旦那の愛が重すぎる

カイン

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「うわ!めっちゃひっさびさじゃね?」

食い気味に話しかけられる。
何となく雰囲気だけなら知ってる感じがするけど、誰だかさっぱり思い出せない。
はたまた赤の他人の可能性もある。
少し怖いけど、名前を聞いてみる。

「だ、だ、だれ?」

「俺だよ俺、高校ん時、同い年だった夏桜光輝だよ!覚えてない感じ?」

夏桜光輝…高校

「あ!あの赤髪ヤンキーのこうきくん??めっちゃ変わったね、」

「そうそう!そのこうきくんだよー。弥生忘れてたんだなー酷くね?笑」

高校時代、雅人しか主に話す相手はいなかったのだが、たまに雅人が不在の時にちょくちょく話しかけてくれたり、色んなものをくれたりしたのが当時赤髪だったこうきくんだ。
でも今は、髪色が黒だし、ファッションも大人っぽくて気づかなかった

「あ、ごめんね、忘れてたわけじゃないんだよえへへ。」

「ほんと??まいっか、なぁ、立ち話もなんだしどっか他の場所で話さねぇか?」  

急にそんなことを言われても戸惑う。
このまま雅人を待ち続けたいけど、いつ来るか分からないし、あまり長居すると店の人にも迷惑かもしれない…
どうするか悩んでると、

「あれ?来ないの?てか、何持ってんの?」

「あっ、」

持っていた人形を取られる。
酷い、途端にまた悲しくなって泣きそうになるが必死に涙をこらえる。

「か、返し、」

「お、ピカチ〇ウじゃん、これが欲しいの?俺が買ってきてやるよ」

「え、そんなことしなくても」

「いいからいいから、」

と言ってレジに歩いていていった。

しばらくして袋に詰められたあの子とこうきくんが帰ってくる。

「はいよ、」

「ありがとうー!」

すぐさまあの子を取り出して抱きつき、腕の中にしまう。

「じゃ、行くか」

10分後

「あ!あんなこともあったな、雅人くんが怒って、」

「え~そんなことが、俺全然しらないわ」

俺はこうきくんと話しながら、モール内を歩いていた。
こうきくんが話す場所に連れて行ってくれるらしい。
でもなかなかつかなくて、結構な距離を歩いた気がする。

「こんなこともあって、」

「なぁ、あとどれぐらいでつくの?」

「まぁ、もうすぐだよ、」

「そうなんだ、」

と言って、またそこそこな距離を歩く。
まぁ、話は面白かったので全然苦痛ではないがこれ以上雅人と離れたくないので、そろそろ場所を決めて欲しい。

「ねぇ、まだなの?」

「あとすこ、あ!ここだよ!」

そう言われ店名を見ると、

「極楽園、もりもと、?」

なんか、最近聞いた中で1番トラウマの苗字なんだけどま、関係ないしね。
それに店内を見ると、普通のカフェのようだ。

「入って入って、」

「え、でもお金もってないよ、俺払えない、」

「大丈夫大丈夫、」

「えぇ、、、」

何が大丈夫なのかわからない。なんか、急に怪しく感じてきた。

「あ、俺やっぱりいいや。これありがと!さよ、」

ガチャ

え、

扉の前でUターンして、帰ろうかと思ったら中から手が伸びてきて、引っ張られる。

ガチャン

「あーあ、オーナー早すぎるって、まっ、結果オーライかな?」

そう言い残し、夏桜光輝は扉の前を去って行った。



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