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出会い
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ルイが公爵家を出て、いよいよ念願の旅を始めるべく、王都の城門を出ようと大通りを歩いていると、極東の国風衣装を着た美丈夫が待っていた。
身長は195cm前後で黒髪に黒い瞳をしており、眼に見える範囲の肌は褐色に焼けており、野外での活動が多いのが分かる。
「若様。お待ちしておりました」
「え~と、ガビちゃん所の人かな?」
「はい。公女殿下の眷属の一人、ダイ・ハセと申します。以後宜しくお願いします」
「護衛に来てくれたんだね、ありがとう。それでダイ君、身分がバレると困るから、これからは僕の事をルイと呼んでね」
「そんな不敬なことは出来ません!」
「でもダイ君は僕の護衛だよね。護衛なのに僕の身分がバレるような事をしたら問題なんじゃないかな」
「武者修行中の騎士家の若様と、その家中の者と言えば宜しいのです」
「それよりは冒険者仲間だと言う方が、身分を隠すのにはちょうどいいと思うんだけど?」
「それは無理でございます。若様の高貴な御姿を、荒くれ者ばかりの冒険者と言い張るのは無理がございます」
「そうかなぁ、大丈夫だと思うんだけど」
「若様、世間の事は我らの方がよく存じておりますので、お聞き届けください」
「しかたないね、ダイの言うとおりにするけど、出来るだけ気安くしてよ」
「はい、心得ております」
2人は城門を出て南に向かう街道を進む。
「ダイはよく日に焼けているけど、忍者ではないの?」
「はい。私奴は護衛を担当させて頂いております」
「へぇ、そうなんだ。じゃあいろんな所に行ったの? それとも父王陛下や兄さん達の護衛で王宮に居たのかな?」
「隊商の護衛として国内国外を問わず、各地を巡っておりました。最近ではルイ様の護衛を交代で務めさせていただいておりました」
「僕の護衛をしてくれていたんだ?! 全然気付かなかったよ! それはガビちゃんとの婚約が決まってからなの?」
「そうでございます」
「そうか、じゃあ本来は公爵家を護る護衛なんだね」
「は!」
ルイは天真爛漫に色々と話しかけたが、堅苦しいダイの返事では話が弾むことはなかった。
だがそんなことを気にするようなルイではないので、ダイが返事に疲れるほど色々な話を聞き出そうとした。
特に各国の風俗や食べ物の話を知りたがり、ダイを困らせていた。
「若様、少し脇道に入らせて頂きます」
「刺客を迎え撃つのかい?」
「お気付きでございましたか」
「まあね」
「若様は魔法で防御結界をお張り下さい」
「分かったよ。僕の事は気にせず存分に戦ってね」
「ご配慮痛み入ります」
ダイは魔族の刺客を迎え撃つべく、槍を手に飛ぶように移動した。
その速さに魔族は付いていけず、ダイの姿を見失ってしまった。
ミカサ公爵家でも別格の強さを誇るダイにとって、本気で移動した自分を見失うような相手であれば、いかに相手が西国の基準では凄腕の魔族刺客であろうとも、赤子の手をひねるくらい簡単に殺すことが出来た。
「戻りました」
「一瞬で十六人の刺客を迎え討つなんて、ダイは凄いね」
「相手が弱すぎたのでございます」
「弱い刺客を俺に送ってくるとは思えないよ。まあダイがいればこれからの旅は安心だね。宜しく頼むよ」
「お任せくださいませ」
身長は195cm前後で黒髪に黒い瞳をしており、眼に見える範囲の肌は褐色に焼けており、野外での活動が多いのが分かる。
「若様。お待ちしておりました」
「え~と、ガビちゃん所の人かな?」
「はい。公女殿下の眷属の一人、ダイ・ハセと申します。以後宜しくお願いします」
「護衛に来てくれたんだね、ありがとう。それでダイ君、身分がバレると困るから、これからは僕の事をルイと呼んでね」
「そんな不敬なことは出来ません!」
「でもダイ君は僕の護衛だよね。護衛なのに僕の身分がバレるような事をしたら問題なんじゃないかな」
「武者修行中の騎士家の若様と、その家中の者と言えば宜しいのです」
「それよりは冒険者仲間だと言う方が、身分を隠すのにはちょうどいいと思うんだけど?」
「それは無理でございます。若様の高貴な御姿を、荒くれ者ばかりの冒険者と言い張るのは無理がございます」
「そうかなぁ、大丈夫だと思うんだけど」
「若様、世間の事は我らの方がよく存じておりますので、お聞き届けください」
「しかたないね、ダイの言うとおりにするけど、出来るだけ気安くしてよ」
「はい、心得ております」
2人は城門を出て南に向かう街道を進む。
「ダイはよく日に焼けているけど、忍者ではないの?」
「はい。私奴は護衛を担当させて頂いております」
「へぇ、そうなんだ。じゃあいろんな所に行ったの? それとも父王陛下や兄さん達の護衛で王宮に居たのかな?」
「隊商の護衛として国内国外を問わず、各地を巡っておりました。最近ではルイ様の護衛を交代で務めさせていただいておりました」
「僕の護衛をしてくれていたんだ?! 全然気付かなかったよ! それはガビちゃんとの婚約が決まってからなの?」
「そうでございます」
「そうか、じゃあ本来は公爵家を護る護衛なんだね」
「は!」
ルイは天真爛漫に色々と話しかけたが、堅苦しいダイの返事では話が弾むことはなかった。
だがそんなことを気にするようなルイではないので、ダイが返事に疲れるほど色々な話を聞き出そうとした。
特に各国の風俗や食べ物の話を知りたがり、ダイを困らせていた。
「若様、少し脇道に入らせて頂きます」
「刺客を迎え撃つのかい?」
「お気付きでございましたか」
「まあね」
「若様は魔法で防御結界をお張り下さい」
「分かったよ。僕の事は気にせず存分に戦ってね」
「ご配慮痛み入ります」
ダイは魔族の刺客を迎え撃つべく、槍を手に飛ぶように移動した。
その速さに魔族は付いていけず、ダイの姿を見失ってしまった。
ミカサ公爵家でも別格の強さを誇るダイにとって、本気で移動した自分を見失うような相手であれば、いかに相手が西国の基準では凄腕の魔族刺客であろうとも、赤子の手をひねるくらい簡単に殺すことが出来た。
「戻りました」
「一瞬で十六人の刺客を迎え討つなんて、ダイは凄いね」
「相手が弱すぎたのでございます」
「弱い刺客を俺に送ってくるとは思えないよ。まあダイがいればこれからの旅は安心だね。宜しく頼むよ」
「お任せくださいませ」
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