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龍頭

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 エルフたちの魔力が回復するまで休憩するはずだったが、化物が大地から魔力を吸い上げようとしていると分かっては、休んでいる時間などなかった。 
 エルフたちが慌てて七属性の魔法陣を築こうとしたが、道中互いに支援魔法と防御魔法を重ね掛けしたルイとダイが、それぞれ阿吽の呼吸で役割分担して、直ぐに化物を倒そうとした。
 まずはダイが同時起動で七つの属性魔法陣を築き、混沌を打ち消そうとした。
 ダイの行為に気付いた混沌の魔物が、その死力を尽くして混沌を維持しようとしたが、全力を出したダイに対抗などできるはずもなく、たちまち混沌が収束していった。
 混沌が収束したと同時に、ルイが莫大な魔力を使って七つの属性魔法で攻撃をしかけ、混沌の魔物の顔の部分に七つの穴を開け、瞬殺してしまった!
 この時色々な姿に変化していた化物は、大きな龍の頭だけの存在に形を固めた。
 それが龍となって魔境の支配者になろうとしたエルフたちの妄執かと思うと、何か哀れではあったが、放置すればこの世界の災厄になるのが分かっていたので、ルイは次に準備していた七つの属性魔法を化物に叩きつけた。
 ルイの容赦ない攻撃を受けた龍頭は、ため込んだ魔力を使ってルイの攻撃に対抗したが、そこで唖然としていたエルフたちが現実に立ち返り、雨あられと魔法の攻撃を龍頭に叩き込んだ。
 人間に比べて圧倒的な火力であるはずのエルフの魔法攻撃であったが、ルイとダイの魔法攻撃に比べると微々たるもので、龍頭に何の痛痒も感じさせる事ができなかった。
 それどころか直ぐに反撃受けてしまい、必死で防御魔法を展開したが、防御魔法を突き破るほどの攻撃を受けてしまい、半数の五十人のエルフが戦闘不能になり、残りの五十人のエルフも半死半生の状態だった。
 いや、もし龍頭の攻撃直前に、ルイが龍頭に牽制攻撃をしていなかったら、百人のエルフは即死していただろう。
 龍頭はエルフだけでなくルイにも攻撃をしかけていたのだが、ルイの防御魔法は突き破ることができず、何のダメージも与えることはできなかった。
 ここでダイが攻撃に参加した!
 万が一混沌が復活することを警戒して、七つの属性魔法陣は展開したままで、八つめ九9つめの魔法を展開し、陽の属性攻撃魔法と陰の属性攻撃魔法を龍頭の両目に叩きつけた。
 魂が怯えるほどの悲痛な叫びをあげて、龍頭は身もだえした!
 そこに練りに練ったルイの七属性攻撃魔法が龍頭に叩きつけられ、今度は悲鳴を上げる間もなく龍頭が消え去った。
 それこそ塵も残さず滅殺されたのであった。

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