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世界平和の章
第十七話
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「ユキ??どうして桜の名前を知ってるんだ?」
僕はユキの口からでた言葉が容易には信じられない。全く理解が追い付かない。
「真矢、さっきのメールを送ったのも実は私だよ。いつか真矢に送りたいと思って書いてたの。真矢がさっきトイレ行ってる間にメールアドレス勝手に調べたんだ。回りくどいことしてごめん」
「いや待って、それはいいんだけどユキが桜ってどういう……」
僕はユキの顔を見つめてハッとした。
成長のためか顔はずいぶん変わっているが、確かにユキの顔には桜の面影があった。一体、どういうことだ?
「もしかして桜の兄弟のかたですか?」
僕はなぜか敬語で恐る恐る聞いてみる。
「いえ、本人です」
ユキが笑う。僕が戸惑っているとユキはさらに爆笑した。
「メールを送ったのは真矢が私の事どう思ってるのか知りたかっただけ」
「何それめっちゃ恥ずかしいじゃん」
「そんなことより真矢変態発言いっぱいしてるからね。全然変わってなさ過ぎて逆にびっくりした」
「いや桜は変わりすぎな」
僕らは笑いあった。僕はいつの間にか、今話している相手が桜であることを受け入れていた。この話し方、この会話の感じは紛れもなく桜だ。
「じゃあそもそも俺に対して別人のふりをしたのはなんで?」
桜がどうしてこうなったかは相当気になる所だったが、僕はまず他の疑問から解決していくことにする。
「万引きの事を問い詰めたかったから」
「そうなのか」
「絶対真矢を更生させなきゃと思って。アッキーにも自分で直接尋ねた方がいいって言われたから」
「万引きの事は本当にごめん」
僕は体を折り曲げて深々と頭を下げた。ところが桜は僕の謝罪には構わずに話を続ける。
「私さ、窃盗のこと聞いた時の真矢の反応が気になって、真矢がメールを読んでる間に真矢が万引きした店のこと調べてみたんだよね」
僕は思わず顔を上げる。しまった、と表情が出てしまったかもしれない。
「私知らなかったよ。真矢が窃盗しているスーパーって、トドロキが経営してたんだね」
『憎しみ』僕の万引きの原動力はこの言葉に詰まっている。
美樹を凌辱した犯人と同じような輩が、何事もないように社会でのうのうと生活していると考えるだけで腸が煮えくり返りそうになる。自分は美樹を守ることが出来なかった。だから桜だけは、桜だけは何としてでも僕が救わないといけない。
僕の気持ちは異常に荒ぶっていた。けれど、トドロキを殺害しとうとは考えなかった。その程度の冷静さは辛うじて保っていたのだ。
だから僕はトドロキを破産させる計画を目論むことにする。僕はトドロキが隣の地区でスーパーを経営していることだけは、桜から聞いて知っていた。まず初めにトドロキが経営しているスーパーの場所を突き止めた。
それからはかつて絵を描いていた時間を、全て万引きや窃盗の練習をする時間に当てた。もともと手先が器用だった僕は、みるみる内にその技術が上達していった。
『万引きとは何か』そう問われれば僕は迷うことなく人生と答える。自分のことはどうでもよかった。トドロキの人生を破滅させるためだけに、僕は犯罪を続けた。
いつの間にか物を盗むことに僕は何の抵抗も感じなくなっていた。おかしい状態だと分かってはいても、自分では止めることができなくなっていた。心の奥底では、自分の事を止めてくれる人間を求めていたのかもしれない。美少女に肩を叩かれたとき、どういう訳か僕は安堵を覚えたのだ。
僕はユキの口からでた言葉が容易には信じられない。全く理解が追い付かない。
「真矢、さっきのメールを送ったのも実は私だよ。いつか真矢に送りたいと思って書いてたの。真矢がさっきトイレ行ってる間にメールアドレス勝手に調べたんだ。回りくどいことしてごめん」
「いや待って、それはいいんだけどユキが桜ってどういう……」
僕はユキの顔を見つめてハッとした。
成長のためか顔はずいぶん変わっているが、確かにユキの顔には桜の面影があった。一体、どういうことだ?
「もしかして桜の兄弟のかたですか?」
僕はなぜか敬語で恐る恐る聞いてみる。
「いえ、本人です」
ユキが笑う。僕が戸惑っているとユキはさらに爆笑した。
「メールを送ったのは真矢が私の事どう思ってるのか知りたかっただけ」
「何それめっちゃ恥ずかしいじゃん」
「そんなことより真矢変態発言いっぱいしてるからね。全然変わってなさ過ぎて逆にびっくりした」
「いや桜は変わりすぎな」
僕らは笑いあった。僕はいつの間にか、今話している相手が桜であることを受け入れていた。この話し方、この会話の感じは紛れもなく桜だ。
「じゃあそもそも俺に対して別人のふりをしたのはなんで?」
桜がどうしてこうなったかは相当気になる所だったが、僕はまず他の疑問から解決していくことにする。
「万引きの事を問い詰めたかったから」
「そうなのか」
「絶対真矢を更生させなきゃと思って。アッキーにも自分で直接尋ねた方がいいって言われたから」
「万引きの事は本当にごめん」
僕は体を折り曲げて深々と頭を下げた。ところが桜は僕の謝罪には構わずに話を続ける。
「私さ、窃盗のこと聞いた時の真矢の反応が気になって、真矢がメールを読んでる間に真矢が万引きした店のこと調べてみたんだよね」
僕は思わず顔を上げる。しまった、と表情が出てしまったかもしれない。
「私知らなかったよ。真矢が窃盗しているスーパーって、トドロキが経営してたんだね」
『憎しみ』僕の万引きの原動力はこの言葉に詰まっている。
美樹を凌辱した犯人と同じような輩が、何事もないように社会でのうのうと生活していると考えるだけで腸が煮えくり返りそうになる。自分は美樹を守ることが出来なかった。だから桜だけは、桜だけは何としてでも僕が救わないといけない。
僕の気持ちは異常に荒ぶっていた。けれど、トドロキを殺害しとうとは考えなかった。その程度の冷静さは辛うじて保っていたのだ。
だから僕はトドロキを破産させる計画を目論むことにする。僕はトドロキが隣の地区でスーパーを経営していることだけは、桜から聞いて知っていた。まず初めにトドロキが経営しているスーパーの場所を突き止めた。
それからはかつて絵を描いていた時間を、全て万引きや窃盗の練習をする時間に当てた。もともと手先が器用だった僕は、みるみる内にその技術が上達していった。
『万引きとは何か』そう問われれば僕は迷うことなく人生と答える。自分のことはどうでもよかった。トドロキの人生を破滅させるためだけに、僕は犯罪を続けた。
いつの間にか物を盗むことに僕は何の抵抗も感じなくなっていた。おかしい状態だと分かってはいても、自分では止めることができなくなっていた。心の奥底では、自分の事を止めてくれる人間を求めていたのかもしれない。美少女に肩を叩かれたとき、どういう訳か僕は安堵を覚えたのだ。
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