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異世界 〜片想い〜
狙われる幼馴染
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パチパチという音と、誰かの話し声が聞こえて俺は目をゆっくり開ける。
まだ覚醒してない頭は今の状況を理解できてなかった。
なんだか体が痛い気がする。
それにいつも被っている毛布よりも薄いし、香りが違った。
母さんの実家に行った時に感じるばあちゃん家の香りのような……。
「雅人?もしかして起きた?」
「うん……」
「おはようございます。雅人さん」
「えっと…」
俺は美姫ちゃんの声がして体を起こすと、そこは古民家のような家。
そうだ。
俺は美姫ちゃんと一緒に異界に呼び出されたんだった。
通りでいつもの家の感じとは違うわけだ。
美姫ちゃんは既に起きて布団を畳んでおり、現在、囲炉裏の前で村人の女の人と話している。
パチパチ音は囲炉裏の中心で燃えている火の音だった。
「今、火の付け方とか囲炉裏の使い方を教えてもらったの」
「にしても早いね…」
「村のみんなはこの時間帯には起きてるらしいよ。私はあまり寝れなかっただけなんだけど」
「はい。畑の収穫や、狩りに出かけたり、お供え物を用意したりと朝は忙しいので」
「そうだったのか…」
「この方はおばあちゃんの息子さんのお嫁さん。わざわざ朝ご飯を作って持ってきてくれたの」
「ありがとうございます。俺達ここでの生活慣れてないからそういうのは本当に助かる」
「いえいえ。お手伝い出来ることがあったらなんでも言ってください。助け合いがこの村の掟ですから」
「あの、次はお風呂について教えてもらっても良いですか?」
「お風呂というと…?」
「えっと体を洗うのは…」
「なるほど。それなら……」
俺はまだ寝ぼけた頭なので話の内容があまり入ってこない。
とりあえず起きて布団を畳み出した。
美姫ちゃんが綺麗に畳んでいるのに俺だけ汚かったら好感度が下がってしまうかもしれない。
相手の良いところは合わせよう。
…なんかまるで同棲してるみたいだ。
「はっ…!」
俺は頭をブンブンと振って考えを消す。
美姫ちゃんは俺と住みたくて一緒にここで寝泊まりしてるわけではない。
選択がこれしかないからだ。
それなのに俺は浮かれている…。
美姫ちゃんに申し訳なくなってまた落ち込んだ。
「雅人!」
「は、はい!」
「どうしたの?急に敬語で」
「何でも!」
急に呼ばれて謎の敬語で返事をする俺を不思議に思いながら、美姫ちゃんは話を続けた。
「お風呂はお湯を少し温めてそれを体にかけて洗うんだって。この家の奥にあるドラム缶みたいなやつの中でやるらしいよ」
「今の季節は暖かいので、多少冷たくてもいいかと思います。…そうだ。美姫に後で椿油を持ってきますよ。髪に潤いをもたらすので」
「ありがとうございます!それじゃ雅人、先に水浴びしていいよ?」
「ああ、うん。水はどこから…?」
「井戸が村の中心と、村長の家の裏手に2つにあります。雅人さん達は裏手の井戸を使ってください」
「ありがとう。じゃあ水組んでくるね」
「バケツはそこに置いてあるから」
俺は美姫ちゃんが指差すバケツを持って靴を履くと外へ出ていく。
たぶんこの世界ではスニーカーはすぐ汚れてしまうだろう。
後でカルイに靴の事を聞かなくては。
自給自足の生活は考えることが色々あるな。
俺は裏手の井戸へ向かうと、先客がいた。
「あら、おはよう雅人」
「おはよう」
「井戸使う?ちょっと待っててね」
「ゆっくりでいいよ」
「ありがとう」
少しふくよかな女性が井戸を使って水を汲んでいる。
村の中心よりもこっちの方が近いのだろうか。
裏手の井戸は俺達だけの専用ではなさそうだ。
「昨日は眠れた?」
「はい。熟睡とまではいかないけど…」
「最初はそんなもんよ。時期に慣れるわ。…あ、そうだ雅人聞いてよ」
「何でしょう」
水を汲みながらふくよかな女性は世間話をしてくれる。
無口な性格ではない俺は会話が途切れることなく続くが、そこまで長く話せる耐久力を持ってるわけではない。
女性は俺に耳を近づけると、小さな声で話し始めた。
なんだか良くない話をされる予感がする。
「美姫、村の若い男に狙われているから気をつけな」
「えっ」
「あんなお美人さん誰でも狙うわよ。まだあの子に番いは居ないみたいだけど……雅人。頑張りなさい」
「えっと、わかった…」
さらっと番いの言葉が出てくる。
でも話的には村若い男が美姫ちゃんと付き合おうと狙っているから俺が頑張って守れと言うことだと思う。
俺は女性に頷くと背中をバシン!と叩かれた。
「いだっ」
「頑張る近道は男らしくなることよ!まずは筋肉つけなさい!アハハハッ」
ふくよかな女性は豪快に笑うと自分のバケツを持って井戸から去っていく。
俺は自分の腕を曲げて筋肉があるかどうか確認したが、全くコブは出て来なかった。
男らしいというか女々しい体型だ…。
性格も含めたら全く頼りない気がする。
