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依頼とお告げ
依頼とお告げ4
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はじめておっちゃんと出会ってから3時間後、悲しいkとおに再開を遂げていた。
クラン・スイレンでテーブルについているのは俺一人だけ。後ろには仕切りを置き、三人はそこで待機している。
「再度話し合いの場を用意してくれて感謝している」
「そういうのはいいです。手短に終わらせましょう」
なにせこちらがクエストを受けることは決まっている。
だが、それをわざわざ伝える必要もない。
今回の目的は、出来るだけこちらの意に沿うようにさせてもらうだけだ。
「パーティーへのエミリの同伴とお伺いしていますが、パーティーはどれくらいの規模でしょうか?」
4人で行くべきか、俺だけ行けば足りるのか。まずはそこの見極めだ。
「参加者は私と妻、それと娘の三人だ」
「まるで誕生日会みたいですね」
思ったことを言うと、乾いた笑いが返ってきた。
「本当にそうなら、どれだけよかったことか。聞いているかもしれないが、娘は既に死んでいる。娘だけじゃない、妻はそのもっと前に他界している」
「そうでしたか、失礼しました」
もちろん知ってる。知っているから言っている意味が分からない。
「構わないよ。それに、君の言っていたこともあながち間違いではない」
おっちゃんは顔を上げると、仕切りを見つめた。
エミリを探しているのだろうか?
おっちゃんは苦笑いを浮かべながらも、その笑みの奥には優しさが見てとれた。
「三日後は娘の誕生日なんだ。家族水入らずのつもりだよ。もっとも、墓参りだけどね」
「そこにエミリを同伴させようとしたと」
「その通りだ」
事情はわかった。パーティーは想像してたよりもずっと、規模は小さい。同伴は俺一人で十分足りる。
となると問題は、エミリが依頼主の横に立たないといけないことだろう。
「なぜエミリでないといけないのですか?」
「娘によく似ているんだ」
「それで会わせたいと?」
おっちゃんはゆっくりと下を向くと、ポツリと言った。
「娘は孤児院の出なんだ」
ガタッっと、仕切りの後ろから音がして、椅子が倒れた。
「「エミリっ!?」」
心配するような女の子2人の声がして、おっちゃんもかけよろうとした。
「まだ話の途中です」
きつめに言うと、ビクッと体を震わせて、おっちゃんは席に戻った。
「続きをどうぞ」
「ああ。娘の名前はロマネ。姉がいたそうだ」
ガタッっと、また椅子が動いた。
なるほど、少しずつ状況が分かってきた。おそらくだが、そのロマネという少女はエミリの妹だ。
「『娘は死んでいる』。そうおっしゃいましたね?理由をお聞かせ願えますか?」
「ああ、魔力の暴走らしい。お医者様によると、膨大な力を抱えてしまい、体が耐えられなかったらしい」
「なるほど。亡くなられたのはいつ頃ですか?」
「一年半ほど前だね」
今度はしきり越しに、息を飲むのを感じた。だが今やるべきことは依頼者の対応だ。
ミキ、リナ。エミリのことは任せたよ。
「辛いことをお話いただきありがとうございます」
「いや、こちらこそ、先に話しておくべきだった。それで依頼料だが……流石に敷地全部は厳しい。せめて半分にならないかい?」
そういえばそんなことを言ったっけ。
「いえ、最初に提示いただいた額で構いません。その代わり、内容を加えさせていただきたい」
「と言うと?」
「クエスト参加者ですが、エミリのみではなく、クランメンバー数名が同行します。詳しい人数は仲間と話し合ってからになりますが」
「分かった」
おっちゃんはあっさりと頷いた。
「それとここからが一番重要なのですが、エミリをあなたの隣に立たせることは出来ません。ですが、お墓参りだけであれば可能です」
今度は無言だ。怒っていると言うか、悩んでいるようだった。
さすがにこれは攻めすぎたか?考えを巡らせていると、おっちゃんは答えた。
「分かった」
短くそう言うと、それ以上は何も言ってこなかった。
「であれば、依頼をお受けしましょう。三日後には着いていないといけないですよね、どのくらいかかるのですか?」
「二日と半日だ」
「それはまた、ギリギリですね。では二時間後に出ましょう」
今度は驚いた顔がはえってきた。思えば、最初に会った時の見下すような態度は何だったのだろうか?
