45 / 46
エピローグ
ストーリーテラー
しおりを挟む
「バカじゃ…ないの…」
「言ったろ?好きになったら周りなんてどうでも良くなるって」
「そうだったね」
「だから、お願い。忘れろなんて言うなよ」
「………うん」
耳に届いた俺は一瞬にして力が抜ける。
別に何も状況は変わってないのに、なんだか全部が解決したような感じになってしまった。
それでも嬉しい思いが込み上げてきて笑ってしまう。
「何笑ってんの」
「ううん。可愛いなって」
「またすぐそう言う…」
「本心だよ。俺嘘苦手なの知ってるだろ?」
「うん、知ってる」
「だから信じて」
「涼」
「なに?」
「ありがとう」
甘い。
好きな人からの感謝の言葉は甘く感じる。
まるでさっきのクレープみたいに。
もし、愛を囁かれたら俺はどんなふうにになってしまうのだろう。
きっと甘ったるくて胸焼けを起こしてしまいそうだ。
でも何度も聞きたい言葉。
それはきっと話す相手が桜だから。
「どういたしまして」
「でも今は会えない」
「…は、はい?会えないって言った?」
「うん。言った」
「え?今の流れで?俺はてっきり会えるのかと…」
「私は会おうなんて言ってないよ」
「俺は会う気満々だけど?」
「でもそんなこと言ってない」
「なら言えよ」
「やだよ」
「………」
「拗ねた?」
「拗ねてねぇーよ」
すると桜が吹き出す笑いをした。
そんなにわかりやすい声をしていたのか。
昔から色んな人に言われるけど、やはり俺は感情が出るタイプだ。
頭をガシガシと掻きながら唸っていると桜が笑いながら話す。
「そんなに会いたいの?」
「当たり前だろ」
「私よりも良い人いるのに」
「俺は桜が良いんだよ」
「よく恥ずかしい言葉ポンポンと言えるよね」
「1回言ったからな」
「……ねぇ涼」
「ん?」
「涼が言っていたのは本当だったよ」
「何がだよ」
「福島の夜って本当に静かなんだね。真っ暗だし、車の音なんてほとんどしない。虫の音が心地いいなんて初めて思った」
俺の体に鳥肌が立つ。
思わず立ち上がって俺は電話を両手で握ると、焦るように早口で桜に問いかける。
「ま、まさか、福島!?」
「冬休みになったら住所送るよ。お互いの気が変わってなかったらね」
「いや、今送って。どこ?どの市?地区は?」
「今言ったら学校サボって来るでしょ。それとも期間空いたら気が変わるの?」
「そんなことないだろ!てか福島の冬舐めるなよ!?新幹線止まって会えなかったらどうするんだよ!」
「その時は延期だね」
「はぁ!!?」
せっかく教える気になってくれたのに肝心の住所は教えてくれない。
俺はもどかしくてしょうがなかった。
「冬休みって言ったからな」
「うん。お互いの気が変わってなかったらね」
「2回も言わなくていい。絶対会う」
「ふふっ、それじゃあ私も頑張るよ」
「無理すんな。学校行きたくなかったら行かなくていい」
「ううん。行ってみる。私はお父さんじゃないから。それに何かあっても涼が慰めてくれるでしょ?」
「いじめた奴、殴りに行ってやるよ」
「ははっ、頼もしい」
やっとちゃんと桜の笑い声が聞こえた。
俺は安心して涙が出そうになる。
桜に気付かれないように滲んだ目を拭った。
「桜、ありがとう」
「私は何もしてない」
「しただろ。俺を信じてくれた」
「…お礼を言うのはこっちだよ。涼、味方になってくれてありがと」
「好きだよ」
「あっそ。じゃあ切るね」
「えっ、ちょっ、」
ブチッと音が鳴ったと同時に通話が終了した。
もしかして照れてしまったのだろうか。
だとしたら嬉しくて俺はニヤけてしまう。
しかしそんな姿を他の人に見せるわけにはいかないので口角に力を入れた。
「……よし!」
俺は握りしめてクシャクシャになったクレープの包み紙をゴミ箱に捨てて運動公園から出て行く。
何週間も悩んでいたのが嘘のように心が澄みきっていた。
桜の言葉1文字1文字が俺を動かしてくれる。
まるで俺の人生を操作する、物書きみたいだなと思った。
秋は訪れたばかり。
冬が来るまではまだまだ時間はある。
でも桜は約束してくれた。
次、会った時にとびきりの笑顔をさせてあげられるよう俺も頑張らないといけないな。
そう思った9月の中旬前だった。
