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第一章
第7話:旅立ち
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異世界召喚から20日目:佐藤克也(カーツ・サート)視点
俺はハーフエルフの隠里に5日間滞在した。
生き残った人々が安心して暮らせるように、ゴーレムを調整していた。
常に主人の魔力の半分をゴーレムに注ぐ事で、無敵の守護者を育てるのだ。
細かい事を言えば、塩があっても灰塩を作り続けるように指導した。
技術は継承が途絶えてしまうのが1番怖い。
塩と食糧の確保だけが結界に護られた隠里の弱点だ。
俺が大量の塩を送った事で技術が途絶えたなんて悪夢でしかない。
他にもハーフエルフに多くのモノを渡した。
ハーフエルフが肉も美味しく食べる事が分かったから送るモノ。
結界があって何者も出入りできなくなった世界。
家畜や家禽は最初に確保しておかなければいけない。
だから落ち葉ゴーレムを使って森を上空から俯瞰する。
そこで見つけた鹿と山羊、猪を捕獲して結界内に放つ。
同じように鳩と山鳥を捕獲しておく。
絶対に忘れてはいけないのが蜜蜂、蜂蜜の確保は絶対だ。
ブドウやリンゴがあるから、ワインやシードルは造れる。
だが甘味が果物しかないのは悲し過ぎる。
サトウカエデがあればメイプルシロップが採れるのだが、見つけられなかった。
同じように砂糖黍と砂糖大根、サトウカエデとサトウヤシ、サトウモロコシがあれば砂糖を作れるのだが、見つける事ができなかった。
100年は外界と断絶するハーフエルフの隠里。
俺の思いつく範囲で準備できる物は全部そろえた。
これで罪悪感を持たずに出て行くことができる。
「では俺達はこれで行かせてもらう」
「本当はずっといてもらいたいのですが……」
「俺には成し遂げたい正義がある。
その正義にもとづいてこの里を助けた。
だがこれ以上ここを助け続けるよりは、他の不幸な人々を助ける方が俺の正義だ」
「分かっています。
カーツ様の正義に口出ししないと約束しました。
オリビアの事をよろしくお願いします」
クオーターエルフのオリビア。
オリビアの所為で隠里が襲われたわけではない。
そんな常識は誰にだってわかっている。
だが人もハーフエルフも心がとても弱いのは同じだ。
ただ1人のクオーターエルフが不幸を運んできたと思いたくなってしまう。
誰かに原因を押しつけないと心の平安が保てない弱い者が大半だ。
「任せておけ、オリビをは何があっても俺が守る。
俺が目を離さなければいけない時も、3体のゴーレムが護ってくれる」
「そうですね、オリビアにはゴーレムがいてくれますものね」
オリビアの左右には2体のゴーレムがいる。
両手をつなぐオリビアは満面の笑みを浮かべている。
オリビアの想いが顔形を造ったゴーレムだ。
「パパ、だっこ!」
今はまだ魔力も知能も足りなくて言葉を話す事ができない。
だが、オリビアの想いが積み重なり、話しかけ続ければ知識と魔力が蓄積する。
そう長くない間に言葉を話せるようになるだろう。
「ママ、おててつないで!」
オリビアがパパに抱っこしてもらった状態で、ママにも手もつないでほしいと駄々をこねる。
言葉を話す事ができなくても、姿形が同じゴーレムを両親だと思っている。
いや、両親だと自分に思い込ませているのかもしれない。
両親が輪廻転生していなければ、魂をゴーレムに宿らせる事ができる。
この世界のことわりを利用すれば、ゾンビやゴースト、ファントムにもできた。
だが、俺の正義がそれを許さなかった。
「俺達はこれで結界を出る。
7つ造った出入り自由の許可証の内、2つをこれで使う。
出て直ぐに2つを叩き壊すから心配しなくていい」
「いえ、どうかそのまま持っていてください。
カーツ様は私達同様不老不死だと聞きました。
100年後、私達が困っていないか見に来ていただきたいのです。
子供の出来難い私達ですが、もしかしたら人が増え過ぎているかもしれません」
隠里を維持するためにできるだけ多くの子供を作ると言っていたからな。
10キロメートル四方の結界の中なら、1000人くらいは軽く養えるはず。
100年や200年で人を養えない状態になるはずがない。
「そんな心配は不要だと思うが、助けて後は知った事じゃないと言うのも無責任だ。
確認には来てやるが、時間を指定され縛られるのは大嫌いだ。
100年から200年の間に確認に戻るとだけ約束しておこう」
俺はバカじゃない。
オリビアの事が心配だから顔を見せて欲しいと言う意味なのくらい分かる。
やましい事など何もないから、オリビアの顔くらい見せに来てやるよ。
「ありがとうございます、カーツ様」
生き残ったハーフエルフが全員集まっている。
その背後や左右を護るようにウッド・ゴーレムとアース・ゴーレムがいる。
上空には枯れ葉ゴーレムが旋回している。
「気にするな、俺は俺の正義を行っただけだ。
行くぞ、オリビア」
「うん、行こう、パパ、ママ」
オリビアがパパ・アース・ゴーレムにがっちり抱き着いているのは不安の影響か?