ただの素直なおっちゃんじゃないか。
「そんなに早く準備が出来るのかい?」
「急な依頼に備え、常に準備は出来ています」
「ありがたい。北の門の前で馬車を用意して待っているよ」
「わかりました。あーそうそう、馬車は2台でお願いします」
「分かった」
おっちゃんを先に部屋から出すと、仕切りの裏に声をかけた。
「もういいぞ」
真っ先に出てきたのはリナだった。
「さすがだな先輩、終始完璧な誘導だった」
「また暴れ出すんじゃないかとかとひやひやしたけどな」
「それでも成功したんだ。えらいえらい」
リナは誰もいない場所に向かって、頭を撫でる動きをした。
「おいおい、俺はミキでもエミリでもないぞ。それで、2人は?」
リナは無言のまま、目だけは仕切りの向こうを指した。
どうやら行っても問題ないらしい。
顔を半分だけ出して覗き込むと、ミキの膝の上に、エミリの頭がのっていた。
眠っているのだろうか?しばらくそっとしておこう。
「それでリナ、クエストのことだけど誰が行くべきだと思う?」
「そうだな……べきは分からないが、出来れば私は行きたい。多分ミキも同じだろう」
聞いたらそうなるよな。エミリのフォローもあるし、今回は全員で行くか。
タユラに言ったら、『過保護だ』ってまた言われそうだ。
クラン・スイレンでテーブルについているのは俺一人だけ。後ろには仕切りを置き、三人はそこで待機している。
「再度話し合いの場を用意してくれて感謝している」
「そういうのはいいです。手短に終わらせましょう」
なにせこちらがクエストを受けることは決まっている。
だが、それをわざわざ伝える必要もない。
今回の目的は、出来るだけこちらの意に沿うようにさせてもらうだけだ。
「パーティーへのエミリの同伴とお伺いしていますが、パーティーはどれくらいの規模でしょうか?」
4人で行くべきか、俺だけ行けば足りるのか。まずはそこの見極めだ。
「参加者は私と妻、それと娘の三人だ」
「まるで誕生日会みたいですね」
思ったことを言うと、乾いた笑いが返ってきた。
「本当にそうなら、どれだけよかったことか。聞いているかもしれないが、娘は既に死んでいる。娘だけじゃない、妻はそのもっと前に他界している」
「そうでしたか、失礼しました」
もちろん知ってる。知っているから言っている意味が分からない。
「構わないよ。それに、君の言っていたこともあながち間違いではない」
おっちゃんは顔を上げると、仕切りを見つめた。
エミリを探しているのだろうか?
おっちゃんは苦笑いを浮かべながらも、その笑みの奥には優しさが見てとれた。
「三日後は娘の誕生日なんだ。家族水入らずのつもりだよ。もっとも、墓参りだけどね」
「そこにエミリを同伴させようとしたと」
「その通りだ」
事情はわかった。パーティーは想像してたよりもずっと、規模は小さい。同伴は俺一人で十分足りる。
となると問題は、エミリが依頼主の横に立たないといけないことだろう。
「なぜエミリでないといけないのですか?」
「娘によく似ているんだ」
「それで会わせたいと?」
おっちゃんはゆっくりと下を向くと、ポツリと言った。
「娘は孤児院の出なんだ」
ガタッっと、仕切りの後ろから音がして、椅子が倒れた。
「「エミリっ!?」」
心配するような女の子2人の声がして、おっちゃんもかけよろうとした。
「まだ話の途中です」
きつめに言うと、ビクッと体を震わせて、おっちゃんは席に戻った。
「続きをどうぞ」
「ああ。娘の名前はロマネ。姉がいたそうだ」
ガタッっと、また椅子が動いた。
なるほど、少しずつ状況が分かってきた。おそらくだが、そのロマネという少女はエミリの妹だ。
「『娘は死んでいる』。そうおっしゃいましたね?理由をお聞かせ願えますか?」
「ああ、魔力の暴走らしい。お医者様によると、膨大な力を抱えてしまい、体が耐えられなかったらしい」
「なるほど。亡くなられたのはいつ頃ですか?」
「一年半ほど前だね」
今度はしきり越しに、息を飲むのを感じた。だが今やるべきことは依頼者の対応だ。
ミキ、リナ。エミリのことは任せたよ。
「辛いことをお話いただきありがとうございます」
「いや、こちらこそ、先に話しておくべきだった。それで依頼料だが……流石に敷地全部は厳しい。せめて半分にならないかい?」
そういえばそんなことを言ったっけ。
「いえ、最初に提示いただいた額で構いません。その代わり、内容を加えさせていただきたい」
「と言うと?」
「クエスト参加者ですが、エミリのみではなく、クランメンバー数名が同行します。詳しい人数は仲間と話し合ってからになりますが」
「分かった」
おっちゃんはあっさりと頷いた。
「それとここからが一番重要なのですが、エミリをあなたの隣に立たせることは出来ません。ですが、お墓参りだけであれば可能です」
今度は無言だ。怒っていると言うか、悩んでいるようだった。
さすがにこれは攻めすぎたか?考えを巡らせていると、おっちゃんは答えた。
「分かった」
短くそう言うと、それ以上は何も言ってこなかった。
「であれば、依頼をお受けしましょう。三日後には着いていないといけないですよね、どのくらいかかるのですか?」
「二日と半日だ」
「それはまた、ギリギリですね。では二時間後に出ましょう」
今度は驚いた顔がはえってきた。思えば、最初に会った時の見下すような態度は何だったのだろうか?
ただの素直なおっちゃんじゃないか。
「そんなに早く準備が出来るのかい?」
「急な依頼に備え、常に準備は出来ています」
「ありがたい。北の門の前で馬車を用意して待っているよ」
「わかりました。あーそうそう、馬車は2台でお願いします」
「分かった」
おっちゃんを先に部屋から出すと、仕切りの裏に声をかけた。
「もういいぞ」
真っ先に出てきたのはリナだった。
「さすがだな先輩、終始完璧な誘導だった」
「また暴れ出すんじゃないかとかとひやひやしたけどな」
「それでも成功したんだ。えらいえらい」
リナは誰もいない場所に向かって、頭を撫でる動きをした。
「おいおい、俺はミキでもエミリでもないぞ。それで、2人は?」
リナは無言のまま、目だけは仕切りの向こうを指した。
どうやら行っても問題ないらしい。
顔を半分だけ出して覗き込むと、ミキの膝の上に、エミリの頭がのっていた。
眠っているのだろうか?しばらくそっとしておこう。
「それでリナ、クエストのことだけど誰が行くべきだと思う?」
「そうだな……べきは分からないが、出来れば私は行きたい。多分ミキも同じだろう」
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