魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

高利貸し撲滅

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1540年11月18日『京・種子島家屋敷』種子島権中納言時堯・12歳

「権中納言さま、私がそのような大役を拝命してもいいのでしょうか?」

「大丈夫ですよ叔父上、役目は専門の者に任せて、種子島家の代表として役所でドンと構えていて下さればいいのです」

「まあそうさせてもらうしかないな、合戦での駆け引きなら多少の心得はあるし、物価の事も権中納言さまの下で経験は積んでいる。だが権中納言さまが手塩にかけて育てた者たちには到底及ばないからな」

「本当に大丈夫でございますよ、何か問題があっても私がおります時は聞いて下さればいいのです。私がいない時には徳丸白虎に聞けば全て上手く計らってくれます。万が一朝廷や公家衆から無理難題が来たら、九条禅定太閤殿下か右大臣鷹司忠冬公を頼られれば大丈夫です」

「そうだな! 禅定太閤殿下も鷹司忠冬公も種子島家の縁者なのだな」

「そうでございます、だから安心なされてください」

 俺は種子島家の京での戦力が徐々に整い、畿内に戦雲が立ち込めてくる気配を察していた。実際に守護や国衆が動くかどうかは分からない。足利義晴将軍が動くとしたら、俺が京山城の幕府領を押領した時だと思う、だからまだこの件に関しては動くつもりは無い。

 だが、民を苦しめる祠堂銭・高利貸しは撲滅しなければならない!

 この事に関しては御上も朝廷もずっと苦しんでおられた。日吉大社の祠堂銭や土倉が営む超高利の貸し付けが、民を苦しめ政に悪影響を及ぼしてきた。まして自分たちの言い分を通す為に、ご神体を神輿に乗せて京に家々を破壊して回り、強訴するようなマネは断じて許す訳にはいかない!

 だから御上と内々で相談した上で、朝廷から徳政令をだして、その後でこの時代にしては超低金利の月利息1%で種子島家が貸し付けをする予定だ。表向き寺院が祠堂銭として貸し出している月金利は2%だが、土倉は8%で日銭屋は10%で貸しつけている、それを借り換え出来るようにするのだ。

 寺院は表向き祠堂銭2%で貸付しているが、実際には手先を使って土倉や日銭屋として高利で銭を貸しつけ、返せない者から土地を奪っているのだ。そして奪われた者の中には公家衆も沢山含まれているのだ。

 だが問題が1つ有る、それは足利幕府が土倉から税を徴収していることだ。そして徳政令を出した場合は、徳政額の20%を幕府に納めれば徳政を除外される制度にもなっていた。高利貸しは撲滅させたいが、そのために足利義晴将軍を追い詰めてしまい、予定より早く開戦することになりかねない。

 そこで詳しく調べたのだが、最初に年間6000貫文の税を納めた土倉は、最盛期には年間1万1000貫文余りが幕府に進納されていた。だが長引く戦乱は土倉の力も落としたのか、はたまた力を落とした足利幕府の足元をみて税を納めなくなったのか、今では月7貫文から10貫文程度しか税を納めていなかった。

 そこで近江朽木谷に逃げ込んでいる足利義晴将軍に、徳政額の20%を税として納める事と今後毎月10貫文を税として納める事を条件に、朝廷が徳政令を発布することを納得してもらう交渉を開始した。
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