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1章 生徒との出会い
3話 皇子、討伐
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「他の部隊も問題無さそうです。アカデミーに戻りますか?」
「俺はどっちでも」
「あたしはまだ戦いたいんだけどなぁ」
「ならアカデミーの訓練室で暴れればいい」
「なっ!ハルサキ!お前あたしの事を暴馬って言ったな!」
「そんな事言ってない」
「まぁまぁ。とりあえず負傷者が居ないか確認しましょう」
3人は話し終えたようでハルサキとリンガネは先程助けを求めていた女性の方へ確認に行く。そして俺の方には指示出しの女性が来た。
「怪我は無いですか?」
「………」
「あの、大丈夫ですか?」
呼びかけに答えることなく俺は一点を見つめている。女性が首を傾げて近寄ってくるけどそれでも向こう側に見える黒い人間から目を離さなかった。
「すみません、体調悪いとか…?」
女性は俺の目の前に手を持ってきてブンブンと縦に振り始める。
「ああ!邪魔だ!!」
「えっ?」
俺は黒い人間を見失ってしまいそうになり、女性の手を目の前から退けた。そしてキョロキョロと鉄の建物を見渡して動いた方向に目を移動させる。
俺の近くにいる女性も、他の2人も近づいている黒い人間には気付いていないようだった。あれほどの力を持っていて気付かないのはおかしい。
視界に余計なことをされた俺は何だか理不尽な苛立ちを感じ始めて、「ああ!!」と声を出しながら頭を掻きむしった。
「いい!俺がやる!やってやる!」
「何をですか!?」
これだけ言っても意味がわかってない女性。俺と2人して大声を出したから、残りの2人もこちらにやってくる。
「おーい、負傷者無しで帰って行ったぞ……って、何だ何だ?喧嘩かぁ?」
「違います!なんかこの人が…!あっ、ちょっとどこ行くんですか!?」
俺は走り出す。後ろから指示出し女性が追いかけてくるけど構わずに黒い人間に向かって走った。黒い人間は走る俺の存在を感知したようにこちらへグルリと体を向ける。俺は足を止めずに左腰にかけてあるカムイ王都で作られた刀を抜刀した。
「コスプレイヤーじゃ無いんですか!?銃刀法違反です!」
「うるさい!何言ってるかさっぱりだ!」
後ろから飛ぶ声に応えながらも俺は黒い人間がいる鉄の建物へと近づく。黒い人間は体を大の字に広げながら俺目掛けて落ちてきた。
「カゲル…!止まってください!」
「やっと気付いたのか!止まらない!」
「私だって貴方が何言ってるかわかりません!止まりなさい!」
「止まらない!」
「もう!!ハルサキさん!リンガネさん!取り残し1体!」
「「了解!」」
後ろでなんか叫んでいるけど気にせず俺は刀を構える。黒い人間が俺の頭上まで落ちてきた瞬間、刀を大きく振りかぶった。
「キシャアーーーーーー!」
黒い人間は真っ二つに割れて叫び出す。耳に触る叫び声は俺の顔を顰めさせた。
割れた黒い人間は俺を境に地面へ倒れてそのまま蒸気となって消えていく。もう残りはいないだろう。俺は刀を丁寧に鞘に収めて後ろを振り返った。
「一体、今のは……」
「強えな…」
「無駄のない動きだ」
3人は俺の動きに圧巻しているようだ。ポカーンとしたアホ面が面白い。
「そんなに凄かったか?これくらいなんともない」
「あんた!ただのコスプレ人間じゃないんだな!どこかの部隊所属か?」
「さっきから何言ってるかわからんが、手合わせ願うなら受けて……」
「っしゃあ!あたしからだ!」
「まだ話終わって…!」
鍛錬の通りに刀を動かしただけなのに、こんなにも賞賛されては俺の威張り心を刺激されてしまう。調子乗って3人に向けて「来いよ」と指を動かせば、発育の良い女のリンガネとやらが刀を抜刀して俺に突っ込んできた。俺は驚きつつも素早く刀を引き抜いて攻撃を受け止める。
「危なっ!」
「なんて早い抜刀…!すげぇ!ならこれはどうだ!?」