「言ったろ?好きになったら周りなんてどうでも良くなるって」
「そうだったね」
「だから、お願い。忘れろなんて言うなよ」
「………うん」
耳に届いた俺は一瞬にして力が抜ける。
別に何も状況は変わってないのに、なんだか全部が解決したような感じになってしまった。
それでも嬉しい思いが込み上げてきて笑ってしまう。
「何笑ってんの」
「ううん。可愛いなって」
「またすぐそう言う…」
「本心だよ。俺嘘苦手なの知ってるだろ?」
「うん、知ってる」
「だから信じて」
「涼」
「なに?」
「ありがとう」
甘い。
好きな人からの感謝の言葉は甘く感じる。
まるでさっきのクレープみたいに。
もし、愛を囁かれたら俺はどんなふうにになってしまうのだろう。
きっと甘ったるくて胸焼けを起こしてしまいそうだ。
でも何度も聞きたい言葉。
それはきっと話す相手が桜だから。
「どういたしまして」
「でも今は会えない」
「…は、はい?会えないって言った?」
「うん。言った」
「え?今の流れで?俺はてっきり会えるのかと…」
「私は会おうなんて言ってないよ」
「俺は会う気満々だけど?」
「でもそんなこと言ってない」
「なら言えよ」
「やだよ」
「………」
「拗ねた?」
「拗ねてねぇーよ」
すると桜が吹き出す笑いをした。
そんなにわかりやすい声をしていたのか。
昔から色んな人に言われるけど、やはり俺は感情が出るタイプだ。
頭をガシガシと掻きながら唸っていると桜が笑いながら話す。
「そんなに会いたいの?」
「当たり前だろ」
「私よりも良い人いるのに」
「俺は桜が良いんだよ」
「よく恥ずかしい言葉ポンポンと言えるよね」
「1回言ったからな」
「……ねぇ涼」
「ん?」
「涼が言っていたのは本当だったよ」
「何がだよ」
「福島の夜って本当に静かなんだね。真っ暗だし、車の音なんてほとんどしない。虫の音が心地いいなんて初めて思った」
俺の体に鳥肌が立つ。
思わず立ち上がって俺は電話を両手で握ると、焦るように早口で桜に問いかける。
「ま、まさか、福島!?」
「冬休みになったら住所送るよ。お互いの気が変わってなかったらね」
「いや、今送って。どこ?どの市?地区は?」
「今言ったら学校サボって来るでしょ。それとも期間空いたら気が変わるの?」
「そんなことないだろ!てか福島の冬舐めるなよ!?新幹線止まって会えなかったらどうするんだよ!」
「その時は延期だね」
「はぁ!!?」
せっかく教える気になってくれたのに肝心の住所は教えてくれない。
俺はもどかしくてしょうがなかった。
「冬休みって言ったからな」
「うん。お互いの気が変わってなかったらね」
「2回も言わなくていい。絶対会う」
「ふふっ、それじゃあ私も頑張るよ」
「無理すんな。学校行きたくなかったら行かなくていい」
「ううん。行ってみる。私はお父さんじゃないから。それに何かあっても涼が慰めてくれるでしょ?」
「いじめた奴、殴りに行ってやるよ」
「ははっ、頼もしい」
やっとちゃんと桜の笑い声が聞こえた。
俺は安心して涙が出そうになる。
桜に気付かれないように滲んだ目を拭った。
「桜、ありがとう」
「私は何もしてない」
「しただろ。俺を信じてくれた」
「…お礼を言うのはこっちだよ。涼、味方になってくれてありがと」
「好きだよ」
「あっそ。じゃあ切るね」
「えっ、ちょっ、」
ブチッと音が鳴ったと同時に通話が終了した。
もしかして照れてしまったのだろうか。
だとしたら嬉しくて俺はニヤけてしまう。
しかしそんな姿を他の人に見せるわけにはいかないので口角に力を入れた。
「……よし!」
俺は握りしめてクシャクシャになったクレープの包み紙をゴミ箱に捨てて運動公園から出て行く。
何週間も悩んでいたのが嘘のように心が澄みきっていた。
桜の言葉1文字1文字が俺を動かしてくれる。
まるで俺の人生を操作する、物書きみたいだなと思った。
秋は訪れたばかり。
冬が来るまではまだまだ時間はある。
でも桜は約束してくれた。
次、会った時にとびきりの笑顔をさせてあげられるよう俺も頑張らないといけないな。
そう思った9月の中旬前だった。
0
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる