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第1章
第7話:魔神の竜
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死にたくないと言っていた侍従の身体が爆ぜた。
一瞬で人間の身体から魔獣の姿に変化した。
それも、テューポーンを超える強大な魔獣に変化した。
魔神の眷属である魔獣の中でも段違いに強大な竜種、アイトワラスに変化した。
竜種の中では最弱に近いが、他の魔獣とは比べ物にならない強さを誇っている。
そんなアイトワラスに変化して襲い掛かって来た。
「魔神の眷属は命に代えても滅ぼす!」
トビアスの護衛騎士の一人が大剣を振るってアイトワラスに斬りかかる。
「そう簡単に死んでもらっては困ります。
何があっても生き延びて魔神を滅ぼすのが貴男たちの役目です」
トビアスが大剣の護衛騎士を叱責する。
「女性の為なら簡単に命を投げ出すトビアス様に言われたくありません」
だが、次に飛び出した護衛騎士の言い返された。
言った護衛騎士は長剣を振るってアイトワラスに斬りかかる。
「そう、そう、俺たちの命の使い時は、俺たち自身に決めさせてもらいますよ」
双剣使いの護衛騎士がそう言って後に続いた。
大剣や長剣ほど深いダメージは与えられないが、手数は2人よりも多かった。
アイトワラスの体に、人を喰らわないと再生できない傷が増えていく。
「ここは俺の出番だな」
身体がすっぽりと隠れるくらい大きな盾を大盾と呼ぶのだが、それと同じくらい巨大な剣を振るう護衛騎士がアイトワラスに斬りかかる。
「お前だけじゃない、俺様の出番でもある」
ハルバートというには巨大過ぎる、大鉞や大斧と言った方が現物を思い描ける巨大な武器を振るうを護衛騎士が、アイトワラスに斬りかかる。
この世界が誇る勇敢な騎士や戦士であろうと、何百人もが力を合わせないと斃せないのが魔神の眷属である竜種だ。
それなのにトビアスの護衛騎士は、たった5人でアイトワラスを圧倒している。
その実力の高さは、皇国最強と称えられる親衛騎士に匹敵する。
自分たちが離脱しても大丈夫、アルテイシアはそう判断して逃げる事にした。
卑怯下劣な者しか残っていない王城に魔獣が現れたのだ。
責任感を持って役目を果たそうとする者などいない。
騎士も兵士も持ち場を離れて逃げ散っていた。
アルテイシアを逃がさないように配置されていた騎士も兵士も、全員が持ち場を離れて逃げてしまっていた。
だからアルテイシアたちは楽々と王城から逃げる事ができた。
「公爵邸に向かいます」
アルテイシアはこれを好機と考えた。
王城が大混乱していて、誰もアルテイシアの事など気にしていない。
自分たちが逃げる事、生き延びる事しか考えていない。
こんな状態になる前は、アルテイシアを殺す必殺の罠が仕掛けられていた。
仕掛けた当人は、確実にアルテイシアを殺せたと思っているはずだ。
油断している諸悪の根源、実父のマナーズ公爵を斃せると考えたのだ。
「分かりました、気を引き締めなさい」
「「「「「はっ!」」」」」
ヴァネッサがアルテイシアに応え、仲間の護衛騎士や侍女に指示する。
全力で逃げていた主従の足並みが一気に遅くなった。
息を整え体力が回復する最速の足並みにしていた。
レイヴンズワース・リデル王家の分家で皇室の血を受け継ぐマナーズ公爵家は、この世界では名門中の名門だ。
王城の直ぐ側に広大な敷地を賜り、王城を護る為の支城と言えるくらいの堅固な邸宅を築いていた。
そんな堅城と言っても公爵邸に攻め込むと言うのだ。
息が上がった状態で侵入しようとするほど、アルテイシアは愚かじゃない。
万全の状態、全力をだせる状態で攻め込む事にしたのだ。
アルテイシア自身も体力の回復を最優先にしていた。
王城での戦いで溜まった疲労と使った魔力の回復に重点を置いていた。
「どきなさい、今直ぐ門を開けてわたくしを入れなさい」
アルテイシアが堂々と門番に命じた。
門番は、王城が大混乱しているのに、逃げる事無く役目を果たしていた。
卑怯下劣なマナーズ公爵家の門番とは思えない覚悟だった。
「ほう、あの罠から逃げきったのか。
いや、魔神様を信奉したとしても、この世界の人間では大した事はできないか」
身分の低い門番とは思えない横柄な態度だ。
いや、それ以前に、主家であるマナーズ公爵家の令嬢には使ってはいけない、無礼千万な言動だった。
「その言いざま、お前は魔族だな?」
ヴァネッサがアルテイシアを庇うように前に出た。
何時でも抜き打ちに斬り殺せる態勢で、門番に迫りながら言い切った。