一旦、俺の刀から離れたリンガネは体勢を整えて連続で振るってきた。一撃、一撃、スピードはないものの重い斬撃は手を抜けば刀は吹っ飛ぶだろう。
だから俺は手を抜かずに丁寧に受けとめて、最後の一太刀をリンガネごと振り払った。そうすればリンガネは見学していた2人の元へ飛ばされていく。少し力を入れすぎたかもしれない。
刀を持っているとはいえ女だ。しまったと思いつつ飛ばされた方向を見ればリンガネは、ハルサキに受け止められたようで怪我は無いようだった。
「すまない!」
「…いいぜ」
「え?」
「もっと来いや!!」
もしかして俺は彼女の心に火を付けてしまったのか…?リンガネはまた戦闘態勢に入ろうとするが、その隣にいた指示出し女性が手を伸ばして止めた。
「リンガネさん、もう終わりです」
「なんだよ委員長。ここからだろう?」
「アカデミーに戻ります」
「もう討伐は終わった。だからあたしらは暇だ。もう少し遊んだって…」
「きっとこれから沢山遊ぶ機会があります。だから戻りましょう?」
「どういうことだよ」
「アサガイ委員長。この男をアカデミーに連れて行くのか」
「その通りです、ハルサキさん。学長に紹介します。たとえ1体でもカゲルを倒してくれたのですから」
「紹介がなんで遊ぶ機会になるんだよ」
「確定とまではいきませんが可能性は十分に高いです」
「……わからねぇ」
なんか俺を差し置いて3人で話を進めてないか?アカデミーに連れて行くとか勝手に言われているけど俺は父上達を探さなくてはいけない。3人が話し合っているうちにこの場をこっそりと抜け出して……。
「では行きましょう」
「…………俺、人を探していて」
「ならばアカデミーで捜索願いを申請します。ついでだと思って来てください」
「はい……」
もう逃げ出す手札が無くなった俺は大人しくアサガイ委員長と呼ばれる女性について行くことにした。
アサガイ委員長の隣を歩く俺の後ろにはハルサキとリンガネが同じようにアカデミーに向かう。後ろから攻撃されないよな?と俺は謎の冷や汗をかき始めながらリンガネから放たれる視線に痛さを感じていた。
「俺はどっちでも」
「あたしはまだ戦いたいんだけどなぁ」
「ならアカデミーの訓練室で暴れればいい」
「なっ!ハルサキ!お前あたしの事を暴馬って言ったな!」
「そんな事言ってない」
「まぁまぁ。とりあえず負傷者が居ないか確認しましょう」
3人は話し終えたようでハルサキとリンガネは先程助けを求めていた女性の方へ確認に行く。そして俺の方には指示出しの女性が来た。
「怪我は無いですか?」
「………」
「あの、大丈夫ですか?」
呼びかけに答えることなく俺は一点を見つめている。女性が首を傾げて近寄ってくるけどそれでも向こう側に見える黒い人間から目を離さなかった。
「すみません、体調悪いとか…?」
女性は俺の目の前に手を持ってきてブンブンと縦に振り始める。
「ああ!邪魔だ!!」
「えっ?」
俺は黒い人間を見失ってしまいそうになり、女性の手を目の前から退けた。そしてキョロキョロと鉄の建物を見渡して動いた方向に目を移動させる。
俺の近くにいる女性も、他の2人も近づいている黒い人間には気付いていないようだった。あれほどの力を持っていて気付かないのはおかしい。
視界に余計なことをされた俺は何だか理不尽な苛立ちを感じ始めて、「ああ!!」と声を出しながら頭を掻きむしった。
「いい!俺がやる!やってやる!」
「何をですか!?」
これだけ言っても意味がわかってない女性。俺と2人して大声を出したから、残りの2人もこちらにやってくる。
「おーい、負傷者無しで帰って行ったぞ……って、何だ何だ?喧嘩かぁ?」
「違います!なんかこの人が…!あっ、ちょっとどこ行くんですか!?」
俺は走り出す。後ろから指示出し女性が追いかけてくるけど構わずに黒い人間に向かって走った。黒い人間は走る俺の存在を感知したようにこちらへグルリと体を向ける。俺は足を止めずに左腰にかけてあるカムイ王都で作られた刀を抜刀した。
