22 / 27
第一章
21話
しおりを挟む
私はレアラ様の側を離れたくありませんでした。
レアラ様は私を労わって、後方に残るように言って下さいましたが、ただ夫を案じるだけの妻にはなりたくありません。
共に轡を並べて戦える妻でありたいのです。
拷問や晒しの現場は、流石に宿っているかもしれない子供の胎教に悪いので、耳を塞ぎ目を閉じていましたが、凄惨なモノでした。
王太子と側近貴族は丸裸にされ、高い木の上に釘付けにされ、遠くからでも見られるように晒し者にされました。
王太子軍が侵攻してきた土地を逆に進み、彼らが行った悪行に応じて罰が下されたのです。
多くの貴族や士族が、私達の前にやってきて、忠誠を使うから領地を安堵して欲しと言ってきました。
ですが、レアラ様は許されませんでした。
私達が領地に帰り着くまでに、多くの貴族士族の調査をなさっていたそうです。
貴族士族の誇りを持ち、民と領地を預けるのにふさわしい者を探したのだそうです。
ですが、そのような貴族士族は極少数だったそうです。
残念な事です。
ですが、全ての貴族士族とその家臣を殺し尽くすわけにはいきません。
そんな事をすれば、多くの手間と時間がかかってしまいます。
そこで、大魔境での活躍次第で、領地を安堵すると言う条件を出されました。
同時に、命の惜しい者は、領地を捨てて逃げればいいとも申されました。
腕の覚えのある陪臣士族と徒士は残りましたが、ほとんどの貴族と士族は逃げ出してしまいました。
大魔境で魔獣相手に戦うのが怖かったのでしょう。
日頃全く鍛えていないので、生き残れるとは思えなかったのでしょう。
逃げ出した貴族士族は、莫大な金銀財宝を持ち出そうとしました。
ですがレアラ様はそのような真似を許されませんでした。
領地から搾り取った財産です。
領民の為に使わなければいけません。
こんな時の為に、レアラ様はジェダ辺境伯領から沢山の勘定上手を連れてきておられました。
その者を代官に任じて、領主の悪政で疲弊した領地の再生をなされる心算なのです。
微力ながら、私もその御手伝いをさせて頂きます。
レアラ様は軍を王都には向けられず、時間をかけて四辺の貴族士族領の討伐に向かわれました。
貴族士族を追放し、領民の慰撫を重視されたのです。
王都から先に攻撃すると、貴族士族にむりやり動員された、領民まで殺してしまうことになるからです。
最初からその心算で、莫大な兵糧を用意されておられたのです。
魔境で獲れる魔獣は栄養価が高く、少量食べただけで十分戦うことが出来ます。
そうして領民を慰撫しているうちに、王都から使者がやってきたのです。
レアラ様は私を労わって、後方に残るように言って下さいましたが、ただ夫を案じるだけの妻にはなりたくありません。
共に轡を並べて戦える妻でありたいのです。
拷問や晒しの現場は、流石に宿っているかもしれない子供の胎教に悪いので、耳を塞ぎ目を閉じていましたが、凄惨なモノでした。
王太子と側近貴族は丸裸にされ、高い木の上に釘付けにされ、遠くからでも見られるように晒し者にされました。
王太子軍が侵攻してきた土地を逆に進み、彼らが行った悪行に応じて罰が下されたのです。
多くの貴族や士族が、私達の前にやってきて、忠誠を使うから領地を安堵して欲しと言ってきました。
ですが、レアラ様は許されませんでした。
私達が領地に帰り着くまでに、多くの貴族士族の調査をなさっていたそうです。
貴族士族の誇りを持ち、民と領地を預けるのにふさわしい者を探したのだそうです。
ですが、そのような貴族士族は極少数だったそうです。
残念な事です。
ですが、全ての貴族士族とその家臣を殺し尽くすわけにはいきません。
そんな事をすれば、多くの手間と時間がかかってしまいます。
そこで、大魔境での活躍次第で、領地を安堵すると言う条件を出されました。
同時に、命の惜しい者は、領地を捨てて逃げればいいとも申されました。
腕の覚えのある陪臣士族と徒士は残りましたが、ほとんどの貴族と士族は逃げ出してしまいました。
大魔境で魔獣相手に戦うのが怖かったのでしょう。
日頃全く鍛えていないので、生き残れるとは思えなかったのでしょう。
逃げ出した貴族士族は、莫大な金銀財宝を持ち出そうとしました。
ですがレアラ様はそのような真似を許されませんでした。
領地から搾り取った財産です。
領民の為に使わなければいけません。
こんな時の為に、レアラ様はジェダ辺境伯領から沢山の勘定上手を連れてきておられました。
その者を代官に任じて、領主の悪政で疲弊した領地の再生をなされる心算なのです。
微力ながら、私もその御手伝いをさせて頂きます。
レアラ様は軍を王都には向けられず、時間をかけて四辺の貴族士族領の討伐に向かわれました。
貴族士族を追放し、領民の慰撫を重視されたのです。
王都から先に攻撃すると、貴族士族にむりやり動員された、領民まで殺してしまうことになるからです。
最初からその心算で、莫大な兵糧を用意されておられたのです。
魔境で獲れる魔獣は栄養価が高く、少量食べただけで十分戦うことが出来ます。
そうして領民を慰撫しているうちに、王都から使者がやってきたのです。
2
あなたにおすすめの小説
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています
h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。
自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。
しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━?
「おかえりなさいませ、皇太子殿下」
「は? 皇太子? 誰が?」
「俺と婚約してほしいんだが」
「はい?」
なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
「神に見捨てられた無能の職業は追放!」隣国で“優秀な女性”だと溺愛される
佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢アンナ・ローレンスはグランベル王国第一王子ダニエル・クロムハートに突然の婚約破棄を言い渡された。
その理由はアンナの職業にあった。職業至上主義の世界でアンナは無能と言われる職業を成人の儀で神に与えられた。その日からアンナは転落人生を歩むことになった。公爵家の家族に使用人はアンナに冷たい態度を取り始める。
アンナにはレイチェルという妹がいた。そのレイチェルの職業は神に選ばれた人しかなれない特別な職業と言われる聖女。アンナとレイチェルは才能を比較された。姉のアンナは能力が劣っていると言われて苦しい日常を送る。
そして幼馴染でもある婚約者のダニエルをレイチェルに取られて最終的には公爵家当主の父ジョセフによって公爵家を追放されてしまった。
貴族から平民に落とされたアンナは旅に出て違う国で新しい生活をスタートする。一方アンナが出て行った公爵家では様々な問題が発生する。実はアンナは一人で公爵家のあらゆる仕事をこなしていた。使用人たちはアンナに無能だからとぞんざいに扱って仕事を押し付けていた。
幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係
紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。
顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。
※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)
「僕が望んだのは、あなたではありません」と婚約破棄をされたのに、どうしてそんなに大切にするのでしょう。【短編集】
長岡更紗
恋愛
異世界恋愛短編詰め合わせです。
気になったものだけでもおつまみください!
『君を買いたいと言われましたが、私は売り物ではありません』
『悪役令嬢は、友の多幸を望むのか』
『わたくしでは、お姉様の身代わりになりませんか?』
『婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。 』
『婚約破棄された悪役令嬢だけど、騎士団長に溺愛されるルートは可能ですか?』
他多数。
他サイトにも重複投稿しています。
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる