蘭紗様
「ほら、見てごらん。あの明かりの列は城下町の大通りまで繋がっているのだよ、祭りの間は夜も昼もなく、この行列は繋がり続けるのだ。皆……祭りの中断に文句ひとつ言わずただそなたを心配していた」
蘭紗様の静かな穏やかな話し方は、僕をふんわり包んで心が温かくなる。
「我は涼鱗がいなければ、そなたがいなくなった悲しみで狼狽し、街を吹き飛ばすところだった……街中で威嚇してしまってもいた。そんな我を皆は怒るどころか心配し、そして薫の帰りを待っていたのだ」
どこか寂し気にも見える蘭紗様の頬にそっと触れてそこにキスをした。
……もう安心して、もうそばにいるからって。
「……今年のこの明かりの列は、良い風を呼ぶためや雨乞いなどではなく、そなたの無事を祝しているのだよ。だからこんなにも美しいのだ」
僕は蘭紗様の体温を感じながら明かりの行列を見て胸がいっぱいになった。
ありがとう皆。
「……薫」
呼ばれて少し振り向くと、蘭紗様が銀色に輝く瞳でじっと見つめてきた。
「体はもう、大丈夫か?」
その蘭紗様の声色にドキッとした。
欲を孕んだゾクッとするようなまなざしで見つめられて、僕の体の中心に熱が集まってくるのを感じた。
「あの」
「その……僑から無理をさせるなと釘をさされていたので、あれなのだが」
蘭紗様はきまり悪そうに少し視線を泳がせた。
「えええ?……まさかそんな、僕はもう大丈夫ですよ」
だからだったのか……帰国してから同じお布団で寝ているのにどうしてかお休みのチュウで終わっていたからホントは少し寂しかったのだ。
「僕、蘭紗様に抱かれたいです」
「……そなたは」
蘭紗様は僕の手を握り、もう片方の手で頬に手をやり、優しいキスをしてくれた。
闇夜に浮かんで、僕たちはきっと寄り添う一つのシルエットになっているよね。
僕たちはお互いの愛を再確認して、そしてもう決して離れないと心に誓ったんだよ。
こんなに美しい夜を一緒に迎えられて本当にうれしい。
これから先もずっと、何回も、こんな夜を過ごしましょうね、蘭紗様。
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