そんな状態のオリビアに俺が手をつなぐ意味などない。
3体のゴーレムに多くを任せる事ができれば俺も楽だ。
「ありがとうございました!」
「ご恩は一生忘れません!」
「魔術も武術もできるだけ鍛えてみせます!」
「100年と言われずに何時でも来てください」
「「「「「お待ちしております!」」」」」
ハーフエルフ達のお礼の言葉を背中に聞きながら結界を出た。
「馬車が出せるところまで行くよ」
「うん」
堅く冷たいアース・ゴーレムの胸に抱きつきながらオリビアが返事をする。
ゴーレムに逃避して返事もしないようなら心配だが、これくらいなら何の問題もない、大丈夫だ。
街道まで普通に歩いたら3時間ほどかかってしまう。
だがゴーレムが全速力で走ったら30分もかからないだろう。
だが、それほど急がなければいけない理由などない。
「オリビア、君がハーフエルフだと分かると余計な揉め事が起こる。
その気になれば悪人くらい何時でも簡単にぶち殺せるが、こちらから人間の弱さを刺激して犯罪者にするのは俺の正義に反する。
この護符を身につけていれば他人からは人間に見える」
「分かった、付けておく。
パパとママはつけておかなくて大丈夫?」
おっと、いけない、うっかりしていた。
ハーフエルフの姿をしているゴーレムにも変身の護符をつけておいた方が良い。
今はまだゴツゴツしたゴーレム感があるが、直ぐに人間そっくりになる。
「そうだね、人間に見えるようにしておかないといけないね。
今のままでは一緒の部屋に泊まれないかもしれない」
「いや、絶対にパパとママから離れない!」
オリビアは、こちらの胸が締め付けられそうになる表情をしている。
内心では両親が死んだ事を理解しているのだろう。
もう少し大きくなったら両親の死を完全に受け入れられるだろう。
「ああ、無理に離したりはしないよ。
もし万が一、2人をゴーレムだと見抜くような者がいて、オリビアと同じ部屋に泊めないと言ったら、馬車の中で眠ればいいだけだよ」
俺の幻覚魔術や変化魔術を見抜けるような奴がいるとは思えないが、万が一のことがあるからな。
「うん、別に部屋に泊まれなくてもいい。
ずっと馬車で寝るのでいい」
うん、そうだな、争いごとを避けたい時には馬車で寝泊まりしよう。
貧しく苦しい生活をしている人々の悪心を、こちらから呼び起こすのは正義の味方がする事じゃない。
だが、嵌め手で殺したい奴が現れたら、オリビアがハーフエルフだと気づかせる。
いや、オリビアを危険にさらすことはできないから、ゴーレムをハーフエルフの姿に変化さて囮にしよう。
「分かった、馬車の寝心地を良くしよう」
「うん」
他に気になる事と言えば、ずっとオリビエについている2体のアンデットだ。
力はあまりないようだから、ゴーストクラスだろう。
もうオリビアは大丈夫だから、輪廻転生の輪に戻って欲しいのだが……
どうしたものかな?
無理矢理浄化してしまうのは俺の正義に反する。
2人が俺を信頼して自ら輪廻転生の輪に戻るのが理想だ。
2人が自ら戻らないのは、まだ俺が信用できないからだ。
信用もされていない人間が2人を浄化するなど、悪行としか言えない。
どうせオリビアの側にいてもらうのなら、いっそ仮の身体を与えるか?
だが、それでオリビアの独立心が育たないのは大問題だ。
両親が亡くなってしまった以上、できるだけ早く大人にならなければいけない。
しかし、俺の力なら両親が納得するまで側に居させてあげられる。
ハーフエルフの基準では、オリビアはまだまだ子供だ。
両親から愛情を注がれるべき年齢だ……迷う、2000年生きても迷うぞ!
