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第一章
第18話:対決と自白
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異世界召喚から37日目:佐藤克也(カーツ・サート)視点
「俺様の冒険者ギルドで好き勝手はさせねぇ!」
俺は最悪の可能性を考えて冒険者ギルドを挑発した。
冒険者ギルドの受付を脅していると、予想外に黒幕が出て来た。
ギルドを巻き込んだ不正を行うなら、ギルド内部に仲間が必要だ。
貴族共が処分されたら逃げ出すのが普通だが、まだ残っていたか。
「マスター!」
なるほど、総責任者であるギルドマスターが貴族と結託していたか。
冒険者達から不平不満が出たとしても、マスターなら握り潰せる。
王国側とギルド側の両方が腐っていたらどうにもならない。
「このギルドはあんたの私物なのか?」
「俺様がこのギルドを護っている。
だから俺様のモノだ!」
「そんな、ギルドはマスターの私物じゃありません!」
「じゃかましい、黙ってろ!」
「おっと、女子供に手出しさせるわけにはいかないよ」
俺は受付嬢を殴り殺そうとしたマスターの腕をつかんで止めた。
そう、素早く動いてカウンターを乗り越えて止めたのだ。
巨人族と見間違うほどの巨体のマスターの腕を力尽くで止めたのだ!
「てめぇえ、自分が先に俺様の受付を殴ろうとしたのだろうが?!」
「お前を炙り出すための芝居さ。
バカがまんまと引っかかってくれて助かったよ」
「てめぇえ、ぶち殺す!」
巨人のようなマスターは、その姿通りの剛腕を振り回す。
ブンブンどころか、ギュンギュンと唸るような音を発するパンチだ。
だが地球のボクシングほどは洗練されていない。
「この程度の力と技で俺と戦おうとは、2000年早い」
俺はマスターの顎に右クロスカウンターを決めた。
テコの原理を利用して脳震盪を起こしてやった。
下顎を粉砕してもよかったのだが、真実を証言させる必要があった。
「ハーパー、受付嬢さん、こいつに自白魔術を使うから証人になってくれ。
王城で裏切者達を大量に処刑したが、そいつらの手足となって悪事を働いていた連中が野放しになっている。
もう証言させる貴族士族が死んでしまっているので、だんまりを決め込んで、嵐が過ぎるのを待っている小悪党も多い。
マスターを自白させて、後は芋づる式に捕らえたい」
「……カーツ殿のやられる事は、想像のはるか上を行かれる。
真正面から受け止めていると、心が壊れてしまう」
「マスターが、マスターが、マスターが……」
ハーパーは自分の若さと愚かさに愕然としている。
20年程度しか生きていない人間が、2000年を超える修行を積んだ仙人の考えについて行けるわけがないのだ。
冒険者ギルドの受付嬢は少しかわいそうだ。
荒くれ者の冒険者を力で束ねるマスターを尊敬していたのかもしれない。
だが実際は、ギルドを私物にして甘い汁を吸っていた小悪党だった。
「異論がないならさっさとやっていくぞ。
まずはギルド内部にいる小悪党を全員捕らえるからな」
この世界に来てから37日目の午後は冒険者ギルドの大掃除で終わった。
最悪の予想が当たっていた、ギルド幹部全員が不正に加担していた。
1人でも真っ当な人間がいたら、内部告発されるから当然だ。
腹立たしい事に、不正な利益のために殺された職員もいた。
正義感の強い職員が国に訴えたのだが、訴えた相手が腐っていた。
マスターたちと結託して甘い汁を吸っていた担当貴族だった。
★★★★★★
俺はマスターを含む24人の冒険者ギルド幹部を王城前に連行した。
いくら救国の手助けをした人間とは言っても、無位無官の他国人を簡単に王城の中に入れてくれるわけがない。
「国王に取り次げ。
昨日粛清した裏切者達の手足となって悪事を働いていた者の一部だ。
忙しいと言って何もしないのなら、俺の好きに処罰するぞ」
「しばしお待ちください!
