大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

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獣人戦士

 ルイとダイは村々を助けるために空を駆けまわったが、半数近くの村は何とかフィン王国の侵攻を防いでいた。
 各村に組織されている自警団の戦士たちが、獣人の特性を生かして命懸けで戦っていたので、数で勝る人間の兵士を防げているのだ。
 人間の攻撃を防ぎきれなかった村は、攻めてきた人間の数があまりに多かったり、戦闘に向かない獣人の村だったりした。
 ウサギ獣人の村やネズミ獣人の村では、人間の大軍に抵抗できず、女子供が連れ去られようとしている最中だった。
「助けに来たよ! 助っ人を連れてきたよ!」
 ルイとダイの案内につけられたのは、カーラだった。
 人間ではあるが、カーラとその家族は獣人族に深く信頼されている上に、カーラ自身が魔法の箒と言う飛行手段を持っているので、ルイとダイの機動力を奪わないという利点があった。
 カーラが声をかけた時には、人間の将兵は皆殺しになっていた。
 今のルイとダイには、奴隷狩りをするような人間に、慈悲をかける気など毛頭なかった。
 加害者に慈悲をかけるより、一分一秒でも早く暴虐の現場に駆け付け、多くの被害者を助けたいと言う思いが強かった。
 殺さないために麻痺魔法や眠りの魔法を人間の将兵に使えば、獣人達の安全を確保するために拘束する時間を使わなければいけない。
 そんな時間を使えば、その間に殺される獣人や輪姦される獣人が数多く出てくるだろう。
 暴虐な犯罪者に配慮して、不幸な被害者を増やす偽善など、ルイとダイには理解できなし、自分がやろうとは思わなかったのだ。
 ルイとダイは一つ目の村の時と同じように、最初に人間の兵士を皆殺しにして、次に燃えている家々の火を消火し、最後に被害を受けた獣人族に治癒魔法をかけた。
 本当なら一つ一つの村に降りて、安全の確認や治療が出来ていない獣人族がいなか確認すべきなのだが、全ての村々を助けに行くにはその時間も惜しかった。
 そこで上空から探査魔法や補助魔法の視力拡大向上を使い、人間が生き残っていないかケガ人が残っていないかを確かめ、地上に降りる事なく次の村に助けに向かった。
「助けに来たよ! 助っ人を連れてきたよ!」
「ここは大丈夫だ! 他の村を助けてやってくれ!」
 狼獣人の村では、数で圧倒しようとする人間の将兵を相手に、両手に鋼鉄の爪を装備した戦士たちが獅子奮迅の戦いをしていた。
 手助けをしなくても自分たちの村を守り切れるのは分かったが、それでも損害を出してしまうだろう。
 現に多くの戦士が返り血だけではなく、自分の血でも身体を汚していた。
 狼獣人の戦士が自由に動ければ、獣人族全体の為になると考え、彼らのプライドを傷つけるかもしれないが、人間の将兵を瞬殺し、火の手を消し、獣人のケガ人を癒して次の村に向かった。


狼獣人戦士
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