俺はハーフエルフの隠里に5日間滞在した。
生き残った人々が安心して暮らせるように、ゴーレムを調整していた。
常に主人の魔力の半分をゴーレムに注ぐ事で、無敵の守護者を育てるのだ。
細かい事を言えば、塩があっても灰塩を作り続けるように指導した。
技術は継承が途絶えてしまうのが1番怖い。
塩と食糧の確保だけが結界に護られた隠里の弱点だ。
俺が大量の塩を送った事で技術が途絶えたなんて悪夢でしかない。
他にもハーフエルフに多くのモノを渡した。
ハーフエルフが肉も美味しく食べる事が分かったから送るモノ。
結界があって何者も出入りできなくなった世界。
家畜や家禽は最初に確保しておかなければいけない。
だから落ち葉ゴーレムを使って森を上空から俯瞰する。
そこで見つけた鹿と山羊、猪を捕獲して結界内に放つ。
同じように鳩と山鳥を捕獲しておく。
絶対に忘れてはいけないのが蜜蜂、蜂蜜の確保は絶対だ。
ブドウやリンゴがあるから、ワインやシードルは造れる。
だが甘味が果物しかないのは悲し過ぎる。
サトウカエデがあればメイプルシロップが採れるのだが、見つけられなかった。
同じように砂糖黍と砂糖大根、サトウカエデとサトウヤシ、サトウモロコシがあれば砂糖を作れるのだが、見つける事ができなかった。
100年は外界と断絶するハーフエルフの隠里。
俺の思いつく範囲で準備できる物は全部そろえた。
これで罪悪感を持たずに出て行くことができる。
「では俺達はこれで行かせてもらう」
「本当はずっといてもらいたいのですが……」
「俺には成し遂げたい正義がある。
その正義にもとづいてこの里を助けた。
だがこれ以上ここを助け続けるよりは、他の不幸な人々を助ける方が俺の正義だ」
「分かっています。
カーツ様の正義に口出ししないと約束しました。
オリビアの事をよろしくお願いします」
クオーターエルフのオリビア。
オリビアの所為で隠里が襲われたわけではない。
そんな常識は誰にだってわかっている。
だが人もハーフエルフも心がとても弱いのは同じだ。
ただ1人のクオーターエルフが不幸を運んできたと思いたくなってしまう。
誰かに原因を押しつけないと心の平安が保てない弱い者が大半だ。
「任せておけ、オリビをは何があっても俺が守る。
俺が目を離さなければいけない時も、3体のゴーレムが護ってくれる」
「そうですね、オリビアにはゴーレムがいてくれますものね」
オリビアの左右には2体のゴーレムがいる。
両手をつなぐオリビアは満面の笑みを浮かべている。
オリビアの想いが顔形を造ったゴーレムだ。
「パパ、だっこ!」
今はまだ魔力も知能も足りなくて言葉を話す事ができない。
だが、オリビアの想いが積み重なり、話しかけ続ければ知識と魔力が蓄積する。
そう長くない間に言葉を話せるようになるだろう。
「ママ、おててつないで!」
オリビアがパパに抱っこしてもらった状態で、ママにも手もつないでほしいと駄々をこねる。
言葉を話す事ができなくても、姿形が同じゴーレムを両親だと思っている。
いや、両親だと自分に思い込ませているのかもしれない。
両親が輪廻転生していなければ、魂をゴーレムに宿らせる事ができる。
この世界のことわりを利用すれば、ゾンビやゴースト、ファントムにもできた。
だが、俺の正義がそれを許さなかった。
「俺達はこれで結界を出る。
7つ造った出入り自由の許可証の内、2つをこれで使う。
出て直ぐに2つを叩き壊すから心配しなくていい」
「いえ、どうかそのまま持っていてください。
カーツ様は私達同様不老不死だと聞きました。
100年後、私達が困っていないか見に来ていただきたいのです。
子供の出来難い私達ですが、もしかしたら人が増え過ぎているかもしれません」
隠里を維持するためにできるだけ多くの子供を作ると言っていたからな。
10キロメートル四方の結界の中なら、1000人くらいは軽く養えるはず。
100年や200年で人を養えない状態になるはずがない。
「そんな心配は不要だと思うが、助けて後は知った事じゃないと言うのも無責任だ。
確認には来てやるが、時間を指定され縛られるのは大嫌いだ。
100年から200年の間に確認に戻るとだけ約束しておこう」
俺はバカじゃない。
オリビアの事が心配だから顔を見せて欲しいと言う意味なのくらい分かる。
やましい事など何もないから、オリビアの顔くらい見せに来てやるよ。
「ありがとうございます、カーツ様」
生き残ったハーフエルフが全員集まっている。
その背後や左右を護るようにウッド・ゴーレムとアース・ゴーレムがいる。
上空には枯れ葉ゴーレムが旋回している。
「気にするな、俺は俺の正義を行っただけだ。
行くぞ、オリビア」
「うん、行こう、パパ、ママ」
オリビアがパパ・アース・ゴーレムにがっちり抱き着いているのは不安の影響か?
そんな状態のオリビアに俺が手をつなぐ意味などない。
3体のゴーレムに多くを任せる事ができれば俺も楽だ。
「ありがとうございました!」
「ご恩は一生忘れません!」
「魔術も武術もできるだけ鍛えてみせます!」
「100年と言われずに何時でも来てください」
「「「「「お待ちしております!」」」」」
ハーフエルフ達のお礼の言葉を背中に聞きながら結界を出た。
「馬車が出せるところまで行くよ」
「うん」
堅く冷たいアース・ゴーレムの胸に抱きつきながらオリビアが返事をする。
ゴーレムに逃避して返事もしないようなら心配だが、これくらいなら何の問題もない、大丈夫だ。
街道まで普通に歩いたら3時間ほどかかってしまう。
だがゴーレムが全速力で走ったら30分もかからないだろう。
だが、それほど急がなければいけない理由などない。
「オリビア、君がハーフエルフだと分かると余計な揉め事が起こる。
その気になれば悪人くらい何時でも簡単にぶち殺せるが、こちらから人間の弱さを刺激して犯罪者にするのは俺の正義に反する。
この護符を身につけていれば他人からは人間に見える」
「分かった、付けておく。
パパとママはつけておかなくて大丈夫?」
おっと、いけない、うっかりしていた。
ハーフエルフの姿をしているゴーレムにも変身の護符をつけておいた方が良い。
今はまだゴツゴツしたゴーレム感があるが、直ぐに人間そっくりになる。
「そうだね、人間に見えるようにしておかないといけないね。
今のままでは一緒の部屋に泊まれないかもしれない」
「いや、絶対にパパとママから離れない!」
オリビアは、こちらの胸が締め付けられそうになる表情をしている。
内心では両親が死んだ事を理解しているのだろう。
もう少し大きくなったら両親の死を完全に受け入れられるだろう。
「ああ、無理に離したりはしないよ。
もし万が一、2人をゴーレムだと見抜くような者がいて、オリビアと同じ部屋に泊めないと言ったら、馬車の中で眠ればいいだけだよ」
俺の幻覚魔術や変化魔術を見抜けるような奴がいるとは思えないが、万が一のことがあるからな。
「うん、別に部屋に泊まれなくてもいい。
ずっと馬車で寝るのでいい」
うん、そうだな、争いごとを避けたい時には馬車で寝泊まりしよう。
貧しく苦しい生活をしている人々の悪心を、こちらから呼び起こすのは正義の味方がする事じゃない。
だが、嵌め手で殺したい奴が現れたら、オリビアがハーフエルフだと気づかせる。
いや、オリビアを危険にさらすことはできないから、ゴーレムをハーフエルフの姿に変化さて囮にしよう。
「分かった、馬車の寝心地を良くしよう」
「うん」
他に気になる事と言えば、ずっとオリビエについている2体のアンデットだ。
力はあまりないようだから、ゴーストクラスだろう。
もうオリビアは大丈夫だから、輪廻転生の輪に戻って欲しいのだが……
どうしたものかな?
無理矢理浄化してしまうのは俺の正義に反する。
2人が俺を信頼して自ら輪廻転生の輪に戻るのが理想だ。
2人が自ら戻らないのは、まだ俺が信用できないからだ。
信用もされていない人間が2人を浄化するなど、悪行としか言えない。
どうせオリビアの側にいてもらうのなら、いっそ仮の身体を与えるか?
だが、それでオリビアの独立心が育たないのは大問題だ。
両親が亡くなってしまった以上、できるだけ早く大人にならなければいけない。
しかし、俺の力なら両親が納得するまで側に居させてあげられる。
ハーフエルフの基準では、オリビアはまだまだ子供だ。
両親から愛情を注がれるべき年齢だ……迷う、2000年生きても迷うぞ!
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