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はじめてのお出かけ2
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まもなく着陸した馬車から出ると、出迎えの人々に歓迎されて囲まれてしまった。
港町の人々はとても人懐っこいので、距離感が近いんだ……
久利紗様はまだ人慣れしていないから、これは!と、僕は少し焦ったけれど、輝くような笑顔で人々を見渡し、そして皆の言葉に丁寧に頷いていた。
その姿はどこから見ても王族のそれで、やはりこの方は生まれながらの王女なのだと眩しく思えた。
「薫、久利紗様、おつかれではないですか?」
にこやかに現れたのは涼鱗さんとカジャルさん、そして二人の間には香夜葉がいた。
香夜葉はさっそく涼鱗さんのお母様から送られた赤い晴れ着を着ている。
丁寧に梳いた髪をきれいに後ろで束ね、上品そうに口をきゅっと引き締めているその姿は、とてもかわいらしい。
ラハーム王妃は涼鱗さんらが子を迎え入れたと聞いてすぐ、布地を送ってこられたそうだ。
まるで、用意していたかのように……というか、十中八九用意してたと思うんだよね……。
僕は心の中で、いたずらっ子のように目を光らせる美しい貴婦人を思い描いて笑ってしまった。
「おふたりとも、お出迎えありがとう。こちらは久利紗様です」
「久利紗じゃ、よしなに」
「こちらこそ、久利紗様」
涼鱗さんとカジャルさんは丁寧な礼をした。
香夜葉もぎこちなくだが、練習したらしく頭を下げる。
「香夜葉!」
僕の手を握っていた翠が、香夜葉を見つけて嬉しそうに駆け寄って行った。
香夜葉も緊張した顔から少し笑顔になって翠に駆け寄った。
「翠紗さま、お空の馬車、遠くからでもよく見えました……僕も乗ってみたいです」
「ほんと?!なら、帰りは一緒に乗ろう!」
「え!いいのかな?」
香夜葉は不安げに涼鱗さんとカジャルさんを見上げた。
優しくうなずいてくれた二人に安心して、次に僕を見つめた。
「香夜葉、帰りは一緒に乗ろうね、4人で」
「はい!」
僕たちは普通の馬車に乗り換えて迎賓館へと向かった。
涼鱗さんはここからは別行動なので、そこで一旦お別れした。
途中、車中から建設中のカジノの建物が見えた。
香夜葉が一瞬ハッとして目を見開いたので、僕は心配してしまったけれど、香夜葉の手はカジャルさんにしっかりと握られていて、守られているなと感じた。
この子にとってここは生まれ故郷なんだろうけど……ふるさとが誰にとってもいい思い出だけとは限らない。
ここにいて懐かしく思うことも、大好きな人を思い出すことも、今は辛いかもしれない。
そして何より、更地となっているこの辺りを見て、どんな思いがするのだろうか。
貧しい中でも精一杯愛情を込められて育った香夜葉にとって、大好きだった母との思い出も瓦礫となってしまったのだから。
「香夜葉……新しく生まれ変わったら、またゆっくりと視察に来ような。おまえも知っている料理屋の女主人のイオも、ここのカジノで働くんだよ。会いたいか?」
「イオが?」
香夜葉はカジャルさんの言葉にすぐに返事をしなかったが、やがて困ったような顔で小さな声で「うん」と答えた。
育ての親に遠慮をしているのかもしれないな……そう思うとなんだか切なかった。
だけどそれはきっと、いつか時間をかけて馴染んでいくことなのだろう。
カジャルさんはしっかりと香夜葉を見ているし、涼鱗さんだって愛情のこもった優しい眼差しで見つめているのだから。
「移動で疲れているだろうが、迎賓館に到着したら、まず着替えて晩餐会の準備をお願いしたい。侍女らも待機しているはずだ」
「各国の来賓の方々をおもてなしするのですよね?」
「ああ、今夜の会を取り仕切るのは薫様だ、王妃として初めての国際舞台だな」
「わかってますって……だけどそんな緊張するような煽り方しないでもらえます?」
「だって、そうじゃないか……」
「でも!言い方!」
「フフフ、そなたら兄弟のようじゃな、そこまで仲が良いとは思わなんだ」
「あ……」
僕たちはお互い見つめ合って、それからスッと目線を外した。
「まあ、この世界ではじめてできた親友がカジャルさんですから……」
「え……そ、そんな風に言われたら、うれしいっていうか……なんかもうちょっと他の言い方ないのかよ」
