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愛する人たち3 -最終話ー
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「蘭紗様、薫様、それに翠紗様!このたびは、またこの地においでいただき、本当に感謝いたしまする」
長老の挨拶を受け、久しぶりに見る北部の山々を見渡した。
あの時はどこを見ても真っ白な雪ばかりだった。
雪崩被害が出た直後だったので、自然の驚異が恐ろしくもあった。
だけど今は、遅い夏を迎えようとしている北部の山には、青々と葉が茂っている。
そして、一面に咲く白い花も見え、それが紗国原産のぶどうの花だと聞いて頷いた。
翠は、嬉しそうにそれをじっと見る。
荘園で働いていた頃、見ていた光景なのだろう。
そのまま涼鱗さんとカジャルさんは、山間部の雪崩被害の復興について報告を受けてくると言うことで、別行動になった。
蘭紗様と僕と翠だけで先に宿へと案内される。
僕たち家族用に急ごしらえで作られた部屋は、白木の香りも爽やかな美しい日本家屋だった。
宿の本館の離れになっていて、その先にあるこれまた新しく作られた露天風呂に繋がっている。
この大自然の中で露天風呂だなんて!……僕の心はうきうきが止まらない。
カゴから出されたナナもご機嫌で部屋をうろついている。
もこもこしていてとってもかわいい。
「薫、ずっと笑顔だな」
「蘭紗様だって!」
「ぼくも!」
すっかり目覚めた翠も嬉しそうにバンザイをして、ナナと一緒に広い部屋を走り回った。
「どうだ、食事前に朝から露天風呂に行ってみるか?」
「はい!」
僕は仙から3人分のお風呂の準備を受け取った。
そして、露天風呂に向かうために浴衣に着替え、下駄をカランコロン言わせながら3人で歩いた。
本当に温泉情緒たっぷりです!
「わあ!すっごい広い」
庭の向こうに一面に広がる大きな露天風呂は、何種類も作られていている。周囲に見える美しい景色は自然の山並みだ。
しゃれた東屋もあって、そこにはきちんと何種類かの飲み物も置かれてあり、ゆったりと過ごせるよう、配慮がされてあった。
「建設部の者が、薫からスパの構想を聞いただろう?……それを元に色々と工夫を凝らしたのだそうだ、港町の方のスパ計画の方もそろそろ青写真が出来てくる頃だろう」
「そうなのですか!あの方たちはほんとに優秀だから……」
僕は翠の浴衣を脱がせながらもう一度感心して露天風呂を見渡した。
少し話しただけでこれほどのものを作り上げるとは……本当にすごい。
「ぼく、入っていいですか?」
「ちゃんと体を洗ってからね」
「はい!」
翠は、裸んぼうになってシャワーのある方で体をきれいにし始めた。
最近は自分でできるように、色々と教えているところなのだ。
アオアイに行くことになったら、自分でやらなくてはいけないのだしね。
ふんふんと歌いながら体を洗う小さな翠を、蘭紗様も優しい笑顔で見つめている。
僕も浴衣を脱いで、タオルを取った。
蘭紗様が僕に手を差し伸べてくれたので、一緒に手を繋いで洗い場に行き、体をきれいにした。
洗い終わった翠が駆けてきたので、蘭紗様がそのまま抱っこして湯船に浸かった。
僕もその横に座って思わず溜息をついた。
「ふぅ……」
「ああ……いい湯だ」
「熱くもなく、ちょうど良い温度ですね」
「うむ」
「およいでいいですか!」
「泳げるの?」
「はい!学び舎で教えてもらってます」
翠は蘭紗様の手を離れ、すいすいと意外にも達者な泳ぎを見せた。
「上手……」
「ははは!そなたに似たのかもしれないな」
「蘭紗様だって得意じゃないですか」
僕たちは微笑みあって、そしてどちらからともなく近寄ってキスをした。
心があったかくなるような、安心するような……そんなキスだ。
「薫、愛しているよ」
「はい、蘭紗様……僕も愛しています」
僕は頬を赤らめて、そして蘭紗様を見つめ微笑んだ。
いつの間に僕は、こんなにたくさんのものを手に入れたのだろう。
愛する蘭紗様、そしてかわいい翠、それから大好きな友人たち、それに、大切な支えてくれる人々……
ほしいと心から願っても、手に入れられるものなんかじゃない。
それに、これは偶然なんかじゃない。
彼らに会えたのは、僕の運命なんだ。
今は、そう思える。
この運命を大切にしなければ……
神様の存在が常にそばにある……そんな紗国で、僕はこんなにも幸せでいられる。
ありがとうございます。
すべてのことに……感謝いたします。
見上げた空は抜けるように青く……そして美しかった。
ー完ー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最終回となりました。
お読みいただいてありがとうございました。
今後、後日談などの回を上げていく予定ですので、ブクマはそのままにしていただければ幸いです。
