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第一章
第50話:新嫁
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王歴327年6月5日:南大魔境・キャット族本村・クリスティアン視点
「クリスティアン、発情期が来ました、責任をとって嫁にしてください」
手足が元通りに治ったイングリートが、真剣な顔をして俺が借りている村長屋敷の部屋にやってきたかと思うと、とんでもない事を口にしやがった。
「なに訳の分からない事を言っている」
「訳が分からないとは心外だぞ、クリスティアン。
失ったはずの手足を元通りに治してくれた、キャット族村1番の戦士に女がホレるのは当たり前の事だろう」
「いや、いや、いや、いや、大した交流もない相手をホレるはずがない」
「本気で言っているのか?
手足を失った時、本当なら死んでいたのだ。
それを助けえくれたのはクリスティアンだぞ。
そして今度は手足を失って一生まともに動けないと諦めていたのを、元通りに戦士として戦えるようにしてくれたのだ、私から見れば十分以上の交流だ」
「いや、仲間を助けて戦うのも、ケガをした戦友を治すのも普通の事だ」
「クリスティアンの言う普通の事ができないから、クリスティアンがこの村に来るまでは、ケガをした多くの戦士がそのまま死んでいった。
何とか生き延びた戦士たちも、食糧が足らず、死ぬと分かっていて狩りにでた。
それが、クリスティアンのお陰で死ぬような狩りに出なくてすむようになっただけでなく、こうして元通りの姿に戻れたのだ。
目の前にそんな魅力的な男がいるのに、クソの役にも立たない男を結婚相手に選べるわけがないだろう」
真剣に、真直ぐに眼を見ながら、こう言われると、もう否定できない。
「ワッハハハハ、女にここまで言われて逃げられると思うなよ。
季節でもないのに急に発情期が来たのはイングリートだけではないぞ。
クリスティアンに治してもらった女たちが全員発情期を迎えている。
手足を失っても生き延びていられるのは、クリスティアンがこの村に来てからケガをした若い連中ばかりだから、歳を考えて遠慮しろとも言えないぞ」
部屋の外で娘のプロポーズを聞いていたのであろうヤスミン村長が、豪快に笑いながら言ってくれるが、治療した女性全員だと20人くらいいるぞ?
今いる嫁が40人を超えているのだが、俺に60人もの嫁を公平にあつかえと言うのか?
「今でも40人に増えている嫁をこれ以上増やしたら、俺は死ぬ!」
「グレタから聞いているから、嫁が多いのは分かっている。
だが大抵の連中は妊娠した後だろう?
7人も8人も妊娠しようと思うのは欲張りすぎだ。
クリスティアンの子供が欲しい女には公平に機会を与えるべきだ。
キャット族の族長として命じる。
嫁1人について1日の結婚に限定する、いいな!」
「……その1日というのは、1日1人という事だよな」
「いいや、発情期を逃さないようにしなければいけない。
発情期が終わりそうな女がいるのなら、全員と結婚してもらう」
「せめて人間基準の結婚してもらえないだろうか?」
「交尾の回数を言っているのなら、確実に妊娠するためには、1人1日100回は交尾してもらわないといけないな」
「俺を殺す気か?!」
「大丈夫だ、クリスティアンには『悪食』スキルがあるじゃないか。
スライムに変化してタップリと喰えばキャット族基準の交尾でも死ぬことはない。
これでようやく私も初孫を抱く事ができる。
娘の事は頼んだぞ、婿殿!」
グレタからヤスミンが何十人もの子供を産んだ事を聞いている。
なのに、イングリート以外の息子と娘の全員を、キャット族を護るために失ったとも聞いている。
そんなヤスミンに初孫が抱きたいと言われたら、俺には断れない。
「分かったよ、だけど俺は新村の村長を任されているから、本村に残れないぞ。
イングリートと一緒に暮らせなくてもいいのか?」
「一人前に成った親子が別居するのはタイガー族の常識だ。
たまに孫の顔を見せに来てくれればそれで十分だ。
それと、タイガー族は夫婦でも一緒に暮らす奴は滅多にいない。
子供が授かったら直ぐに追い出してくれていいからな」
「俺をそこら辺にいる無責任な男と一緒にしないでくれ。
子作りが終わったらと言って女房子供を放り出すような外道なマネはしない。
子供が1人前になるまでしっかりと養うぞ!」
「くっくっくっくっ、婿殿なら必ずそう言ってくれると思っていたよ。
だけど、そうなると、これからとんでもない事になりそうだね」
「……とっても嫌な予感がするのだが、何を考えているのだ?
これ以上悪だくみをするのは止めてくれ!」
「今回の件は私が悪だくみしたわけではないだろう。
全部クリスティアンがやった事の結果だぞ」
「……その通りだ、全部俺の自業自得だ。
だが、もう何もしないと誓うから、これからとんでもなくなるのを止めてくれ」
「それは無理だ、これから起こる事もクリスティアンのやった事の結果だ」
「俺が四肢を元通りにした事の結果だと言うのか?」
「それに加えて、どれほど女房子供が増えても1人前になるまで養うと言う、クリスティアンの言葉と態度だな」
「……当たり前の事を言ったからと言って、何がとんでもなくなるのだ」
嫌な想像をしてしまったが、間違いであってくれ!
