転生魔術師は実力を隠していたので、無能と謗られて勇者パーティーを追放されてしまい、困っていた猫獣人を一人前に育てる事にしました。

克全

文字の大きさ
4 / 6
第一章

第4話:爪斬

しおりを挟む
 俺の動きをリンメイがしっかりと見ている。
 驚愕しているようだが、眼を逸らす事なく学ぼうとしている。
 俺は指先に魔力を込めて強化し、モンスターの急所をえぐり取る。
 血管を断つようの首や四肢の急所を狙う。
 魔力の量次第で首すら断つ事ができるので、モンスターは瞬殺だ。

「よく見ていたかい、同じように戦ってもらうよ。
 まずはリンメイの能力である爪を出してくれ。
 その爪を上手く活用すればリンメイは誰にも負けなくなるよ。
 リンメイは猫獣人だから、上手く剣を持てなくて当然なんだよ。
 リンメイは猫獣人らしい戦い方をすべきなんだよ」

「うん、分かった、頑張ってみる」

 そう答えたリンメイに迷いは感じられなかった。
 俺の戦い方を見た事で、自分の本性にあった戦い方を悟ったのだと思う。
 リンメイは人間になりたかったのかもしれない。
 猫獣人であることを認めたくなかったのかもしれない。
 それとも誰かに騙されて人間のように戦わされていたのかもしれない。
 この事は焦らずじっくりと見極めていこう。
 勇者パーティー以外の敵がいるかもしれないから……

「みぎゃあああああ」

 リンメイが独特の雄叫びをあげながらモンスターの群れに突っ込んでいった。
 俺の手本通り、立体的に飛び跳ねてモンスターに傷を与えている。
 俺と同じように一撃で首を断つことはできないが、確実に生命力を削っている。
 血管を断てば、血を失って確実に死に近づく。
 生命力が飛び抜けて強いオーガであろうと、徐々に死に近づいている。
 問題はリンメイの体力が続くかどうかだが……

「リンメイ、体力を回復させるから、迷うな」

 リンメイは有利に戦いながらも、一向にモンスターを絶命させられないことに不安になっているが、支援さえ的確なら何の問題もない。
 突出した俊敏性から極端に落ちる他の能力を補う方法はいくらでもある。
 だがまずは自分の本当の能力と限界を知って欲しかった。
 その上で足らない所を補う方法、助け合える仲間を見つけて欲しい。

「はい、頑張ります」

 元々種族的に臆病なリンメイは、無理な攻撃をする事なく、確実な回避を優先してモンスターと戦っている。
 今レベル五のリンメイなら、ここの二十階層のモンスターを斃せば一気にレベルが上がり能力も向上する。
 その能力の向上がリンメイの生死を分けるだろう。
 相手は姑息で残虐非道な勇者パーティーに加えて、冒険者ギルドまでが敵になってるのだ、少しでも能力を向上させるてリンメイの安全を高めたい。

「よくやった、この調子で次のモンスターを斃してもらう。
 だがその前に、リンメイにあった武器と薬をプレゼントしよう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

処理中です...