カーツ殿の事は昨日拝見させていただきました。
我が国のためになる、とても大切な事をしてくださったのも分かります。
しかしながら、私達の独断でお通しする事はできません」
あの国王なら通行勝手の許可をくれそうだが、今は忙し過ぎて遊び心を発揮する余裕もないだろう。
それに、確かめておきたい事もあるからな。
「そんな事は分かっている。
俺が欲しいのは、自由に捜査する権限と処罰する権限だ。
このまま俺が勝手に民を苦しめていた悪党を捕え続けたら、王の無能が際立つぞ。
せめて王に頼まれてやっている事にしないと、民の心が取り返しのつかないくらい離れてしまうが、それでも良いのだな」
俺は昨日の事を思い出して注意しておくことにした。
王族と近衛騎士の中には、処刑された貴族と同程度の奴がいた。
そんな連中が俺の手柄を握り潰そうと、王への取次を拒む可能性がある。
別に俺はこの世界の王に媚びへつらう気はない。
自分の正義を貫いているだけで、手柄を立てたいと思っている訳ではない。
だが、性根の腐った奴から見ると、出世のライバルに見えるのだろう。
「直ぐに上司に報告させていただきます!」
「王族や近衛騎士の中にも性根の腐った奴がいた。
報告を握り潰そうとする奴がいるかもしれないから気をつけろ。
俺は別にこの国の王が民から嫌われてもかまわない。
お前らが、王と国をどうしたいのか決めて行動しろ」
誰が王になろうと構わない。
目に余るようなら正義を貫いて滅ぼすだけだ。
何ならエブリンやハーパーを王にしてやってもかまわない。
今の王は、悪人を見抜く力はないが悪い奴ではない。
行動は遅かったが、裏切者を処断する行動力もある。
もう少しくらい手助けしてやって良い気になっている。
「ハーパー、俺はこいつらを連れて屋敷に戻っている」
30分ほど待ったが、誰もやってこない。
先ほどの近衛門番も戻ってこない。
恐らくは腐った上司か王族が報告を握り潰そうとしているのだろう。
それを近衛門番が正論を言って防いでいるのだ。
索敵魔術を使えば簡単に真実が分かるが、そこまでする気はない。
大量の貴族士族を処刑した直後なのに、まだこのような状態の王など知らぬ。
さっきまでは、もう少し見どころの有る国王だと思っていたが、違うようだ。
「お待ちください、私が父を通して報告します。
だからこの国を見捨てないでください」
「ハーパー、見捨てるも何も、俺は最初からこの国に何の期待もしていない。
国を治めるはずの貴族の欲望のために、家族を殺され生き地獄に落とされた女子供を助けようとしただけだ。
穏便に助けるために、この国の中枢に近づいただけだ。
貴族だけでなく王族までが腐っているのなら、国を頼らないだけだ」
だんだん腹が立ってきた!
特に盗賊に偽装した女子供が嬲り者にされているのを思い出したら……
あれをやらした者の中に、王が任命した騎士団長や伯爵がいた。
「カーツ殿!」
「1つだけ断っておくが、俺がもらった屋敷に入り込もうとした者は殺す。
入り込めと命じた奴も、問答無用で殺す。
例えそれがこの国の第1王子であろうと王女であろうとだ!
ジャマするなら王の首であろうと刎ね飛ばす」
「王に剣を向けると言われるのなら、私も黙っていれませんよ」
「笑わすな、強きに歯向かえぬ小心者が!
お前が心から王に忠誠を誓っているのなら、なぜ近衛と一緒に行かなかった。
冒険者ギルドで言ったはずだぞ。
本気で王に忠誠を誓っているのなら、命懸けで諫言しろと。
王族と近衛の上に、王の名誉を地に落としても自分の欲望を優先する者がいると言ったにもかかわらず、お前はここに残って楽をしていた。
そんな人間に、今更王に忠誠を誓っていると言われても、片腹痛いだけだ」
「それは……王族や近衛を恐れたのではなく……思い至らなかっただけで……」
人柄は悪くないのだが、頭が悪すぎる。
「バカのフリをして卑怯と臆病を誤魔化すのか?
