魔法武士・種子島時堯

克全

文字の大きさ
254 / 300
本編

備中侵攻前

しおりを挟む
 1546年9月:備前国・津井城

「権大納言様、御初に御目にかかります、細川安房守通政でございます。これに控えますは養子の下野守通薫でございます」

「よく来てくださった安房守殿、下野守殿、しかしながら今回の侵攻は、御上の勅命を奉じたものであり、足利将軍家や管領家の権威を一切否定している。備中守護職を得ている貴君達に配慮することは出来んのだが、それを分かって会いに来てくださったのかな?」

「重々承知しております。幕府の後継問題や、応仁の乱や文明の乱を始めてする合戦に次ぐ合戦で、備中は国衆が群雄割拠する状態となりました。しかしながら尼子家の支援を受けた庄為資が力を持ち、徐々に備中を占拠する勢いとなっています」

「それで伊予宇摩郡へ逃げておられたのだな」

「情けない話ながら、備中を追いだされてしまいました。僅かに心寄せてくれている地侍の連絡で、大内家の意向を受けた毛利元就が三村家親を支援し、備中国に再び合戦が起こると知らせてくれました。そんな所に月山富田城での大内義隆殿敗北と、権大納言様の安芸制圧の話が伝わって参り、急ぎ幕下に加えて頂こうと参陣しました」

 はてさてどうしたものだろう?

 俺は細川家の本家と言える細川京兆家と敵対しているし、他の細川一門も滅ぼす心算だった。備中守護家は事実上断絶し、野州細川家が備中浅口郡と伊予国宇摩郡の分郡守護に任命されている。だが備中国自体が細川京兆家の直接支配地が多く、備中守護家も野州細川家もその残りを支配していたに過ぎない。

 だから細川京兆家家衆と備中細川家内衆の両方に名前が見える一族がいるし、守護代を務めた事のある一族も俺が知る範囲だけで何家もある。

「守護代経験一族」
庄家
石川家
薬師寺家

「細川京兆家家衆と備中細川家内衆の両方に名前が見える一族」
庄家
石川家
薬師寺家
前田家
有岡家
上野家
斎藤家

 野州細川家も敵対するなら、皆諸共に滅ぼす心算だったのだが、このタイミングでこの備前・津井城に直接挨拶にやって来ると言うのは、とても有能なのだろう。有能なのなら、使わないと言うのは国の損失になる。

「確認するが、安房守殿と下野守殿は伊予で命脈を保っておられる。ここで我の配下になると言うのは、一族の阿波細川家を裏切り三好家とも敵対する事になるが、その覚悟は出来ているのだな?」

「はい、権大納言様に御味方するのが、唯一家名を保つ方法と考えております」

「国衙領(こくがりょう)を押領して出来上がった細川京兆家は認めないし、同じように国衙領(こくがりょう)を押領して出来上がった、野州細川家の備中浅口郡と伊予国宇摩郡の分郡守護職も剥奪することになるぞ?」

「権大納言様が御上を中心にした国造りをなされているのは重々承知しておりますから、その覚悟はしております」

 これだけの覚悟と先見性があるなら配下に加えても役に立ってくれるだろう。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

この状況には、訳がある

兎田りん
ファンタジー
 どうしてこんなことになったのか…    ファルムファス・メロディアスは頭を抱えていた。  居なくてもいい場所に、しなくてもいい装いをしている事の居心地の悪さといったら!  俺の関係ない所でやってくれ!  ファルムファスの握りしめた拳の行方はどこに ○更新状況○ 2023/2/15投稿開始 毎週水曜20時頃次回投稿の予定

処理中です...