感想もぜひとも聞かせてくださいませ、とってもとってもお待ちしております。
長老の挨拶を受け、久しぶりに見る北部の山々を見渡した。
あの時はどこを見ても真っ白な雪ばかりだった。
雪崩被害が出た直後だったので、自然の驚異が恐ろしくもあった。
だけど今は、遅い夏を迎えようとしている北部の山には、青々と葉が茂っている。
そして、一面に咲く白い花も見え、それが紗国原産のぶどうの花だと聞いて頷いた。
翠は、嬉しそうにそれをじっと見る。
荘園で働いていた頃、見ていた光景なのだろう。
そのまま涼鱗さんとカジャルさんは、山間部の雪崩被害の復興について報告を受けてくると言うことで、別行動になった。
蘭紗様と僕と翠だけで先に宿へと案内される。
僕たち家族用に急ごしらえで作られた部屋は、白木の香りも爽やかな美しい日本家屋だった。
宿の本館の離れになっていて、その先にあるこれまた新しく作られた露天風呂に繋がっている。
この大自然の中で露天風呂だなんて!……僕の心はうきうきが止まらない。
カゴから出されたナナもご機嫌で部屋をうろついている。
もこもこしていてとってもかわいい。
「薫、ずっと笑顔だな」
「蘭紗様だって!」
「ぼくも!」
すっかり目覚めた翠も嬉しそうにバンザイをして、ナナと一緒に広い部屋を走り回った。
「どうだ、食事前に朝から露天風呂に行ってみるか?」
「はい!」
僕は仙から3人分のお風呂の準備を受け取った。
そして、露天風呂に向かうために浴衣に着替え、下駄をカランコロン言わせながら3人で歩いた。
本当に温泉情緒たっぷりです!
「わあ!すっごい広い」
庭の向こうに一面に広がる大きな露天風呂は、何種類も作られていている。周囲に見える美しい景色は自然の山並みだ。
しゃれた東屋もあって、そこにはきちんと何種類かの飲み物も置かれてあり、ゆったりと過ごせるよう、配慮がされてあった。
「建設部の者が、薫からスパの構想を聞いただろう?……それを元に色々と工夫を凝らしたのだそうだ、港町の方のスパ計画の方もそろそろ青写真が出来てくる頃だろう」
「そうなのですか!あの方たちはほんとに優秀だから……」
僕は翠の浴衣を脱がせながらもう一度感心して露天風呂を見渡した。
少し話しただけでこれほどのものを作り上げるとは……本当にすごい。
「ぼく、入っていいですか?」
「ちゃんと体を洗ってからね」
「はい!」
翠は、裸んぼうになってシャワーのある方で体をきれいにし始めた。
最近は自分でできるように、色々と教えているところなのだ。
アオアイに行くことになったら、自分でやらなくてはいけないのだしね。
ふんふんと歌いながら体を洗う小さな翠を、蘭紗様も優しい笑顔で見つめている。
僕も浴衣を脱いで、タオルを取った。
蘭紗様が僕に手を差し伸べてくれたので、一緒に手を繋いで洗い場に行き、体をきれいにした。
洗い終わった翠が駆けてきたので、蘭紗様がそのまま抱っこして湯船に浸かった。
僕もその横に座って思わず溜息をついた。
「ふぅ……」
「ああ……いい湯だ」
「熱くもなく、ちょうど良い温度ですね」
「うむ」
「およいでいいですか!」
「泳げるの?」
「はい!学び舎で教えてもらってます」
翠は蘭紗様の手を離れ、すいすいと意外にも達者な泳ぎを見せた。
「上手……」
「ははは!そなたに似たのかもしれないな」
「蘭紗様だって得意じゃないですか」
僕たちは微笑みあって、そしてどちらからともなく近寄ってキスをした。
心があったかくなるような、安心するような……そんなキスだ。
「薫、愛しているよ」
「はい、蘭紗様……僕も愛しています」
僕は頬を赤らめて、そして蘭紗様を見つめ微笑んだ。
いつの間に僕は、こんなにたくさんのものを手に入れたのだろう。
愛する蘭紗様、そしてかわいい翠、それから大好きな友人たち、それに、大切な支えてくれる人々……
ほしいと心から願っても、手に入れられるものなんかじゃない。
それに、これは偶然なんかじゃない。
彼らに会えたのは、僕の運命なんだ。
今は、そう思える。
この運命を大切にしなければ……
神様の存在が常にそばにある……そんな紗国で、僕はこんなにも幸せでいられる。
ありがとうございます。
すべてのことに……感謝いたします。
見上げた空は抜けるように青く……そして美しかった。
ー完ー
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最終回となりました。
お読みいただいてありがとうございました。
今後、後日談などの回を上げていく予定ですので、ブクマはそのままにしていただければ幸いです。
感想もぜひとも聞かせてくださいませ、とってもとってもお待ちしております。
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