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小古竜戦1

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 ルイと古竜の戦いはいきなり始まった!
 古竜が容赦することなく、最初からブレスを吐こうとしたのだ!
 ルイとの会話で怒りが頂点に達していたのか、それとも純粋にそういう戦い方が有利だと判断したのかは分からない。
 だがドラゴン最大の攻撃力を誇るブレス攻撃を、もったいぶらずに使って来るのは戦術的に有効な事だった。
 しかしルイはバカではない。
 簡単に古竜にブレスを吐かせるほど戦闘音痴ではないし、ブレスを阻止できないほど鈍足でもなければ非力でもない。
 古竜がブレスを吐こうとする気配を感じて直ぐに、古竜ですら反応できない速さで懐に入り込み、下から槍の柄で顎を叩き上げた!
 そのあまりの破壊力に、古竜は頭から伸び上がるように吹っ飛ばされ、ダンジョンの天井に頭から叩きつけられた!
 古竜は槍の柄で下顎を叩かれた衝撃で下顎骨を粉砕され、その拍子に下の牙が自分の上顎を突き抜いてしまった!
 その際に、下顎骨のように粉砕まではされなかったが上顎骨まで所々骨折し、吹き飛ばされダンジョンの天井に叩きつけられた際に、強固なダンジョンの天井に頭がめり込み、事もあろうに大切な角が折れてしまっていた。
 古竜に全く油断がなかったとは言わないが、それでも何千年も生きてきた古竜に、何の反応もさせないルイのスピードは脅威だった。
 いやそれだけではない。
 人間が古竜を吹き飛ばすなど、この世界の常識では考えられない筋力であり、何よりダンジョンの壁を破壊できるのは、ドラゴンのブレスくらいしかないはずなのだ。
 確かに伝説では、ダンジョンの壁を突き抜いたり切り裂いたりする魔剣や聖剣が出てくるが、それはあくまで伝説の話であって、現実ではありえないとされていたのだ。
 いや、古竜や上位属性竜の牙や角を加工した刀剣ならば可能であろう。
 王家や伝説の勇者の子孫なら持っているかもしれないが、そんな比類ない宝物は、宝物庫の奥深くに厳重な封印をされて保管されているはずだ。
 そう、ルイの実家にはあるし、ルイが脅迫して定期的に貢がせることになった、ワイバーンと飛竜の角・牙・爪を加工すれば、大量の聖剣や魔剣を作ることができるだろう。
 だがいくら古竜が角から衝突したとはいえ、たかが人間が叩いたくらいの衝撃で、ダンジョンの壁が破壊されるなど、繰り返すが常識では考えられないことであった。
「う~りゃ! よくもやってくれたな、人間!」
 四肢を踏ん張って、古竜が突き刺さっていた頭を抜いて、ルイを睨みつけて悪態をついた。
 そして古竜が反撃に転じようとしたその瞬間、またしてもルイが神速の動きを見せた!
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