契約師としてクランに尽くしましたが追い出されたので復讐をしようと思います

夜納木ナヤ

文字の大きさ
9 / 52
第2章~ヴァルキリーを連れ出せ~

セイラは無事に迎えられました

しおりを挟む
「到着……っと」

 時間にすればほんの3時間程度の出来事だっただろうか。
 セイラを連れて、イレギュラーの拠点に戻ってきた。

「そういえばヴァルキリーを連れてくるなんて一言も言わなかったような……」

 今更になって、断られたらどうしようとか思い始めた。あー、くそっ、なるようになれだ!

「おかえり」

 扉をくぐると、ユレイルが出迎えてくれた。

「た、ただいま……それで、その、ヴァルキリーを連れてきたんだけど」
「そうか」

 短く言うと、ローブを揺らしながら廊下を歩き出した。
 えーっと、それだけ?

 もしかして、変に心配しているのは俺だけなのか?
 結論から言えば、そのとおりだった。

「愛い子じゃないか」
「ほんとにね!!」
 
 俺たちが部屋に入るなり、ミサとティの女子2名はセイラにかけより、椅子に座らせた。
 ティアは後ろに回り込むと髪を好きなようにいじっている。さっきはポニーテールだったが、今はおさげ髪だ。個人的には今のほうが好きだ。水色の髪と青いドレスとも相まって、お姫様みたいだ。

「まるでお人形だな」

 ミサは腕を組むとうんうんと大きく頷いている。
 とりあえず、受け入れてもらえたようで良かった。
 
「ヤマトよ、お前はこんなに可愛い子たちを7人も侍らせているのか?」

 ミサの目は真剣だった。
 そういえば転生前のアンケートに、「女の子を侍らせたいですか?」なんて項目があった気がする。答えはもちろん、ノーだったが。
 もしかしてイエスにしていたらこの世界に転生していなかったのか?

「何よそれずるい!私にも紹介して!!」

 ティアは次の髪型を考えていたようだが、セイラがおさげを気に入ったようなので手を止めた。もしかして俺の好みに合わせてくれたのか?
 セイラは俺と目が合うと、すぐに下を向いてしまった。

「まったく騒がしいぞ……」

 ユエはずっと本を読んでいたが、呆れたようにため息をついた。だが決して、今の状況を嫌がっている様子ではなかった。

「えーっと……セイラを受け入れてくれてありがとう」
「可愛い子ならいくらでも歓迎だ!」

 ミサが意気揚々に言うと、ティアも続いた。

「そうよ。残りの6人はいつ来るの?」

 そうそう、俺のジョブ、召喚師についての説明は昨日の宴で済ませてある。7人のヴァルキリーと契約していること、彼女たちが今はクランにいることあたりだ。

「ありがとう……それで、セイラの部屋がほしいんだけどいいかな?」
「部屋ならいくらでも空いている。好きなところを使え」

 ユエは興味なさそうに言うと、別の本を開いた。

「そんな冷たい言い方しなくてもいいだろ。ねえお嬢ちゃん、部屋はどうしたい?」

 ミサが腕組みしたまま聞くと、セイラは怪訝な顔を浮かべた。俺以外に対してそんな反応をするなんて驚きだ。

「……セイラ」
「え、呼んでいいのか?」

 ミサが困ったように聞き返すとセイラは頷いた。

「……ヤマトのお友達ならいい」
「ハッハッハ、お友達、か」

 何がおかしいのか、ミサは豪快に笑った。隣ではティアも嬉しそうだ。

「……違うの?」
「さてな、それよりもどんな部屋がいい」
「……ん」

 セイラは無言で俺を指差した。

「……ヤマトの部屋」
「は?はああああああああああ!?それは流石にマズイだろ!?」
「……今までも一緒に寝てた」

 それはたしかにそうだ。だが決してやましい意味ではない。ご機嫌取りの一環であり、寝顔を見ていたら眠くなってきて気がつけばとかってやつだ。そうだ、添い寝だ。俗に言う添い寝ってやつだ。だというのに……。

「ほほう」
「あらまあ」

 ニヤニヤとした視線が突き刺さる。

「別にやましいことはしてないからな?」

 俺の必死に問いかけた届いたのか、届かなかったのか。ただばっさり言われた。

「ならば別にいいだろ」

 こうして俺は二人に押し切られ(?)、セイラと同室になってしまった。
 部屋に向かうセイラの足取りはやけに弾んでいた。いつもの眠そうな姿からは想像できないぐらいに、きっちと背筋を伸ばし、まっすぐに前を向いている。
 思えば、クランの塔を出てからずっとご機嫌な気がする。やはり塔に閉じこめられていて窮屈だったのか?悪いことをしたな。


 そんなセイラも、部屋に入ると同時に絶望した顔を浮かべた。
 なぜだ?昨日住み始めたばかりで汚いはずはない。見られて困る類の本やその他の物品もない。というか、こっちの世界に来てからそんなのは一度も手にしてはいない。

 あるのはタンスや机といったどこにでもある家具とベッドぐらいだ。

「……召喚」

 セイラは突然言葉を発すると、部屋のベッドを中心に魔法陣が現れた。

「何をするつもりだ!?」

 シングルベッドはみるみるうちに大きくなり、セイラがいつも使っているキングサイズに変貌を遂げる。おまけに、どこにでもあるような質素なシーツとマットレスは、ふわふわのものに変わっていた。
 しかし、これだけでは終わらない。ベッドを囲むように四本の柱が立てられ、青い帳が作られる。
 なんということでしょう。ものの数秒で、塔にあったのと同じ睡眠スペースが出来上がったのです。その広さはなんと部屋の半分!圧迫感が半端ない。

「セイラ、これは?」
「……こうしないと眠れない」
「枕が変わると寝られない的な?」
「……そう。環境が違うと寝られない」

 セイラは一人で歩き出し、帳の中へと吸い込まれていった。ま、いっか……。
 覗き込むとすでに眠っていた。
 さて、俺はどうしようか……。寝顔を見つめながら明日の作戦を練っていると、俺の意識も闇に落ちていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

処理中です...