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第二章「セントエクリーガ城下町」
第五十三話「弁慶の錫杖」
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武器屋に入ると、目の前にはカイが背負っていた大剣が堂々と展示されていた。
下の方に目を向けるとそこには、
[あなたならできる!! 1分間、片手で腰の高さより高く持てたら99%オフ!!!]
と書かれている。
「いらっしゃいませ、そちら、ご挑戦されますか?」
剣の柄に手を伸ばそうとした時、向こうの方からノアと同じ声が聞こえてきた。
剣の奥を覗き見ると、細身でイケメンな、ノアとちょっと顔が似ている男性が近づいてくる。
「これって、どのくらい難しいですか?」
俺はとりあえず様子見の質問を投げかける。
「そうですね、いままで挑戦された方で成功しましたのは、合わせて2人ですね」
「最近だと数年前に糞ガキ……青年の方が成功されましたよ」
「ぜひ挑戦してみてください」
男性はぎこちない笑顔を俺に向けた。
俺は一瞬『ん?』と思ったが手荷物を床に置き、言われるがままに大剣の柄を握る。
「フンッ……ンッ……ニッ……」
俺は全身全霊を込めて持ち上げようとしたが、1ミクロンも持ちあがらない。
持ち上がらない事はある程度想像していたが、1センチぐらいは持ちあがると思っていた。
カイはこんなものを片手で振り回していたのか……
小学生の頃、清水寺に行った時の情景が脳裏にフラッシュバックした。
ふと横に目を向けると、男性がニヤニヤしながらこちらを見ている。
「……無理でした」
俺は大剣から手を放し、手荷物を持つ。
「残念でしたね、また挑戦してみてください」
「本日はどのような物をお買い求めですか?」
男性はニヤニヤした顔から、再びぎこちない笑顔に戻った。
「仕事用で使う武器を探しにきたんですけど……あと靴も」
「あ、これ、ノアに渡せって言われました」
「<貧者の袋>」
俺はノアに渡されたメモを男性に渡す。
すると男性はぎこちない笑顔を止めメモを受け取ると、ノアと同じ笑い方で再び笑った。
「ガッハッハッハッ!」
「なんだ兄貴の部下か!早く言えよ!」
「おべっか使って損したぜ!!」
そう言いながら男性は俺の肩を強く叩き、店の看板を裏返すと、ポケットから取り出した煙草に火をつけた。
どうやら先程までは猫を被っていたようだ。
二面性が強すぎて少し怖い。
「もう兄貴に言われていると思うが、俺はノアの弟のユバルだ!」
「このメモには槍を見繕えって書いてあるが、言っておくが500ギニーじゃ大したもんは買えないぞ!」
「お前のステータスを生かすなら……そうだな、そこの棚から選んでこい!」
ユバルさんは短剣が20本ほど並んでいるガラスの棚を指差す。
俺は言われた通りに短剣の棚に近づくと、ユバルさんは奥の部屋に消えていった。
ここにはあの倉庫と違い本物の武器がずらーっとケースの中に置いてあって目移りしてしまうが、今は買い物に集中しよう。
左上から順に短剣を眺めていると、一番左下に鍔が無く、光が吸い込まれるような真っ黒な短剣が置かれていた。
下の方に目を向けるとそこには、
[あなたならできる!! 1分間、片手で腰の高さより高く持てたら99%オフ!!!]
と書かれている。
「いらっしゃいませ、そちら、ご挑戦されますか?」
剣の柄に手を伸ばそうとした時、向こうの方からノアと同じ声が聞こえてきた。
剣の奥を覗き見ると、細身でイケメンな、ノアとちょっと顔が似ている男性が近づいてくる。
「これって、どのくらい難しいですか?」
俺はとりあえず様子見の質問を投げかける。
「そうですね、いままで挑戦された方で成功しましたのは、合わせて2人ですね」
「最近だと数年前に糞ガキ……青年の方が成功されましたよ」
「ぜひ挑戦してみてください」
男性はぎこちない笑顔を俺に向けた。
俺は一瞬『ん?』と思ったが手荷物を床に置き、言われるがままに大剣の柄を握る。
「フンッ……ンッ……ニッ……」
俺は全身全霊を込めて持ち上げようとしたが、1ミクロンも持ちあがらない。
持ち上がらない事はある程度想像していたが、1センチぐらいは持ちあがると思っていた。
カイはこんなものを片手で振り回していたのか……
小学生の頃、清水寺に行った時の情景が脳裏にフラッシュバックした。
ふと横に目を向けると、男性がニヤニヤしながらこちらを見ている。
「……無理でした」
俺は大剣から手を放し、手荷物を持つ。
「残念でしたね、また挑戦してみてください」
「本日はどのような物をお買い求めですか?」
男性はニヤニヤした顔から、再びぎこちない笑顔に戻った。
「仕事用で使う武器を探しにきたんですけど……あと靴も」
「あ、これ、ノアに渡せって言われました」
「<貧者の袋>」
俺はノアに渡されたメモを男性に渡す。
すると男性はぎこちない笑顔を止めメモを受け取ると、ノアと同じ笑い方で再び笑った。
「ガッハッハッハッ!」
「なんだ兄貴の部下か!早く言えよ!」
「おべっか使って損したぜ!!」
そう言いながら男性は俺の肩を強く叩き、店の看板を裏返すと、ポケットから取り出した煙草に火をつけた。
どうやら先程までは猫を被っていたようだ。
二面性が強すぎて少し怖い。
「もう兄貴に言われていると思うが、俺はノアの弟のユバルだ!」
「このメモには槍を見繕えって書いてあるが、言っておくが500ギニーじゃ大したもんは買えないぞ!」
「お前のステータスを生かすなら……そうだな、そこの棚から選んでこい!」
ユバルさんは短剣が20本ほど並んでいるガラスの棚を指差す。
俺は言われた通りに短剣の棚に近づくと、ユバルさんは奥の部屋に消えていった。
ここにはあの倉庫と違い本物の武器がずらーっとケースの中に置いてあって目移りしてしまうが、今は買い物に集中しよう。
左上から順に短剣を眺めていると、一番左下に鍔が無く、光が吸い込まれるような真っ黒な短剣が置かれていた。
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