魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

赤松左京大夫晴政

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「権大納言様、お久し振りでございます」

「久しいな家長殿、元気にされていたか?」

「はい、御陰様を持ちまして、つつがなく過ごさせていただいております」

「そうか、それは何よりの事だ、それでそこに控えておられるのが嫡男の貞利殿かな?」

「はい、今度の御役目を成し遂げる事か出来ましたら、私は隠居させていただこうと思っておりますので、その御挨拶も兼ねて一緒に参らせていただきました」

「そうか、この役目を果たしたら隠居されるか」

「はい、左京太夫さまの家臣としてけじめをつけるべきかと存じまして」

「そうか、そうだな、貴殿ならそう言うだろうな。それで条件は以前の約束通りでいいのかな?」

「それで結構でございます、左京太夫様の直領も置塩城を中心に3万石程度しか残っておりません。その直領の家臣ですら、権大納言様が攻め込まれたら幾人が最後まで左京大夫様に従うか疑わしい所でございます」

「そうか、家臣達から見放されているのか」

「龍野城主・赤松村秀様だけは最後まで忠誠を示してくれそうですが、浦上政宗や宇野村頼などは道祖松丸様を擁立し、赤松家を意のままに操ろうとしております」

「主家に対する忠誠心が有るのなら、幼君を奉じて盛り立てるのは悪いことでは無い。だが当主たる左京大夫殿が御存命であるのに、そのような暴挙を考えるのは家臣の分を過ぎているな」

「はい、左京太夫様もこのままでは命すら危険と判断され、守護職と城地を返上いたしたいと申しております」

「うむ、だがすでに幕府も将軍も管領も虚しいものになっておる、いまさら返上と言われてもな」

「いえ、幕府に返上するのではなく、朝廷に御渡ししたいのでございます」

「なるほど、左京太夫殿の家臣共を六衛府の直臣としろと言う事だな」

「はい、権大納言様が今までなされていた政策に従わせていただきます。ただし率先して従う代わりに、以前お話して下さった条件をもう少し好くして頂けませんでしょうか?」

「500俵扶持の羽林家と約束していたはずだが、それ以上を望むと言う事か?」

「はい、駄目でございましょうか?」

「うむ、家格に関しては由緒ある公家との兼ね合いもある、羽林家以上は難しい。しかし扶持に関しては、3万石の城地と家臣を朝廷に返上すると言い、実際にその通りに出来るのなら再考の余地はある」

「何分よろしくお願い申し上げます」

 さて、布石を打っていた通りに状況は進んでいたが、ここでもう1押しした方がよいと判断した。だが敵対している訳ではないので、無暗に左京大夫配下の城砦を破壊するのも問題だ。武士の誇りを持つ者なら、逆に名誉を重んじ命を捨てて戦いを挑む可能性もある。

 そこで大阪に居城を築く為に必要な巨石を運ぶ時に、赤松政秀の龍野城や宇野村頼の長水城の上空を、何度も低空で往復してやった。

 さすがにこれは心胆をさむからしめたようで、城と半知を種子島家に渡しその分を六衛府の扶持として受け取る事を素直に受け入れた。さらに最近は当たり前になって来た、種子島家家臣を養嗣子として受け入れることにも応じた。

 まあ主家の庶子を養嗣子として受け入れることは、今までからよくあった事で、赤松政秀の父親・赤松村秀も宇野政秀の養子に入っている。家臣を押し込むと言うのは少し強引だが、家格と能力を見てバランスをとっているから大丈夫だろう。これからの功名を考えれば、元々の領地以上になるような養嗣子を送り込んでいる。

「松原家」
松原家長:松原家当主
松原左近大夫貞利:松原家嫡男

「赤松晴政の一族家臣」
赤松政則・加賀半国・播磨・美作・備前の守護・赤松家の第9代当主
赤松義村・播磨の守護・赤松政則の婿養子・赤松家の第10代当主
赤松左京大夫晴政・飾磨郡置塩城主3万石・播磨国・備前国・美作国守護
         赤松氏の第11代当主
赤松左京大夫義祐・飾磨郡置塩城主・赤松晴政の男・浦上政宗に擁立され父を追放
         室は細川晴元の娘

赤松村秀・揖保郡龍野城主・赤松政則の男・西播磨半国守護代
     塩屋城主・宇野政秀の養子ですでに死亡
赤松下野守政秀・龍野城主・赤松晴政の娘婿・別名宇野下野守
赤松広貞・赤松政秀の男
川島三郎四郎頼村・赤松村秀の男
平井備中守祐利・赤松村秀の男
平井備中守貞利・平井祐利の男
平井助之進利政・平井祐利の次男
内海綱範・光明山城主・赤松村秀家臣
宇野祐清・熊見山城主
宇野蔵人村頼・宍栗郡長水城主・西播磨守護代
宇野下総介政頼・宇野村頼の男・西播磨守護代・別名宇野祐重
宇野祐政・宇野村頼の次男
本郷祐之・宇野政頼の四男・本郷信濃守の養子
喜多野柏阿・宿老
岡本光慶・別名・祝融軒周登
岡本周登・岡本光慶の男・別名祝融軒周登・赤松家老職
難波備前守泰興・
鳥居職種・
弥延長門守之家・
津田若狭守家職・播磨室津城主・奉行人・
小河秀春・赤穂郡小鷹山城主・赤松秀光の三男
島津忠之・島津忠長の男・室は山本村岡の妹・布施郷、下揖保の地頭職
孝橋秀光・中道子山城主・1549年細川晴元に属して「三宅城の戦い」で戦死
孝橋新五郎秀時・孝橋秀光の男・佐用郡浅瀬山城
得平能登守祐清・佐用郡米田城主・いなかった可能性大・宇野祐清と誤認
富田釆女・赤穂郡尼子山城は1559年ごろは尼子の城

「家臣を養嗣子に送り込んだ家」
赤松時秀:龍野城主
内海綱能:光明山城主
宇野祐全:熊見山城主
宇野篤頼:宍栗郡長水城主
宇野義直:塩屋城主
津田家善・播磨室津城主
小河秀郁:赤穂郡小鷹山城主
孝橋羽光:中道子山城主
孝橋秀杜:佐用郡浅瀬山城
宇野祐暫:佐用郡米田城主
富田氏利:赤穂郡尼子山城主
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