「くっくっくっくっ、人間にしては頭が良いのだな。
そうよ、俺様は魔神様の眷属、ファブリルだ」
「天にまします我らが最高神よ。
この世界の平和を守るため、魔族を滅ぼす力をお与えください。
忠勇兼備の騎士たちに魔神を滅ぼす力を御貸し下さい。
ホーリィ・エンパワーメント」
アルテイシアが限界ギリギリの呪文を唱えた。
魔神を滅ぼす事ができるほどの力を希うなんて、最悪の場合は身体が干乾び枯死するほどの魔力や体力が必要なのだ。
命を捧げるという言葉を呪文に入れなくても、希う魔術によっては命を捧げたも同然なのだ。
アルテイシアがその場にくずれ落ちそうになった。
一瞬で痩せ細って餓死寸前の姿となり、力無くその場にくずれ落ちそうになった。
その身体を、左右を護っていた侍女が優しく支える。
支えたと同時に、今は亡きアルテイシアの実母直伝の回復薬を飲ませる。
飲ませたと同時に侍女の一人がアルテイシアをお姫様抱っこする。
もう1人の侍女が門番の攻撃の盾になる覚悟で前に立つ。
「ほう、皇室の血が薄くなっても堕落しない者がいたとは驚きだ。
だが、その程度の力で俺様を斃せると思うなよ。
デモン・ドラゴン・トランスフォーメーション」
魔族と思われる門番が呪文を唱えると、身体が内部から爆発したように弾けた。
常識的には信じられない光景だが、一気に魔竜に変化した。
竜種の中でも強大な、9つの頭を持つヒュドラーに変化した。
だが、ヴァネッサたちも黙っていた訳ではない。
アルテイシアが命懸けで最高神に希って賜った。破魔に剣で魔族を斃そうとしていたのだ。
斃そうとしていたが、できないでいたのだ。
超一流と言っても好い剣技を誇るヴァネッサたちが、死力を尽くして技を放ち、魔族が変化する前に斃そうとしたのだが、できなかった。
一太刀もあびせる事ができず、全てかわされてしまった。
だが、門番が人型から巨大なヒュドラーに変化した事で状況が変わった。
巨体であるがゆえに、身のこなしが悪くなった。
護衛騎士たちの剣がヒュドラーを捕らえ斬り裂き焼滅ぼす。
最高神に魔神を滅ぼす力を希った甲斐があった。
ヒュドラーの身体を軽々と斬り裂くだけでなく、焼いて消滅させた。
人が振るえる剣の長さでは、斬り裂ける深さが限られている。
だが、寸分たがわぬ場所に繰り返し攻撃できれば話は違って来る。
最初は急所に届かなかったが、焼滅ぼして体積が減った分、徐々に急所にまで届くと思われたのだが、一瞬で状況がひっくり返った。
一瞬で人間の身体から魔獣の姿に変化した。
それも、テューポーンを超える強大な魔獣に変化した。
魔神の眷属である魔獣の中でも段違いに強大な竜種、アイトワラスに変化した。
竜種の中では最弱に近いが、他の魔獣とは比べ物にならない強さを誇っている。
そんなアイトワラスに変化して襲い掛かって来た。
「魔神の眷属は命に代えても滅ぼす!」
トビアスの護衛騎士の一人が大剣を振るってアイトワラスに斬りかかる。
「そう簡単に死んでもらっては困ります。
何があっても生き延びて魔神を滅ぼすのが貴男たちの役目です」
トビアスが大剣の護衛騎士を叱責する。
「女性の為なら簡単に命を投げ出すトビアス様に言われたくありません」
だが、次に飛び出した護衛騎士の言い返された。
言った護衛騎士は長剣を振るってアイトワラスに斬りかかる。
「そう、そう、俺たちの命の使い時は、俺たち自身に決めさせてもらいますよ」
双剣使いの護衛騎士がそう言って後に続いた。
大剣や長剣ほど深いダメージは与えられないが、手数は2人よりも多かった。
アイトワラスの体に、人を喰らわないと再生できない傷が増えていく。
「ここは俺の出番だな」
身体がすっぽりと隠れるくらい大きな盾を大盾と呼ぶのだが、それと同じくらい巨大な剣を振るう護衛騎士がアイトワラスに斬りかかる。
「お前だけじゃない、俺様の出番でもある」
ハルバートというには巨大過ぎる、大鉞や大斧と言った方が現物を思い描ける巨大な武器を振るうを護衛騎士が、アイトワラスに斬りかかる。
この世界が誇る勇敢な騎士や戦士であろうと、何百人もが力を合わせないと斃せないのが魔神の眷属である竜種だ。
それなのにトビアスの護衛騎士は、たった5人でアイトワラスを圧倒している。
その実力の高さは、皇国最強と称えられる親衛騎士に匹敵する。
自分たちが離脱しても大丈夫、アルテイシアはそう判断して逃げる事にした。
卑怯下劣な者しか残っていない王城に魔獣が現れたのだ。
責任感を持って役目を果たそうとする者などいない。
騎士も兵士も持ち場を離れて逃げ散っていた。
