8 / 12
第一章
7話
しおりを挟む
密かに大地の乙女ソフィーのもとを訪れたのは、国王ハドソンだった。
ハドソンは華美な服装を控え、付き添う者も護衛の近衛騎士二人と侍従長一人だけに抑え、大地の乙女に悪印象を与えないように配慮していた。
本来なら謁見の間に大地の乙女を呼び出し、自分は上位者として遅れて謁見の間に入る予定だったのが、王太子の失態で出来なくなってしまったのだ。
「大地の乙女様。
国王陛下の侍従長を務めるフリーマンでございます。
国王陛下が内々で相談したいことがあるそうです。
ここを開けて頂けませんか?」
クロエが怒りを宿した瞳でソフィーに視線を送り、何を望んでいるのか確認をしたが、その手は腰の剣にかけられていて、命あれば国王ですら斬り殺す決意であるのが一目瞭然だった。
それはポーカーフェイスで室内を移動するカミラも同じだった。
来客を迎える居間を素早く移動し、ドアを開けてテラス付きのソフィーの寝室に入って、誰も潜んでいないのか確認した。
更にテラスに通じるドアの施錠を確認し、アイコンタクトでクロエに安全だとしらせた。
「聞こえておられますか?
大地の乙女様。
国王陛下が内々で相談したいことがあると、お忍びでこられておられます。
ここを開けて頂けませんか?」
ソフィー達が返事をしないので、侍従長が再び声をかけてきた。
「信用できないな。
王太子が大地の乙女様を侮辱した上に、卑劣にも罠に嵌めて御命を奪おうとした!
大地の乙女様は怒っておられる。
いや、大地の乙女様だけではなく、精霊様も怒っておられる。
激怒しておられるのだ!
目通りは不可能だ」
クロエはアイコンタクトでソフィーの意志を確認し、突き放した返事をした。
相手が侍従長である以上、ソフィーが直接話すわけにはいかない。
会話をするにも格と言うのもがある。
侍従長で男爵位しか得ていない相手にソフィーが直接返事をすると、ソフィーもその程度の格式となってしまう。
王がそのような心算で侍従長に話しかけさせたのではないと言うことは、直ぐに判明した。
王が直接話しかけてきたのだ。
「大地の乙女殿。
ネイサンの失態はいかようにも謝ろう。
だから精霊様に怒りを鎮めるように言ってくれないか?
王家と大地の乙女が敵対していると言う評判が立てば、国内の貴族達が不安を感じてしまう。
いや、それだけではすまない。
隣国も野心に駆られて攻めてくるかもしれないのだ」
王の話を聞いて、クロエは再びソフィーに視線を送った。
王太子や貴族達に怒りは感じていたが、戦争が起これば多くの民が徴兵されたり増税されたりして、塗炭の苦しみを味合うことになる。
大地の乙女様に再確認しないわけにはいかなかったのだ。
ハドソンは華美な服装を控え、付き添う者も護衛の近衛騎士二人と侍従長一人だけに抑え、大地の乙女に悪印象を与えないように配慮していた。
本来なら謁見の間に大地の乙女を呼び出し、自分は上位者として遅れて謁見の間に入る予定だったのが、王太子の失態で出来なくなってしまったのだ。
「大地の乙女様。
国王陛下の侍従長を務めるフリーマンでございます。
国王陛下が内々で相談したいことがあるそうです。
ここを開けて頂けませんか?」
クロエが怒りを宿した瞳でソフィーに視線を送り、何を望んでいるのか確認をしたが、その手は腰の剣にかけられていて、命あれば国王ですら斬り殺す決意であるのが一目瞭然だった。
それはポーカーフェイスで室内を移動するカミラも同じだった。
来客を迎える居間を素早く移動し、ドアを開けてテラス付きのソフィーの寝室に入って、誰も潜んでいないのか確認した。
更にテラスに通じるドアの施錠を確認し、アイコンタクトでクロエに安全だとしらせた。
「聞こえておられますか?
大地の乙女様。
国王陛下が内々で相談したいことがあると、お忍びでこられておられます。
ここを開けて頂けませんか?」
ソフィー達が返事をしないので、侍従長が再び声をかけてきた。
「信用できないな。
王太子が大地の乙女様を侮辱した上に、卑劣にも罠に嵌めて御命を奪おうとした!
大地の乙女様は怒っておられる。
いや、大地の乙女様だけではなく、精霊様も怒っておられる。
激怒しておられるのだ!
目通りは不可能だ」
クロエはアイコンタクトでソフィーの意志を確認し、突き放した返事をした。
相手が侍従長である以上、ソフィーが直接話すわけにはいかない。
会話をするにも格と言うのもがある。
侍従長で男爵位しか得ていない相手にソフィーが直接返事をすると、ソフィーもその程度の格式となってしまう。
王がそのような心算で侍従長に話しかけさせたのではないと言うことは、直ぐに判明した。
王が直接話しかけてきたのだ。
「大地の乙女殿。
ネイサンの失態はいかようにも謝ろう。
だから精霊様に怒りを鎮めるように言ってくれないか?
王家と大地の乙女が敵対していると言う評判が立てば、国内の貴族達が不安を感じてしまう。
いや、それだけではすまない。
隣国も野心に駆られて攻めてくるかもしれないのだ」
王の話を聞いて、クロエは再びソフィーに視線を送った。
王太子や貴族達に怒りは感じていたが、戦争が起これば多くの民が徴兵されたり増税されたりして、塗炭の苦しみを味合うことになる。
大地の乙女様に再確認しないわけにはいかなかったのだ。
14
あなたにおすすめの小説
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
実家に帰ったら平民の子供に家を乗っ取られていた!両親も言いなりで欲しい物を何でも買い与える。
佐藤 美奈
恋愛
リディア・ウィナードは上品で気高い公爵令嬢。現在16歳で学園で寮生活している。
そんな中、学園が夏休みに入り、久しぶりに生まれ育った故郷に帰ることに。リディアは尊敬する大好きな両親に会うのを楽しみにしていた。
しかし実家に帰ると家の様子がおかしい……?いつものように使用人達の出迎えがない。家に入ると正面に飾ってあったはずの大切な家族の肖像画がなくなっている。
不安な顔でリビングに入って行くと、知らない少女が高級なお菓子を行儀悪くガツガツ食べていた。
「私が好んで食べているスイーツをあんなに下品に……」
リディアの大好物でよく召し上がっているケーキにシュークリームにチョコレート。
幼く見えるので、おそらく年齢はリディアよりも少し年下だろう。驚いて思わず目を丸くしているとメイドに名前を呼ばれる。
平民に好き放題に家を引っかき回されて、遂にはリディアが変わり果てた姿で花と散る。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる