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愛する人たち2
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寝ぼけ眼の翠を起こし、出発のための着替えをさせる。
ゆらゆらと左右に揺れながら、目が半分しか開いていない小さな翠が可愛くて思わず笑ってしまう。
昨晩用意しておいた着物を着せると翠を抱っこして、自分の部屋へと移動した。
翠付きの侍女には昨日からすでに休暇を取らせている、2人は母と娘なので久しぶりに一緒に実家へ戻り、家族のもとでくつろいでくれているだろう。
部屋に戻って翠をソファーに下ろし、自分の身だしなみをもう一度チェックして、それから仙に伝えた。
「仙、皆はもう帰った?」
「はい、昨夜のうちに」
「そう、今は気候がいいからね、夜でも移動できるよね」
「はい、薫様が馬車を出してくださってますし」
「仙は本当に僕と一緒に来るの?里に戻らなくていい? 5日もあるんだよ?」
「はい、私は……薫様のお供がしたいのです。どうぞ連れて行ってくださいませ」
「……そう?ほんとにいつもありがとうね」
「いえ……私の方こそ、侍女たちの実家のことにまでお心を砕いてくださる薫様が……本当に誇らしくて、自慢の主人でございます」
「エヘ……照れちゃう」
仙の笑顔は底抜けに明るくて、いつも自分を厳しく律している侍女長とは思えなかった。
僕の前だけで見せてくれる表情なんだよね。
「そうだ……神様へのお供え物なんだけど」
「はい、すでにお着替えやその他の荷物は、馬車に運び入れてあります」
「うん、ありがとう」
僕は、蝶の蛹から取れる美しい布で、またスヤスヤと眠り始めた翠を包んで抱き上げた。
夏とはいえ、朝晩はそれほど温度が上がらないから、薄くても温かいこの布がおくるみに一番良いのだ。
僕は腕の中で眠る翠を見つめた。
……まだ夜明け前だし寝ていてくれて構わないんだけど、お外を見るのを楽しみにしていたから、途中で起こしてあげなくちゃね。
僕は、ナナをカゴに入れて手に持った仙と一緒に廊下に出た。
そこで待っていた近衛と共に空の門に向かう。
「山間部まで、馬車だと1日以上かかるのかな?」
「いえ、今回も天馬の馬車ですので、ゆっくりでも2時間ほどでしょう」
「えー……天馬ってほんと早いんだね」
「はい、天馬らが最高速を出すと、近衛や跳光ぐらいしか付いていけないかもしれません、もちろん陛下や宰相様は余裕でしょうが」
「なるほど……」
空の門に着くと、3頭の天馬が空を飛ぶ用の馬車とともに待っていてくれた。
蘭紗様と涼鱗さん、そしてカジャルさんと香夜葉もいる。
翠は僕の腕の中でまた寝てしまっているけど、香夜葉はキリっと起きていて、さすがあれぐらいの年にもなると違うなと感心してしまった。
「みんな、おまたせしてごめんなさい」
「いや、先ほどきたところだよ、翠は寝てるの?」
「はい、着替えさせる時にむにゃむにゃ起きてたんですけど、また寝ちゃいました」
皆の顔が笑顔になって、僕の抱っこする翠の顔を覗き込む。
本当に小さくて可愛らしい。
最近はまた少し体重が増え、ふくよかなぷくぷくのお手々になってきた。
「どうぞ、お乗りくださいませ」
二頭引きの馬車の扉を近衛が開けてくれた。
僕はスッと飛翔して馬車のステップに乗った。
最初はこの一歩が足が届かないと焦ったものだ、この世界では飛翔ありきなのだと頭が追いついて無くて……
でもこうやって体が馴染んできたら、戸惑うこともなくなった。
すっかり紗国の人になったんだなと感慨深い。
王族仕様のかなり広めの馬車に他の4人も乗り込み、皆がゆったりと座った。
侍女らと侍従の何人かは、天馬一頭引きの別の馬車に乗り込む、そちらには大人3人だ。
ナナもあちらの馬車で面倒をみてもらうことになっている。
天馬は空を飛ぶので重量がいくら重くてもあまり関係ないそうで、僕達大人4人と子供2人、そしてそれぞれの荷物があるというのに、空へ軽々と駆け出す天馬達。
ふわっと空に持ち上がる独特の感覚がこそばゆい。
窓の外から見えるのは、近衛らと、それから少し後ろを1頭で馬車を引いて飛ぶ天馬。
僕は窓から顔を出して、それぞれの名前を呼んで「ありがとう!」と言った。
「ヒヒン」といなないて機嫌よく目的地に向かってくれる3頭もほんとに可愛らしい。
抱っこしていた翠を膝の上に寝かせ、蝶の布を掛け直していると、カジャルさんがじっと翠を見つめてきた。
「翠紗様は、少し大きくなったようだな」
「そう?」
「そう言えば、学び舎で身長を測ったら少し伸びていたと喜んでいました」
香夜葉はハキハキと教えてくれた。
この春から学び舎に通い始めた香夜葉は、めきめきと頭角を表しているのだと聞いている。
スポンジが水を吸うように貪欲に勉学に励んでいるということだ。
涼鱗さんがとても熱心に読み書きを教えたようなのだ。
彼なりに親が求めてくれることに、一生懸命に応えようとしているのだろうと思うと、いじらしかった。
もうだいぶ見慣れた紗国の景色を見ながら、皆でおしゃべりしてあっという間に現地に着いた。
途中、馬車の中から見る夜明けは最高に美しくて、思わず翠を起こして皆で歓声をあげた。
やっぱり朝日って特別な力がある……そんな気がするよね。
とてもとても優しい光と温かさなんだ。
皆の顔も朝日に照らされてとっても幸せそうに輝いていたよ。
ゆらゆらと左右に揺れながら、目が半分しか開いていない小さな翠が可愛くて思わず笑ってしまう。
昨晩用意しておいた着物を着せると翠を抱っこして、自分の部屋へと移動した。
翠付きの侍女には昨日からすでに休暇を取らせている、2人は母と娘なので久しぶりに一緒に実家へ戻り、家族のもとでくつろいでくれているだろう。
部屋に戻って翠をソファーに下ろし、自分の身だしなみをもう一度チェックして、それから仙に伝えた。
「仙、皆はもう帰った?」
「はい、昨夜のうちに」
「そう、今は気候がいいからね、夜でも移動できるよね」
「はい、薫様が馬車を出してくださってますし」
「仙は本当に僕と一緒に来るの?里に戻らなくていい? 5日もあるんだよ?」
「はい、私は……薫様のお供がしたいのです。どうぞ連れて行ってくださいませ」
「……そう?ほんとにいつもありがとうね」
「いえ……私の方こそ、侍女たちの実家のことにまでお心を砕いてくださる薫様が……本当に誇らしくて、自慢の主人でございます」
「エヘ……照れちゃう」
仙の笑顔は底抜けに明るくて、いつも自分を厳しく律している侍女長とは思えなかった。
僕の前だけで見せてくれる表情なんだよね。
「そうだ……神様へのお供え物なんだけど」
「はい、すでにお着替えやその他の荷物は、馬車に運び入れてあります」
「うん、ありがとう」
僕は、蝶の蛹から取れる美しい布で、またスヤスヤと眠り始めた翠を包んで抱き上げた。
夏とはいえ、朝晩はそれほど温度が上がらないから、薄くても温かいこの布がおくるみに一番良いのだ。
僕は腕の中で眠る翠を見つめた。
……まだ夜明け前だし寝ていてくれて構わないんだけど、お外を見るのを楽しみにしていたから、途中で起こしてあげなくちゃね。
僕は、ナナをカゴに入れて手に持った仙と一緒に廊下に出た。
そこで待っていた近衛と共に空の門に向かう。
「山間部まで、馬車だと1日以上かかるのかな?」
「いえ、今回も天馬の馬車ですので、ゆっくりでも2時間ほどでしょう」
「えー……天馬ってほんと早いんだね」
「はい、天馬らが最高速を出すと、近衛や跳光ぐらいしか付いていけないかもしれません、もちろん陛下や宰相様は余裕でしょうが」
「なるほど……」
空の門に着くと、3頭の天馬が空を飛ぶ用の馬車とともに待っていてくれた。
蘭紗様と涼鱗さん、そしてカジャルさんと香夜葉もいる。
翠は僕の腕の中でまた寝てしまっているけど、香夜葉はキリっと起きていて、さすがあれぐらいの年にもなると違うなと感心してしまった。
「みんな、おまたせしてごめんなさい」
「いや、先ほどきたところだよ、翠は寝てるの?」
「はい、着替えさせる時にむにゃむにゃ起きてたんですけど、また寝ちゃいました」
皆の顔が笑顔になって、僕の抱っこする翠の顔を覗き込む。
本当に小さくて可愛らしい。
最近はまた少し体重が増え、ふくよかなぷくぷくのお手々になってきた。
「どうぞ、お乗りくださいませ」
二頭引きの馬車の扉を近衛が開けてくれた。
僕はスッと飛翔して馬車のステップに乗った。
最初はこの一歩が足が届かないと焦ったものだ、この世界では飛翔ありきなのだと頭が追いついて無くて……
でもこうやって体が馴染んできたら、戸惑うこともなくなった。
すっかり紗国の人になったんだなと感慨深い。
王族仕様のかなり広めの馬車に他の4人も乗り込み、皆がゆったりと座った。
侍女らと侍従の何人かは、天馬一頭引きの別の馬車に乗り込む、そちらには大人3人だ。
ナナもあちらの馬車で面倒をみてもらうことになっている。
天馬は空を飛ぶので重量がいくら重くてもあまり関係ないそうで、僕達大人4人と子供2人、そしてそれぞれの荷物があるというのに、空へ軽々と駆け出す天馬達。
ふわっと空に持ち上がる独特の感覚がこそばゆい。
窓の外から見えるのは、近衛らと、それから少し後ろを1頭で馬車を引いて飛ぶ天馬。
僕は窓から顔を出して、それぞれの名前を呼んで「ありがとう!」と言った。
「ヒヒン」といなないて機嫌よく目的地に向かってくれる3頭もほんとに可愛らしい。
抱っこしていた翠を膝の上に寝かせ、蝶の布を掛け直していると、カジャルさんがじっと翠を見つめてきた。
「翠紗様は、少し大きくなったようだな」
「そう?」
「そう言えば、学び舎で身長を測ったら少し伸びていたと喜んでいました」
香夜葉はハキハキと教えてくれた。
この春から学び舎に通い始めた香夜葉は、めきめきと頭角を表しているのだと聞いている。
スポンジが水を吸うように貪欲に勉学に励んでいるということだ。
涼鱗さんがとても熱心に読み書きを教えたようなのだ。
彼なりに親が求めてくれることに、一生懸命に応えようとしているのだろうと思うと、いじらしかった。
もうだいぶ見慣れた紗国の景色を見ながら、皆でおしゃべりしてあっという間に現地に着いた。
途中、馬車の中から見る夜明けは最高に美しくて、思わず翠を起こして皆で歓声をあげた。
やっぱり朝日って特別な力がある……そんな気がするよね。
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皆の顔も朝日に照らされてとっても幸せそうに輝いていたよ。
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