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本編
一騎打ち
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1536年11月『筑後国・柳川城』種子島左近衛将監時堯・8歳
「武蔵守殿、ここは素直に降伏なされてはどうか?」
「それは出来ぬ! 我も武士だ、主君を見捨てて降伏など出来ん!」
「だがな武蔵守殿、その主君たる大友家は1兵の援軍もよこしてこないでないか」
「殿も日向国の敵に対抗するので精一杯なのでしょう、だからこそ筑後は我らだけで守らねばならぬ」
菊池石見守重次の説得に応じない蒲池武蔵守鑑久は、チラリと俺の方に目を向けた。まあ大友家を追い詰め援軍を出せないようにしたのは俺だ、当然恨んでいるだろうし目障りだとも思っているだろう。だがさすがに正式な使者に手出しするのは作法に違反するから、隣の部屋に完全武装の武士を潜ませるだけで攻撃はしてこない。
「だがな武蔵守殿、そなたが忠誠を尽す大友修理大夫殿は武蔵守殿に何をしてくれたのだ? 武蔵守殿を恐れて弟・和泉守殿に8万石もの領地を分け与えさせて分家させたではないか! そのせいで20万石あった武蔵守殿の領地は12万石にまで減ってしまったではないか!」
「……」
「しかも武蔵守殿、武蔵守殿の家臣がほとんで寝返らぬのに比べて、和泉守殿の家臣はみな若殿に寝返ってしまったのだぞ、和泉守殿には家臣を心服させる力などなかった、ただ蒲池家の力を弱めるためだけに大友は介入して来たのだぞ!」
「それでも主君は主君だ」
そろそろ俺の出番だろう。
「武蔵守、余は今まで降伏臣従してきた国衆の内、ここにいる石見守以外には家臣を持つ事をほとんど認めて来なかった。だが武蔵守は家臣領民に善政を行い、家臣の忠誠心も石見守の家臣団に匹敵する。そこで余に寝返らなかった蒲池家家臣を引き続き家臣団とする事を認めよう。領地もほとんど減らないから10万石程度は維持できるだろう、それで降伏臣従せぬか?」
「厚遇有り難き話でございますが、武士としての面目を大切にしたいのです!」
「ならば余と一騎打ちで決着をつけないか? 余が武蔵守の主君に相応しいか正々堂々一騎打ちで確かめればいいだろう?」
「そうだそれがよかろう、城の奥に隠れ援軍もよこさぬ大友修理大夫殿と、正々堂々一騎打ちで勝敗を決めようとする若殿と、どちらが武蔵守の主君に相応しか己で確かめられるべきではないか? のう隣の部屋の方々よ!」
重次が隣室で固唾を飲んで聞いている蒲池家家臣団に話しかけた。
「殿! ここは我に御任せ下さい! 我が一騎打ちさせていただきます!」
蒲池家でも武勇に自信のある武士なのだろう、いや俺が空を飛んで城門や土塁を破壊するのを見ているのだから、勝てないのを理解しているからこそ主君・武蔵守の事を心配して身代わりになる決意をしたのだろう。
「安心せい! 武蔵守には余の家臣としての働きを期待しておる、だからこそ武士として後で非難され無いように正々堂々一騎打ちで決着をつけるのだ。だがまあ名乗りを上げたそなたも武士としての面目があるだろう、武蔵守の前に一騎打ちをしてやろう」
「有り難き幸せでございます!」
結局蒲池家の勇将7騎と武蔵守が一騎打ちに挑んで来たが、魔法で身体強化した俺にかなうはずもなく、無事? に蒲池家は俺の家臣となった。その噂は瞬く間に九州全土に広がり、俺の武名と武蔵守の忠義と武名も広まることになった。
これで1つの流れが出来た、それは俺と一騎打ちして武士の面目を立ててから降伏すると言うものだ。問註所親照・五条鑑量も俺と一騎打ちして面目を立てた後、俺の誘いを断り忠義を尽そうとした地侍を家臣に残すことを許されて、俺に降伏臣従する事になった。