俺はガクッと頭を下げると、バケツを近くに置いて井戸の水を汲み始めた。
まだ覚醒してない頭は今の状況を理解できてなかった。
なんだか体が痛い気がする。
それにいつも被っている毛布よりも薄いし、香りが違った。
母さんの実家に行った時に感じるばあちゃん家の香りのような……。
「雅人?もしかして起きた?」
「うん……」
「おはようございます。雅人さん」
「えっと…」
俺は美姫ちゃんの声がして体を起こすと、そこは古民家のような家。
そうだ。
俺は美姫ちゃんと一緒に異界に呼び出されたんだった。
通りでいつもの家の感じとは違うわけだ。
美姫ちゃんは既に起きて布団を畳んでおり、現在、囲炉裏の前で村人の女の人と話している。
パチパチ音は囲炉裏の中心で燃えている火の音だった。
「今、火の付け方とか囲炉裏の使い方を教えてもらったの」
「にしても早いね…」
「村のみんなはこの時間帯には起きてるらしいよ。私はあまり寝れなかっただけなんだけど」
「はい。畑の収穫や、狩りに出かけたり、お供え物を用意したりと朝は忙しいので」
「そうだったのか…」
「この方はおばあちゃんの息子さんのお嫁さん。わざわざ朝ご飯を作って持ってきてくれたの」
「ありがとうございます。俺達ここでの生活慣れてないからそういうのは本当に助かる」
「いえいえ。お手伝い出来ることがあったらなんでも言ってください。助け合いがこの村の掟ですから」
「あの、次はお風呂について教えてもらっても良いですか?」
「お風呂というと…?」
「えっと体を洗うのは…」
「なるほど。それなら……」
俺はまだ寝ぼけた頭なので話の内容があまり入ってこない。
とりあえず起きて布団を畳み出した。
美姫ちゃんが綺麗に畳んでいるのに俺だけ汚かったら好感度が下がってしまうかもしれない。
相手の良いところは合わせよう。
…なんかまるで同棲してるみたいだ。
「はっ…!」
俺は頭をブンブンと振って考えを消す。
美姫ちゃんは俺と住みたくて一緒にここで寝泊まりしてるわけではない。
選択がこれしかないからだ。
それなのに俺は浮かれている…。
美姫ちゃんに申し訳なくなってまた落ち込んだ。
「雅人!」
「は、はい!」
「どうしたの?急に敬語で」
「何でも!」
急に呼ばれて謎の敬語で返事をする俺を不思議に思いながら、美姫ちゃんは話を続けた。
「お風呂はお湯を少し温めてそれを体にかけて洗うんだって。この家の奥にあるドラム缶みたいなやつの中でやるらしいよ」
「今の季節は暖かいので、多少冷たくてもいいかと思います。…そうだ。美姫に後で椿油を持ってきますよ。髪に潤いをもたらすので」
「ありがとうございます!それじゃ雅人、先に水浴びしていいよ?」
「ああ、うん。水はどこから…?」
「井戸が村の中心と、村長の家の裏手に2つにあります。雅人さん達は裏手の井戸を使ってください」
「ありがとう。じゃあ水組んでくるね」
「バケツはそこに置いてあるから」
俺は美姫ちゃんが指差すバケツを持って靴を履くと外へ出ていく。
たぶんこの世界ではスニーカーはすぐ汚れてしまうだろう。
後でカルイに靴の事を聞かなくては。
自給自足の生活は考えることが色々あるな。
俺は裏手の井戸へ向かうと、先客がいた。
「あら、おはよう雅人」
「おはよう」
「井戸使う?ちょっと待っててね」
「ゆっくりでいいよ」
「ありがとう」
少しふくよかな女性が井戸を使って水を汲んでいる。
村の中心よりもこっちの方が近いのだろうか。
裏手の井戸は俺達だけの専用ではなさそうだ。
「昨日は眠れた?」
「はい。熟睡とまではいかないけど…」
「最初はそんなもんよ。時期に慣れるわ。…あ、そうだ雅人聞いてよ」
「何でしょう」
水を汲みながらふくよかな女性は世間話をしてくれる。
無口な性格ではない俺は会話が途切れることなく続くが、そこまで長く話せる耐久力を持ってるわけではない。
女性は俺に耳を近づけると、小さな声で話し始めた。
なんだか良くない話をされる予感がする。
「美姫、村の若い男に狙われているから気をつけな」
「えっ」
「あんなお美人さん誰でも狙うわよ。まだあの子に番いは居ないみたいだけど……雅人。頑張りなさい」
「えっと、わかった…」
さらっと番いの言葉が出てくる。
でも話的には村若い男が美姫ちゃんと付き合おうと狙っているから俺が頑張って守れと言うことだと思う。
俺は女性に頷くと背中をバシン!と叩かれた。
「いだっ」
「頑張る近道は男らしくなることよ!まずは筋肉つけなさい!アハハハッ」
ふくよかな女性は豪快に笑うと自分のバケツを持って井戸から去っていく。
俺は自分の腕を曲げて筋肉があるかどうか確認したが、全くコブは出て来なかった。
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性格も含めたら全く頼りない気がする。
俺はガクッと頭を下げると、バケツを近くに置いて井戸の水を汲み始めた。
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