「もうクリスティアン以外の男を結婚相手に選ぶキャット族の女はいなくなる。
妊娠を願うほとんどの女が新村に押しかける。
本村に残るのは、妊娠を願わない女と男だけになる。
それどころか、新村に残ろうとする男は女たちに袋叩きにされて追い出される」
「クリスティアン、発情期が来ました、責任をとって嫁にしてください」
手足が元通りに治ったイングリートが、真剣な顔をして俺が借りている村長屋敷の部屋にやってきたかと思うと、とんでもない事を口にしやがった。
「なに訳の分からない事を言っている」
「訳が分からないとは心外だぞ、クリスティアン。
失ったはずの手足を元通りに治してくれた、キャット族村1番の戦士に女がホレるのは当たり前の事だろう」
「いや、いや、いや、いや、大した交流もない相手をホレるはずがない」
「本気で言っているのか?
手足を失った時、本当なら死んでいたのだ。
それを助けえくれたのはクリスティアンだぞ。
そして今度は手足を失って一生まともに動けないと諦めていたのを、元通りに戦士として戦えるようにしてくれたのだ、私から見れば十分以上の交流だ」
「いや、仲間を助けて戦うのも、ケガをした戦友を治すのも普通の事だ」
「クリスティアンの言う普通の事ができないから、クリスティアンがこの村に来るまでは、ケガをした多くの戦士がそのまま死んでいった。
何とか生き延びた戦士たちも、食糧が足らず、死ぬと分かっていて狩りにでた。
それが、クリスティアンのお陰で死ぬような狩りに出なくてすむようになっただけでなく、こうして元通りの姿に戻れたのだ。
目の前にそんな魅力的な男がいるのに、クソの役にも立たない男を結婚相手に選べるわけがないだろう」
真剣に、真直ぐに眼を見ながら、こう言われると、もう否定できない。
「ワッハハハハ、女にここまで言われて逃げられると思うなよ。
季節でもないのに急に発情期が来たのはイングリートだけではないぞ。
クリスティアンに治してもらった女たちが全員発情期を迎えている。
手足を失っても生き延びていられるのは、クリスティアンがこの村に来てからケガをした若い連中ばかりだから、歳を考えて遠慮しろとも言えないぞ」
部屋の外で娘のプロポーズを聞いていたのであろうヤスミン村長が、豪快に笑いながら言ってくれるが、治療した女性全員だと20人くらいいるぞ?
今いる嫁が40人を超えているのだが、俺に60人もの嫁を公平にあつかえと言うのか?
「今でも40人に増えている嫁をこれ以上増やしたら、俺は死ぬ!」
「グレタから聞いているから、嫁が多いのは分かっている。
だが大抵の連中は妊娠した後だろう?
7人も8人も妊娠しようと思うのは欲張りすぎだ。
クリスティアンの子供が欲しい女には公平に機会を与えるべきだ。
キャット族の族長として命じる。
嫁1人について1日の結婚に限定する、いいな!」
「……その1日というのは、1日1人という事だよな」
「いいや、発情期を逃さないようにしなければいけない。
発情期が終わりそうな女がいるのなら、全員と結婚してもらう」
「せめて人間基準の結婚してもらえないだろうか?」
「交尾の回数を言っているのなら、確実に妊娠するためには、1人1日100回は交尾してもらわないといけないな」
「俺を殺す気か?!」
「大丈夫だ、クリスティアンには『悪食』スキルがあるじゃないか。
スライムに変化してタップリと喰えばキャット族基準の交尾でも死ぬことはない。
これでようやく私も初孫を抱く事ができる。
娘の事は頼んだぞ、婿殿!」
グレタからヤスミンが何十人もの子供を産んだ事を聞いている。
なのに、イングリート以外の息子と娘の全員を、キャット族を護るために失ったとも聞いている。
そんなヤスミンに初孫が抱きたいと言われたら、俺には断れない。
「分かったよ、だけど俺は新村の村長を任されているから、本村に残れないぞ。
イングリートと一緒に暮らせなくてもいいのか?」
「一人前に成った親子が別居するのはタイガー族の常識だ。
たまに孫の顔を見せに来てくれればそれで十分だ。
それと、タイガー族は夫婦でも一緒に暮らす奴は滅多にいない。
子供が授かったら直ぐに追い出してくれていいからな」
「俺をそこら辺にいる無責任な男と一緒にしないでくれ。
子作りが終わったらと言って女房子供を放り出すような外道なマネはしない。
子供が1人前になるまでしっかりと養うぞ!」
「くっくっくっくっ、婿殿なら必ずそう言ってくれると思っていたよ。
だけど、そうなると、これからとんでもない事になりそうだね」
「……とっても嫌な予感がするのだが、何を考えているのだ?
これ以上悪だくみをするのは止めてくれ!」
「今回の件は私が悪だくみしたわけではないだろう。
全部クリスティアンがやった事の結果だぞ」
「……その通りだ、全部俺の自業自得だ。
だが、もう何もしないと誓うから、これからとんでもなくなるのを止めてくれ」
「それは無理だ、これから起こる事もクリスティアンのやった事の結果だ」
「俺が四肢を元通りにした事の結果だと言うのか?」
「それに加えて、どれほど女房子供が増えても1人前になるまで養うと言う、クリスティアンの言葉と態度だな」
「……当たり前の事を言ったからと言って、何がとんでもなくなるのだ」
嫌な想像をしてしまったが、間違いであってくれ!
「もうクリスティアン以外の男を結婚相手に選ぶキャット族の女はいなくなる。
妊娠を願うほとんどの女が新村に押しかける。
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