「フフフ、おかしな二人じゃな」
久利紗様が嬉しそうに笑ってくれて僕は満足した。
港町の人々はとても人懐っこいので、距離感が近いんだ……
久利紗様はまだ人慣れしていないから、これは!と、僕は少し焦ったけれど、輝くような笑顔で人々を見渡し、そして皆の言葉に丁寧に頷いていた。
その姿はどこから見ても王族のそれで、やはりこの方は生まれながらの王女なのだと眩しく思えた。
「薫、久利紗様、おつかれではないですか?」
にこやかに現れたのは涼鱗さんとカジャルさん、そして二人の間には香夜葉がいた。
香夜葉はさっそく涼鱗さんのお母様から送られた赤い晴れ着を着ている。
丁寧に梳いた髪をきれいに後ろで束ね、上品そうに口をきゅっと引き締めているその姿は、とてもかわいらしい。
ラハーム王妃は涼鱗さんらが子を迎え入れたと聞いてすぐ、布地を送ってこられたそうだ。
まるで、用意していたかのように……というか、十中八九用意してたと思うんだよね……。
僕は心の中で、いたずらっ子のように目を光らせる美しい貴婦人を思い描いて笑ってしまった。
「おふたりとも、お出迎えありがとう。こちらは久利紗様です」
「久利紗じゃ、よしなに」
「こちらこそ、久利紗様」
涼鱗さんとカジャルさんは丁寧な礼をした。
香夜葉もぎこちなくだが、練習したらしく頭を下げる。
「香夜葉!」
僕の手を握っていた翠が、香夜葉を見つけて嬉しそうに駆け寄って行った。
香夜葉も緊張した顔から少し笑顔になって翠に駆け寄った。
「翠紗さま、お空の馬車、遠くからでもよく見えました……僕も乗ってみたいです」
「ほんと?!なら、帰りは一緒に乗ろう!」
「え!いいのかな?」
香夜葉は不安げに涼鱗さんとカジャルさんを見上げた。
優しくうなずいてくれた二人に安心して、次に僕を見つめた。
「香夜葉、帰りは一緒に乗ろうね、4人で」
「はい!」
僕たちは普通の馬車に乗り換えて迎賓館へと向かった。
涼鱗さんはここからは別行動なので、そこで一旦お別れした。
途中、車中から建設中のカジノの建物が見えた。
香夜葉が一瞬ハッとして目を見開いたので、僕は心配してしまったけれど、香夜葉の手はカジャルさんにしっかりと握られていて、守られているなと感じた。
この子にとってここは生まれ故郷なんだろうけど……ふるさとが誰にとってもいい思い出だけとは限らない。
ここにいて懐かしく思うことも、大好きな人を思い出すことも、今は辛いかもしれない。
そして何より、更地となっているこの辺りを見て、どんな思いがするのだろうか。
貧しい中でも精一杯愛情を込められて育った香夜葉にとって、大好きだった母との思い出も瓦礫となってしまったのだから。
「香夜葉……新しく生まれ変わったら、またゆっくりと視察に来ような。おまえも知っている料理屋の女主人のイオも、ここのカジノで働くんだよ。会いたいか?」
「イオが?」
香夜葉はカジャルさんの言葉にすぐに返事をしなかったが、やがて困ったような顔で小さな声で「うん」と答えた。
育ての親に遠慮をしているのかもしれないな……そう思うとなんだか切なかった。
だけどそれはきっと、いつか時間をかけて馴染んでいくことなのだろう。
カジャルさんはしっかりと香夜葉を見ているし、涼鱗さんだって愛情のこもった優しい眼差しで見つめているのだから。
「移動で疲れているだろうが、迎賓館に到着したら、まず着替えて晩餐会の準備をお願いしたい。侍女らも待機しているはずだ」
「各国の来賓の方々をおもてなしするのですよね?」
「ああ、今夜の会を取り仕切るのは薫様だ、王妃として初めての国際舞台だな」
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「でも!言い方!」
「フフフ、そなたら兄弟のようじゃな、そこまで仲が良いとは思わなんだ」
「あ……」
僕たちはお互い見つめ合って、それからスッと目線を外した。
「まあ、この世界ではじめてできた親友がカジャルさんですから……」
「え……そ、そんな風に言われたら、うれしいっていうか……なんかもうちょっと他の言い方ないのかよ」
「フフフ、おかしな二人じゃな」
久利紗様が嬉しそうに笑ってくれて僕は満足した。
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