魔法武士・種子島時堯

克全

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1546年5月:京・種子島家邸:種子島時堯と徳丸白虎

「若殿、お帰りなさいませ」

「うむ、遅くまで御苦労だな」

「いえ、若殿の御苦労に比べれば何ほどの事もございません。それで急な御上からの御呼び出し、いったい何ごとでございましたか?」

「うむ、御上から天下を任せると言われてしまった」

「なんでございますと!? それは若殿に天下を治めよとの御言葉でございますか!」

「困った事だが、それに相違ない」

「そのような大役を申し付けられるなど、名誉な事ではございませんか」

「だがそれは血で血を洗う修羅の道となる、下手をすれば縁戚となった大内家や一条家に対しても、干戈に訴えてでも御上のご意思を果たさなければならなくなる」

「確かにそのような事になるは不幸な事ではございますが、全ては御上の御心に応えるためではありませんか。それに一条家も大内家も、御上のご意思とあれば逆らう事はないと存じますが?」

「当主の意思は問題ではない、家臣共が素直にそれに従うとは思えんのだ」

「ならば家臣共だけ誅殺なされればよいではありませんか、若殿の為ならば、何時でも六衛府の軍勢を率いて阿波に攻め込みます」

「いやいや、白虎と六衛府の軍勢には京の護りを任せねばならん。生産に従事していない人間で新たな軍勢を整えねばならないが、どれくらいの兵を集められると思うか?」

「生産力を落とさず、京の護りも各方面の防御力も下げない前提でございますね?」

「そうだ、侵攻先は決めず、任意の複数方面に軍勢を分けて侵攻する場合だ」

「まず三好を攻め滅ぼし、各個撃破にして方面軍の守備兵力を動かせるようすべきではありませんか?」

「その通りだ、特に四国方面軍を他の場所に動かすことが出来れば、どの方面にでも自由に侵攻出来るだろう。だがその事は有能な大名国衆なら全員理解しているはずだ、種子島家が三好征伐に動いたと知れれば、三好を支援しようと動く勢力が必ず出てくる」

「しかしながら若殿もすでに理解されておられるでしょうが、御上から天下を任された話は既に広まり始めているはずです。いえ、きっと野火のように日ノ本中に広まるでしょう、もはや三好云々以前に天下の諸大名を敵に回されたのです。ここは心を定められ、一気に急所を突かねばならないのではありませんか?」

「ああ白虎の言う通りだ、御上は天下万民が餓えることも凍えることも戦に怯えることもない生活が出来るようにと、心から思っておられる。だが今回のように天下を私に任せると発言されてしまわれると、全国の諸大名から嫉妬を受けることになる。これからは色々とやりにくくなる面と、進んで降伏臣従してくれる有り難い面が出てくるだろう」

「ならば勅命を頂いた事を大いに利用いたしましょう、さすれば考えるよりも容易く天下を平定出来るかもしれません。兵力に関しては、唐天竺から奴隷を購入して教練したしましょう」

「分かった、兵力が整うまでは威圧だけにとどめておこう」

「若殿の威圧ならば、それだけでも多くの国衆が進んで降伏して来るでしょう」

「それならばいいのだがな」
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