24 / 300
本編
坊津
しおりを挟む
1535年4月『大隅・国分清水城』種子島左兵衛尉時堯・7歳
「皆の者面を上げよ」
「「「「はっはぁ~」」」」
「今日は特別のはからいを持って父上様との直答を許すが、まずは私との問答をして気にかかる所を父上様がご下問される。その場合は直接父上様に話しかけることを許す、あい分かったか?」
「「「「はっはぁ~」」」」
今日は海賊や遣明船の寄港地となっている坊津からの代表団が種子島家に陳情にやって来た。坊津は明国をはじめ、琉球・南方諸国・南蛮とも貿易が活発だったのだが。最近は種子島家支配下の湊におされて寂れる一方だった。一時は明国から安濃津・博多津とならんで「日本三津」とまで呼ばれていたのだが。
「お殿様・若殿様、どうか我らの願いをお聞き届けくださいませ」
「出来る事なら聞き届けてやろう、だが出来ぬ事を頼まれても無理である」
俺の言葉を受けて坊津の代表3人は互いに誰が言いだすかけん制し合っている。よほど言いにくい事なのだろうが、それでも最初から決断してここに来ているのだから、俺たち親子の前でモジモジされても印象が悪くなるだけだ。
「その方どもは覚悟してここまで陳情に来たのだろう? ここでためらっても我らの印象が悪くなるだけだ、掃部助が代表して話せ!」
俺から見て3人は中々の人物に見える、まあそれは当然だろう。この戦国の世で、色んな国まで出向いて命懸けで商売しているのだ。時には海賊に襲われる事もあれば、現地の有力者と敵対して戦う事もあるだろう。いや場合によっては、自分たちが海賊となって町や船を襲っている事すらあるだろう、それくらい乱れに乱れた世の中なのだ。
「はい、では代表してお願いさせていただきます、どうか坊津を種子島様が治めて頂きたいのです」
まあ想像通りの展開だ、父上様にも事前にこの可能性はお話してある。今のまま種子島家支配の湊にだけ各国各地の商船が集まれば、坊津は干上がってしまう。もちろん自ら種子島家の湊にやって来て商品を仕入れ、それを各国各地に売りに行ける大規模商人なら生き残りも可能だろう。だが湊で小商いをしている者は干上がってしまう。まあ種子島家の湊に移住すれば何の問題もないし、実際すでに結構な人数の坊津住人が逃げて来ている。
「なにも種子島家がわざわざ坊津を攻め取る必要はあるまい、坊津の商人が種子島家の湊に移住すればよい、種子島家は喜んでそなたたちを受け入れるぞ?」
「確かにその方法でも坊津の人々は生きて行くことが出来ます、ですが坊津は明国と交易する上で場所がいいのです。それにすでに明国でもよく名が知られております、その利点を捨てるのは種子島様にとっても損ではありませんか?」
さすがに商人だ、損得をよく計算しているが、それはあくまで坊津商人からだけの視点だ。種子島家から見た損得をちゃんと計算していて、それを補う協力をする心算かは確認しておかなければならない。
「だがその為には島津家と戦わねばならぬ、その損失をどう考える?」
「坊津の住人」
鳥原掃部助宗安・坊津の商人・坊津天神丸の船頭
渡辺三郎五郎・坊津宮一丸の船頭
坊津佐左エ門
「皆の者面を上げよ」
「「「「はっはぁ~」」」」
「今日は特別のはからいを持って父上様との直答を許すが、まずは私との問答をして気にかかる所を父上様がご下問される。その場合は直接父上様に話しかけることを許す、あい分かったか?」
「「「「はっはぁ~」」」」
今日は海賊や遣明船の寄港地となっている坊津からの代表団が種子島家に陳情にやって来た。坊津は明国をはじめ、琉球・南方諸国・南蛮とも貿易が活発だったのだが。最近は種子島家支配下の湊におされて寂れる一方だった。一時は明国から安濃津・博多津とならんで「日本三津」とまで呼ばれていたのだが。
「お殿様・若殿様、どうか我らの願いをお聞き届けくださいませ」
「出来る事なら聞き届けてやろう、だが出来ぬ事を頼まれても無理である」
俺の言葉を受けて坊津の代表3人は互いに誰が言いだすかけん制し合っている。よほど言いにくい事なのだろうが、それでも最初から決断してここに来ているのだから、俺たち親子の前でモジモジされても印象が悪くなるだけだ。
「その方どもは覚悟してここまで陳情に来たのだろう? ここでためらっても我らの印象が悪くなるだけだ、掃部助が代表して話せ!」
俺から見て3人は中々の人物に見える、まあそれは当然だろう。この戦国の世で、色んな国まで出向いて命懸けで商売しているのだ。時には海賊に襲われる事もあれば、現地の有力者と敵対して戦う事もあるだろう。いや場合によっては、自分たちが海賊となって町や船を襲っている事すらあるだろう、それくらい乱れに乱れた世の中なのだ。
「はい、では代表してお願いさせていただきます、どうか坊津を種子島様が治めて頂きたいのです」
まあ想像通りの展開だ、父上様にも事前にこの可能性はお話してある。今のまま種子島家支配の湊にだけ各国各地の商船が集まれば、坊津は干上がってしまう。もちろん自ら種子島家の湊にやって来て商品を仕入れ、それを各国各地に売りに行ける大規模商人なら生き残りも可能だろう。だが湊で小商いをしている者は干上がってしまう。まあ種子島家の湊に移住すれば何の問題もないし、実際すでに結構な人数の坊津住人が逃げて来ている。
「なにも種子島家がわざわざ坊津を攻め取る必要はあるまい、坊津の商人が種子島家の湊に移住すればよい、種子島家は喜んでそなたたちを受け入れるぞ?」
「確かにその方法でも坊津の人々は生きて行くことが出来ます、ですが坊津は明国と交易する上で場所がいいのです。それにすでに明国でもよく名が知られております、その利点を捨てるのは種子島様にとっても損ではありませんか?」
さすがに商人だ、損得をよく計算しているが、それはあくまで坊津商人からだけの視点だ。種子島家から見た損得をちゃんと計算していて、それを補う協力をする心算かは確認しておかなければならない。
「だがその為には島津家と戦わねばならぬ、その損失をどう考える?」
「坊津の住人」
鳥原掃部助宗安・坊津の商人・坊津天神丸の船頭
渡辺三郎五郎・坊津宮一丸の船頭
坊津佐左エ門
1
あなたにおすすめの小説
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる