大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

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エミネ王女の恐怖

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰」
「それはルイトポルトです」
「なんですって!? 未だにルイトポルトを殺せてないなんて、アンネロッタは何をやっているの?! アンネロッタ。アンネロッタ! 直ぐに来なさいアンネロッタ! どこにいるのアンネロッタ!? グズグズしないで直ぐに出てきなさいアンネロッタ!」
 最初はただただ、ルイトポルトを未だに殺せないアンネロッタに怒りをぶつける為に呼んでいたエミネ王女だったが、どれだけ呼んでも現れないアンネロッタに疑問を覚えだした。
 徐々に不審を感じ、自分の私室の中をアンネロッタの名を呼びながら、いなくなった魔族の侍女を探していたのだが、いつもは呼べば直ぐに現れたアンネロッタが呼んでも探しても現れないことに、徐々に恐怖を感じるようになった。
「アンネロッタ! どこなのアンネロッタ! もう怒らないから出てらっしゃいアンネロッタ! もう隠れるのは止めて出来てきてアンネロッタ! アンネロッタ!」
 恐怖に囚われたエミネ王女は、私室を出て狂ったように王宮中をアンネロッタを探し回り、遂には他の侍女や侍従にいさめられ、部屋に連れ戻されてしまった。
 目と顔に恐怖と狂気を宿したエミネ王女を心配した侍女や侍従が、十数人もエミネの側に付き添ったことで、ようやくエミネ王女も平静を取り戻していった。
 そこでエミネ王女が思いついたのは、真実を教えてくれる魔法の鏡にアンネロッタの事を聞くことだった。
 だが何も知らない侍女や侍従の前で、魔法の鏡を使う事もアンネロッタの事も聞くこともできないので、平静を装い心配する侍女や侍従をなかば無理矢理部屋から追い出して、魔法の鏡に真実を聞くのであった。
「鏡よ鏡、アンネロッタはどこに行ったの」
「地獄に行きました」
「地獄? 魔界に帰ったと言う事?」
「いえ、死んだのです」
「なんですって?! 魔族の中でも有数の強さを誇るアンネロッタが死んだというの?! それはなぜなの?!」
「ルイトポルトを殺そうとしたことで、ミカサ公女の怒りを買い殺されたのです」
「ミカサ公女? それはいったい何者なの?!」
「ベル王家に仕える極東生まれの妖怪です」
「妖怪? 何なのそれは?!」
「魔族とはまた違う異界からやってきた者たちです」
「そんな訳の分からない者たちに、アンネロッタが殺されたというの?」
「はい」
「そんな?! だったら私はどうすればいいの?」
「質問の意味が分かりません」
「何が分からないというの?! アンネロッタを殺された私はどうすればいいのかと聞いているのよ!」
「王女が何をしたいかが分からなければ、何もお答えできません」
 ミカサ公女が送り込んだ刺客は、見事にエミネ王女と契約していた魔族:アンネロッタを殺した。
 アンネロッタだけではなく、この世界に来ていたアンネロッタの一族全てを皆殺しにしていた。
 多くの一族を失い、著しく戦力を落としたアンネロッタの一族は魔界でも力を落とし、魔界の領地や権利を維持するのに必死で、とてもこの世界に来られる状態ではなくなっていた。


魔法の鏡
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