5 / 7
4話
しおりを挟む
ネロ爺さんとポチは意気揚々と帰ってきた。
ニホンカモシカは最高の状態で持ち帰ることができた。
正当な値段で売れれば、ネロ爺さんが意地悪爺さんに騙し押し付けられた借金の一割は返すことができる。
だが、正当な値段で買ってもらえなかった。
村長の意地悪爺さんに買い叩かれてしまったのだ。
「これは奥山で狩ったニホンカモシカだ。
村共通の財産だ。
ネロが好き勝手にできるのもではない」
「……」
ネロ爺さんには分かっていた。
村長が裏でつながっている悪徳商人に安く売り、裏金を手に入れることを。
過去何度も同じことをされていた。
だが、それでも、争いごとの嫌いなネロ爺さんは、黙って受け入れようとした。
「それはおかしい。
おかし過ぎるぞ、村長。
奥山で狩ったモノ、採集したモノは個人のモノだ。
それを村が勝手に手に入れるなど許されんぞ」
「黙れ!
農民代表といっても、言っていいことと悪い事があるぞ。
俺は郡代様から村長に任命されているのだ。
農民代表ごときにとやかく言われる謂れなどない」
「俺は農民代表として監査役を担っている。
これまでの帳簿は全て調べた。
この村の、いや、村長の決めた商人の買取価格は安過ぎる。
標準価格の一割で買い叩いている。
これを不正と言わずに何を不正と言うのか!」
「バース!
俺が不正をしているというのか!」
「おうよ!
この帳簿が証拠よ!
おっと、今更隠蔽などできんからな。
全ての帳簿は写本して隠してある。
俺が殺されれば、ご領主様に届く手配をしている。
これでお前の悪事も終わりだ、ハンス!」
農民代表のバースは我慢できずに全てを話してしまった。
本当は村長ハンスが処罰されるまで、黙っているべきだった。
ここで話せば、ハンスが刺客を送るのは当然だった。
だがどうしても我慢できなかった。
バースは心底ハンスを恨んでいた。
バースはネロの幼馴染で友人だった。
バースの妹アロアとも仲がよかった。
当然のようにネロとアロアは恋仲になった。
バースはそれを心から喜び祝福した。
二人は幸せな家庭を築くと信じていた。
だがそれをハンスが木っ端微塵に壊したのだ。
ネロを騙して莫大な借金を背負わせただけでなく、アロアを襲ったのだ。
最初はネロの借金で脅して身体を奪おうとしたが、アロアは頑として断ったのだ。
ハンスはそれで力づくでアロアを襲った。
アロアは貞操を守るために舌を噛み切って死んだ。
普通ならハンスは罰せられるはずだった。
だが腐れ外道のハンスは、性根の腐ったバースの親父に金を掴ませて黙らせた。
あんな奴が父親だと思うと、バースは今も眠れなくなるのだ。
それくらいバースはハンスの事を嫌っていた。
だから言ってしまった。
だがそのため、バースは刺客に襲われることになった。
ニホンカモシカは最高の状態で持ち帰ることができた。
正当な値段で売れれば、ネロ爺さんが意地悪爺さんに騙し押し付けられた借金の一割は返すことができる。
だが、正当な値段で買ってもらえなかった。
村長の意地悪爺さんに買い叩かれてしまったのだ。
「これは奥山で狩ったニホンカモシカだ。
村共通の財産だ。
ネロが好き勝手にできるのもではない」
「……」
ネロ爺さんには分かっていた。
村長が裏でつながっている悪徳商人に安く売り、裏金を手に入れることを。
過去何度も同じことをされていた。
だが、それでも、争いごとの嫌いなネロ爺さんは、黙って受け入れようとした。
「それはおかしい。
おかし過ぎるぞ、村長。
奥山で狩ったモノ、採集したモノは個人のモノだ。
それを村が勝手に手に入れるなど許されんぞ」
「黙れ!
農民代表といっても、言っていいことと悪い事があるぞ。
俺は郡代様から村長に任命されているのだ。
農民代表ごときにとやかく言われる謂れなどない」
「俺は農民代表として監査役を担っている。
これまでの帳簿は全て調べた。
この村の、いや、村長の決めた商人の買取価格は安過ぎる。
標準価格の一割で買い叩いている。
これを不正と言わずに何を不正と言うのか!」
「バース!
俺が不正をしているというのか!」
「おうよ!
この帳簿が証拠よ!
おっと、今更隠蔽などできんからな。
全ての帳簿は写本して隠してある。
俺が殺されれば、ご領主様に届く手配をしている。
これでお前の悪事も終わりだ、ハンス!」
農民代表のバースは我慢できずに全てを話してしまった。
本当は村長ハンスが処罰されるまで、黙っているべきだった。
ここで話せば、ハンスが刺客を送るのは当然だった。
だがどうしても我慢できなかった。
バースは心底ハンスを恨んでいた。
バースはネロの幼馴染で友人だった。
バースの妹アロアとも仲がよかった。
当然のようにネロとアロアは恋仲になった。
バースはそれを心から喜び祝福した。
二人は幸せな家庭を築くと信じていた。
だがそれをハンスが木っ端微塵に壊したのだ。
ネロを騙して莫大な借金を背負わせただけでなく、アロアを襲ったのだ。
最初はネロの借金で脅して身体を奪おうとしたが、アロアは頑として断ったのだ。
ハンスはそれで力づくでアロアを襲った。
アロアは貞操を守るために舌を噛み切って死んだ。
普通ならハンスは罰せられるはずだった。
だが腐れ外道のハンスは、性根の腐ったバースの親父に金を掴ませて黙らせた。
あんな奴が父親だと思うと、バースは今も眠れなくなるのだ。
それくらいバースはハンスの事を嫌っていた。
だから言ってしまった。
だがそのため、バースは刺客に襲われることになった。
0
あなたにおすすめの小説
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
怒らせてはいけない人々 ~雉も鳴かずば撃たれまいに~
美袋和仁
恋愛
ある夜、一人の少女が婚約を解消された。根も葉もない噂による冤罪だが、事を荒立てたくない彼女は従容として婚約解消される。
しかしその背後で爆音が轟き、一人の男性が姿を見せた。彼は少女の父親。
怒らせてはならない人々に繋がる少女の婚約解消が、思わぬ展開を導きだす。
なんとなくの一気書き。御笑覧下さると幸いです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
分厚いメガネを外した令嬢は美人?
しゃーりん
恋愛
極度の近視で分厚いメガネをかけている子爵令嬢のミーシャは家族から嫌われている。
学園にも行かせてもらえず、居場所がないミーシャは教会と孤児院に通うようになる。
そこで知り合ったおじいさんと仲良くなって、話をするのが楽しみになっていた。
しかし、おじいさんが急に来なくなって心配していたところにミーシャの縁談話がきた。
会えないまま嫁いだ先にいたのは病に倒れたおじいさんで…介護要員としての縁談だった?
この結婚をきっかけに、将来やりたいことを考え始める。
一人で寂しかったミーシャに、いつの間にか大切な人ができていくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる