魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

畿内戦力整備

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1540年11月20日『京・種子島家屋敷』種子島権中納言時堯・12歳

「俺の居ない間のことは頼んだぞ」

「お任せ下さい、公方様の軍であろうと管領殿の軍であろうと、洛中には一歩も入れる事はありません」

「白虎が京にいてくれるから、俺は安心して大宰府に帰る事が出来るよ」

「若殿が畿内軍団の中核となる将を、空を翔けて運んで下さったからでございます」

「それでも、白虎がいてくれるから裏切りの心配がないのだよ」

「ご謙遜をなさいますな、若殿の力を間近で見て裏切る愚か者などおりませぬ」

「これ以上互いに褒め合うのも見っとも無いから、その言葉素直に受けさせてもらうよ」

 俺は比叡山延暦寺の僧兵が強訴に来た事で、急ぎ畿内軍の充実を図ることにした。空を翔けて京と大宰府を1日に何度も往復して、畿内方面軍総司令長官に任命した徳丸白虎を始めとして、畿内軍の中核を担うべき軍団長を運んだ。

 もちろん普段みたいにマッハ10の速度で往復することは出来ないが、以前から準備していた将兵空輸用の大籠に軍団長や幹部を乗せて、出来るだけ早く往復して運んだ。

 中核となる幹部さえ運んでしまえば、生き残るために兵に志願した流民や日々買い求める奴隷を、強兵に鍛え上がるのは難しい事ではない。兵に装備させる武具は銭に糸目をつけずに購入するので、武具防具の職人や生活道具の職人も続々と京に集まって来た。

 周辺諸国の商人が富むことで、周辺諸国の守護や国衆が力をつけてしまう弊害もある。だが根来寺の津田殿の主導の下で、根来寺縁の商人が根来寺縁の職人が作った物を運んで来てくれるので、想定以上には敵勢力が力をつける事はなかった。

 最初に俺が手を付けたのは、六衛府の定員を無くして御所内の防衛力を充実させる事と、籠城時の矢玉と兵糧の確保だった。俺がいれば幾らでも空輸できるが、いつどんな不測の事態が起こるかもしれないし、公家衆や将兵の士気を保つ為には十二分の備蓄があった方がいい。

 六衛府の軍勢を2400騎・2万4000兵を確保し、左右京識配下の自衛軍として1万7500兵を、洛中の各坊内に分散配備して守りを固めさせた。そしてそれが整った後は、周辺諸国に攻め込めるような機動力・独自性を持った軍団を京七口に駐屯させるつもりだ。

 種子島家が皇室・朝廷を立てて着々と戦力を整える事に、山城国内や周辺諸国との境目に領地を持つ国衆・地侍が、俺や俺縁の公家衆・俺の配下に接触して身の安泰を図ろうとしてきた。
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