アルテイシアを逃がさないように配置されていた騎士も兵士も、全員が持ち場を離れて逃げてしまっていた。
だからアルテイシアたちは楽々と王城から逃げる事ができた。
「公爵邸に向かいます」
アルテイシアはこれを好機と考えた。
王城が大混乱していて、誰もアルテイシアの事など気にしていない。
自分たちが逃げる事、生き延びる事しか考えていない。
こんな状態になる前は、アルテイシアを殺す必殺の罠が仕掛けられていた。
仕掛けた当人は、確実にアルテイシアを殺せたと思っているはずだ。
油断している諸悪の根源、実父のマナーズ公爵を斃せると考えたのだ。
「分かりました、気を引き締めなさい」
「「「「「はっ!」」」」」
ヴァネッサがアルテイシアに応え、仲間の護衛騎士や侍女に指示する。
全力で逃げていた主従の足並みが一気に遅くなった。
息を整え体力が回復する最速の足並みにしていた。
レイヴンズワース・リデル王家の分家で皇室の血を受け継ぐマナーズ公爵家は、この世界では名門中の名門だ。
王城の直ぐ側に広大な敷地を賜り、王城を護る為の支城と言えるくらいの堅固な邸宅を築いていた。
そんな堅城と言っても公爵邸に攻め込むと言うのだ。
息が上がった状態で侵入しようとするほど、アルテイシアは愚かじゃない。
万全の状態、全力をだせる状態で攻め込む事にしたのだ。
アルテイシア自身も体力の回復を最優先にしていた。
王城での戦いで溜まった疲労と使った魔力の回復に重点を置いていた。
「どきなさい、今直ぐ門を開けてわたくしを入れなさい」
アルテイシアが堂々と門番に命じた。
門番は、王城が大混乱しているのに、逃げる事無く役目を果たしていた。
卑怯下劣なマナーズ公爵家の門番とは思えない覚悟だった。
「ほう、あの罠から逃げきったのか。
いや、魔神様を信奉したとしても、この世界の人間では大した事はできないか」
身分の低い門番とは思えない横柄な態度だ。
いや、それ以前に、主家であるマナーズ公爵家の令嬢には使ってはいけない、無礼千万な言動だった。
「その言いざま、お前は魔族だな?」
ヴァネッサがアルテイシアを庇うように前に出た。
何時でも抜き打ちに斬り殺せる態勢で、門番に迫りながら言い切った。
「くっくっくっくっ、人間にしては頭が良いのだな。
そうよ、俺様は魔神様の眷属、ファブリルだ」
「天にまします我らが最高神よ。
この世界の平和を守るため、魔族を滅ぼす力をお与えください。
忠勇兼備の騎士たちに魔神を滅ぼす力を御貸し下さい。
ホーリィ・エンパワーメント」
アルテイシアが限界ギリギリの呪文を唱えた。
魔神を滅ぼす事ができるほどの力を希うなんて、最悪の場合は身体が干乾び枯死するほどの魔力や体力が必要なのだ。
命を捧げるという言葉を呪文に入れなくても、希う魔術によっては命を捧げたも同然なのだ。
アルテイシアがその場にくずれ落ちそうになった。
一瞬で痩せ細って餓死寸前の姿となり、力無くその場にくずれ落ちそうになった。
その身体を、左右を護っていた侍女が優しく支える。
支えたと同時に、今は亡きアルテイシアの実母直伝の回復薬を飲ませる。
飲ませたと同時に侍女の一人がアルテイシアをお姫様抱っこする。
もう1人の侍女が門番の攻撃の盾になる覚悟で前に立つ。
「ほう、皇室の血が薄くなっても堕落しない者がいたとは驚きだ。
だが、その程度の力で俺様を斃せると思うなよ。
デモン・ドラゴン・トランスフォーメーション」
魔族と思われる門番が呪文を唱えると、身体が内部から爆発したように弾けた。
常識的には信じられない光景だが、一気に魔竜に変化した。
竜種の中でも強大な、9つの頭を持つヒュドラーに変化した。
だが、ヴァネッサたちも黙っていた訳ではない。
アルテイシアが命懸けで最高神に希って賜った。破魔に剣で魔族を斃そうとしていたのだ。
斃そうとしていたが、できないでいたのだ。
超一流と言っても好い剣技を誇るヴァネッサたちが、死力を尽くして技を放ち、魔族が変化する前に斃そうとしたのだが、できなかった。
一太刀もあびせる事ができず、全てかわされてしまった。
だが、門番が人型から巨大なヒュドラーに変化した事で状況が変わった。
巨体であるがゆえに、身のこなしが悪くなった。
護衛騎士たちの剣がヒュドラーを捕らえ斬り裂き焼滅ぼす。
最高神に魔神を滅ぼす力を希った甲斐があった。
ヒュドラーの身体を軽々と斬り裂くだけでなく、焼いて消滅させた。
人が振るえる剣の長さでは、斬り裂ける深さが限られている。
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