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第一章
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王太子と取り巻きは這う這うの体で王宮に逃げ出した。
王や重臣達に気付かれる前に大地の乙女を痛めつけようと、城門の前の広場で待ち受けていたため、失禁脱糞した衣服を着替えるには、延々と王宮まで歩かなければならなかったのだ。
だが、それが極めつけの屈辱だった!
ズボンの後ろは大便で茶色く変色してしまい、前は小便でぐっしょりと濡れている上に、何とも言えない便臭を漂わせながら、半泣きで急いで王宮に逃げ帰るのだ!
途中で出会う門番や衛兵、王宮に勤める女官や侍従、役付きの有能な貴族士族に、惨めな姿をマジマジと見られた後で、我に返った彼らに眼を背けられるのだ。
王太子は怒りと屈辱に全身が小刻みに震えていた。
眼が血走り涙を流している事も分かっていなかった。
無意識に噛みしめた歯が唇を噛み破り、口の中に鉄錆味の血が流れている事も、それが口元を濡らしている事も気がついていなかった。
王太子の心を占めているのは屈辱で、頭で考えているのは報復方法だけだった。
古来から連綿と人間の闇が考えついた、ありとあらゆる拷問と処刑法を思い浮かべ、その方法でソフィーを攻め苛み殺す事を想像する事で、怒りと屈辱を発散させていた。
ウギャァァァァ!
何とも間抜けで無様な悲鳴が、糸を引くように王宮中に響き渡った。
普通では考えられないほどの広範囲に、普通では考えられないくらい明瞭に、王宮にいる全ての人々に聞こえた。
精霊が空気を振るわせ、大地や壁を伝わせて人々に聞かせたのだ。
多くの人が何事かと集まった先は、王宮に入ったばかりにある広大なロビーに、広く深く陥没した大穴だった。
その底にあったのは、ズボンを糞尿で汚し周囲に悪臭を撒き散らした王太子が、両脚の下腿から上腿にかけての骨を粉砕骨折し、その周囲の筋肉と脂肪と皮が全てグチャグチャに圧し潰され、半死半生となって呻いている姿だった。
急ぎ助けようとする近衛騎士もいたが、急峻に陥没してるので、ハシゴやロープなしには救出に降りられなかった。
救出に時間がかかっている間に、王太子の無様な姿が王宮中の人間に広まってしまった。
「きゃぁぁぁぁ」
愛する息子である王太子の無残な姿を見た王妃は、絹を裂くような悲鳴を上げてその場に気絶してしまった。
最初は汚物でも見るような冷めた目で王太子の醜態を見ていた、ドーチェスター子爵令嬢アリアナも、王妃が気絶したのを受けて我に返り、急いで同じように悲鳴を上げて気絶した振りをした。
だが国王にはそのような贅沢は許されなかった。
急ぎ何が起こったか調べなければならなかった。
だが現状を見れば、大体の事は推測できてしまった。
だから震えそうになる身体を叱咤激励して抑え込み、青くなりそうな顔色を気力で平静に装い、大地の乙女が今どこでどのような事をしているのかと、王太子のしでかしたであろうことを調べさせ、重臣に対処方法を考えさせるのだった。
王や重臣達に気付かれる前に大地の乙女を痛めつけようと、城門の前の広場で待ち受けていたため、失禁脱糞した衣服を着替えるには、延々と王宮まで歩かなければならなかったのだ。
だが、それが極めつけの屈辱だった!
ズボンの後ろは大便で茶色く変色してしまい、前は小便でぐっしょりと濡れている上に、何とも言えない便臭を漂わせながら、半泣きで急いで王宮に逃げ帰るのだ!
途中で出会う門番や衛兵、王宮に勤める女官や侍従、役付きの有能な貴族士族に、惨めな姿をマジマジと見られた後で、我に返った彼らに眼を背けられるのだ。
王太子は怒りと屈辱に全身が小刻みに震えていた。
眼が血走り涙を流している事も分かっていなかった。
無意識に噛みしめた歯が唇を噛み破り、口の中に鉄錆味の血が流れている事も、それが口元を濡らしている事も気がついていなかった。
王太子の心を占めているのは屈辱で、頭で考えているのは報復方法だけだった。
古来から連綿と人間の闇が考えついた、ありとあらゆる拷問と処刑法を思い浮かべ、その方法でソフィーを攻め苛み殺す事を想像する事で、怒りと屈辱を発散させていた。
ウギャァァァァ!
何とも間抜けで無様な悲鳴が、糸を引くように王宮中に響き渡った。
普通では考えられないほどの広範囲に、普通では考えられないくらい明瞭に、王宮にいる全ての人々に聞こえた。
精霊が空気を振るわせ、大地や壁を伝わせて人々に聞かせたのだ。
多くの人が何事かと集まった先は、王宮に入ったばかりにある広大なロビーに、広く深く陥没した大穴だった。
その底にあったのは、ズボンを糞尿で汚し周囲に悪臭を撒き散らした王太子が、両脚の下腿から上腿にかけての骨を粉砕骨折し、その周囲の筋肉と脂肪と皮が全てグチャグチャに圧し潰され、半死半生となって呻いている姿だった。
急ぎ助けようとする近衛騎士もいたが、急峻に陥没してるので、ハシゴやロープなしには救出に降りられなかった。
救出に時間がかかっている間に、王太子の無様な姿が王宮中の人間に広まってしまった。
「きゃぁぁぁぁ」
愛する息子である王太子の無残な姿を見た王妃は、絹を裂くような悲鳴を上げてその場に気絶してしまった。
最初は汚物でも見るような冷めた目で王太子の醜態を見ていた、ドーチェスター子爵令嬢アリアナも、王妃が気絶したのを受けて我に返り、急いで同じように悲鳴を上げて気絶した振りをした。
だが国王にはそのような贅沢は許されなかった。
急ぎ何が起こったか調べなければならなかった。
だが現状を見れば、大体の事は推測できてしまった。
だから震えそうになる身体を叱咤激励して抑え込み、青くなりそうな顔色を気力で平静に装い、大地の乙女が今どこでどのような事をしているのかと、王太子のしでかしたであろうことを調べさせ、重臣に対処方法を考えさせるのだった。
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