お前の親切は、卑怯と臆病を隠すためのポーズでしかない。
エブリンには可哀想だが、次に俺に剣を向けたら問答無用で殺す!」
俺はそう言うと抜く手も見せない早業でハーパーの首に剣を当てた。
俺が本気だったら、瞬きする間もなくハーパーの首は刎ね飛んでいる。
残っていた近衛の門番も口を開けた状態で固まっている。
「親不孝をしたくないのなら、俺の屋敷に近づくな。
敵と判断した者が近づいたら、本人を殺して家族を拷問にかける。
俺の自白呪文がどれほど効果的なのかは見たよな。
隠しておきたい恥ずかしい事まで全て表に出るぞ。
家族をそんな目に合わせたいというのなら、忠告を無視して来るがいい」
「俺様の冒険者ギルドで好き勝手はさせねぇ!」
俺は最悪の可能性を考えて冒険者ギルドを挑発した。
冒険者ギルドの受付を脅していると、予想外に黒幕が出て来た。
ギルドを巻き込んだ不正を行うなら、ギルド内部に仲間が必要だ。
貴族共が処分されたら逃げ出すのが普通だが、まだ残っていたか。
「マスター!」
なるほど、総責任者であるギルドマスターが貴族と結託していたか。
冒険者達から不平不満が出たとしても、マスターなら握り潰せる。
王国側とギルド側の両方が腐っていたらどうにもならない。
「このギルドはあんたの私物なのか?」
「俺様がこのギルドを護っている。
だから俺様のモノだ!」
「そんな、ギルドはマスターの私物じゃありません!」
「じゃかましい、黙ってろ!」
「おっと、女子供に手出しさせるわけにはいかないよ」
俺は受付嬢を殴り殺そうとしたマスターの腕をつかんで止めた。
そう、素早く動いてカウンターを乗り越えて止めたのだ。
巨人族と見間違うほどの巨体のマスターの腕を力尽くで止めたのだ!
「てめぇえ、自分が先に俺様の受付を殴ろうとしたのだろうが?!」
「お前を炙り出すための芝居さ。
バカがまんまと引っかかってくれて助かったよ」
「てめぇえ、ぶち殺す!」
巨人のようなマスターは、その姿通りの剛腕を振り回す。
ブンブンどころか、ギュンギュンと唸るような音を発するパンチだ。
だが地球のボクシングほどは洗練されていない。
「この程度の力と技で俺と戦おうとは、2000年早い」
俺はマスターの顎に右クロスカウンターを決めた。
テコの原理を利用して脳震盪を起こしてやった。
下顎を粉砕してもよかったのだが、真実を証言させる必要があった。
「ハーパー、受付嬢さん、こいつに自白魔術を使うから証人になってくれ。
王城で裏切者達を大量に処刑したが、そいつらの手足となって悪事を働いていた連中が野放しになっている。
もう証言させる貴族士族が死んでしまっているので、だんまりを決め込んで、嵐が過ぎるのを待っている小悪党も多い。
マスターを自白させて、後は芋づる式に捕らえたい」
「……カーツ殿のやられる事は、想像のはるか上を行かれる。
真正面から受け止めていると、心が壊れてしまう」
「マスターが、マスターが、マスターが……」
ハーパーは自分の若さと愚かさに愕然としている。
20年程度しか生きていない人間が、2000年を超える修行を積んだ仙人の考えについて行けるわけがないのだ。
冒険者ギルドの受付嬢は少しかわいそうだ。
荒くれ者の冒険者を力で束ねるマスターを尊敬していたのかもしれない。
だが実際は、ギルドを私物にして甘い汁を吸っていた小悪党だった。
「異論がないならさっさとやっていくぞ。
まずはギルド内部にいる小悪党を全員捕らえるからな」
この世界に来てから37日目の午後は冒険者ギルドの大掃除で終わった。
最悪の予想が当たっていた、ギルド幹部全員が不正に加担していた。
1人でも真っ当な人間がいたら、内部告発されるから当然だ。
腹立たしい事に、不正な利益のために殺された職員もいた。
正義感の強い職員が国に訴えたのだが、訴えた相手が腐っていた。
マスターたちと結託して甘い汁を吸っていた担当貴族だった。
★★★★★★
俺はマスターを含む24人の冒険者ギルド幹部を王城前に連行した。
いくら救国の手助けをした人間とは言っても、無位無官の他国人を簡単に王城の中に入れてくれるわけがない。
「国王に取り次げ。
昨日粛清した裏切者達の手足となって悪事を働いていた者の一部だ。
忙しいと言って何もしないのなら、俺の好きに処罰するぞ」
「しばしお待ちください!
