ワケアリな後輩達しかいないクランを押し付けられました

夜納木ナヤ

文字の大きさ
24 / 28
依頼とお告げ

依頼とお告げ4

しおりを挟む
 はじめておっちゃんと出会ってから3時間後、悲しいkとおに再開を遂げていた。

 クラン・スイレンでテーブルについているのは俺一人だけ。後ろには仕切りを置き、三人はそこで待機している。

「再度話し合いの場を用意してくれて感謝している」
「そういうのはいいです。手短に終わらせましょう」

 なにせこちらがクエストを受けることは決まっている。
 だが、それをわざわざ伝える必要もない。

 今回の目的は、出来るだけこちらの意に沿うようにさせてもらうだけだ。

「パーティーへのエミリの同伴とお伺いしていますが、パーティーはどれくらいの規模でしょうか?」

 4人で行くべきか、俺だけ行けば足りるのか。まずはそこの見極めだ。

「参加者は私と妻、それと娘の三人だ」
「まるで誕生日会みたいですね」

 思ったことを言うと、乾いた笑いが返ってきた。

「本当にそうなら、どれだけよかったことか。聞いているかもしれないが、娘は既に死んでいる。娘だけじゃない、妻はそのもっと前に他界している」
「そうでしたか、失礼しました」

 もちろん知ってる。知っているから言っている意味が分からない。

「構わないよ。それに、君の言っていたこともあながち間違いではない」

 おっちゃんは顔を上げると、仕切りを見つめた。
 エミリを探しているのだろうか?
 
 おっちゃんは苦笑いを浮かべながらも、その笑みの奥には優しさが見てとれた。

「三日後は娘の誕生日なんだ。家族水入らずのつもりだよ。もっとも、墓参りだけどね」
「そこにエミリを同伴させようとしたと」
「その通りだ」

 事情はわかった。パーティーは想像してたよりもずっと、規模は小さい。同伴は俺一人で十分足りる。
 となると問題は、エミリが依頼主の横に立たないといけないことだろう。

「なぜエミリでないといけないのですか?」
「娘によく似ているんだ」
「それで会わせたいと?」

 おっちゃんはゆっくりと下を向くと、ポツリと言った。

「娘は孤児院のなんだ」

 ガタッっと、仕切りの後ろから音がして、椅子が倒れた。

「「エミリっ!?」」

 心配するような女の子2人の声がして、おっちゃんもかけよろうとした。

「まだ話の途中です」

 きつめに言うと、ビクッと体を震わせて、おっちゃんは席に戻った。

「続きをどうぞ」
「ああ。娘の名前はロマネ。姉がいたそうだ」

 ガタッっと、また椅子が動いた。

 なるほど、少しずつ状況が分かってきた。おそらくだが、そのロマネという少女はエミリの妹だ。

「『娘は死んでいる』。そうおっしゃいましたね?理由をお聞かせ願えますか?」
「ああ、魔力の暴走らしい。お医者様によると、膨大な力を抱えてしまい、体が耐えられなかったらしい」
「なるほど。亡くなられたのはいつ頃ですか?」
「一年半ほど前だね」

 今度はしきり越しに、息を飲むのを感じた。だが今やるべきことは依頼者の対応だ。
 ミキ、リナ。エミリのことは任せたよ。
  
「辛いことをお話いただきありがとうございます」
「いや、こちらこそ、先に話しておくべきだった。それで依頼料だが……流石に敷地全部は厳しい。せめて半分にならないかい?」

 そういえばそんなことを言ったっけ。
 
「いえ、最初に提示いただいた額で構いません。その代わり、内容を加えさせていただきたい」
「と言うと?」
「クエスト参加者ですが、エミリのみではなく、クランメンバー数名が同行します。詳しい人数は仲間と話し合ってからになりますが」
「分かった」

 おっちゃんはあっさりと頷いた。

「それとここからが一番重要なのですが、エミリをあなたの隣に立たせることは出来ません。ですが、お墓参りだけであれば可能です」

 今度は無言だ。怒っていると言うか、悩んでいるようだった。
 
 さすがにこれは攻めすぎたか?考えを巡らせていると、おっちゃんは答えた。

「分かった」

 短くそう言うと、それ以上は何も言ってこなかった。

「であれば、依頼をお受けしましょう。三日後には着いていないといけないですよね、どのくらいかかるのですか?」
「二日と半日だ」
「それはまた、ギリギリですね。では二時間後に出ましょう」

 今度は驚いた顔がはえってきた。思えば、最初に会った時の見下すような態度は何だったのだろうか?

 ただの素直なおっちゃんじゃないか。

「そんなに早く準備が出来るのかい?」
「急な依頼に備え、常に準備は出来ています」
「ありがたい。北の門の前で馬車を用意して待っているよ」
「わかりました。あーそうそう、馬車は2台でお願いします」
「分かった」

 おっちゃんを先に部屋から出すと、仕切りの裏に声をかけた。

「もういいぞ」

 真っ先に出てきたのはリナだった。

「さすがだな先輩、終始完璧な誘導だった」
「また暴れ出すんじゃないかとかとひやひやしたけどな」
「それでも成功したんだ。えらいえらい」

 リナは誰もいない場所に向かって、頭を撫でる動きをした。

「おいおい、俺はミキでもエミリでもないぞ。それで、2人は?」

 リナは無言のまま、目だけは仕切りの向こうを指した。
 どうやら行っても問題ないらしい。

 顔を半分だけ出して覗き込むと、ミキの膝の上に、エミリの頭がのっていた。
 眠っているのだろうか?しばらくそっとしておこう。

「それでリナ、クエストのことだけど誰が行くべきだと思う?」
「そうだな……べきは分からないが、出来れば私は行きたい。多分ミキも同じだろう」

 聞いたらそうなるよな。エミリのフォローもあるし、今回は全員で行くか。

 タユラに言ったら、『過保護だ』ってまた言われそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」  ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...