「コスプレイヤーじゃ無いんですか!?銃刀法違反です!」
「うるさい!何言ってるかさっぱりだ!」
後ろから飛ぶ声に応えながらも俺は黒い人間がいる鉄の建物へと近づく。黒い人間は体を大の字に広げながら俺目掛けて落ちてきた。
「カゲル…!止まってください!」
「やっと気付いたのか!止まらない!」
「私だって貴方が何言ってるかわかりません!止まりなさい!」
「止まらない!」
「もう!!ハルサキさん!リンガネさん!取り残し1体!」
「「了解!」」
後ろでなんか叫んでいるけど気にせず俺は刀を構える。黒い人間が俺の頭上まで落ちてきた瞬間、刀を大きく振りかぶった。
「キシャアーーーーーー!」
黒い人間は真っ二つに割れて叫び出す。耳に触る叫び声は俺の顔を顰めさせた。
割れた黒い人間は俺を境に地面へ倒れてそのまま蒸気となって消えていく。もう残りはいないだろう。俺は刀を丁寧に鞘に収めて後ろを振り返った。
「一体、今のは……」
「強えな…」
「無駄のない動きだ」
3人は俺の動きに圧巻しているようだ。ポカーンとしたアホ面が面白い。
「そんなに凄かったか?これくらいなんともない」
「あんた!ただのコスプレ人間じゃないんだな!どこかの部隊所属か?」
「さっきから何言ってるかわからんが、手合わせ願うなら受けて……」
「っしゃあ!あたしからだ!」
「まだ話終わって…!」
鍛錬の通りに刀を動かしただけなのに、こんなにも賞賛されては俺の威張り心を刺激されてしまう。調子乗って3人に向けて「来いよ」と指を動かせば、発育の良い女のリンガネとやらが刀を抜刀して俺に突っ込んできた。俺は驚きつつも素早く刀を引き抜いて攻撃を受け止める。
「危なっ!」
「なんて早い抜刀…!すげぇ!ならこれはどうだ!?」
一旦、俺の刀から離れたリンガネは体勢を整えて連続で振るってきた。一撃、一撃、スピードはないものの重い斬撃は手を抜けば刀は吹っ飛ぶだろう。
だから俺は手を抜かずに丁寧に受けとめて、最後の一太刀をリンガネごと振り払った。そうすればリンガネは見学していた2人の元へ飛ばされていく。少し力を入れすぎたかもしれない。
刀を持っているとはいえ女だ。しまったと思いつつ飛ばされた方向を見ればリンガネは、ハルサキに受け止められたようで怪我は無いようだった。
「すまない!」
「…いいぜ」
「え?」
「もっと来いや!!」
もしかして俺は彼女の心に火を付けてしまったのか…?リンガネはまた戦闘態勢に入ろうとするが、その隣にいた指示出し女性が手を伸ばして止めた。
「リンガネさん、もう終わりです」
「なんだよ委員長。ここからだろう?」
「アカデミーに戻ります」
「もう討伐は終わった。だからあたしらは暇だ。もう少し遊んだって…」
「きっとこれから沢山遊ぶ機会があります。だから戻りましょう?」
「どういうことだよ」
「アサガイ委員長。この男をアカデミーに連れて行くのか」
「その通りです、ハルサキさん。学長に紹介します。たとえ1体でもカゲルを倒してくれたのですから」
「紹介がなんで遊ぶ機会になるんだよ」
「確定とまではいきませんが可能性は十分に高いです」
「……わからねぇ」
なんか俺を差し置いて3人で話を進めてないか?アカデミーに連れて行くとか勝手に言われているけど俺は父上達を探さなくてはいけない。3人が話し合っているうちにこの場をこっそりと抜け出して……。
「では行きましょう」
「…………俺、人を探していて」
「ならばアカデミーで捜索願いを申請します。ついでだと思って来てください」
「はい……」
もう逃げ出す手札が無くなった俺は大人しくアサガイ委員長と呼ばれる女性について行くことにした。
アサガイ委員長の隣を歩く俺の後ろにはハルサキとリンガネが同じようにアカデミーに向かう。後ろから攻撃されないよな?と俺は謎の冷や汗をかき始めながらリンガネから放たれる視線に痛さを感じていた。
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