「武蔵守殿、ここは素直に降伏なされてはどうか?」
「それは出来ぬ! 我も武士だ、主君を見捨てて降伏など出来ん!」
「だがな武蔵守殿、その主君たる大友家は1兵の援軍もよこしてこないでないか」
「殿も日向国の敵に対抗するので精一杯なのでしょう、だからこそ筑後は我らだけで守らねばならぬ」
菊池石見守重次の説得に応じない蒲池武蔵守鑑久は、チラリと俺の方に目を向けた。まあ大友家を追い詰め援軍を出せないようにしたのは俺だ、当然恨んでいるだろうし目障りだとも思っているだろう。だがさすがに正式な使者に手出しするのは作法に違反するから、隣の部屋に完全武装の武士を潜ませるだけで攻撃はしてこない。
「だがな武蔵守殿、そなたが忠誠を尽す大友修理大夫殿は武蔵守殿に何をしてくれたのだ? 武蔵守殿を恐れて弟・和泉守殿に8万石もの領地を分け与えさせて分家させたではないか! そのせいで20万石あった武蔵守殿の領地は12万石にまで減ってしまったではないか!」
「……」
「しかも武蔵守殿、武蔵守殿の家臣がほとんで寝返らぬのに比べて、和泉守殿の家臣はみな若殿に寝返ってしまったのだぞ、和泉守殿には家臣を心服させる力などなかった、ただ蒲池家の力を弱めるためだけに大友は介入して来たのだぞ!」
「それでも主君は主君だ」
そろそろ俺の出番だろう。
「武蔵守、余は今まで降伏臣従してきた国衆の内、ここにいる石見守以外には家臣を持つ事をほとんど認めて来なかった。だが武蔵守は家臣領民に善政を行い、家臣の忠誠心も石見守の家臣団に匹敵する。そこで余に寝返らなかった蒲池家家臣を引き続き家臣団とする事を認めよう。領地もほとんど減らないから10万石程度は維持できるだろう、それで降伏臣従せぬか?」
「厚遇有り難き話でございますが、武士としての面目を大切にしたいのです!」
「ならば余と一騎打ちで決着をつけないか? 余が武蔵守の主君に相応しいか正々堂々一騎打ちで確かめればいいだろう?」
「そうだそれがよかろう、城の奥に隠れ援軍もよこさぬ大友修理大夫殿と、正々堂々一騎打ちで勝敗を決めようとする若殿と、どちらが武蔵守の主君に相応しか己で確かめられるべきではないか? のう隣の部屋の方々よ!」
重次が隣室で固唾を飲んで聞いている蒲池家家臣団に話しかけた。
「殿! ここは我に御任せ下さい! 我が一騎打ちさせていただきます!」
蒲池家でも武勇に自信のある武士なのだろう、いや俺が空を飛んで城門や土塁を破壊するのを見ているのだから、勝てないのを理解しているからこそ主君・武蔵守の事を心配して身代わりになる決意をしたのだろう。
「安心せい! 武蔵守には余の家臣としての働きを期待しておる、だからこそ武士として後で非難され無いように正々堂々一騎打ちで決着をつけるのだ。だがまあ名乗りを上げたそなたも武士としての面目があるだろう、武蔵守の前に一騎打ちをしてやろう」
「有り難き幸せでございます!」
結局蒲池家の勇将7騎と武蔵守が一騎打ちに挑んで来たが、魔法で身体強化した俺にかなうはずもなく、無事? に蒲池家は俺の家臣となった。その噂は瞬く間に九州全土に広がり、俺の武名と武蔵守の忠義と武名も広まることになった。
これで1つの流れが出来た、それは俺と一騎打ちして武士の面目を立ててから降伏すると言うものだ。問註所親照・五条鑑量も俺と一騎打ちして面目を立てた後、俺の誘いを断り忠義を尽そうとした地侍を家臣に残すことを許されて、俺に降伏臣従する事になった。
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