魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

河内国思案

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1544年2月10日『京・種子島屋敷』種子島権大納言時堯・16歳

「権大納言殿、河内の事はどうするつもりでおじゃるか?」

「はてさてどうしたもでしょうか、正直困り果てております」

 九条禅定太閤殿下が、今日もアルコール度数45度の強烈な焼酎を片手に話しかけてこられた。さっきから美味しそうにシナモンをかけて焼いたバナナを食べておられるが、あの強烈な甘ったるい香りと味を美味そうに食べるのは信じられない。

「困ることなど全くないであろう、あれほど一族で争い民百姓に塗炭の苦しみを与えているのだ、早々に滅ぼしてしまうのが最良だ」

 義父の関白鷹司忠冬殿下が、今日もブランデーを片手にしながら過激な事を言いだされた。義父はブランデーがお気に入りのようで、屋敷に来た時は大概ブランデーに甘いツマミを求められる。九条禅定太閤殿下と同じように、バナナのシナモン焼きを美味そうに食べる姿など見るのも嫌なのだが、そのような素振りを見せる訳にもいかない。食の好みとは結構争いの元になるからな。

「やろうと思えばやれるのですが、余り殺生を行うのは御上の御名に泥を塗ってしまう気がいたしますので、出来るだけ穏便に進めたいと思っているのです」

「確かにそうだな、朝廷が率先して争いを引き起こすような事は出来ん、権大納言殿も責任ある官職を賜り朝議に参加する立場だからな」

 義祖父の准三宮・鷹司兼輔殿下が味方して話に加わってくださったが、最近毎日毎日酒食を求めて3人そろってやってこられる。正直気疲れするから来ないで欲しいのだが、そんな事を口にする訳にもいかないから、我慢の日々が続いている。

「はい、それで当面は種子島家の降伏臣従したいと言う国衆・地侍だけを受け入れて、4派に分かれて争う畠山家は放って置くか、少々無理をしても攻め落とすか迷っております」

「権大納言殿が悩んでおじゃるのは、放って置くことで民百姓の苦しみが長引くことでおじゃろう」

「はい禅定太閤殿下、畠山4氏が相争う事で民百姓が死傷することが心配でございます」

「ならば攻め込むことを躊躇ってはならぬ、御上が何時も願っておられるのは、天下に静謐をもたらし民が安寧に暮らせることじゃ、武家に少々の死傷者が出ようとも民を助けてやらねばならぬ」

「そうだな、忠冬が申すことがもっともだ、権大納言殿は元々武家である、御上も権大納言殿が武力を持って天下を治める事に反対はなさらぬ、ここは不退転の決意で天下布武をなしとげられよ」

「そうでおじゃるな、鷹司関白殿下や鷹司准三宮殿下の申される通りでおじゃる、ここは権大納言殿に働いてもらうでおじゃる」

「分かりました、民百姓に安寧な生活を与えたいと願っておられる御上の御心に従い、河内国を併合すべく働かせていただきます」
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