カーツ殿の事は昨日拝見させていただきました。
我が国のためになる、とても大切な事をしてくださったのも分かります。
しかしながら、私達の独断でお通しする事はできません」
あの国王なら通行勝手の許可をくれそうだが、今は忙し過ぎて遊び心を発揮する余裕もないだろう。
それに、確かめておきたい事もあるからな。
「そんな事は分かっている。
俺が欲しいのは、自由に捜査する権限と処罰する権限だ。
このまま俺が勝手に民を苦しめていた悪党を捕え続けたら、王の無能が際立つぞ。
せめて王に頼まれてやっている事にしないと、民の心が取り返しのつかないくらい離れてしまうが、それでも良いのだな」
俺は昨日の事を思い出して注意しておくことにした。
王族と近衛騎士の中には、処刑された貴族と同程度の奴がいた。
そんな連中が俺の手柄を握り潰そうと、王への取次を拒む可能性がある。
別に俺はこの世界の王に媚びへつらう気はない。
自分の正義を貫いているだけで、手柄を立てたいと思っている訳ではない。
だが、性根の腐った奴から見ると、出世のライバルに見えるのだろう。
「直ぐに上司に報告させていただきます!」
「王族や近衛騎士の中にも性根の腐った奴がいた。
報告を握り潰そうとする奴がいるかもしれないから気をつけろ。
俺は別にこの国の王が民から嫌われてもかまわない。
お前らが、王と国をどうしたいのか決めて行動しろ」
誰が王になろうと構わない。
目に余るようなら正義を貫いて滅ぼすだけだ。
何ならエブリンやハーパーを王にしてやってもかまわない。
今の王は、悪人を見抜く力はないが悪い奴ではない。
行動は遅かったが、裏切者を処断する行動力もある。
もう少しくらい手助けしてやって良い気になっている。
「ハーパー、俺はこいつらを連れて屋敷に戻っている」
30分ほど待ったが、誰もやってこない。
先ほどの近衛門番も戻ってこない。
恐らくは腐った上司か王族が報告を握り潰そうとしているのだろう。
それを近衛門番が正論を言って防いでいるのだ。
索敵魔術を使えば簡単に真実が分かるが、そこまでする気はない。
大量の貴族士族を処刑した直後なのに、まだこのような状態の王など知らぬ。
さっきまでは、もう少し見どころの有る国王だと思っていたが、違うようだ。
「お待ちください、私が父を通して報告します。
だからこの国を見捨てないでください」
「ハーパー、見捨てるも何も、俺は最初からこの国に何の期待もしていない。
国を治めるはずの貴族の欲望のために、家族を殺され生き地獄に落とされた女子供を助けようとしただけだ。
穏便に助けるために、この国の中枢に近づいただけだ。
貴族だけでなく王族までが腐っているのなら、国を頼らないだけだ」
だんだん腹が立ってきた!
特に盗賊に偽装した女子供が嬲り者にされているのを思い出したら……
あれをやらした者の中に、王が任命した騎士団長や伯爵がいた。
「カーツ殿!」
「1つだけ断っておくが、俺がもらった屋敷に入り込もうとした者は殺す。
入り込めと命じた奴も、問答無用で殺す。
例えそれがこの国の第1王子であろうと王女であろうとだ!
ジャマするなら王の首であろうと刎ね飛ばす」
「王に剣を向けると言われるのなら、私も黙っていれませんよ」
「笑わすな、強きに歯向かえぬ小心者が!
お前が心から王に忠誠を誓っているのなら、なぜ近衛と一緒に行かなかった。
冒険者ギルドで言ったはずだぞ。
本気で王に忠誠を誓っているのなら、命懸けで諫言しろと。
王族と近衛の上に、王の名誉を地に落としても自分の欲望を優先する者がいると言ったにもかかわらず、お前はここに残って楽をしていた。
そんな人間に、今更王に忠誠を誓っていると言われても、片腹痛いだけだ」
「それは……王族や近衛を恐れたのではなく……思い至らなかっただけで……」
人柄は悪くないのだが、頭が悪すぎる。
「バカのフリをして卑怯と臆病を誤魔化すのか?
お前の親切は、卑怯と臆病を隠すためのポーズでしかない。
エブリンには可哀想だが、次に俺に剣を向けたら問答無用で殺す!」
俺はそう言うと抜く手も見せない早業でハーパーの首に剣を当てた。
俺が本気だったら、瞬きする間もなくハーパーの首は刎ね飛んでいる。
残っていた近衛の門番も口を開けた状態で固まっている。
「親不孝をしたくないのなら、俺の屋敷に近づくな。
敵と判断した者が近づいたら、本人を殺して家族を拷問にかける。
俺の自白呪文がどれほど効果的なのかは見たよな。
隠しておきたい恥ずかしい事まで全て表に出るぞ。
家族をそんな目に合わせたいというのなら、忠告を無視して来るがいい」
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